Hitachi

Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Windows®用)


3.7.2 機能の設定

HDLMで設定できる各機能について次の表にまとめています。各機能の詳細は「(1) ロードバランスの設定」以降を参照してください。

各機能の設定値には,デフォルト値と推奨値があります。HDLM GUIのオプションウィンドウ,またはHDLMコマンドのsetオペレーションで機能を設定しない場合,機能の設定値にはデフォルト値が適用されます。推奨値は,機能を設定する場合の目安となる値です。

表3‒12 各機能のデフォルト値と推奨値

機能

デフォルト

推奨値

ロードバランス

on

アルゴリズムは拡張最少I/O数

on

アルゴリズムの推奨値は運用環境によって異なります。

パスヘルスチェック

on

チェック間隔30(分)

on

チェック間隔の推奨値は運用環境によって異なります。

自動フェールバック

off

off

間欠障害監視

off

off

LUの動的削除

off

off

障害ログ採取レベル

3:Informationレベル以上の障害情報を採取

3:Informationレベル以上の障害情報を採取

トレースレベル

0:トレースを出力しない

0:トレースを出力しない

障害ログファイルサイズ

9900(KB)

9900(KB)

障害ログファイル数

2

2

トレースファイルサイズ

1000(KB)

1000(KB)

トレースファイル数

4

4

監査ログ採取

off

推奨値は運用環境によって異なります。

監査ログを採取したい場合「on」を設定してください。

〈この項の構成〉

(1) ロードバランスの設定

ロードバランス機能を使用するかどうかを設定します。

  • setオペレーションでの設定方法

    ロードバランスを設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -lb on -lbtype exlio

    ロードバランスを使用する場合は,「on」を,使用しない場合は「off」を指定します。「on」を指定した場合,-lbtypeオプションのあとに,次に示すアルゴリズムを指定します。

    • ラウンドロビンの場合は「rr」

    • 拡張ラウンドロビンの場合は「exrr」

    • 最少I/O数の場合は「lio」

    • 拡張最少I/O数の場合は「exlio」

    • 最少ブロック数の場合は「lbk」

    • 拡張最少ブロック数の場合は「exlbk」

    -lbtypeで設定したアルゴリズムは,-lb offを指定してロードバランス機能を無効にしても,記憶されています。そのため,再度ロードバランス機能を有効にし,アルゴリズムを指定しなかった場合,記憶されているアルゴリズムでロードバランスが実行されます。

(2) パスヘルスチェックの設定

パスヘルスチェック機能を使用するかどうかを設定します。

  • setオペレーションでの設定方法

    パスヘルスチェックを設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -pchk on -intvl 10

    パスヘルスチェックを使用する場合は,「on」を,使用しない場合は「off」を指定します。「on」を指定した場合,-intvlパラメーターでチェック間隔を指定できます。チェック間隔を指定しない場合は,前回指定した設定値になります。例えば,チェック間隔を15分に設定して実行したあと,パスヘルスチェックに「off」を設定して実行します。このあと,再度チェック間隔を指定しないでパスヘルスチェックに「on」を設定して実行した場合,前回指定した設定値の15分を再び使用します。

(3) 自動フェールバックの設定

自動フェールバック機能を使用するかどうかを設定します。

間欠障害監視を使用して「障害発生回数」が「2」以上の場合,次の条件が満たされている必要があります。

間欠障害の障害監視時間 >=
自動フェールバックのチェック間隔×間欠障害監視で指定する障害発生回数

この条件が満たされない場合はエラーとなり,KAPL01080-Wのメッセージが表示されます。

エラーになった場合は,自動フェールバックのチェック間隔,間欠障害の監視時間,または間欠障害監視で指定する障害発生回数のどれかを変更してください。障害発生回数に「1」を指定した場合,上記の条件を満たす必要はありません。

  • setオペレーションでの設定方法

    自動フェールバックを設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -afb on -intvl 10

    自動フェールバックを使用する場合は「on」を,使用しない場合は「off」を指定します。「on」を指定した場合,-intvlパラメーターでパスの状態をチェックする間隔を指定できます。チェック間隔を指定しない場合は,前回指定した設定値になります。例えば,チェック間隔を5分に設定して実行したあと,自動フェールバックに「off」を設定して実行します。このあと,再度チェック間隔を指定しないで自動フェールバックに「on」を設定して実行した場合,前回指定した設定値の5分を再び使用します。

(4) 間欠障害監視の設定

間欠障害監視は,自動フェールバック機能を使用しているときだけ設定できます。間欠障害が発生したときのI/O性能の低下を防ぐため,自動フェールバックを使用する場合は,間欠障害を監視することをお勧めします。

間欠障害監視を使用した場合,「障害監視時間」および「障害発生回数」で,間欠障害と見なす条件を指定できます。障害監視時間のデフォルト値は「30」,障害発生回数のデフォルト値は「3」です。

