Hitachi

 ボリュームミラーリング クイックリファレンス 


1.7.23 正サイトのストレージシステムの障害から回復する

正サイトのストレージシステムが障害によって使用できなくなった場合の、GADペアのペア状態とI/Oモード、サーバからのアクセス可否、および最新のデータの格納先の変化を次に示します。

GADを構成する両方のサイトで、次のようにGADペアを組んでいる場合があります。

この場合は、「1.7.25 副サイトのストレージシステムの障害から回復する」を参照して、副サイトの障害も回復してください。

障害発生前

障害発生後

ペア状態(I/Oモード)

ペア状態(I/Oモード)

サーバからのアクセス可否

最新のデータの格納先

P-VOL

S-VOL

P-VOL※1

S-VOL

P-VOL

S-VOL

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Mirror(RL))

PSUE(Block)

SSWS(Local)※2

×

S-VOL

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Mirror(RL))

PSUE(Block)※3

PSUE(Block)※3

×

×

P-VOLとS-VOLの両方

PAIR(Mirror(RL))

PAIR(Block)

PSUE(Block)

PSUE(Block)

×

×

P-VOLとS-VOLの両方

COPY(Mirror(RL))

COPY(Block)

PSUE(Local)

COPY(Block)

×

×

P-VOL

PSUS/PSUE(Local)

SSUS/PSUE(Block)

PSUS/PSUE(Local)

SSUS/PSUE(Block)

×

×

P-VOL

PSUS/PSUE(Block)

SSWS(Local)

PSUS/PSUE(Block)

SSWS(Local)

×

S-VOL

(凡例)

P-VOL:プライマリボリューム

S-VOL:セカンダリボリューム

○:アクセス可

×:アクセス不可

注※1

正サイトのストレージシステムでシェアドメモリが揮発する障害が発生した場合、プライマリボリュームのペア状態はSMPLに変わり、仮想属性にGAD予約が割り当てられます。

注※2

サーバから書き込みコマンドが発行されていない場合、ペア状態はPAIR(Mirror(RL))です。

注※3

下記の場合、P-VOLがPSUE(Block)かつS-VOLがPSUE(Block)の状態になる可能性があります。

  • Quorumディスクにボリュームを設定しない構成の場合
  • Quorumディスク障害の場合

SIM

障害回復手順

  1. 正サイトのストレージシステムの電源がオフの場合は、電源をオンにする前にプライマリボリュームへの交替パス(論理パス)を削除します。

    1. 交替パスソフトウェアを使用して、サーバからアクセスできないボリュームを特定します。

    2. 交替パスソフトウェアを使用して、プライマリボリュームへの交替パスを削除します。

      交替パスを削除できない場合は、サーバに接続されている正サイトの物理パスをすべて取り外します。

  2. 正サイトのストレージシステムの電源をオンにします。

  3. 正サイトのストレージシステムを障害から回復します。

    詳細は、お問い合わせ先に連絡してください。

  4. 正サイトと副サイトのストレージシステム間の物理パスを障害から回復します。

  5. セカンダリボリュームのペア状態がPAIRの場合、セカンダリボリュームを指定してGADペアを中断します。

  6. Quorumディスクの状態を確認し、閉塞している場合は回復します。Quorumディスクにボリュームを設定しない場合、Quorumディスクの回復手順は不要です。

  7. GADペアを再同期または再作成します。障害が発生している正サイトにプライマリボリュームがある場合は、下記の手順を参照して、障害を回復してください。なお、ペア状態とI/Oモードによって、次のとおり手順が異なります。

    障害が発生している正サイトにセカンダリボリュームもある場合は、「1.7.25 副サイトのストレージシステムの障害から回復する」を参照して、副サイトの障害も回復してください。

    ペア状態

    I/Oモード

    手順

    P-VOL

    S-VOL

    P-VOL

    S-VOL

    PSUE

    COPY

    Local

    Block

    1. セカンダリボリュームからGADペアを強制削除する。

      セカンダリボリュームからGADペアを強制削除するときは、仮想LDEV IDを削除して、サーバからアクセスできないようにしてください。

      コマンド例:

      pairsplit -g oraHA -d dev1 -RF -IH2
    2. プライマリボリュームの仮想LDEV IDが残っていることを確認する。

      コマンド例:

      raidcom get ldev -ldev_id 0x1111 -fx -IH1
      (略)
      LDEV : 1111
      (略)
      

      VIR_LDEVの情報は、LDEVの情報と同じ場合表示されません。仮想LDEV IDが残っていない場合は、正しい仮想LDEV IDを設定してください。

    3. プライマリボリュームからGADペアを強制削除する。

      プライマリボリュームからGADペアを強制削除するときは、仮想LDEV IDを残して、サーバからアクセスできるようにしてください。

      コマンド例:

      pairsplit -g oraHA -d dev1 -SFV -IH1
    4. セカンダリボリュームの仮想LDEV IDが、GAD予約になっていることを確認する。

