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 ボリュームミラーリング クイックリファレンス 


1.7.31 ペア状態がPAIRの場合にQuorumディスクの障害から回復する手順例

ペア状態がPAIRのときに、Quorumディスクの障害によってGADペアが中断した場合の回復手順を次に示します。Quorumディスクを誤ってフォーマットしてしまった場合も、次の手順でQuorumディスクを再作成します。

GADペアが中断状態に変わった場合は、プライマリボリュームのI/OモードがLocal、セカンダリボリュームのI/OモードがBlockに変わります。プライマリボリュームでI/Oを継続します。

GADペアがQuorumディスク閉塞状態に変わった場合は、プライマリボリュームのI/OモードはMirror(RL)のままですが、セカンダリボリュームのI/OモードがBlockに変わります。プライマリボリュームでサーバからのI/Oを継続します。

障害回復の概要

[図データ]

障害回復の流れ

注意

ここで説明するのは、外部ストレージシステムとしてVSPなどの日立製外部ストレージシステムを使用している場合の回復手順です。その他の外部ストレージシステムを使用している場合は、それぞれの外部ストレージシステムの回復手順に従って回復操作をしてください。回復操作を実施したら、手順3に進んでください。

  1. Quorumディスクを回復します。

    1. 外部ストレージシステムでQuorumディスクを閉塞させます。

    2. 外部ストレージシステムでQuorumディスクをフォーマットします。

      フォーマットによってQuorumディスクが障害から回復した場合は、手順hに進みます。障害から回復しない場合は、手順cに進みます。

      メモ

      GADペアを維持したまま、新しい外部ストレージと交換してQuorumディスクを回復することもできます。詳細は、関連概念を参照してください。

    3. 外部ストレージシステムでQuorumディスクの次に示す情報を確認します。

      - ベンダー名

      - 装置名称

      - ボリュームプロパティ

      - デバイスID(情報が有効な場合)

      - シリアル番号

      - SSID

      - プロダクトID

      - LBA容量(障害発生前のQuorumディスクの容量以上であること)

      - CVS属性

      上記の各情報の詳細と確認方法については、Universal Volume Managerユーザガイドを参照してください。CVS属性の確認方法については、「表 外部ストレージシステムからCVS属性の有無を確認する方法」を参照してください。

    4. 外部ストレージシステムでQuorumディスクへのLUパスを削除します。

    5. 外部ストレージシステムでQuorumディスクとして使用しているボリュームを削除します。

    6. 外部ストレージシステムで新しいボリュームを作成します。

      LDEV IDは障害発生前から使用していたQuorumディスクのLDEV IDと同じ値を設定します。

      同じ値を設定できない場合は、手順3に進みます。また、次に示す情報は障害発生前にQuorumディスクで使用していた情報と同じものを設定してください。同じ情報を設定できない場合は手順3に進みます。

      - ベンダー名

      - 装置名称

      - ボリュームプロパティ

      - デバイスID(情報が有効な場合)

      - シリアル番号

      - SSID

      - プロダクトID

      - LBA容量(障害発生前のQuorumディスクの容量以上であること)

      - CVS属性

      上記の各情報の詳細と確認方法については、Universal Volume Managerユーザガイドを参照してください。CVS属性の確認方法については、「表 外部ストレージシステムからCVS属性の有無を確認する方法」および「表 外部ストレージシステムでのボリューム作成時にCVS属性が付く条件」を参照してください。

    7. 外部ストレージシステムで、新しく作成したボリュームにLUパスを設定します。

      LU番号は、障害発生前から使用していたQuorumディスクのLU番号と同じ値を設定します。

      同じ値を設定できない場合は、手順3に進みます。

    8. 正サイトと副サイトのストレージシステムから、外部ストレージシステムまたはQuorumディスクを再接続します。

  2. 中断状態のGADペアを再同期します。

    メモ

    Quorumディスク閉塞状態のGADペアは、手順1が完了したあとに、自動で二重化状態に変わります。

    1. プライマリボリュームのI/OモードがLocalであることを確認します。

      コマンド例:

      pairdisplay -g oraHA -fxce -IH0
      Group   PairVol(L/R) (Port#,TID, LU),Seq#,   LDEV#.P/S,  Status,
      Fence,   %,P-LDEV# M CTG JID AP EM       E-Seq# E-LDEV# R/W
      oraHA   dev1(L)     (CL1-A-0, 0,   0)411111  2222. P-VOL PSUE 
      NEVER ,  100  4444 -   -   0  -  -            -       - L/L
      oraHA   dev1(R)     (CL1-C-0, 0,   0)422222  4444. S-VOL PSUE 
      NEVER ,  100  2222 -   -   0  -  -            -       - B/B
    2. 正サイトのストレージシステムで、ペアを再同期します。

      コマンド例:pairresync -g oraHA -IH0

    3. GADペアのプライマリボリュームとセカンダリボリュームのペア状態が、両方ともPAIR(Mirror(RL))に変わったことを確認します。

      コマンド例:

      pairdisplay -g oraHA -fxce -IH0
      Group   PairVol(L/R) (Port#,TID, LU),Seq#,   LDEV#.P/S,  Status,
      Fence,   %,P-LDEV# M CTG JID AP EM       E-Seq# E-LDEV# R/W
      oraHA   dev1(L)     (CL1-A-0, 0,   0)411111  2222. P-VOL PAIR 
      NEVER ,  100  4444 -   -   0  -  -            -       - L/M
      oraHA   dev1(R)     (CL1-C-0, 0,   0)422222  4444. S-VOL PAIR 
      NEVER ,  100  2222 -   -   0  -  -            -       - L/M
      pairdisplay -g oraHA -fxce -IH1
      Group   PairVol(L/R) (Port#,TID, LU),Seq#,   LDEV#.P/S,  Status,
      Fence,   %,P-LDEV# M CTG JID AP EM       E-Seq# E-LDEV# R/W
      oraHA   dev1(L)     (CL1-C-0, 0,   0)422222  4444. S-VOL PAIR 
      NEVER ,  100  2222 -   -   0  -  -            -       - L/M
      oraHA   dev1(R)     (CL1-A-0, 0,   0)411111  2222. P-VOL PAIR 
      NEVER ,  100  4444 -   -   0  -  -            -       - L/M

