7.8.2 パラメーター
- -r
フィルタードライバー内部でメモリーを確保するときのリトライ回数を指定します。メモリー確保に失敗した場合には0.05秒間隔でリトライをします。リトライが長時間続くことによってI/Oが実行されない場合は,適切なリトライ回数を設定してください。リトライ回数を超えて,メモリー確保に失敗した場合はsyslogおよびHDLMマネージャーのログにKAPL05708-Eのメッセージを出力します。
- retrycount
-1~2147483646の数値を指定します。
-1:メモリーが確保できるまでリトライします。システムの初期値です。
0:リトライを行いません。
1~2147483646:指定した回数だけリトライします。
-1より小さい数値,2147483646より大きい数値,または数値以外を指定したときはKAPL12559-Eのメッセージを表示して終了します。
- -inqt
SCSI INQUIRYコマンドのタイムアウト値を秒単位で指定します。HDLMはタイムアウト値の初期値を30秒としています。なお,-inqtパラメーターで指定するタイムアウト値は,HDLMから実行するSCSI INQUIRYコマンドにだけ適用されます。ほかのアプリケーションから実行しているSCSI INQUIRYコマンドには影響しません。
- InquiryTimeout
-1,または1~3600の数値を指定します。
-1:タイムアウトをHDLMの初期値である30秒に設定します。
1~3600:タイムアウト値(秒単位)
0,-1より小さい数値,3600より大きい数値,または数値以外を指定したときはKAPL12559-Eのメッセージを表示して終了します。
- -inqr
SCSI INQUIRYコマンドのリトライ回数を指定します。HDLMはリトライ回数の初期値を1回としています。なお,-inqrパラメーターで指定するリトライ回数は,HDLMから実行するSCSI INQUIRYコマンドにだけ適用されます。ほかのアプリケーションから実行しているSCSI INQUIRYコマンドには影響しません。
- InquiryRetry
-1~2147483646の数値を指定します。
-1:リトライをHDLMの初期値である1回に設定します。
0:リトライを行いません。
1~2147483646:指定した回数だけリトライします。
-1より小さい数値,2147483646より大きい数値,または数値以外を指定したときはKAPL12559-Eのメッセージを表示して終了します。
- -prsup
パーシステントリザーブをサポートするクラスター(HAモニタおよびRHCM)と連携する場合に指定します。
- ReserveStatus
onまたはoffを指定します。デフォルト値は「off」です。
on:パーシステントリザーブをサポートするクラスターと連携します。
off:パーシステントリザーブをサポートするクラスターと連携しません。
このパラメーターを指定できるOSは次のとおりです。
・Red Hat Enterprise Linux 6
・Red Hat Enterprise Linux 7
・Red Hat Enterprise Linux 8
・Red Hat Enterprise Linux 9
- -epr
-
全てのパスで障害が発生した場合に,障害パスでI/Oを試行する回数を指定します。
このパラメーターはチャネルボード(iSCSI 25Gbps Optic)を使用する場合にだけ指定します。
- ErrorPathRetry
-
0~255の数値を指定します。単位は回数です。デフォルト値は0です。
0:リトライを行いません。(全パス障害時のI/Oリトライ設定が無効になります)
1~255:指定した回数だけリトライします。(全パス障害時のI/Oリトライ設定が有効になります)
- -epd
-
障害パスでI/Oを試行するまでの待ち時間を秒数で指定します。
このパラメーターは全パス障害時のI/Oリトライ設定が有効の場合だけ有効です。
- ErrorPathDelay
-
1~255の数値を指定します。単位は秒数です。デフォルト値は1です。
1~255:指定した秒数待機します。
- -h
HDLMドライバーオプション設定ユーティリティー(dlmsetopt)の形式を表示します。
使用例
- (例1)リトライ回数に「100000」を指定する場合
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmsetopt -r 100000 KAPL12554-I HDLMドライバーオプション設定ユーティリティーを起動しました。 KAPL12555-I HDLMドライバーオプション設定ユーティリティーが正常終了しました。 KAPL12558-I オプション設定を有効にするためシステムを再起動してください。
- (例2)ヘルプを表示する場合
- Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Unbreakable Enterprise Kernel,Oracle Linux 8の場合:
