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 ボリュームミラーリング クイックリファレンス 


1.12.38 移行元のUR副サイトのセカンダリボリューム障害(LDEV障害)から回復する手順例

1.12.29 障害発生前の状態」に示した、それぞれの状態で、移行元の副サイトのストレージシステムに、ボリューム障害が発生した場合の回復手順を説明します。

〈この項の構成〉

(1) 「移行作業中」のデータ移行中状態で発生した、移行元のUR副サイトのセカンダリボリューム障害(LDEV障害)

障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。

ペアの種類

障害発生前のペア状態

障害発生後のペア状態

P-VOL

S-VOL

P-VOL

S-VOL

GADペア

COPY(Local)

COPY(Block)

COPY(Local)

COPY(Block)

移行元のURペア

PAIR

PAIR

PSUE

PSUE

(凡例)

P-VOL:プライマリボリューム

S-VOL:セカンダリボリューム

注※
障害が発生したボリュームを使用しているペアが、サーバからI/Oを受けたときの状態です。このURペアのエラーレベルを「ミラー」に設定している場合は、ミラーに属するすべてのURペアが、このペア状態になります。

この障害に対する回復では、障害発生後も移行元のURにて、サーバからのI/Oおよびリモートコピーが継続されるため、移行元のUR副サイトのボリュームを回復させてから、移行元のURペアを再形成します。

障害回復の概要

[図データ]

障害回復の流れ

  1. 障害ボリュームを使用している移行元のURペアを削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR00 -d -dev00 -S -IH1
  2. 移行元のUR副サイトのセカンダリボリュームの障害を取り除き回復します(フォーマットによる回復が必要な場合はフォーマットします)。

  3. 障害ボリュームを使用していた移行元URペアと連携していたGADペアを、プライマリボリューム指定でペア分割後、ペア削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraHA00 -d dev10 -IH1
    pairsplit -g oraHA00 -d dev10 -S -IH1
  4. 移行元のURペアがペア中断している場合は、移行元URペアを再同期します。

    コマンド例:
    pairresync -g oraUR00 -IH1
  5. 移行元のUR正サイトから、障害から回復したボリュームに対する移行元URペアを再形成します。

    コマンド例:
    paircreate -g oraUR00 -d dev00 -f async -vl -jp 0 -js 0 -IH1
  6. URのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
  7. 移行元のUR正サイトから、障害から回復した移行元URペアと連携するGADペアを再形成します。

    コマンド例:
    paircreate -g oraHA00 -d dev10 -f never -vl -jq 0 -IH1

(2) 「移行作業中」のデータ移行完了後状態で発生した、移行元のUR副サイトのセカンダリボリューム障害(LDEV障害)

障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。

ペアの種類

障害発生前のペア状態

障害発生後のペア状態

P-VOL

S-VOL

P-VOL

S-VOL

GADペア

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Mirror(RL))

移行元のURペア

PAIR

PAIR

PSUE※1

PSUE※1

移行先のURペア※2

COPY/PAIR

COPY/PAIR

COPY/PAIR

COPY/PAIR

(凡例)

P-VOL:プライマリボリューム

S-VOL:セカンダリボリューム

注※1
障害が発生したボリュームを使用しているペアが、サーバからI/Oを受けたときの状態です。このURペアのエラーレベルを「ミラー」に設定している場合は、ミラーに属するすべてのURペアが、このペア状態になります。
注※2

移行先のURペアが形成されていた場合のペア状態です。

この障害に対する回復では、既存の移行元のUR環境をシステム復旧に利用します。障害発生後も移行元のURにて、サーバからのI/Oは継続しており、かつ障害からの復旧までは回復のためのペア操作は不要なため、URの環境移行手順を進めることもできます。移行手順を移行完了まで進めた場合の手順は「(3) 「移行完了後」の移行元URペア撤去前状態で発生した、移行元のUR副サイトのセカンダリボリューム障害(LDEV障害)」を参照してください。

障害発生前の状態に回復する手順例を次に示します。

障害回復の概要

[図データ]

障害回復の流れ

  1. 障害ボリュームを使用している移行元のURペアを削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR00 -d -dev00 -S -IH1
  2. 移行元のUR副サイトのセカンダリボリュームの障害を取り除き回復します(フォーマットによる回復が必要な場合はフォーマットします)。

  3. 障害ボリュームを使用していた移行元URペアと連携していたGADペアと連携している移行先URペアを削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR01 -d dev20 -S -IH3
  4. 障害ボリュームを使用していた移行元URペアと連携していたGADペアを、プライマリボリューム指定でペア分割後、ペア削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraHA00 -d dev10 -IH1
    pairsplit -g oraHA00 -d dev10 -S -IH1
  5. 移行元のURペアがペア中断している場合は、移行元のURペアを再同期します。

    コマンド例:
    pairresync -g oraUR00 -IH1
  6. 移行元のUR正サイトから、障害から回復したボリュームに対する移行元URペアを再形成します。

    コマンド例:
    paircreate -g oraUR00 -d dev00 -f async -vl -jp 0 -js 0 -IH1
  7. URのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。

  8. 移行元のUR正サイトから、手順4で削除したGADペアを再形成します。

    コマンド例:
    paircreate -g oraHA00 -d dev10 -f never -vl -jq 0 -IH1
  9. GADのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。

  10. 移行先のUR正サイトから、手順3で削除した移行先URペアを再形成します。

    コマンド例:
    paircreate -g oraUR01 -d dev20 -f async -vl -jp 0 -js 0 -IH3

(3) 「移行完了後」の移行元URペア撤去前状態で発生した、移行元のUR副サイトのセカンダリボリューム障害(LDEV障害)

障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。

ペアの種類

障害発生前のペア状態

障害発生後のペア状態

P-VOL

S-VOL

P-VOL

S-VOL

GADペア

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Mirror(RL))

移行元のURペア

PAIR

PAIR

PSUE

PSUE

移行先のURペア

PAIR

PAIR

PAIR

PAIR

(凡例)

P-VOL:プライマリボリューム

S-VOL:セカンダリボリューム

注※

障害が発生したボリュームを使用しているペアが、サーバからI/Oを受けたときのペア状態です。このURペアのエラーレベルを「ミラー」に設定している場合は、ミラーに属するすべてのURペアが、このペア状態になります。

この障害に対する回復では、リモートコピーのシステム環境は移行が完了しているので、移行元のUR環境の撤去を実施してから、移行元の障害回復を実施してください。

障害回復の概要

[図データ]

障害回復の流れ

  1. 1.12.17 移行元の環境を撤去する」に従って、移行元のUR環境を撤去します。

  2. 移行元のUR副サイトのセカンダリボリュームの障害を取り除き回復します(フォーマットによる回復が必要な場合はフォーマットします)。