3.5.1 HDLMの新規インストール
HDLMを新規にインストールする手順を,次に説明します。インストールは,リモート管理クライアントと,ホストの両方に対して実施してください。
ここで説明するインストール手順は,すでにVMware vSphereがホストにインストールされ,ホストとストレージシステムがマルチパス構成で接続されていることを前提としています。
リモート管理クライアントを新規にインストールする場合,HDLMインストールユーティリティー(installhdlm)でサイレントインストールできます。サイレントインストールとは,処理中の応答処理を省略できるインストール方法です。installhdlmユーティリティーについては,「7.5 installhdlm HDLMインストールユーティリティー」を参照してください。
リモート管理クライアントのインストールを手動で実行する場合は,「(1) リモート管理クライアントの新規インストール」の手順に従ってください。サイレントインストールする場合は,「(2) リモート管理クライアントのサイレントインストール」の手順に従ってください。
(1) リモート管理クライアントの新規インストール
リモート管理クライアント上のWindowsに,Administratorsグループのユーザーでログオンします。
Windowsがインストールされたドライブの直下に,ライセンスキーファイルを格納します。
インストール先ドライブ:\hdlm_license
HDLMのインストールDVD-ROMをセットします。
インストールDVD-ROMが入ったドライブ:\HDLM_VMware下のインストーラー(setup.exe)を直接実行してください。
Windowsでは,ユーザーアカウント制御(UAC)がサポートされています。このため,Administrator以外のユーザーでインストーラーを実行すると,管理者権限を要求されることがあります。管理者権限を要求された場合,ダイアログボックスが表示されますので,これに応答してください。
Microsoft Visual C++再頒布可能パッケージのインストールが必要な場合,Microsoft Visual C++再頒布可能パッケージをインストールします。画面に表示されるダイアログに従ってインストールを実行してください。
Microsoft Visual C++再頒布可能パッケージのインストールに失敗する場合は,エラーメッセージを確認し,エラーに対処したあと,再度HDLMをインストールしてください。
なお,システムドライブの直下に次のインストールログが出力されますので確認してください。
vcredist_x86_log
vcredist_x86_000_vcRuntimeMinimum_x86.log
vcredist_x86_001_vcRuntimeAdditional_x86.log
vcredist_x64_log
vcredist_x64_000_vcRuntimeMinimum_x64.log
vcredist_x64_001_vcRuntimeAdditional_x64.log
画面に表示されるメッセージに従って,ライセンスキーファイルを指定,またはライセンスキーを入力します。
手順2でライセンスキーファイルを格納した場合,手順2で格納したライセンスキーファイルを指定してください。
ライセンスキーファイルを使用しない場合は,ライセンスキーを直接入力してください。
画面に表示されるメッセージに従って操作を進めます。
インストール中はコマンドプロンプトウィンドウが表示され,インストールが完了すると自動的に閉じます。
- 注意事項
コマンドプロンプトウィンドウを手動で閉じないでください。
Windowsセキュリティーの重要な警告ダイアログが表示される場合があります。
キャンセルを選択してください。
インストール処理の結果を確認します。
インストールが正常に終了すると,ダイアログにKAPL09181-Iメッセージが出力されます。出力されていない場合は,Windowsのインストール先ドライブ:\hdlmvminst.logのメッセージを確認し,エラーに対処したあと,再度HDLMをインストールしてください。hdlmvminst.logに警告またはエラーメッセージが出力されていない場合は,インストールがキャンセルされたおそれがあるため,再度HDLMをインストールしてください。
リモート管理クライアントを再起動します。
リモート管理クライアント上のWindowsに,Administratorsグループのユーザーでログオンします。
Windows PowerShellのコマンドプロンプトを管理者として起動します。
dlmrmcenvユーティリティーを使用してCLIにPowerCLIが表示されるのを確認します。vCLIが表示される場合はPowerCLIを設定してください。
HDLMコマンドのviewオペレーションを実行して,HDLMがインストールされたことを確認します。
コマンドの実行例を次に示します。
PROMPT>dlnkmgr -l view -sys HDLM Version : x.x.x-xx Service Pack Version : HDLM Manager Ver WakeupTime Alive x.x.x-xx yyyy/mm/dd hh:mm:ss License Type Expiration Permanent - KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view, 終了時刻 = yyyy/mm/dd hh:mm:ss PROMPT>
「HDLM Version」に「x.x.x-xx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。
リモート管理クライアントのインストールが完了したら,「(3) ホストの新規インストール」に進んでください。
(2) リモート管理クライアントのサイレントインストール
- サイレントインストール時の注意事項
サイレントインストールを実行中は,installhdlmユーティリティーを強制終了しないでください。[Ctrl]+[C]などによって,installhdlmユーティリティーを強制終了しても,HDLMのインストールは中止されません。installhdlmユーティリティーを強制終了した場合は,必ずinstallhdlm.logで,インストール結果を確認してください。
installhdlmユーティリティーの実行に必要なディスク容量を次に示します。
