Cosminexus アプリケーションサーバ V8 システム構築・運用ガイド

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9.6.2 SFOサーバを使用するパターン(sfo-tier)のシステムのスケールアウト

SFOサーバを使用するパターン(sfo-tier)のシステムをスケールアウトする手順について説明します。

システムをスケールアウトする前に,あらかじめ追加するアプリケーションサーバのOSやアプリケーションをセットアップしてください。システムをスケールアウトするには,次の内容を実施します。

  1. 構成変更定義ファイルの作成
  2. システムの情報モデルの変更
  3. サービスユニットの追加
  4. J2EEアプリケーションのデプロイ

システムのスケールアウトの手順について説明します。

なお,ここでは,次に示すメモリセッションフェイルオーバ用のサービスユニットを追加する場合を例にして,説明しています。説明では,SFOサーバを使用するパターン(sfo-tier)の簡易構築定義ファイルを使用して,「8.6 システムの一括構築」で構築したシステムを使用します。

業務サービス用のサービスユニットを追加する場合の手順については,「9.6.1 WebサーバとJ2EEサーバを同じサーバマシンに配置するパターン(combined-tier)のシステムのスケールアウト」を参照してください。

参考
サーバ管理コマンドの指定値について

サーバ管理コマンドの引数に指定するサーバ名
サーバ管理コマンドの引数に指定するサーバ名は実サーバ名です。構成変更定義ファイル作成時に実サーバ名を設定していない場合,実サーバ名は論理サーバ名と同じです。なお,論理サーバ名の設定を省略している場合,論理サーバ名は「cmx_<Webシステム名>_<サービスユニット名>_<種別>_<通番>」の形式で定義されます。論理サーバの種類と<種別>との対応を次の表に示します。

表9-16 論理サーバの種類と<種別>との対応

論理サーバの種類 <種別>
論理Webサーバ HTTP
論理J2EEサーバ J2EE
論理パフォーマンストレーサ PRF
論理SFOサーバ SFO
論理CTMドメインマネジャ CTMDM
論理CTM CTM
論理スマートエージェント SA
論理ユーザサーバ USER
なお,<通番>は,基本的に「01」が設定されます。ただし,CTMを使用するシステムのように論理サーバを複数配置する場合は,重複しない番号が割り振られます。

サーバ管理コマンドを使用する操作
ここで説明する操作のうち,サーバ管理コマンドを使用する操作は,サービスユニットごとに実行します。
なお,ここで示すサーバ管理コマンドの実行例は,すべてサービスユニット1を対象としています。サービスユニット2に対しても,コマンド実行例中の値を次のように読み替えて同じ操作をしてください。
J2EEサーバ名:cmx_MyWebSystem_unit2_J2EE_01
-nameserver指定値:corbaname::192.168.1.12:900
注意
Webシステムの構成を変更するとWebシステムが動作するために必要なリソースも変更する必要があります。Webシステムが動作するために必要なリソースの見積もりについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ システム設計ガイド」の「5. 使用するリソースの見積もり(J2EEアプリケーション実行基盤)」を参照してください。
<この項の構成>
(1) 構成変更定義ファイルの作成
(2) システムの情報モデルの変更
(3) サービスユニットの追加
(4) J2EEアプリケーションのインポートと開始

(1) 構成変更定義ファイルの作成

メモリセッションフェイルオーバ用のサービスユニットを追加する場合,次の構成変更定義ファイルが必要になります。

サービスユニット・ホスト追加用,および論理サーバのパラメタ変更用の構成変更定義ファイルを任意の場所にコピーして,ファイルの内容を編集します。

  1. サービスユニット・ホスト追加用の構成変更定義ファイルを作成します。
    サービスユニット・ホスト追加用の構成変更定義ファイル(cmxaddcombinedmodel.xmlファイル)は,次の場所に提供されています。
    • Windowsの場合
      <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\config\templates\
    • UNIXの場合
      /opt/Cosminexus/manager/config/templates/
    このファイルをコピーし,名称を変更して,任意の場所に格納します。なお,ここではファイル名を「MyWebSystemAddSfo.xml」に変更しています。
  2. コピーしたサービスユニット・ホスト追加用の構成変更定義ファイルを編集します。
    MyWebSystemAddSfo.xmlファイルを編集します。ここでは,追加するサービスユニットの内容と,ホストの定義をします。
    設定後のMyWebSystemAddSfo.xmlファイルを次に示します。
     