    手順4へ進みます。

  3. GADペアを再作成します。

    1. 正サイトのストレージシステムから、障害が発生しているQuorumディスクを使用しているすべてのGADペアを削除します。

      コマンド例:pairsplit -g oraHA -S -d dev1 -IH0

    2. GADペアが削除されたことを確認します。

      コマンド例:

      pairdisplay -g oraHA -fxce -IH0
      Group   PairVol(L/R) (Port#,TID, LU), Seq#,   LDEV#.P/S, Status,
      Fence,   %,    P-LDEV# M   CTG JID AP EM       E-Seq# E-LDEV# R/W
      oraHA   dev1(L)      (CL1-A-0, 0,   0)411111  2222. SMPL ---- 
      ------,  ----- -----   -   -   -   -  -        -      -       -/-
      oraHA   dev1(R)      (CL1-C-0, 0,   0)422222  4444. SMPL ---- 
      ------,  ----- -----   -   -   -   -  -        -      -       -/-
    3. 正サイトと副サイトのストレージシステムの両方から、Quorumディスクを削除します。

    4. 正サイトと副サイトのストレージシステムの両方から、Quorumディスクを追加します。

    5. 正サイトのストレージシステムから、GADペアを作成します。

      コマンド例:paircreate -g oraHA -f never -vl -jq 0 -d dev1 -IH0

    6. GADペアのプライマリボリュームとセカンダリボリュームのペア状態が、両方ともPAIR(Mirror(RL))に変わったことを確認します。

      コマンド例:

      pairdisplay -g oraHA -fxce -IH0
      Group   PairVol(L/R) (Port#,TID, LU),Seq#,   LDEV#.P/S,  Status,
      Fence,   %,P-LDEV# M CTG JID AP EM       E-Seq# E-LDEV# R/W
      oraHA   dev1(L)     (CL1-A-0, 0,   0)411111  2222. P-VOL PAIR 
      NEVER ,  100  4444 -   -   0  -  -            -       - L/M
      oraHA   dev1(R)     (CL1-C-0, 0,   0)422222  4444. S-VOL PAIR 
      NEVER ,  100  2222 -   -   0  -  -            -       - L/M
      pairdisplay -g oraHA -fxce -IH1
      Group   PairVol(L/R) (Port#,TID, LU),Seq#,   LDEV#.P/S,  Status,
      Fence,   %,P-LDEV# M CTG JID AP EM       E-Seq# E-LDEV# R/W
      oraHA   dev1(L)     (CL1-C-0, 0,   0)422222  4444. S-VOL PAIR 
      NEVER ,  100  2222 -   -   0  -  -            -       - L/M
      oraHA   dev1(R)     (CL1-A-0, 0,   0)411111  2222. P-VOL PAIR 
      NEVER ,  100  4444 -   -   0  -  -            -       - L/M
  4. 交替パスソフトウェアを使用して、セカンダリボリュームへのI/Oを再開します。

    自動でサーバからのI/Oが再開されていることもあります。

メモ

正サイトに外部ストレージシステムを設置している場合、正サイトのストレージシステムと外部ストレージシステムの両方に障害が発生したときは、副サイトのストレージシステムでGADペアを強制解除してください。そのあとで、GADペアを再作成してください。

表1‒32 外部ストレージシステムからCVS属性の有無を確認する方法

インタフェース

CVS属性の確認方法

Storage Navigator

外部ストレージシステムからStorage Navigatorで[論理デバイス]画面を開き、Quorumディスクとして使用しているLDEVの[エミュレーションタイプ]列にCVS属性が記載されているかどうか確認してください。

RAID Manager

外部ストレージシステムでQuorumディスクとして使用しているLDEVについて、RAID Managerからraidcom get ldevコマンドを実行し、VOL_TYPEにCVS属性の記載があるかどうか確認してください。raidcom get ldevコマンドの詳細については、RAID Managerコマンドリファレンスを参照してください。

Web Console

LUN Managementの画面でCVSのカラムにCVS属性が付いているかどうか確認してください。

注※

Web Consoleの操作は、保守員に依頼してください。

表1‒33 外部ストレージシステムでのボリューム作成時にCVS属性が付く条件

インタフェース

条件

CVS属性

Storage Navigator

RAID Manager

内部ボリュームまたは外部ボリューム

付く

DP-VOL

VSP G1000およびVSP F1500以降

VSP 5000シリーズVSP G100, G200, G400, G600, G800およびVSP F400, F600, F800以降

VSP G150, G350, G370, G700, G900、VSP F350, F370, F700, F900およびVSP E990以降

付く

VSP以前

HUS VM以前

最大容量でLDEVを作成した場合

付かない

上記以外の場合

付く

Web Console

Define Config & InstallまたはECC/LDEVインストールの操作で、Device Emulation Type Defineの画面のNumber of LDEVsが初期値のままの状態でLDEVを作成した場合

付かない

上記以外の場合

付く

注※

Web Consoleの操作は、保守員に依頼してください。