1.10.26 TrueCopyペアで使用しているDP-VOLの容量を拡張する
TrueCopyペアのボリュームとして使用しているDP-VOLの容量拡張手順を次に示します。
ここでは、TrueCopyペア単体を容量拡張する場合の手順を説明しています。他のプログラムプロダクトと連携した構成で容量拡張をする場合は、「1.10.27 プログラムプロダクトを連携した状態でのDP-VOLの容量拡張」を参照してください。
前提条件
-
拡張する仮想ボリュームが外部ボリュームではないこと
-
拡張する仮想ボリュームがLDEVフォーマット中ではないこと
-
拡張する仮想ボリュームに関連づけているプールが、次の状態のどれかであること
-
正常
-
しきい値超え
-
プールの縮小を実行中
-
-
「1.10.25 ペアを維持したDP-VOLの容量拡張」に記載されているストレージシステム上に作成されたボリュームであること
-
容量拡張する分のページ割り当て容量に対して、十分なTrueCopyのライセンス容量をあらかじめ用意しておくこと
- メモ
-
DP-VOLは、ボリューム容量のうち、割り当てられているページ容量だけがTrueCopyのライセンス容量としてカウントされます。
操作手順
-
TrueCopyペアのプライマリボリュームとセカンダリボリュームの両方について、前提条件を満たしているか確認します。
- メモ
-
TrueCopyペアの片方のボリュームだけが容量拡張に成功し、もう片方のボリュームで容量拡張に失敗した場合、容量拡張後に実施するTrueCopyペアの再同期操作が、容量不一致により失敗します。TrueCopyペアの再同期に失敗した場合、「(1) TrueCopyペアの片方のボリュームが容量拡張に失敗した場合の回復手順」の実施が必要となります。
-
RAID ManagerまたはStorage Navigatorで、現在の差分データの管理方式の設定を確認します。
-
RAID Managerの場合
pairdisplayコマンドを使用して、TrueCopyペアの詳細情報を表示します。
現在の差分データの管理方式がシェアドメモリ差分か、階層差分(ドライブによる差分)か確認します。
-
シェアドメモリ差分の場合、一時的に階層差分にする必要があります。手順3に進んでください。
-
階層差分の場合、手順4に進んでください。
コマンド例:
pairdisplayのDM列が差分データの管理方式を示します。
# pairdisplay -g oradb -fe -fcx Group PairVol L/R Port# TID LU Seq# LDEV# P/S Status Fence % P-LDEV# M CTG JID AP EM E-Seq# E-LDEV# R/W QM DM P oradb dev1 L CL5-A-0 30 0 64568 301 P-VOL PAIR NEVER 100 303 - - - 1 - - - -/- - S N oradb dev1 R CL5-A-0 30 2 64568 303 S-VOL PAIR NEVER 100 301 - - - - - - - -/- - S N oradb dev2 L CL5-A-0 30 1 64568 302 P-VOL PAIR NEVER 100 304 - - - 1 - - - -/- - D N oradb dev2 R CL1-A-0 30 3 64568 304 S-VOL PAIR NEVER 100 302 - - - - - - - -/- - D N
- DM列
- S:シェアドメモリ差分
- D:階層差分
-
-
Storage Navigatorの場合
[システム詳細設定編集]画面で、システム詳細設定のNo.5およびNo.6の設定を確認します。
-
システム詳細設定のNo.5およびNo.6の両方がOFFの場合
シェアドメモリ差分へ切り替える設定となっているため、一時的に階層差分へ切り替える設定にする必要があります。手順3に進んでください。
-
システム詳細設定のNo.5またはNo.6のどちらか片方がON、または両方がONの場合
階層差分へ切り替える設定となっているため、手順4に進んでください。
-
-
-
次の手順で、データの差分管理方式を階層差分に変更します。
-
RAID Managerの場合は、システムオプションモードを、Storage Navigatorの場合は、システム詳細設定を次の手順で切り替えます。
-
RAID Managerの場合
raidcom modify system_optコマンドを使用して、システムオプションモード1198をON、1199をOFFに設定します。
コマンド例:
raidcom modify system_opt -system_option_mode system -mode_id 1198 -mode enable raidcom modify system_opt -system_option_mode system -mode_id 1199 -mode disable
-
Storage Navigatorの場合
[システム詳細設定編集]画面で、システム詳細設定のNo.5をON、No.6をOFFに設定します。設定方法については、『Hitachi Device Manager - Storage Navigatorユーザガイド』を参照してください。
-
-
TrueCopyペアを中断します。
-
TrueCopyペアを再同期します。
-
RAID ManagerでTrueCopyペア詳細情報を表示し、現在の差分データの管理方式が、階層差分であることを確認します。
-
-
TrueCopyペアを中断します。
-
TrueCopyペアのセカンダリボリュームを容量拡張します。
-
RAID Managerの場合
raidcom extend ldevコマンドに-request_id autoオプションを付けて非同期処理を指定します。
コマンド例:
LDEV#44:44に対し10GB分容量拡張します。