    <?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
    <unit-addition xmlns="http://www.cosminexus.com/mngsvr/schema/UnitAddition-2.5">
      <web-system>
        <name>MyWebSystem</name>
        
        <!-- 追加するサービスユニットの定義 -->
        <unit>
          <name>unit5</name>
          <allocated-host>
            <host-ref>sfosv3</host-ref>
            <hosts-for>sfo-tier</hosts-for>
            <define-server>
              <logical-server-name>sfo03</logical-server-name>
              <logical-server-type>sfo-server</logical-server-type>
            </define-server>
          </allocated-host>
        </unit>
        
      </web-system>
      <!-- 追加するホストの定義 -->
      <host>
        <host-name>sfosv3</host-name>
        <agent-host>192.168.100.15</agent-host>
      </host>
        
    </unit-addition>
     
    注 太字の部分が編集部分です。
  3. 論理サーバのパラメタ変更用の構成変更定義ファイルを作成します。
    論理サーバのパラメタ変更用の構成変更定義ファイル(cmxmodcombinedmodel.xmlファイル)は,次の場所に提供されています。
    • Windowsの場合
      <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\config\templates\
    • UNIXの場合
      /opt/Cosminexus/manager/config/templates/
    このファイルをコピーし,名称を変更して,任意の場所に格納します。なお,ここではファイル名を「MyWebSystemMod4.xml」に変更しています。
  4. コピーした論理サーバのパラメタ変更用の構成変更定義ファイルを編集します。
    MyWebSystemMod4.xmlファイルを編集します。ここでは,J2EEサーバで使用するセッションフェイルオーバ用フィルタの追加を定義します。
    設定後のMyWebSystemMod4.xmlファイルを次に示します。
     
    <?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
    <model-modification xmlns="http://www.cosminexus.com/mngsvr/schema/ModelModification-2.5">
      <web-system>
      <name>MyWebSystem</name>
        <!-- 物理ティア(combined-tier)の定義 -->
        <tier>
          <tier-type>combined-tier</tier-type>
          <!-- 追加するセッションフェイルオーバ用フィルタの定義 -->
          <configuration>
            <logical-server-type>j2ee-server</logical-server-type>
            <param>
              <param-name>webserver.sfo.sfo_servers</param-name>
              <param-value>sfoserver1,sfoserver2,sfoserver3</param-value>
            </param>
            <param>
              <param-name>webserver.sfo.sfo_server.sfoserver3.serverName</param-name>
              <param-value>sfo03</param-value>
            </param>
          </configuration>
        </tier>
      </web-system>
    </model-modification>
     
    注 太字の部分が編集部分です。

(2) システムの情報モデルの変更

作成した構成変更定義ファイルの内容を,Management Serverのシステムの情報モデルに反映します。メモリセッションフェイルオーバ用のサービスユニットを追加する場合,(1)で作成した2種類の構成変更定義ファイルごとに,システムの情報モデルに反映する必要があります。

  1. サービスユニット・ホスト追加用の構成変更定義ファイルを指定して,システムの情報モデルを変更します。
    cmx_change_modelコマンドに,(1)で作成したサービスユニット・ホスト追加用の構成変更定義ファイルを指定して,Management Serverのシステムの情報モデルを変更します。
    Windowsの場合
     
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\bin\cmx_change_model -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -f <任意のディレクトリ>\MyWebSystemAddSfo.xml
     
    UNIXの場合
     
    # /opt/Cosminexus/manager/bin/cmx_change_model -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -f <任意のディレクトリ>/MyWebSystemAddSfo.xml
     
  2. 論理サーバのパラメタ変更用の構成変更定義ファイルを指定して,システムの情報モデルを変更します。
    cmx_change_modelコマンドに,(1)で作成した論理サーバのパラメタ変更用の構成変更定義ファイルを指定して,Management Serverのシステムの情報モデルを変更します。
    Windowsの場合
     
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\bin\cmx_change_model -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -f <任意のディレクトリ>\MyWebSystemMod4.xml
     
    UNIXの場合
     
    # /opt/Cosminexus/manager/bin/cmx_change_model -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -f <任意のディレクトリ>/MyWebSystemMod4.xml
     

(3) サービスユニットの追加

変更したシステムの情報モデルを実システムに適用して,サービスユニットを追加します。

  1. 変更したシステムの情報モデルを実システムに展開します。
    cmx_build_systemコマンドを使用して,(2)で変更したシステムの情報モデルを実システムに適用します。
    Windowsの場合
     
