1.7.36 正サイトに発生した障害から回復する(外部ストレージシステムを正サイトに設置した場合)
Qurumディスク用外部ストレージシステムを正サイトに設置した場合、正サイトに障害が発生したときは、正サイトのストレージシステムとQuorumディスク用外部ストレージシステムに、同時に障害が発生するおそれがあります。正サイトのストレージシステムとQuorumディスク用外部ストレージシステムに同時に障害が発生すると、GADペアが中断し、GADボリュームへのアクセスが停止します。この場合の回復手順の例を次に示します。
障害回復の概要
![]() |
障害の部位 |
発生することのあるSIMのリファレンスコード |
GADボリュームへのアクセス可否※1 |
||
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正サイトのストレージシステム |
副サイトのストレージシステム |
P-VOL |
S-VOL |
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正サイトのストレージシステムとQuorumディスク用外部ストレージシステムの両方 |
障害の種類による※2 |
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× |
×※3 |
- (凡例)
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×:アクセスできない
P-VOL:プライマリボリューム
S-VOL:セカンダリボリューム
- 注※1
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VSP G150, G350, G370, G700, G900またはVSP F350, F370, F700, F900を構成するハードウェア(ドライブ、キャッシュ、CHB、DKB、MPBなど)は冗長化されています。冗長化されているハードウェアの一部で障害が発生しても、GADペアが障害によって中断したり、GADボリュームへアクセスできなくなったりすることはありません。また、次のパスを冗長化すると、ハードウェアの一部で障害が発生してもGADペアが障害によって中断したり、GADボリュームへアクセスできなくなったりすることはありません。
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サーバと正サイトおよび副サイトのストレージシステム間の物理パス
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正サイトおよび副サイトのストレージシステムと外部ストレージシステム間の物理パス
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正サイトと副サイトのストレージシステム間の物理パス
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- 注※2
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障害の種類に応じたSIMが発生します。障害によってSIMを参照できないこともあります。
- 注※3
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セカンダリボリュームのペア状態がSSWSのときに障害が発生した場合は、セカンダリボリュームにアクセスできます。
障害回復の流れ
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交替パスソフトウェアを使用して、GADペアのプライマリボリュームへのパスを削除します。
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副サイトのストレージシステムで、GADペアを強制削除します。
GADペアを強制削除するときは、仮想LDEV IDを残して、サーバからアクセスできるようにしてください。
コマンド例:pairsplit -g oraHA -d dev1 -RFV -IH2
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仮想LDEV IDが残っていることを確認します。
コマンド例:
raidcom get ldev -ldev_id 0x2222 -fx -IH2 (略) LDEV : 2222 VIR_LDEV : 1111 (略)
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GADペアが削除されたことを確認します。
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交替パスソフトウェアを使用して、GADペアのセカンダリボリュームへのI/Oを再開します。
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障害が発生している正サイトのストレージシステムを回復します。
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正サイトのストレージシステムで、GADペアを強制削除します。
GADペアを強制削除するときは、仮想LDEV IDを削除して、サーバからアクセスできないようにしてください。
正サイトのストレージシステムで発生した障害の種別によっては、正サイトのストレージシステムを回復すると、プライマリボリュームのペア状態がSMPLに変わり、仮想属性にGAD予約が割り当てられていることがあります。この場合、GADペアの強制削除は不要です。
コマンド例:pairsplit -g oraHA -d dev1 -SF -IH1
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仮想LDEV IDが、GAD予約になっていることを確認します。
コマンド例:
raidcom get ldev -ldev_id 0x1111 -fx -IH1 (略) LDEV : 1111 VIR_LDEV : ffff (略)
VIR_LDEV : ffffは、GAD予約を示しています。
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GADペアが削除されたことを確認します。
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障害が発生している外部ストレージシステムを回復します。
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正サイトと副サイトのストレージシステムの両方から、Quorumディスクを削除します。
外部ストレージシステムで発生した障害の種別によっては、外部ストレージシステムを回復すると、Quorumディスクが削除されていることがあります。この場合、Quorumディスクの削除は不要です。
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正サイトと副サイトのストレージシステムの両方から、Quorumディスクを追加します。
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副サイトのストレージシステムで、GADペアを再作成します。
誤ってセカンダリボリュームの仮想LDEV IDを削除すると、再度GADペアを作成できません。raidcom map resource コマンドを使用して、仮想LDEV IDをセカンダリボリュームに再設定してください。
コマンド例:raidcom map resource -ldev_id 0x2222 -virtual_ldev_id 0x1111 -IH1
仮想LDEV IDの再設定後に、確認コマンドを使用して、仮想LDEV IDがプライマリボリュームの実LDEV IDと一致していることを確認してください。
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交替パスソフトウェアを使用して、GADペアのプライマリボリュームへのパスを追加し、I/Oを再開します。
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必要に応じて、プライマリボリュームとセカンダリボリュームを入れ替えます。