間欠障害の監視が開始されてから指定した時間(分)が経過するまでの間に,指定した回数の障害が発生した場合に,該当するパスに間欠障害が発生していると見なします。間欠障害が発生していると見なされたパスは,自動フェールバックの対象外になります。なお,間欠障害の監視は,自動フェールバックによってパスが障害から回復した時点で開始されます。監視は,パスごとに実施されます。

「障害発生回数」に「2」以上の値を指定した場合,「(3) 自動フェールバックの設定」に示す条件が満たされている必要があるので,参照してください。

パスが間欠障害と見なされているかどうかは,HDLMコマンドのviewオペレーションの実行結果で確認できます。

  • setオペレーションでの設定方法

    間欠障害監視を設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -iem on -intvl 20 -iemnum 2

    間欠障害を監視する場合は「on」を,監視しない場合は「off」を指定します。「on」を指定した場合,-intvlパラメーターおよび-iemnumパラメーターで,間欠障害と見なす条件を指定できます。-intvlパラメーターでは障害監視時間を,-iemnumパラメーターでは障害発生回数を指定します。条件の指定を省略すると,30分以内に3回以上障害が発生した場合に間欠障害と見なします。

(5) LUの動的削除の設定

LUの動的削除機能を使用するかどうかを設定します。

LUの動的削除の詳細については,「4.6.2 LUを動的に削除する」を参照してください。

LUの動的削除の設定値とその説明を次の表に示します。

表3‒13 LUの動的削除の設定値

setオペレーションでの設定値

説明

off

LUに対するすべてのパスで障害が発生した場合,すべてのパスが切断された場合,およびLUが削除された場合にも,HDLMの管理対象からLUは削除されません。パスはOffline(E)およびOnline(E)の状態となります。

on

LUに対するすべてのパスが切断された場合,HDLMの管理対象からLUを削除します。ただし,切断されているパスの中にOffline(C)を含むパスがある場合は,HDLMの管理対象からLUは削除しません。

削除されたLUは,物理的な障害を修復して,ディスクの再スキャンをすることで復旧します。

on -force

LUに対するすべてのパスが切断された場合,Offline(C)を含むパスがあるときも,HDLMの管理対象からLUを削除します。

削除されたLUは,物理的な障害を修復して,ディスクの再スキャンをすることで復旧します。

  • setオペレーションでの設定方法

    LUの動的削除を設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -rmlu on -force

    LUの動的削除を使用する場合は,「on」を指定します。LUの動的削除を使用しない場合は,「off」を指定します。「on」を指定した場合,-forceパラメーターで動的削除の条件を指定できます。

(6) 障害ログ採取レベルの設定

障害ログ(HDLMマネージャーのログ(dlmmgr[1-16].log))を採取するレベルを設定します。

障害ログには,HDLMマネージャーのログ(dlmmgr[1-16].log),HDLM GUIのログ(dlmgui[1-2].log)があります。障害ログ採取レベルの設定値とその説明を次の表に示します。

表3‒14 障害ログ採取レベルの設定値

設定値

説明

0

障害ログを採取しません。

1

Errorレベル以上の障害情報を採取します。

2

Warningレベル以上の障害情報を採取します。

3

Informationレベル以上の障害情報を採取します。

4

Informationレベル(保守情報も含む)以上の障害情報を採取します。

障害が発生したときは,障害ログ採取レベルに「1」以上を設定してログを採取します。設定値が大きいほど出力される情報量が多くなります。ログの出力量が多いと,古い障害ログファイルが新しい情報で上書きされるまでの時間が短くなります。

  • setオペレーションでの設定方法

    障害ログ採取レベルを設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -ellv 2

    障害ログを採取するレベルを数字で指定します。

(7) トレースレベルの設定

トレースを出力するレベルを設定します。

トレースレベルを設定できるトレースファイルは,hdlmtr[1-64].logです。

トレースレベルの設定値とその説明を次の表に示します。

表3‒15 トレースレベルの設定値

設定値

説明

0

トレースを出力しません。

1

エラー情報だけ出力します。

2

プログラムの動作概略を出力します。

3

プログラムの動作詳細を出力します。

4

すべての情報を出力します。

障害が発生したときは,トレースレベルに「1」以上を設定してトレース情報を採取します。設定値が大きいほど出力される情報量が多くなります。トレース情報の出力量が多いと,古いトレースファイルが新しい情報で上書きされるまでの時間が短くなります。

通常の運用では,トレースレベルに「0」を設定することを推奨します。必要以上にトレースレベルの設定値を大きくすると,HDLMの処理性能が低下したり,障害の要因分析に必要なトレース情報が上書きされたりするおそれがあります。

