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 パフォーマンス最適化 クイックリファレンス 


1.9.3 上限値制御の自動解除

上限値を制御して開発用サーバの処理能力を制限した場合、プロダクションサーバの処理能力が安定するというメリットがありますが、一方でデメリットもあります。

例えば、プロダクションサーバからストレージシステムへのアクセスが午前9時から午後3時までの時間帯に集中しており、午後3時を過ぎるとプロダクションサーバからのアクセスが激減するとします。上限値を制御している場合、午後3時を過ぎても開発用サーバの処理能力は抑制されたままです。プロダクションサーバからのアクセスや転送データ量が大幅に減少しているときには、開発用サーバの処理能力を抑制するのを止めて、開発用サーバが十分な処理能力を発揮できるようにするべきです。

Server Priority Managerでは、プロダクションサーバとストレージシステム間のトラフィックが一定レベルにまで下がったときに、上限値制御を自動的に無効にできます。このように上限値制御を自動的に無効にするには、しきい値を利用します。しきい値しきい値とは、上限値を無効にするかどうかのタイミングを表す指標です。例えば、1台のストレージシステムに対して、500IO/s(1秒間に500回の入出力アクセス)というしきい値を適用したとします。この場合、すべてのプロダクションサーバからのアクセス回数の合計が500IO/sを下回ると、開発用サーバではアクセス回数の上限値が無効になり、上限値以上のパフォーマンスを発揮できます。その後、プロダクションサーバからのアクセス回数が再び増加して合計で500IO/sに達すると、開発用サーバではアクセス回数の上限値が再び有効になり、開発用サーバのパフォーマンスは再び制限を受けます。このように、しきい値を利用して上限値を自動的に無効にしたり、有効にしたりすることをしきい値制御といいます。しきい値制御

しきい値として利用できる数値は、1秒当たりの入出力アクセス回数(I/Oレート)、または1秒当たりの転送データ量(転送レート)のどちらかです。例えば、1台のストレージシステムに対して、20MB/s(1秒間につき20メガバイト)というしきい値を設定したとします。この場合、ストレージシステムとすべてのプロダクションサーバの間で転送されたデータの量が20MB/s(1秒間につき20メガバイト)を下回ったときに、開発用サーバでは転送データ量の上限値が無効になります。