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmsetopt -h KAPL12554-I HDLM ドライバーオプション設定ユーティリティーを起動しました。 Usage: dlmsetopt {-r retrycount | -inqt InquiryTimeout | -inqr InquiryRetry | -epr ErrorPathRetry | -epd ErrorPathDelay | -prsup ReserveStatus | -h} retrycount: -1 = Infinite 0 = No Retry 1-2147483646 = Retry Count InquiryTimeout: -1 = Default Timeout(30(s)) 1-3600 = Inquiry Timeout Value InquiryRetry: -1 = Default Retry(1) 0 = No Retry 1-2147483646 = Inquiry Retry Count ErrorPathRetry: 0 = No Retry(Default) 0-255 = Error Path Retry Count ErrorPathDelay: 1 = Default Delay(1(s)) 1-255 = Error Path Retry Delay Value ReserveStatus: on = Persistent Reserve Support off = No Persistent Reserve Support(Default) KAPL12555-I HDLM ドライバーオプション設定ユーティリティーが正常終了しました。
- 上記以外の場合:
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmsetopt -h KAPL12554-I HDLM ドライバーオプション設定ユーティリティーを起動しました。 Usage: dlmsetopt {-r retrycount | -inqt InquiryTimeout | -inqr InquiryRetry | -epr ErrorPathRetry | -epd ErrorPathDelay | -h} retrycount: -1 = Infinite 0 = No Retry 1-2147483646 = Retry Count InquiryTimeout: -1 = Default Timeout(30(s)) 1-3600 = Inquiry Timeout Value InquiryRetry: -1 = Default Retry(1) 0 = No Retry 1-2147483646 = Inquiry Retry Count ErrorPathRetry: 0 = No Retry(Default) 0-255 = Error Path Retry Count ErrorPathDelay: 1 = Default Delay(1(s)) 1-255 = Error Path Retry Delay Value KAPL12555-I HDLM ドライバーオプション設定ユーティリティーが正常終了しました。
注意事項
dlmsetoptユーティリティーで指定した内容は,confファイルのoptions sddlmfdrvの行に記述されます。この行はviなどのエディターで編集しないでください。dlmsetoptユーティリティーで使用されるconfファイルの名称を次の表に示します。
表7‒9 dlmsetoptユーティリティーで使用されるconfファイル OS
confファイル名
Red Hat Enterprise Linux 6
Red Hat Enterprise Linux 7
Red Hat Enterprise Linux 8
Red Hat Enterprise Linux 9
Oracle Linux 6
Oracle Linux 7
Oracle Linux 8
SUSE LINUX Enterprise Server 12
SUSE LINUX Enterprise Server 15
/etc/modprobe.d/dlmdrvopt.conf
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 6
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 7
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 8
ブートディスクにHDLMデバイスを使用した環境でdlmsetoptユーティリティーを使用する場合は,設定を変更したあとに初期RAMディスクイメージファイルを再作成する必要があります。初期RAMディスクイメージファイルを再作成するには,dracutコマンドを実行してください。そのあとで初期RAMディスクイメージファイル名を変更した場合には,次の表を参照して,作成した初期RAMディスクイメージファイルを起動時に使用するようにブートローダーの設定ファイルを変更してください。
表7‒10 ブートローダーの設定ファイル名 ブートローダー
設定ファイル名
GRUB
BIOS
Red Hat Enterprise Linuxの場合
Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 6の場合
/boot/grub/grub.conf
UEFI
Red Hat Enterprise Linux 6の場合
/boot/efi/EFI/redhat/grub.conf
GRUB2
BIOS
Red Hat Enterprise Linux 7の場合
Red Hat Enterprise Linux 8の場合
Red Hat Enterprise Linux 9の場合
SUSE LINUX Enterprise Server 12の場合
SUSE LINUX Enterprise Server 15の場合
/boot/grub2/grub.cfg
UEFI
Red Hat Enterprise Linux 7の場合
Red Hat Enterprise Linux 8の場合
/boot/efi/EFI/redhat/grub.cfg
Red Hat Enterprise Linux 9の場合
/boot/grub2/grub.cfg
-prsup onパラメーターを指定した場合,設定を有効にするにはホストを再起動する必要があります。また,Lifekeeperと連携する場合は,-prsup onパラメーターを設定しないでください。