      コマンド例:

      raidcom get ldev -ldev_id 0x2222 -fx -IH2
      (略)
      LDEV : 2222
      VIR_LDEV : ffff
      (略)
      

      VIR_LDEV : ffffは、GAD予約を示しています。GAD予約になっていない場合は、正しい仮想LDEV IDを設定してください。

    5. プライマリボリュームを指定してGADペアを再作成する。

      コマンド例

      paircreate -g oraHA -d dev1 -f never -vl -jq 1 -IH1

    誤ってプライマリボリュームの仮想LDEV IDを削除すると、再度GADペアを作成できません。raidcom map resource コマンドを使用して、仮想LDEV IDをプライマリボリュームに再設定してください。

    コマンド例:

    raidcom map resource -ldev_id 0x1111 -virtual_ldev_id 0x1111 -IH1

    デフォルトの仮想LDEV IDは、実LDEV IDと同じです。

    仮想LDEV IDの再設定後に、確認コマンドを使用して、仮想LDEV IDが実LDEV IDと一致していることを確認してください。

    SMPL

    COPY

    Block

    1. セカンダリボリュームからGADペアを強制削除する。

      セカンダリボリュームからGADペアを強制削除するときは、仮想LDEV IDを削除して、サーバからアクセスできないようにしてください。

      コマンド例:

      pairsplit -g oraHA -d dev1 -RF -IH2
    2. セカンダリボリュームの仮想LDEV IDが、GAD予約になっていることを確認する。

      コマンド例:

      raidcom get ldev -ldev_id 0x2222 -fx -IH2
      (略)
      LDEV : 2222
      VIR_LDEV : ffff
      (略)
      

      VIR_LDEV : ffffは、GAD予約を示しています。GAD予約になっていない場合は、正しい仮想LDEV IDを設定してください。

    3. プライマリボリュームの仮想LDEV IDが残っていることを確認する。

      コマンド例:

      raidcom get ldev -ldev_id 0x1111 -fx -IH1
      (略)
      LDEV : 1111
      (略)
      

      VIR_LDEVの情報は、LDEVの情報と同じ場合表示されません。仮想LDEV IDが残っていない場合は、正しい仮想LDEV IDを設定してください。

    4. プライマリボリュームを指定してGADペアを再作成する。

      コマンド例:

      paircreate -g oraHA -d dev1 -f never -vl -jq 1 -IH1

    誤ってプライマリボリュームの仮想LDEV IDを削除すると、再度GADペアを作成できません。raidcom map resource コマンドを使用して、仮想LDEV IDをプライマリボリュームに再設定してください。

    コマンド例:

    raidcom map resource -ldev_id 0x1111 -virtual_ldev_id 0x1111 -IH1

    デフォルトの仮想LDEV IDは、実LDEV IDと同じです。

    仮想LDEV IDの再設定後に、確認コマンドを使用して、仮想LDEV IDが実LDEV IDと一致していることを確認してください。

    PSUS/PSUE

    SSWS

    Block

    Local

    セカンダリボリュームを指定してGADペアを再同期する。

    コマンド例:

    pairresync -g oraHA -d dev1 -swaps -IH2

    SMPL

    SSWS

    Local

    1. プライマリボリュームの仮想LDEV IDが、GAD予約になっていることを確認します。

      コマンド例:

      raidcom get ldev -ldev_id 0x1111 -fx -IH1
      (略)
      LDEV : 1111
      VIR_LDEV : ffff
      (略)
      

      VIR_LDEV : ffffは、GAD予約を示しています。GAD予約になっていない場合は、正しい仮想LDEV IDを設定してください。

    2. セカンダリボリュームからGADペアを強制削除する。

      セカンダリボリュームからGADペアを強制削除するときは、仮想LDEV IDを残して、サーバからアクセスできるようにしてください。

      コマンド例:

      pairsplit -g oraHA -d dev1 -RFV -IH2
    3. セカンダリボリュームの仮想LDEV IDが残っていることを確認する。

      コマンド例:

      raidcom get ldev -ldev_id 0x2222 -fx -IH2
      (略)
      LDEV : 2222
      VIR_LDEV : 1111
      (略)
      
    4. セカンダリボリュームを指定してGADペアを再作成する。

      コマンド例:

      paircreate -g oraHA -d dev1 -f never -vl -jq 1 -IH2

    誤ってセカンダリボリュームの仮想LDEV IDを削除すると、再度GADペアを作成できません。raidcom map resource コマンドを使用して、仮想LDEV IDをセカンダリボリュームに再設定してください。

