3.3.4 購入するドライブの容量を見積もる
容量拡張設定が有効なパリティグループに属するLDEVを使用したプールを作成するために、必要な容量を見積もります。圧縮機能をサポートしているドライブを新規購入する場合、またはすでに容量拡張設定が有効なパリティグループを使用していて容量を追加購入する場合について、それぞれの容量の見積もり方法を解説します。
- 〈この項の構成〉
(1) ドライブの容量を見積もる(新規購入の場合)
背景
圧縮機能をサポートしているドライブを新規購入してプールの作成またはプール容量を拡張する場合、次のワークフローに従って、購入する容量を見積もります。
なお、圧縮機能をサポートしているドライブに移行するデータがすでにある場合、Hitachiデータ削減見積ツール(hidr_estimator)で容量の削減率(%)や圧縮比などが確認できます。以降、このツールをhidr_estimatorツールと呼びます。hidr_estimatorツールは、実際のデータ削減アルゴリズムを使用して、指定されたドライブやファイルのデータをサンプリングして削減率(%)や圧縮比などを計算します。ストレージシステムおよび圧縮機能をサポートしているドライブを導入する前に、実際にお客様の環境にあるデータを読み込んで削減率(%)や圧縮比などを計算すれば、容量拡張設定による効果の有無を高い精度で確認できます。
hidr_estimatorツールは、サーバホストにインストールして使用します。hidr_estimatorツールについては、日立サポートサービスにお問い合わせください。
図中の番号の手順について、次に説明します。
- メモ
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容量拡張設定が有効なパリティグループに使用するドライブの容量を見積もる場合、データを格納する容量の見積もり以外にマージン容量を見積もります。マージン容量として、必要なドライブ容量の20%程度を追加してください。なお、マージン容量とは、次に示す要因によるドライブ使用量の増加見込み容量の合計です。
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ストレージシステムの管理情報の増加見込み容量
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見積もり値からの削減率(%)の悪化を吸収するための増加見込み容量
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操作手順
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仮想ボリュームに書き込みたいデータ量を見積もります。
仮想ボリュームに書き込みたいデータ量は、従来と同様に見積もってください。
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データの削減率(%)を見積もります。次に示す2通りの方法があります。
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圧縮機能をサポートしているドライブに移行するデータがすでにある場合、hidr_estimatorツールによって削減率(%)を見積もります。hidr_estimatorツールの実行結果を参照して、プール使用量の削減効果を確認します。ただし、削減率(%)が20%未満の場合、後述する手順3の見積もりで「購入する必要があるドライブの容量」にマージンを含んだ容量を確保する必要があるため、マージン容量と削減効果が相殺されてしまいます。したがって、削減率(%)が20%未満の場合はパリティグループの容量拡張設定を無効にして、仮想ボリュームに書き込みたいデータ量と同じ容量のドライブを見積もることを推奨します。
hidr_estimatorツールを使用する場合、サーバホストにこのツールをインストールする必要があります。
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圧縮機能をサポートしているドライブに移行するデータがない場合、またはhidr_estimatorツールが実行できない環境の場合、データの削減率(%)は0%と見なします。
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購入する必要があるドライブの容量を見積もります。
圧縮機能をサポートしているドライブに移行するデータがすでにある場合、次の式で算出します。算出した容量のドライブを購入してください。そして、容量拡張設定が有効なパリティグループ、LDEV、およびプールを作成してください。
購入する必要があるドライブの容量 = 仮想ボリュームに書き込みたいデータ量 × ( 100 [%] - (削減率 [%] - 10 [%])) × 110 [%]
上記の式に含まれるマージンの値を次に示します。
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-10[%]:削減率(%)の悪化による増加見込み容量のマージンです。
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×110[%]:ストレージシステムの管理情報による増加見込み容量のマージンです。
- メモ
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Dynamic Tieringまたはactive flashにて、圧縮機能をサポートしているドライブで階層1を構成する場合、上記の式の「仮想ボリュームに書き込みたいデータ量」には、見積もり値を1.2倍した値を設定してください。この値は、次の式で算出します。
仮想ボリュームに書き込みたいデータ量 = 手順1で見積もった仮想ボリュームに書き込みたいデータ量 × 120%
仮想ボリュームに書き込みたいデータ量を1.2倍にして見積もる理由を次に示します。
Dynamic Tieringまたはactive flashは、階層再配置による圧縮機能をサポートしているドライブ(階層1)の容量の枯渇を防ぐため、20%のバッファ領域を確保するようにページを割り当てます。一方、容量拡張設定を無効にした場合、Dynamic Tieringまたはactive flashは、20%のバッファ領域を確保せずにページを割り当てます。
