Hitachi

 ボリュームミラーリング クイックリファレンス 


1.12.32 移行元の正サイトのプライマリボリュームの障害(LDEV閉塞)から回復する手順例

1.12.29 障害発生前の状態」に示した、それぞれの状態で、移行元のUR正サイトのプライマリボリュームに障害(LDEV閉塞)が発生した場合の回復手順を説明します。

〈この項の構成〉

(1) 「移行作業中」のデータ移行中状態で発生した、移行元のURプライマリボリューム障害

障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。

ペアの種類

障害発生前のペア状態

障害発生後のペア状態

P-VOL

S-VOL

P-VOL

S-VOL

GADペア

COPY(Local)

COPY(Block)

PSUE(Local) PSUE(Block)

移行元のURペア

PAIR

PAIR

PSUE

PSUE

(凡例)

P-VOL:プライマリボリューム

S-VOL:セカンダリボリューム

この障害に対する回復では、サーバからのI/Oを継続させるために、移行元のUR副サイトのセカンダリボリュームがI/O受け付け可能となるようにペア操作します。対象ペア復旧後のセカンダリボリュームのデータを用いて元の構成へ復旧させます。

以降の回復手順は、ジャーナル内で複数のペアがある中で、1つのボリューム障害が発生したことを想定したものです。

障害回復の概要

[図データ]

障害回復の流れ

  1. サーバから移行元のUR正サイトのストレージシステムの障害対象のペアが属するジャーナルへのI/Oを停止します。

  2. 移行元のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定してURペアを中断(スワップサスペンド)します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR00 -RS -IH2
  3. サーバから移行元のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを開始します。

  4. 移行元のUR正サイトのプライマリボリューム障害の対象URペアを削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR00 -d dev00 -S -IH1
  5. 移行元のUR正サイトのプライマリボリューム障害の対象GADペアを、プライマリボリューム指定で削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraHA00 -d dev10 -S -IH1
  6. 移行元のUR正サイトのプライマリボリュームの障害を取り除き回復します(フォーマットによる回復が必要な場合はフォーマットします)。

  7. 障害対象となったURペアが属するジャーナルを使用する他のURペアと連携するGADペアを、プライマリボリューム指定でペア分割します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraHA00 -IH1
  8. 移行元のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。

    コマンド例:
    pairresync -g oraUR00 -swaps -IH2

    移行元のURペアは、正サイトのボリュームがセカンダリボリュームに、副サイトのボリュームがプライマリボリュームに変わります。

  9. 移行元のUR副サイトから、障害から回復したボリュームを使用するURペアを形成します。

    コマンド例:
    paircreate -g oraUR00 -d dev00 -f async -vl -jp 0 -js 0 -IH2
  10. URのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。

  11. サーバから移行元のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを停止します。

  12. 移行元のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを中断(スワップサスペンド)します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR00 -RS -IH1
  13. サーバから移行元のUR正サイトのストレージシステムへのI/Oを再開します。

  14. 移行元のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。

    コマンド例:
    pairresync -g oraUR00 -swaps -IH1

    移行元のURペアは、正サイトのボリュームがプライマリボリュームに、副サイトのボリュームがセカンダリボリュームに変わります。

  15. URのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。

  16. 移行元のUR正サイトから、GADペアを再同期します。

    コマンド例:
    pairresync -g oraHA00 -IH1
  17. 障害から回復したボリュームに対するGADペアを形成します。

    コマンド例:
    paircreate -g oraHA00 -d dev10 -f never -vl -jq 0 -IH1

(2) 「移行作業中」のデータ移行完了後状態で発生した、移行元のURプライマリボリューム障害

障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。

ペアの種類

障害発生前のペア状態

障害発生後のペア状態

P-VOL

S-VOL

P-VOL

S-VOL

GADペア

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Mirror(RL))

PSUE(Block)※2

SSWS(Local)※2

移行元のURペア

PAIR

PAIR

PSUE※3

PSUE※3

移行先のURペア※1

COPY /PAIR

COPY /PAIR

COPY /PAIR

COPY /PAIR

(凡例)

P-VOL:プライマリボリューム

S-VOL:セカンダリボリューム

注※1
移行先のURペアが形成されていた場合のペア状態です。
注※2
障害が発生したボリュームを使用しているペアが、サーバからI/Oを受けたときの状態です。それ以外の場合は、障害発生前のペア状態と同じです。
注※3

障害が発生したボリュームを使用しているペアが、サーバからI/Oを受けたときのペア状態です。このURペアのエラーレベルを「ミラー」に設定している場合は、ミラーに属するすべてのURペアが、このペア状態になります。

この障害に対する回復では、既存の移行元のURの環境をシステムの回復に利用します。サーバからのI/Oを継続させるために、移行元のUR副サイトのセカンダリボリュームがI/O受け付け可能となるようにペア操作します。その後、正サイトを回復させてから、セカンダリボリュームのデータを用いて元の構成へ復旧させます。