workdirキーに指定したフォルダー(workdirキーを指定しなかった場合は,環境変数TMPまたはTEMPで指定したフォルダー)に,20KBの空き容量が必要です。
リモート管理クライアント上のWindowsに,Administratorsグループのユーザーでログオンします。
HDLMのインストールDVD-ROMをセットします。
インストール情報設定ファイルを作成します。
インストール情報設定ファイルには,インストール時に必要なライセンスキーファイル,インストール先フォルダー,およびそのほかの情報をあらかじめ定義しておきます。
HDLMでは,インストール情報設定ファイルの編集を容易にするため,サンプルファイルを提供しています。サンプルファイルの格納場所を次に示します。
インストールDVD-ROMが入ったドライブ:\HDLM_VMware\DLMTools\sample_installhdlm.ini
サンプルファイルを使用する場合は,インストールDVD-ROMから任意のフォルダーにコピーして,テキストエディターで編集してください。
インストール情報設定ファイルに定義する内容は,「7.5.3 インストール情報設定ファイルの定義内容」を参照してください。
「管理者:コマンドプロンプト」を起動します。
次に示すコマンドを実行して,サイレントインストールを実行します。
インストールDVD-ROMが入ったドライブ:\HDLM_VMware\DLMTools\installhdlm -f インストール情報設定ファイル
- 注意事項
Windowsセキュリティーの重要な警告ダイアログが表示される場合があります。
キャンセルを選択してください。
Microsoft Visual C++再頒布可能パッケージのインストールに失敗する場合は,エラーメッセージを確認し,エラーに対処したあと,再度HDLMをインストールしてください。
なお,システムドライブの直下に次のインストールログが出力されますので確認してください。
vcredist_x86_log
vcredist_x86_000_vcRuntimeMinimum_x86.log
vcredist_x86_001_vcRuntimeAdditional_x86.log
インストール処理の結果を確認します。
installhdlmユーティリティーが表示するサイレントインストールの結果を,コマンドプロンプトで確認してください。
インストールが正常に終了すると,コマンドプロンプトにKAPL09181-Iメッセージが出力されます。出力されていない場合は,installhdlm.logのメッセージを確認し,エラーに対処したあと,再度HDLMをインストールしてください。installhdlm.logに警告またはエラーメッセージが出力されていない場合は,インストールがキャンセルされたおそれがあるため,再度HDLMをインストールしてください。
リモート管理クライアントを再起動します。
リモート管理クライアント上のWindowsに,Administratorsグループのユーザーでログオンします。
Windows PowerShellのコマンドプロンプトを管理者として起動します。
dlmrmcenvユーティリティーを使用してCLIにPowerCLIが表示されるのを確認します。vCLIが表示される場合はPowerCLIを設定してください。
HDLMコマンドのviewオペレーションを実行して,HDLMがインストールされたことを確認します。
コマンドの実行例を次に示します。
PROMPT>dlnkmgr -l view -sys HDLM Version : x.x.x-xx Service Pack Version : HDLM Manager Ver WakeupTime Alive x.x.x-xx yyyy/mm/dd hh:mm:ss License Type Expiration Permanent - KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view, 終了時刻 = yyyy/mm/dd hh:mm:ss PROMPT>
「HDLM Version」に「x.x.x-xx」が表示されていれば,正しいバージョンがインストールされています。
リモート管理クライアントのサイレントインストールが完了したら,「(3) ホストの新規インストール」に進んでください。
(3) ホストの新規インストール
ホストがESXi 8.x以降の場合(vSphere Lifecycle Managerを使用する場合)
vSphere Lifecycle Managerを使用したインストールの操作は,以下のようにデポへのインポート,ベースラインの作成,ステージングといった流れになります。
詳細については,VMwareのドキュメント「ホストとクラスタのライフサイクルの管理」の以下の項目を参照してください。
- vSphere Lifecycle Manager デポの操作
- vSphere Lifecycle Manager ベースラインおよびベースライン グループの作成,編集,または削除
- ESXi ホストへのパッチおよび拡張機能のステージング
HDLMは独立型コンポーネントのカテゴリ(機能拡張)との位置づけです。
vSphere Lifecycle Managerへのインポートは以下の手順となります。
-
リモート管理クライアントに格納されているDepotファイルを,vSphere Lifecycle Managerを操作する端末の任意のディレクトリーにコピーします。
Depot ファイルは,リモート管理クライアントの次の場所に格納されています。
HDLMのインストール先フォルダー\plugin
-
HDLMをインストールする前にホストの許容レベルをPartnerSupportedに変更するため,以下の操作を実施します。
リモート管理クライアントで,Windows PowerShellのプロンプトを起動し,次に示すコマンドを実行してESXiホストに接続します。
Connect-VIServer -Server "ホスト名またはIPアドレス" -User "ユーザー名" - Password "パスワード" $vmHost = Get-VMHost "ホスト名またはIPアドレス" $esxcli = Get-EsxCli -VMHost $vmHost -V2
次に示すコマンドを実行して,現在のホストの許容レベルを確認します。
$esxcli.software.acceptance.get.Invoke()
実行結果はHDLMをアンインストールしたあとに必要となるため,保存してください。
