1.1.30 GADのリモートパス障害時IO優先モード
リモートパス障害時IO優先モードを設定すると、ストレージシステム間のリモートパスで障害が発生した際に、優先的にプライマリボリュームでサーバからのI/Oを継続できるようになります。
正サイトと副サイトのストレージシステム間のリモートパスで障害が起きると、GADペア間でデータの二重化ができなくなった場合、GADペアが中断されます。通常、リモートパスの障害により中断されたGADペアは、サーバからのI/Oを受領していたストレージシステム側のボリュームがサーバからのI/Oを継続します。このとき、サーバからのI/Oを継続するボリュームをユーザ側で選択できないため、次のような構成では、リモートパス障害時に意図しない優先パス/非優先パスの切り替わりやフェイルオーバが発生することがあります。リモートパス障害時IO優先モードを設定すると、リモートパス障害時でもプライマリボリュームでサーバI/Oを継続する動作となります。そのため、プライマリボリューム側のパスを優先パスに設定する、あるいはプライマリボリュームで業務を行うことで、意図しないパスの切り替わりやフェイルオーバを回避できます。
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ALUAを使用した優先パス/非優先パスの設定をしているクロスパス構成の場合
非優先パス側に、ユーザによるI/Oとは非同期で発行されるALUAのI/Oがあるため、リモートパスの障害が発生した際に、非優先パス側のストレージシステムのボリュームがサーバからのI/Oを継続することがあります。これにより意図しない優先パス/非優先パスの切り替わりが発生することがあります。
リモートパス障害時IO優先モードを設定すると、リモートパス障害時にプライマリボリューム側を優先パスに設定できるため、プライマリボリューム側のパスを優先パスに設定することで、意図しない優先パス/非優先パスの切り替わりを回避できます。
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サーバクラスタ構成の場合
スタンバイ側のサーバから、ユーザによるI/Oとは非同期で発行されるヘルスチェックのI/Oがあるため、リモートパスの障害が発生した際に、スタンバイ側のサーバに接続されたストレージシステムのボリュームがサーバからのI/Oを継続することがあります。これにより、意図しないフェイルオーバが発生することがあります。
リモートパス障害時IO優先モードを設定すると、リモートパス障害時にプライマリボリュームでサーバI/Oが継続されるため、プライマリボリュームで業務を行うことで、意図しないフェイルオーバを防げます。
- 注意
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リモートパス障害時IO優先モードを「プライマリボリューム」に設定している場合に、プライマリボリュームにアクセスできないような障害(例:サーバからプライマリボリュームへのパス障害)が併発していると、アクセスロストとなることがあります。
- 〈この項の構成〉
(1) リモートパス障害時IO優先モードの要件と仕様
リモートパス障害時IO優先モードの要件、仕様、および注意事項を次に示します。
サポートバージョン
次に示すストレージシステム間で、作成または再同期するGADペアに対してリモートパス障害時IO優先モードを設定できます。
ストレージシステム |
マイクロコードバージョン/ファームウェアバージョン |
---|---|
VSP 5000シリーズ |
90-06-01-XX/XX以降 |
VSP G1000, G1500およびVSP F1500※ |
80-06-84-XX/XX以降 |
VSP G100, G200, G400, G600, G800およびVSP F400, F600, F800 |
83-05-40-XX/XX以降 83-06-12-XX/XX以降 |
VSP G150, G350, G370, G700, G900およびVSP F350, F370, F700, F900 |
88-08-01-XX/XX以降 |
VSP Eシリーズ |
93-04-01-XX/XX以降 |
- 注※
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VSP G150, G350, G370, G700, G900およびVSP F350, F370, F700, F900の場合のみサポートしています。VSP Eシリーズは、サポートしていません。
リモートパス障害時IO優先モードの選択
リモートパス障害時IO優先モードは、次の2つのモードがあります。指定したモードにより、リモートパスの障害によって中断されたGADペアに対するサーバからのI/O動作が規定されます。
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「無効」(デフォルト):
サーバからI/Oを受領していたストレージシステム側のボリュームが、サーバからのI/Oを継続します。正サイトと副サイトの両方のストレージシステムでサーバからのI/Oを受領していた場合は、いずれか片方のストレージシステムのボリュームがサーバからのI/Oを継続します。
リモートパス障害時IO優先モードがサポートされていないマイクロバージョンまたはファームウェアバージョンのストレージシステムの場合も、この動作となります。
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「プライマリボリューム」:
プライマリボリュームで、優先的にサーバからのI/Oを継続します。
- メモ
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Quorumディスクにボリュームを設定しない構成の場合、リモートパス障害時IO優先モードの設定に関わらず、プライマリボリュームがサーバからのI/Oを継続できます。
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同じコンシステンシーグループ内のGADペアに、異なるリモートパス障害時IO優先モードを設定できません。
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リモートパス以外にも障害部位がある場合(例:ストレージシステムの障害)、リモートパス障害時IO優先モードが「プライマリボリューム」に設定されていても、セカンダリボリュームがサーバからのI/Oを継続することがあります。
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- 注意
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リモートパス障害時IO優先モードを「プライマリボリューム」に設定している場合に、プライマリボリュームにアクセスできないような障害(例:サーバからプライマリボリュームへのパス障害)が併発していると、アクセスロストとなることがあります。
リモートパス障害時IO優先モードの設定手順については、次を参照してください。
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リモートパス障害時IO優先モードを設定して新規ペアを作成する場合
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既存ペアのリモートパス障害時IO優先モードの設定を変更する場合