障害回復の概要

[図データ]

障害回復の流れ

移行先のURペアがない場合は、移行先のURペアへの手順をスキップしてください。

  1. サーバから移行元のUR正サイトのストレージシステムの障害対象のペアが属するジャーナルへのI/Oを停止します。

  2. 移行元のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定してURペアを中断(スワップサスペンド)します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR00 -RS -IH2
  3. サーバから移行元のUR副サイトのストレージシステムへI/Oを開始します。

  4. 移行元のUR正サイトのプライマリボリューム障害の対象URペアを削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR00 -d dev00 -S -IH1
  5. 移行元のUR正サイトのプライマリボリューム障害の対象GADペアを、プライマリボリュームの仮想LDEV IDが残るように指定して、強制削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraHA00 -SFV -d dev10 -IH1
  6. プライマリボリューム障害の対象GADペアに連携していた移行先のURペアを削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR01 -d dev20 -S -IH3
  7. 移行元のUR正サイトのプライマリボリューム障害の対象GADペアを、セカンダリボリュームの仮想LDEV IDが残らないように指定して、強制削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraHA00 -RF -d dev10 -IH3
  8. 移行元のUR正サイトのプライマリボリュームの障害を取り除き回復します(フォーマットによる回復が必要な場合はフォーマットします)。

  9. 障害対象となったURペアが属するジャーナルを使用する他のURペアと連携するGADペアを、プライマリボリューム指定でペア分割します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraHA00 -IH1
  10. 移行先のUR正サイトから、プライマリボリュームを指定して、URペアを分割します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR01 -IH3
  11. 移行元のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。

    コマンド例:
    pairresync -g oraUR00 -swaps -IH2

    移行元のURペアは、正サイトのボリュームがセカンダリボリュームに、副サイトのボリュームがプライマリボリュームに変わります。

  12. 移行元のUR副サイトから、障害から回復したボリュームを使用するURペアを形成します。

    コマンド例:
    paircreate -g oraUR00 -d dev00 -f async -vl -jp 0 -js 0 -IH2
  13. URのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。

  14. サーバから移行元のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを停止します。

  15. 移行元のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを中断(スワップサスペンド)します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraUR00 -RS -IH1
  16. サーバから移行元のUR正サイトのストレージシステムへI/Oを再開します。

  17. 移行元のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。

    コマンド例:
    pairresync -g oraUR00 -swaps -IH1

    移行元のURペアは、正サイトのボリュームがプライマリボリュームに、副サイトのボリュームがセカンダリボリュームに変わります。

  18. URのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。

  19. 移行元のUR正サイトから、GADペアを再同期します。

    コマンド例:
    pairresync -g oraHA00 -IH1
  20. 障害から回復したボリュームに対するGADペアを形成します。

    コマンド例:
    paircreate -g oraHA00 -f never -vl -jq 0 -d dev10 -IH1
  21. すべてのGADのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。

  22. 移行先のUR正サイトから、URペアを再同期します。

    コマンド例:
    pairresync -g oraUR01 -IH3
  23. 障害が発生したGADペアに連携するための移行先URペアを形成します。

    コマンド例:
    paircreate -g oraUR01 -d dev20 -f async -vl -jp 0 -js 0 -IH3

(3) 「移行完了後」の移行元URペア撤去前状態で発生した、移行元のURプライマリボリューム障害

障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。

ペアの種類

障害発生前のペア状態

障害発生後のペア状態

P-VOL

S-VOL

P-VOL

S-VOL

GADペア

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Mirror(RL))

PSUE(Block)※1

SSWS(Local)※1

移行元のURペア

PAIR

PAIR

PSUE※2

PSUE※2

移行先のURペア

PAIR

PAIR

PAIR

PAIR

(凡例)

P-VOL:プライマリボリューム

S-VOL:セカンダリボリューム

注※1

障害が発生したボリュームを使用しているペアが、サーバからI/Oを受けたときの状態です。それ以外の場合は、障害発生前のペア状態です。

注※2

障害が発生したボリュームを使用しているペアが、サーバからI/Oを受けたときのペア状態です。このURペアのエラーレベルを「ミラー」に設定している場合は、ミラーに属するすべてのURペアが、このペア状態になります。

この障害に対する回復では、URのリモートコピーのシステム環境の移行が完了しているため、移行元のURのシステム環境の撤去を実施してから、回復操作を実施します。

障害回復の概要

[図データ]

障害回復の流れ

  1. 障害ボリューム以外のGADペアを、セカンダリボリューム指定でペア中断(スワップサスペンド)します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraHA00 -RS -IH3
  2. 移行元のURペアを削除します。

  3. GADペアのセカンダリボリュームに仮想LDEV IDを残すように指定して、GADペアを削除します。

    コマンド例:
    pairsplit -g oraHA00 -R -IH3
  4. 移行元のUR正サイトのボリュームの障害を取り除き回復します(フォーマットによる回復が必要な場合はフォーマットします)。