実行結果を保存したら,次に示すコマンドを実行して,ホストの許容レベルを変更します。
$esxcli.software.acceptance.set.Invoke(@{level="PartnerSupported"}) -
vSphere Clientで,[メニュー]-[Lifecycle Manager]の順に選択します。
-
vSphere Lifecycle Managerのホームビューの上部で,[アクション]-[更新のインポート]を選択します。
[更新のインポート]ダイアログが表示されます。
-
[参照]ボタンをクリックして,手順1でコピーしたHDLMのDepotファイルを選択します。
-
[インポート]をクリックします。
[最近のタスク]ペインに,アップデートのインポートのタスクが表示されます。
-
vSphere Lifecycle Managerを使用して,インポートしたHDLMのDepotファイルをイメージに追加してホストを修正します。
-
HDLMインストール後にホストを再起動します。
ホストがESXi 8.x以降の場合(VMware PowerCLIを使用する場合)
ホストへのインストールは,リモート管理クライアントのVMware PowerCLIで操作します。リモート管理クライアントにVMware PowerCLIがインストールされていない場合は,はじめにVMware PowerCLIをインストールし,ホストに接続できることを確認してください。
また,事前にソフトウェア添付資料でDepotファイル名,およびプラグイン名を確認してください。
リモート管理クライアントに格納されているDepotファイルを,ホスト上の任意のディレクトリーにコピーします。
Depotファイルは,リモート管理クライアントの次の場所に格納されています。
HDLMのインストール先フォルダー\plugin
リモート管理クライアントで,Windows PowerShellのプロンプトを起動し,次に示すコマンドを実行してESXiホストに接続します。
Connect-VIServer -Server "ホスト名またはIPアドレス" -User "ユーザー名" -Password "パスワード" $vmHost = Get-VMHost "ホスト名またはIPアドレス" $esxcli = Get-EsxCli -VMHost $vmHost -V2
ホストの許容レベルを変更します。
次に示すコマンドを実行して,現在のホストの許容レベルを確認してください。
$esxcli.software.acceptance.get.Invoke()
実行結果はHDLMをアンインストールしたあとに必要となるため,保存してください。
実行結果を保存したら,次に示すコマンドを実行して,ホストの許容レベルを変更してください。
$esxcli.software.acceptance.set.Invoke(@{level="PartnerSupported"})ホストにHDLMをインストールします。
次に示すコマンドを実行してください。depotパラメーターには,手順1でコピーしたDepotファイル名を指定します。
$esxcli.software.component.apply.Invoke(@{depot="/ホスト上の任意のフォルダー/Depotファイル名"})インストールが完了したら,次に示すコマンドを実行して,HDLMのソフトウェア添付資料に記載されているプラグインのバージョン番号と一致していることを確認してください。
$esxcli.software.vib.list.Invoke() | findstr hdlm
ホストを再起動します。
HDLMのSATPの要求ルールが適用されているか確認します。
次に示すコマンドを実行してください。
Connect-VIServer -Server "ホスト名またはIPアドレス" -User "ユーザー名" -Password "パスワード" $vmHost = Get-VMHost "ホスト名またはIPアドレス" $esxcli = Get-EsxCli -VMHost $vmHost -V2 $esxcli.storage.nmp.satp.rule.list.Invoke()
以下の要求ルールが表示されることを確認してください。
ClaimOptions : … Model : ^DF600F* Name : HTI_SATP_HDLM Options : PSPOptions : RuleGroup : user Transport : Vendor : HITACHI ClaimOptions : … Model : ^OPEN-* Name : HTI_SATP_HDLM Options : PSPOptions : RuleGroup : user Transport : Vendor : HITACHI ClaimOptions : … Model : ^OPEN-* Name : HTI_SATP_HDLM Options : PSPOptions : RuleGroup : user Transport : Vendor : HP ClaimOptions : … Model : ^OPEN-* Name : HTI_SATP_HDLM Options : PSPOptions : RuleGroup : user Transport : Vendor : HPE
上記の要求ルールが表示されない場合は,次に示すコマンドを実行して要求ルールを登録してください。登録後,再度手順5 に戻り操作を実施してください。
$esxcli.storage.nmp.satp.rule.add.Invoke(@{vendor="HITACHI";model="^DF600F*"; satp="HTI_SATP_HDLM"}) $esxcli.storage.nmp.satp.rule.add.Invoke(@{vendor="HITACHI";model="^OPEN-*"; satp="HTI_SATP_HDLM"}) $esxcli.storage.nmp.satp.rule.add.Invoke(@{vendor="HP";model="^OPEN-*"; satp="HTI_SATP_HDLM"}) $esxcli.storage.nmp.satp.rule.add.Invoke(@{vendor="HPE";model="^OPEN-*"; satp="HTI_SATP_HDLM"})
「3.6 パス構成の確認」に記述されている手順に従ってパス情報を確認します。