1.12.1　GADを使用したURの環境移行

(1)　GADを使用したURの環境移行作業

GADは、ホストに対して、正サイトと副サイトの2つのデバイスを同一デバイスとして見せることができます。このため、ホストは2つのサイトに同時にアクセスできます。この機能を利用して、ホストからのI/Oを停止することなく、かつURペアを維持したまま、正サイトと副サイトによるURの環境を別の正サイトと副サイトへ移行できます。

移行作業の流れを次に示します。

次に示す操作をして、図中の(1)から(2)の構成にします。

1. 移行元のURのプライマリボリュームとして使用されているボリュームを、GADのプライマリボリュームに指定してGADペアを形成します。

2. GADのペア状態がPAIRになるまで待ちます。

3. GADのセンカダリボリュームとして使用されているボリュームを、移行先のURプライマリボリュームに指定してURペアを形成します。

4. 移行先のURのペア状態がPAIRになるまで待ちます。

5. 移行先のURで運用の準備が完了後、GADのセカンダリボリュームへI/Oを開始します。

次に示す操作をして、図中の(2)から(3)の構成にすることで移行が完了します。

1. GADのプライマリボリュームへのI/Oを停止します。

2. GADのセカンダリボリュームを指定して、GADペアを中断（スワップサスペンド）します。
3. 移行元のURペアを削除します。
4. GADのセカンダリボリュームを指定してGADペアを削除します。

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(2)　GADを使用したURの環境移行での注意事項

• 次に示す移行元のURペアの正サイトの機種と移行先のURの正サイトの機種の組み合わせのみ、GADを使用したURの環境移行ができます。URの副サイトについては、機種の組み合わせに制限はありません。

  移行元のURの正サイト	移行先のUR正サイト
  VSP G1000, G1500およびVSP F1500	VSP 5000シリーズ
  VSP G150, G350, G370, G700, G900およびVSP F350, F370, F700, F900	VSP 5000シリーズ
  VSP 5000シリーズ	VSP 5000シリーズ
  VSP G1000, G1500およびVSP F1500	VSP G1000, G1500およびVSP F1500
  VSP G150, G350, G370, G700, G900およびVSP F350, F370, F700, F900	VSP G150, G350, G370, G700, G900およびVSP F350, F370, F700, F900
  VSP G100, G200, G400, G600, G800およびVSP F400, F600, F800	VSP G150, G350, G370, G700, G900およびVSP F350, F370, F700, F900

• GADを使用したURの環境移行で必要な、移行元と移行先の各URの正サイトのマイクロコードバージョンを示します。URの副サイトについては、マイクロコードバージョンの制限はありません。

  機種	UR正サイトに必要なマイクロコードバージョン
  VSP 5000シリーズ	90-03-01-XX/XX以降
  VSP G1000, G1500およびVSP F1500	80-06-74-XX/XX以降
  VSP G150, G350, G370, G700, G900およびVSP F350, F370, F700, F900	88-05-01-XX/XX以降
  VSP G100, G200, G400, G600, G800およびVSP F400, F600, F800	83-05-36-XX/XX以降

• 移行先のURに対して災害復旧システムを接続し、移行先のURで運用を開始したら、移行元のURの環境を撤去してください。

• 移行元と移行先では、それぞれのURジャーナルグループが別々のコンシステンシー管理をします。移行元と移行先でのURのリストアの連動などはできません。

• 移行対象は、1つの正サイトと1つの副サイトの組み合わせのURペアに限られます。デルタリシンク用URペアは移行できません。

• 移行対象ボリュームがUR以外のプログラムプロダクトと共有されている場合、該当するプログラムプロダクトがGADとボリューム共有可能であれば、この機能を使用できます。この機能による移行中でも、GADおよびURとその他のプロダクトプロダクトとの連携機能は、影響を受けません。

• 移行手順の途中の構成から、GADとURおよびデルタリシンク用URを組み合わせた3データセンター構成の構築はできません。この機能はURの環境移行のみに使用してください。

• 移行元のURの副ジャーナルグループと、移行先のURの副ジャーナルグループを共有できません。移行元のURとは別の副ジャーナルグループを移行先に用意してください。

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