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 ボリュームミラーリング クイックリファレンス 


1.1.30 GADのリモートパス障害時IO優先モード

リモートパス障害時IO優先モードを設定すると、ストレージシステム間のリモートパスで障害が発生した際に、優先的にプライマリボリュームでサーバからのI/Oを継続できるようになります。

[図データ]

正サイトと副サイトのストレージシステム間のリモートパスで障害が起きると、GADペア間でデータの二重化ができなくなった場合、GADペアが中断されます。通常、リモートパスの障害により中断されたGADペアは、サーバからのI/Oを受領していたストレージシステム側のボリュームがサーバからのI/Oを継続します。このとき、サーバからのI/Oを継続するボリュームをユーザ側で選択できないため、次のような構成では、リモートパス障害時に意図しない優先パス/非優先パスの切り替わりやフェイルオーバが発生することがあります。リモートパス障害時IO優先モードを設定すると、リモートパス障害時でもプライマリボリュームでサーバI/Oを継続する動作となります。そのため、プライマリボリューム側のパスを優先パスに設定する、あるいはプライマリボリュームで業務を行うことで、意図しないパスの切り替わりやフェイルオーバを回避できます。

注意

リモートパス障害時IO優先モードを「プライマリボリューム」に設定している場合に、プライマリボリュームにアクセスできないような障害(例:サーバからプライマリボリュームへのパス障害)が併発していると、アクセスロストとなることがあります。

〈この項の構成〉

(1) リモートパス障害時IO優先モードの要件と仕様

リモートパス障害時IO優先モードの要件、仕様、および注意事項を次に示します。

サポートバージョン

次に示すストレージシステム間で、作成または再同期するGADペアに対してリモートパス障害時IO優先モードを設定できます。

ストレージシステム

マイクロコードバージョン/ファームウェアバージョン

VSP 5000シリーズ

90-06-01-XX/XX以降

VSP G1000, G1500およびVSP F1500

80-06-84-XX/XX以降

VSP G100, G200, G400, G600, G800およびVSP F400, F600, F800

83-05-40-XX/XX以降

83-06-12-XX/XX以降

VSP G150, G350, G370, G700, G900およびVSP F350, F370, F700, F900

88-08-01-XX/XX以降

VSP Eシリーズ

93-04-01-XX/XX以降

注※

VSP G150, G350, G370, G700, G900およびVSP F350, F370, F700, F900の場合のみサポートしています。VSP Eシリーズは、サポートしていません。

リモートパス障害時IO優先モードの選択

リモートパス障害時IO優先モードは、次の2つのモードがあります。指定したモードにより、リモートパスの障害によって中断されたGADペアに対するサーバからのI/O動作が規定されます。

  • 「無効」(デフォルト):

    サーバからI/Oを受領していたストレージシステム側のボリュームが、サーバからのI/Oを継続します。正サイトと副サイトの両方のストレージシステムでサーバからのI/Oを受領していた場合は、いずれか片方のストレージシステムのボリュームがサーバからのI/Oを継続します。

    リモートパス障害時IO優先モードがサポートされていないマイクロバージョンまたはファームウェアバージョンのストレージシステムの場合も、この動作となります。

  • 「プライマリボリューム」:

    プライマリボリュームで、優先的にサーバからのI/Oを継続します。

メモ
  • Quorumディスクにボリュームを設定しない構成の場合、リモートパス障害時IO優先モードの設定に関わらず、プライマリボリュームがサーバからのI/Oを継続できます。

  • 同じコンシステンシーグループ内のGADペアに、異なるリモートパス障害時IO優先モードを設定できません。

  • リモートパス以外にも障害部位がある場合(例:ストレージシステムの障害)、リモートパス障害時IO優先モードが「プライマリボリューム」に設定されていても、セカンダリボリュームがサーバからのI/Oを継続することがあります。

注意

リモートパス障害時IO優先モードを「プライマリボリューム」に設定している場合に、プライマリボリュームにアクセスできないような障害(例:サーバからプライマリボリュームへのパス障害)が併発していると、アクセスロストとなることがあります。

リモートパス障害時IO優先モードの設定手順については、次を参照してください。