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 リモートレプリケーション クイックリファレンス 


2.13.18 デルタリシンクの実行条件

デルタリシンクを実行する場合、各サイトへのリモートコマンドデバイスのマッピングとリモートコマンドデバイスへのミラーIDの割り当てが完了した、デルタリシンクを用いる3DCマルチターゲット構成であることが前提となります。このほか、デルタリシンクが正常に終了するには、関連項目に示す条件を満たす必要があります。また、デルタリシンクに必要なジャーナルデータがない場合、デルタリシンクは実行されません。

注意
  • TrueCopyと併用したデルタリシンク構成で、コンシステンシーグループ内の一部のUniversal Replicatorペアを削除する場合、事前にコンシステンシーグループ単位でペアを分割してから一部のUniversal Replicatorペアを削除してください。その後、コンシステンシーグループ単位で再同期してください。TrueCopyと併用したデルタリシンク構成で、コンシステンシーグループ単位でペアを分割せずに一部のUniversal Replicatorペアを削除した場合、ペア削除後にコンシステンシーグループ単位でペアを分割および再同期してください。

  • Universal ReplicatorペアとTrueCopyペアが両方サスペンドした場合は、先にUniversal Replicatorペアの再同期を実行してください。

〈この項の構成〉

(1) デルタリシンクが正常に終了するための条件

デルタリシンクが正常に終了するための条件を次に示します。条件が1つでも満たされていない場合はエラーが発生し、デルタリシンクは失敗します。

  • デルタリシンク用のUniversal Replicatorペアのプライマリボリュームの状態がHOLDであること。

  • TrueCopyペアのボリュームをUniversal Replicatorペアのプライマリボリュームとして使用すること。

    • TrueCopyペアのプライマリボリュームを共有している場合、そのプライマリボリュームの状態がPAIRであること。

    • TrueCopyペアのセカンダリボリュームを共有している場合、そのセカンダリボリュームの状態がSSWSであること。

    ペア状態は、RAID Managerのhorctakeoverコマンドの実行後に確認してください。

  • Universal Replicatorペアのセカンダリボリュームで2つのミラーIDを使用し、一方のミラーIDのセカンダリボリュームのペア状態がHOLD、もう一方のミラーIDのセカンダリボリュームのペア状態がPAIR、PSUS、またはPSUEであること。

  • 3DCマルチターゲット構成の通常のUniversal Replicatorペアとデルタリシンク用のUniversal Replicatorペアのセカンダリボリュームの数が同じであること。

  • デルタリシンク用のUniversal Replicatorペアのサイト間のパスが有効であること。

(2) デルタリシンクが正常に実行されない理由

次の場合はデルタリシンクに必要なジャーナルデータがないため、デルタリシンクは実行されません。

  • デルタリシンク用のUniversal Replicatorペアを作成したあと、正サイトの業務ボリュームを更新しないで、デルタリシンク用のUniversal Replicatorペアのプライマリボリュームを更新した場合

  • Universal Replicatorペアの分割後、セカンダリボリュームを更新した場合

  • Universal Replicatorペアの分割後、プライマリボリュームを更新した結果、TrueCopyの副サイトにあるジャーナルボリュームの容量が70%を超えた場合

  • デルタリシンク用のUniversal Replicatorペアのプライマリボリュームを更新した結果、デルタリシンク用のUniversal Replicatorペアの正サイトにあるジャーナルボリュームの容量が70%を超えた場合

  • Universal Replicatorペアがサスペンドされ長期にわたって再同期されないときなどに、ジャーナルデータがリストアジャーナルボリュームの容量の70%を超えることがあります。ジャーナルデータが容量の70%を超えると、古いジャーナルデータは自動的に削除されます。古いジャーナルデータが削除されると、リストアジャーナルボリュームにジャーナルデータをコピーするだけでは、正副のデータを完全に同一にすることができなくなり、デルタリシンクは失敗します。デルタリシンクが失敗した場合、「デルタリシンク失敗」オプションの設定に従って、プライマリボリューム全体のデータがセカンダリボリュームにコピーされるか、または何も処理されないでペアの状態がHLDEとなり、デルタリシンクが異常終了します。

ヒント

デルタリシンク用のUniversal Replicatorペアを作成したあと、正サイトの業務ボリュームを更新していない場合や、フェイルオーバーしたあと、またはフェイルバックしたあとに正サイトの業務ボリュームを更新していない場合、TrueCopyの副サイトにジャーナルデータはありません。

ヒント

TrueCopyの副サイトにデルタリシンク用のジャーナルデータがなくても、次の2つの条件がどちらも満たされている場合には、ユーザーの判断でデルタリシンクを実行できます。

  • ホストから正サイトへのデータ更新がまったくないか、データ更新が停止されていること。

  • TrueCopyの副サイトにあるデータとUniversal Replicatorの副サイトにあるデータが一致していること。

正サイト内の対象のジャーナルに属するすべてのTrueCopyペアおよびUniversal Replicatorペアを再同期して、PAIR状態にしておく必要があります。

また、次の場合はデルタリシンクに必要なジャーナルデータがなくなることがあるため、デルタリシンクは実行されないおそれがあります。

  • 保守作業でキャッシュメモリまたはシェアドメモリを増設または減設した。

  • 保守作業でストレージシステムの電源をOFFにした。

  • TrueCopyペアまたはUniversal Replicatorペアを分割して、そのペアを再同期した。

  • TrueCopyペアを再同期してから、プライマリボリュームを更新した。

  • 正サイトにあるストレージシステムとUniversal Replicatorの副サイトにあるストレージシステムのUniversal Replicatorペアを再同期してから、プライマリボリュームを更新した。

  • TrueCopyの副サイトで災害または障害が発生し、ジャーナルボリュームにアクセスできなくなった。

  • プライマリボリュームの更新が遅延して、リトライ処理が発生した。

  • TrueCopyペアのセカンダリボリュームの更新が遅延した。

  • デルタリシンク用のUniversal ReplicatorペアがHLDE状態になった

    注※ この場合、HLDE状態からHOLD状態に変化しても、その後のデルタリシンク操作で差分データだけをコピーすることはできません。ただし、プライマリボリュームのすべてのデータをセカンダリボリュームへコピーすることはできます。

ジャーナルデータを蓄積するには、上記の状態から復旧したあと、ホストから正サイトのデータを更新してください。また、上記のヒントに記載されているようなジャーナルデータなしでデルタリシンクを実行できる状態であっても、いったんジャーナルデータがなくなるおそれのある状態になったら、ジャーナルデータの有無に関わらずペアの状態はHOLDINGになります。なお、障害や災害などによってTrueCopyの副サイトにあるリモートコマンドデバイスと通信できなくなった場合、状態はHOLDINGからHOLDへ遷移しません。