1.12.31 移行元の正サイトの障害から回復する手順例
「1.12.29 障害発生前の状態」に示した、それぞれの状態で、移行元の正サイトのストレージシステムに障害が発生した際の回復手順を説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 「移行作業中」のデータ移行中状態で発生した、移行元のUR正サイト障害
障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。
ペアの種類 |
障害発生前のペア状態 |
障害発生後のペア状態 |
||
---|---|---|---|---|
P-VOL |
S-VOL |
P-VOL |
S-VOL |
|
GADペア |
COPY(Local) |
COPY(Block) |
- (PSUE(Local)※2) |
COPY(Block) (COPY(Block)※2) |
移行元のURペア |
PAIR |
PAIR |
- (PSUE※2) |
PSUE※1, 2 /PAIR※1 |
- (凡例)
-
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- 注※1
- システムオプションモード(448、449)の設定状態によってペア状態が異なります。 VSP 5000シリーズの場合は、システム詳細設定(15、16)の設定状態によってペア状態が異なります。
- 注※2
- 移行元のUR正サイトの電源をオンにした後での状態です。
この障害に対する回復では、サーバからのI/Oを継続させるために、移行元のUR副サイトのセカンダリボリュームがI/O受け付け可能となるようにペア操作します。その後、正サイトを回復させてから、セカンダリボリュームのデータを用いて元の構成へ復旧させます。
障害回復の概要
障害回復の流れ
-
移行元のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定してURペアを中断(スワップサスペンド)します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR00 -RS -IH2
-
サーバから移行元のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを開始します。
-
移行元のUR正サイトのストレージシステムの障害を取り除き回復します。
-
移行元のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。
コマンド例:pairresync -g oraUR00 -swaps -IH2
移行元のURペアは、正サイトのボリュームがセカンダリボリュームに、副サイトのボリュームがプライマリボリュームに変わります。
-
移行元のURのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
-
サーバから移行元のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを停止します。
-
移行元のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを中断(スワップサスペンド)します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR00 -RS -IH1
-
サーバから移行元のUR正サイトのストレージシステムへI/Oを再開します。
-
移行元のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。
コマンド例:pairresync -g oraUR00 -swaps -IH1
移行元のURペアは、正サイトのボリュームがプライマリボリュームに、副サイトのボリュームがセカンダリボリュームに変わります。
-
移行元のURのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
-
移行元のUR正サイトから、プライマリボリュームに仮想LDEV ID情報が残るように指定して、GADペアを強制削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -SFV -IH1
-
移行先のUR正サイトから、セカンダリボリュームに仮想LDEV ID情報が残らないように指定して、GADペアを強制削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -RF -IH3
-
移行元の正サイトから、GADペアを形成します。
コマンド例:paircreate -g oraHA00 -f never -vl -jq 0 -IH1
(2) 「移行作業中」のデータ移行完了後状態で発生した、移行元のUR正サイト障害
障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。
ペアの種類 |
障害発生前のペア状態 |
障害発生後のペア状態 |
||
---|---|---|---|---|
P-VOL |
S-VOL |
P-VOL |
S-VOL |
|
GADペア |
PAIR(Mirror(RL)) |
PAIR(Mirror(RL)) |
- (PSUE(Block)※2) |
PAIR(Mirror(RL))※3 |
移行元のURペア |
PAIR |
PAIR |
- (PSUE※2) |
PSUE※1, 2 /PAIR※1 |
移行先のURペア※4 |
COPY /PAIR |
COPY /PAIR |
COPY /PAIR |
COPY /PAIR |
- (凡例)
-
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- 注※1
- システムオプションモード(448、449)の設定状態によってペア状態が異なります。 VSP 5000シリーズの場合は、システム詳細設定(15、16)の設定状態によってペア状態が異なります。
- 注※2
- 移行元のUR正サイトの電源をオンにした後での状態です。
- 注※3
- サーバからGADのセカンダリボリュームにI/Oが発行されていないことが前提のペア状態です。Quorumディスクにボリュームを設定しない構成であるため、正サイトが障害状態でGADのセカンダリボリュームにI/Oが発行されるとペア状態はPSUE(Block)になります。
- 注※4
- 移行先のURペアが形成されていた場合のペア状態です。
この障害に対する回復では、既存の移行元のURの環境をシステム復旧に利用します。サーバからのI/Oを継続させるために、移行元のUR副サイトのセカンダリボリュームがI/Oを受け付け可能となるようにペア操作します。その後、正サイトを回復させてから、セカンダリボリュームのデータを用いて元の構成へ復旧させます。
障害回復の概要
障害回復の流れ
-
移行元のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定してURペアを中断(スワップサスペンド)します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR00 -RS -IH2
-
サーバから移行元のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを開始します。