このため、圧縮機能をサポートしているドライブ(階層1)の容量が同じ場合、容量拡張設定が有効の場合に格納されるデータ量は、容量拡張設定が無効の場合に格納されるデータ量よりも少なくなります。
これを防ぐため、手順1で見積もった仮想ボリュームに書き込みたいデータ量を1.2倍した容量を使用することで、容量拡張設定が無効の場合と同程度のデータ量が圧縮機能をサポートしているドライブ(階層1)に配置されます。詳細については、関連項目を参照してください。
- メモ
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14TBの圧縮機能をサポートしているドライブを使用し、かつ手順2で見積もったデータの削減率(%)が75%を超えている場合、上記の式の「削減率 [%] 」には75%を設定してください。
圧縮機能をサポートしているドライブに移行するデータがない場合、またはhidr_estimatorツールが実行できない環境の場合、仮想ボリュームに書き込みたいデータ量と同じ容量のドライブが必要です。仮想ボリュームに書き込みたいデータ量と同じ容量のドライブを購入してください。そして、容量拡張設定が無効なパリティグループ、LDEV、およびプールを作成してください。
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(2) Hitachiデータ削減見積ツール(hidr_estimator)を使用してデータの削減率(%)を見積もる
圧縮機能をサポートしているドライブに移行するデータがすでにある場合、hidr_estimatorツールに見積もり対象のドライブを指定して実行するとデータの削減率(%)が出力されます。hidr_estimatorツールの実行例を次に示します。
圧縮機能をサポートしているドライブの容量の見積もり式で削減率(%)に使用する値は、[HAFDC2 Compression]のSaving % (Except Zero data)を推奨します。実行例に表示されている項目について、説明します。
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Origin Bytes;圧縮前のデータサイズです。実行例では23.4MiBです。
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Compressed Bytes:圧縮後のデータサイズです。実行例では12.3MiBです。
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Saving %:圧縮後のデータの削減率(%)です。実行例では47.20%です。
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Saving % (Except Zero data):圧縮前のデータからゼロデータページを省いた場合のデータの削減率(%)です。実行例では47.20%です。
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Compression Ratio:データサイズの圧縮比率です。実行例では、圧縮後のデータサイズを1とする場合、圧縮前のデータサイズの比率は1.9です。
(3) ドライブの容量を見積もる(追加購入の場合)
背景
圧縮機能をサポートしているドライブを追加購入してプール容量を拡張する場合、次のワークフローに従って、購入する容量を見積もります。
図中の番号の手順について、次に説明します。
操作手順
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仮想ボリュームに追加で書き込みたいデータ量を見積もります。
仮想ボリュームに追加で書き込みたいデータ量は、従来と同様に見積もってください。
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データの削減率(%)を確認します。
[プール]画面に、データの削減率が表示されます。[プール]画面の[プール]タブに表示されている[削減効果]の[削減率]を参照してください。
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必要なドライブの容量を見積もります。
次の式で容量を算出します。
必要なドライブの容量 = 仮想ボリュームに追加で書き込みたいデータ量 × ( 100 [%] - (削減率 [%] - 10 [%]) )
上記の式に含まれるマージンの値を次に示します。
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-10[%]:削減率(%)の悪化による増加見込み容量のマージンです。
上記の式で算出した必要なドライブの容量、およびプールの空き容量から、追加購入するドライブの容量を見積もります。
- メモ
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14TBの圧縮機能をサポートしているドライブを使用し、かつ手順2で確認したデータの削減率(%)が75%を超えている場合、上記の式の「削減率 [%] 」には75%を設定してください。
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プールの空き容量を確認します。
[プール]画面の[プール]タブに表示されている、[FMD容量]を参照してください。プールの空き容量は、[合計]から[使用量]を差し引いた値です。
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追加購入するドライブの容量を見積もります。
手順4で、必要なドライブの容量が確保できた場合、この手順は実行不要です。容量が確保できなかった場合、次の式で必要なドライブの容量を算出します。
購入する必要があるドライブの容量 = (必要なドライブの容量 - 手順4で確認したプールの空き容量) × 110[%]