raidcom extend ldev -ldev_id 0x4444 -capacity 10G –request_id auto -IH1
-
Storage Navigatorの場合
[V-VOL 容量拡張]画面で、容量拡張します。
-
-
TrueCopyペアのセカンダリボリュームの容量拡張が完了したことを確認します。
-
RAID Managerの場合
raidcom get command_statusコマンドで、raidcom extend ldevコマンドの処理の完了を確認します。その後、raidcom get ldevコマンドで、LDEV容量が正しい値になっているか確認します。
コマンド例:
raidcom get command_status -IH1 raidcom get ldev -ldev_id 0x4444 -fx -IH1
-
Storage Navigatorの場合
[ストレージシステム]ツリーから[論理デバイス]を選択して、[LDEV]タブを表示しします。対象のLDEV番号の容量が正しい値になっているか確認します。
-
-
セカンダリボリュームと同様の手順で、TrueCopyペアのプライマリボリュームを容量拡張します。
- メモ
-
TrueCopyペアのプライマリボリュームの容量拡張に失敗した場合は、「(1) TrueCopyペアの片方のボリュームが容量拡張に失敗した場合の回復手順」を実施してください。
-
セカンダリボリュームと同様の手順で、TrueCopyペアのプライマリボリュームの容量拡張が完了したことを確認します。
-
TrueCopyペアを再同期します。
- メモ
-
TrueCopyペアの再同期に失敗した場合は、「(1) TrueCopyペアの片方のボリュームが容量拡張に失敗した場合の回復手順」を実施してください。
-
TrueCopyペアのプライマリボリュームとセカンダリボリュームのペア状態が、両方ともPAIRに変わったことを確認します。
また、容量拡張中状態ではないことを確認します。
-
RAID Managerの場合
pairdisplayのP列が「N」となっていることを確認します。
コマンド例:
# pairdisplay -g oradb -fe -fcx Group PairVol L/R Port# TID LU Seq# LDEV# P/S Status Fence % P-LDEV# M CTG JID AP EM E-Seq# E-LDEV# R/W QM DM P oradb dev1 L CL5-A-0 30 0 64568 301 P-VOL PAIR NEVER 100 303 - - - 1 - - - -/- - S N oradb dev1 R CL5-A-0 30 2 64568 303 S-VOL PAIR NEVER 100 301 - - - - - - - -/- - S N oradb dev2 L CL5-A-0 30 1 64568 302 P-VOL PAIR NEVER 100 304 - - - 1 - - - -/- - D N oradb dev2 R CL1-A-0 30 3 64568 304 S-VOL PAIR NEVER 100 302 - - - - - - - -/- - D N
- P列
- 容量拡張中の状態を表します。
- N:容量拡張状態ではありません。
- E:容量拡張中です。TrueCopyペアのプライマリボリュームまたはセカンダリボリュームの容量拡張操作を実施してからペアを再同期するまでの間この状態となります。再同期完了後、「N」に遷移します。
-
Storage Navigatorの場合
[リモートレプリケーション]画面で、[処理状態]を参照し、空白表示となっていることを確認します(容量拡張中は、[Expanding]が表示されます)。
-
-
手順2で、データの差分管理方式がシェアドメモリ差分だった場合、次の手順でシェアドメモリ差分に戻します。
-
RAID Managerの場合は、システムオプションモードを、Storage Navigatorの場合は、システム詳細設定を次の手順で切り替えます。
-
RAID Managerの場合
raidcom modify system_optコマンドを使用して、システムオプションモード1198をOFF、1199をONに設定します。
コマンド例:
raidcom modify system_opt -system_option_mode system -mode_id 1198 -mode disable raidcom modify system_opt -system_option_mode system -mode_id 1199 -mode enable
-
Storage Navigatorの場合
[システム詳細設定編集]画面で、システム詳細設定のNo.5をOFF、No.6をOFFに設定します。設定方法については、『Hitachi Device Manager - Storage Navigatorユーザガイド』を参照してください。
-
-
TrueCopyペアを中断します。
-
TrueCopyペアを再同期します。
-
RAID ManagerでTrueCopyペア詳細情報を表示し、現在の差分データの管理方式が、シェアドメモリ差分であることを確認します。
-
システムオプションモード1198と1199の設定を変更している場合は、RAID Managerで、元の設定に戻します。raidcom modify system_optコマンドを使用して、システムオプションモード1198をOFF、1199をOFFに設定します。
コマンド例:
raidcom modify system_opt -system_option_mode system -mode_id 1198 -mode disable raidcom modify system_opt -system_option_mode system -mode_id 1199 -mode disable
-