-
移行元のUR正サイトのストレージシステムの障害を取り除き回復します。
-
移行元のUR正サイトから、プライマリボリュームに仮想LDEV IDが残るように指定して、GADペアを強制削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -SFV -IH1
-
移行元のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。
コマンド例:pairresync -g oraUR00 -swaps -IH2
移行元のURペアは、正サイトのボリュームがセカンダリボリュームに、副サイトのボリュームがプライマリボリュームに変わります。
-
移行元のURのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
-
サーバから移行元のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを停止します。
-
移行元のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを中断(スワップサスペンド)します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR00 -RS -IH1
-
サーバから移行元のUR正サイトのストレージシステムへのI/Oを再開します。
-
移行元のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。
コマンド例:pairresync -g oraUR00 -swaps -IH1
-
URのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
-
移行先のUR正サイトから、移行先のURペアを削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR01 -S -IH3
-
移行先のUR正サイトから、セカンダリボリュームに仮想LDEV ID情報が残らないように指定して、GADペアを強制削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -RF -IH3
-
移行元のUR正サイトから、GADペアを形成します。
コマンド例:paircreate -g oraHA00 -f never -vl -jq 0 -IH1
- GADのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
- 移行先のUR正サイトから、URペアを形成します。
(3) 「移行完了後」の移行元URペア撤去前状態で発生した、移行元のUR正サイト障害
障害発生前後のペアの状態の変化を、次に示します。
ペアの種類 |
障害発生前のペア状態 |
障害発生後のペア状態 |
||
---|---|---|---|---|
P-VOL |
S-VOL |
P-VOL |
S-VOL |
|
GADペア |
PAIR(Mirror(RL)) |
PAIR(Mirror(RL)) |
- (PSUE(Block)※2) |
PSUE(Block)※3 |
移行元のURペア |
PAIR |
PAIR |
- (PSUE※2) |
PSUE※1, 2 /PAIR※1 |
移行先のURペア |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
PAIR |
- (凡例)
-
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- 注※1
- システムオプションモード(448、449)の設定状態によってペア状態が異なります。 VSP 5000シリーズの場合は、システム詳細設定(15、16)の設定状態によってペア状態が異なります。
- 注※2
- 移行元の正サイトの電源をオンにした後での状態です。
- 注※3
- Quorumディスクにボリュームを設定しない構成であるため、正サイトが障害状態でGADのセカンダリボリュームにI/Oが発行されると、ペア状態はPSUE(Block)となります。
この障害に対する回復では、URのリモートコピーのシステム環境の移行が完了しているため、移行先のUR環境にて障害回復します。障害発生時にGADのセカンダリボリュームはI/O受付不可となるので、サーバからのI/Oを回復させるために、移行先のUR副サイトのセカンダリボリュームでI/O受け付け可能となるようにペア操作します。
リモートコピーのシステム環境は移行が完了しているため、移行先のURでの障害回復を実施してから、移行元のUR環境の撤去を実施します。
障害回復の概要
障害回復の流れ
-
移行先のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを中断(スワップサスペンド)します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR01 -RS -IH4
-
サーバから移行先のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを開始します。
-
移行先のUR正サイトから、セカンダリボリュームに仮想LDEV IDを残すように指定して、GADペアを強制削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -RFV -IH3
-
移行先のUR副サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。
コマンド例:pairresync -g oraUR01 -swaps -IH4
移行先のURペアは、正サイトのボリュームがセカンダリボリュームに、副サイトのボリュームがプライマリボリュームに変わります。
-
移行先のURのペア状態がPAIRに変わったことを確認します。
-
サーバから移行先のUR副サイトのストレージシステムへのI/Oを停止します。
-
移行先のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを中断(スワップサスペンド)します。
コマンド例:pairsplit -g oraUR01 -RS -IH3
-
サーバから移行先のUR正サイトのストレージシステムへのI/Oを再開します。
-
移行先のUR正サイトから、セカンダリボリュームを指定して、URペアを再同期(スワップリシンク)します。
コマンド例:pairresync -g oraUR01 -swaps -IH3
移行先のURペアは、正サイトのボリュームがプライマリボリュームに、副サイトのボリュームがセカンダリボリュームに変わります。
以上で、移行元のUR正サイト障害からのリモートコピー機能が回復します。
次に、移行元の環境を削除します。
-
移行元のUR正サイトのストレージシステムの障害を取り除き回復します。
-
移行元のURペアを削除します。
-
移行元のUR正サイトから、プライマリボリュームの仮想LDEV IDを削除するように指定して、GADペアを強制削除します。
コマンド例:pairsplit -g oraHA00 -SF -IH1
必要に応じて、「1.12.17 移行元の環境を撤去する」の手順を実施します。