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\bin\cmx_build_system -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -s MyWebSystem
     
    UNIXの場合
     
    # /opt/Cosminexus/manager/bin/cmx_build_system -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -s MyWebSystem
     
  2. 追加したメモリセッションフェイルオーバ用のサービスユニットを一括起動します。
    ここでは次の内容を実施しています。
    • cmx_start_targetコマンドを使用して,追加したサービスユニット「unit5」を稼働状態で起動します。-modeオプションに「ALL」を指定します。
    Windowsの場合
     
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\bin\cmx_start_target -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -mode ALL -s MyWebSystem -unit unit5
     
    UNIXの場合
     
    # /opt/Cosminexus/manager/bin/cmx_start_target -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -mode ALL -s MyWebSystem -unit unit5
     
  3. 業務サービス用のサービスユニットを停止して,起動します。システム内のすべての業務サービス用のサービスユニットに対して実施します。
    ここでは次の内容を実施しています。
    • cmx_stop_targetコマンドを使用して,業務サービス用のサービスユニット「unit1」および「unit2」を停止状態にします。停止状態にするには,-modeオプションに「ALL」を指定します。
    • cmx_start_targetコマンドを使用して,業務サービス用のサービスユニット「unit1」および「unit2」を稼働状態にします。稼働状態にするには,-modeオプションに「ALL」を指定します。
    Windowsの場合
     
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\bin\cmx_stop_target -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -mode ALL -s MyWebSystem -unit unit1
     
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\bin\cmx_start_target -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -mode ALL -s MyWebSystem -unit unit1
     
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\bin\cmx_stop_target -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -mode ALL -s MyWebSystem -unit unit2
     
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\manager\bin\cmx_start_target -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -mode ALL -s MyWebSystem -unit unit2
     
    UNIXの場合
     
    # /opt/Cosminexus/manager/bin/cmx_stop_target -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -mode ALL -s MyWebSystem -unit unit1
     
    # /opt/Cosminexus/manager/bin/cmx_start_target -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -mode ALL -s MyWebSystem -unit unit1
     
    # /opt/Cosminexus/manager/bin/cmx_stop_target -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -mode ALL -s MyWebSystem -unit unit2
     
    # /opt/Cosminexus/manager/bin/cmx_start_target -m 192.168.100.100 -u cosmi_admin -p cosmi_admin_passwd -mode ALL -s MyWebSystem -unit unit2
     

(4) J2EEアプリケーションのインポートと開始

追加したメモリセッションフェイルオーバ用のサービスユニットを利用するJ2EEアプリケーションのインポートと開始をします。

次に示すJ2EEアプリケーションをインポートして開始する手順を例にして説明します。J2EEアプリケーションは,cosminexus.xmlを含むアプリケーションであることを前提としています。

表9-17 例で使用するJ2EEアプリケーションのファイル名と表示名

種別 名前
ファイル名 MyApp2.ear
表示名 MyApp2
  1. 追加したメモリセッションフェイルオーバ用のサービスユニットを利用するJ2EEアプリケーションをインポートして開始します。
    ここでは,サーバ管理コマンドを使用して,次の内容を実施しています。
    • J2EEアプリケーションをJ2EEサーバへインポートします。
    • J2EEアプリケーションを開始します。
    Windowsの場合
     
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\CC\admin\bin\cjimportapp cmx_MyWebSystem_unit1_J2EE_01 -nameserver corbaname::192.168.1.11:900 -f MyApp2.ear
     
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>\CC\admin\bin\cjstartapp cmx_MyWebSystem_unit1_J2EE_01 -nameserver corbaname::192.168.1.11:900 -name MyApp2
     
    UNIXの場合
     
    # /opt/Cosminexus/CC/admin/bin/cjimportapp cmx_MyWebSystem_unit1_J2EE_01 -nameserver corbaname::192.168.1.11:900 -f MyApp2.ear
     
    # /opt/Cosminexus/CC/admin/bin/cjstartapp cmx_MyWebSystem_unit1_J2EE_01 -nameserver corbaname::192.168.1.11:900 -name MyApp2
     
    参考
    次に示す場合,J2EEアプリケーションのプロパティは,属性ファイル(アプリケーション統合属性ファイル)で設定できます。
    • インポート済みのJ2EEアプリケーションのプロパティを編集する場合
    • cosminexus.xmlを含まないアプリケーションの場合
    設定方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ アプリケーション設定操作ガイド」の「9.2 アプリケーション統合属性ファイルによるプロパティ設定」を参照してください。