    コマンド例:

    raidcom map resource -ldev_id 0x2222 -virtual_ldev_id 0x1111 -IH1

    仮想LDEV IDの再設定後に、確認コマンドを使用して、仮想LDEV IDがプライマリボリュームの実LDEV IDと一致していることを確認してください。

    PSUS/PSUE

    SSUS/PSUE

    Local

    Block

    プライマリボリュームを指定してGADペアを再同期する。

    コマンド例:

    pairresync -g oraHA -d dev1 -IH1

    SMPL

    SSUS/PSUE

    Block

    1. セカンダリボリュームからGADペアを強制削除する。

      セカンダリボリュームからGADペアを強制削除するときは、仮想LDEV IDを残して、サーバからアクセスできるようにしてください。

      コマンド例:

      pairsplit -g oraHA -d dev1 -RF -IH2
    2. セカンダリボリュームの仮想LDEV IDが、GAD予約になっていることを確認する。

      コマンド例:

      raidcom get ldev -ldev_id 0x2222 -fx -IH2
      (略)
      LDEV : 2222
      VIR_LDEV : ffff
      (略)
      

      VIR_LDEV : ffffは、GAD予約を示しています。GAD予約になっていない場合は、正しい仮想LDEV IDを設定してください。

    3. プライマリボリュームの仮想LDEV IDが残っていることを確認します。

      コマンド例:

      raidcom get ldev -ldev_id 0x1111 -fx -IH1
      (略)
      LDEV : 1111
      (略)
      

      VIR_LDEVの情報は、LDEVの情報と同じ場合表示されません。仮想LDEV IDが残っていない場合は、正しい仮想LDEV IDを設定してください。

    4. プライマリボリュームを指定してGADペアを再作成する。

      コマンド例:

      paircreate -g oraHA -d dev1 -f never -vl -jq 1 -IH1

    誤ってプライマリボリュームの仮想LDEV IDを削除すると、再度GADペアを作成できません。raidcom map resource コマンドを使用して、仮想LDEV IDをプライマリボリュームに再設定してください。

    コマンド例:

    raidcom map resource -ldev_id 0x1111 -virtual_ldev_id 0x1111 -IH1

    デフォルトの仮想LDEV IDは、実LDEV IDと同じです。

    仮想LDEV IDの再設定後に、確認コマンドを使用して、仮想LDEV IDが実LDEV IDと一致していることを確認してください。

    PSUE

    PSUE

    Block

    Block

    1. セカンダリボリュームからGADペアを強制削除する。

      セカンダリボリュームからGADペアを強制削除するときは、仮想LDEV IDを削除して、サーバからアクセスできないようにしてください。

      コマンド例:

      pairsplit -g oraHA -d dev1 -RF -IH2
    2. セカンダリボリュームの仮想LDEV IDが、GAD予約になっていることを確認する。

      コマンド例:

      raidcom get ldev -ldev_id 0x2222 -fx -IH2
      (略)
      LDEV : 2222
      VIR_LDEV : ffff
      (略)
      

      VIR_LDEV : ffffは、GAD予約を示しています。GAD予約になっていない場合は、正しい仮想LDEV IDを設定してください。

    3. プライマリボリュームからGADペアを強制削除する。

      プライマリボリュームからGADペアを強制削除するときは、仮想LDEV IDを残して、サーバからアクセスできるようにしてください。

      コマンド例:

      pairsplit -g oraHA -d dev1 -SFV -IH1
    4. プライマリボリュームの仮想LDEV IDが残っていることを確認します。

      コマンド例:

      raidcom get ldev -ldev_id 0x1111 -fx -IH1
      (略)
      LDEV : 1111
      (略)
      

      VIR_LDEVの情報は、LDEVの情報と同じ場合表示されません。仮想LDEV IDが残っていない場合は、正しい仮想LDEV IDを設定してください。

    5. プライマリボリュームを指定してGADペアを再作成する。

      コマンド例:

      paircreate -g oraHA -d dev1 -f never -vl -jq 1 -IH1

    誤ってプライマリボリュームの仮想LDEV IDを削除すると、再度GADペアを作成できません。raidcom map resource コマンドを使用して、仮想LDEV IDをプライマリボリュームに再設定してください。

    コマンド例:

    raidcom map resource -ldev_id 0x1111 -virtual_ldev_id 0x1111 -IH1

    デフォルトの仮想LDEV IDは、実LDEV IDと同じです。

    仮想LDEV IDの再設定後に、確認コマンドを使用して、仮想LDEV IDが実LDEV IDと一致していることを確認してください。

    (凡例)

    P-VOL:プライマリボリューム

    S-VOL:セカンダリボリューム

    -:非該当

    注※

    副サイトのストレージシステムでシェアドメモリが揮発する障害が発生した場合、セカンダリボリュームのペア状態はSMPLに変わり、仮想属性にGAD予約が割り当てられます。

  8. プライマリボリュームへの交替パスを削除している場合は、交替パスを追加します。

    1. 正サイトの物理パスを取り外している場合は、取り外す前の状態にしてから交替パスを追加します。

    2. 交替パスソフトウェアを使用して、手順1で削除したプライマリボリュームへの交替パスを追加します。