  • setオペレーションでの設定方法

    トレースレベルを設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -systflv 1

    トレースの出力レベルを数字で指定します。

(8) 障害ログファイルサイズの設定

障害ログファイルのサイズを設定します。

ログファイルには,HDLMマネージャーのログ(dlmmgr[1-16].log),HDLM GUI(dlmgui[1-2].log)のログがあります。

障害ログファイルサイズには,キロバイト単位で100~2000000の値を指定します。ただし,HDLM GUIのログの場合,ファイルサイズの有効範囲は100~9900です。9901以上を指定した場合は9900KBになります。HDLMマネージャーのログには指定値が反映されます。

各障害ログファイルが設定サイズに達すると,最も古い障害ログファイルから順に新しいログ情報が上書きされます。障害ログファイル数の指定と合わせて,採取できる障害ログの合計サイズの最大値は32000000KB(約30GB)です。

  • setオペレーションでの設定方法

    障害ログファイルサイズを設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -elfs 1000

    障害ログファイルのサイズを,キロバイト単位で指定します。

(9) 障害ログファイル数の設定

障害ログのファイル数を設定します。

障害ログファイルには,HDLMマネージャーのログ(dlmmgr[1-16].log),HDLM GUIのログ(dlmgui[1-2].log)があります。このうち,オプションウィンドウ,setオペレーションでファイル数を設定できるのは,HDLMマネージャーのログ(dlmmgr[1-16].log)だけです。HDLM GUIのログ(dlmgui[1-2].log)のログファイル数は,固定で「2」です。障害ログファイル数(HDLMマネージャーのログファイル数)には,2~16の値を指定します。障害ログファイルサイズの指定と合わせて,採取できる障害ログの合計サイズの最大値は32000000KB(約30GB)です。

  • setオペレーションでの設定方法

    障害ログファイル数を設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -elfn 5

    障害ログファイルの数を数字で指定します。

(10) トレースファイルサイズの設定

トレースファイルのサイズを設定します。

ファイルサイズを設定できるトレースファイルは,hdlmtr[1-64].logです。トレースファイルは固定長です。したがって,書き込まれるトレース情報が設定したファイルサイズに満たない場合でも,出力されるトレースファイル1つ当たりのファイルサイズは常に固定です。

トレースファイルサイズには,キロバイト単位で100~16000の値を指定します。設定されている値よりも小さい値を指定した場合,実行を確認するKAPL01097-Wのメッセージが表示されてトレースファイルはいったん削除されます。すべてのトレースファイルにトレースが書き込まれると,最も古いトレースファイルに新しいトレースが上書きされます。

トレースファイル数の指定と合わせて,採取できるトレースの合計サイズの最大値は1024000KBです。

  • setオペレーションでの設定方法

    トレースファイルサイズを設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -systfs 2000

    トレースファイルのサイズをキロバイト単位で指定します。

(11) トレースファイル数の設定

トレースファイルの数を設定します。

ファイル数を設定できるトレースファイルは,hdlmtr[1-64].logです。

トレースファイル数には,2~64の値を指定します。設定されている値よりも小さい値を指定した場合,実行を確認するKAPL01097-Wのメッセージが表示されてトレースファイルはいったん削除されます。

トレースファイルサイズの指定と合わせて,採取できるトレースの合計サイズの最大値は1024000KBです。

  • setオペレーションでの設定方法

    トレースファイル数を設定する例を,次に示します。

    dlnkmgr set -systfn 10

    トレースファイルの数を数字で指定します。

(12) 監査ログ採取の設定

監査ログを採取するかどうか設定します。

監査ログを採取する場合には,監査ログ採取レベルおよび監査ログ種別を設定します。

監査ログの採取レベルの設定値とその説明を次の表に示します。監査ログ採取レベルは重要度(Severity)で設定します。デフォルトの設定値は「6」です。

表3‒16 監査ログ採取レベルの設定値

設定値(重要度)

説明

0

Errorレベルの監査ログを採取します。

1

2

3

4

Error,およびWarningレベルの監査ログを採取します。

5

6

Error,Warning ,およびInformationレベルの監査ログを採取します。

7

監査ログ種別の設定値とその説明を次の表に示します。デフォルトの設定値は「all」です。

表3‒17 監査ログ種別の設定値

設定値

説明

ss

StartStopの監査ログ事象を採取します。

a

Authenticationの監査ログ事象を採取します。

ca

ConfigurationAccessの監査ログ事象を採取します。

all

StartStop,Authentication,およびConfigurationAccessの監査ログ事象を採取します。

監査ログ採取を設定する例を,次に示します。

dlnkmgr set -audlog on -audlv 6 -category all

監査ログを採取する場合は「on」を,採取しない場合は「off」を指定します。「on」を指定した場合,-audlvパラメーターで監査ログ採取レベルを,-categoryパラメーターで監査ログ種別を指定できます。