4.5.4 HBAの交換
LUに対して複数の稼働状態のパスがある場合,交換するHBAを経由するパスだけを閉塞状態にして,そのほかのパスを使用してアクセスを続けることで,アプリケーションを運用したままHBAを交換できます。
HBAの交換手順を次に示します。
次のコマンドを実行して,交換しようとしているHBAに対応するfscsi番号を検索します。
# lsdev -C | grep fscsi
実行結果の例を次に示します。
fscsi0 使用可能 1H-08-02 FC SCSI I/O コントローラー・プロトコル・デバイス fscsi1 使用可能 11-08-02 FC SCSI I/O コントローラー・プロトコル・デバイス
上記の実行結果の2行目を例にすると,「11-08-02」の「11」がバス番号,「08」がHBAアダプター番号を表します。このHBAを交換する場合,対応するfscsi番号は「1」となります。
HDLM動作ODM設定ユーティリティー(dlmodmset)を実行して,NPIVオプションの設定を確認します。
# /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmodmset -o
実行結果の例を次に示します。
Lun Reset : off Online(E) IO Block : on NPIV Option : off OS Error Log Output : off
「NPIV Option」の行を確認してください。
交換するHBAを経由するパスをOffline(C)状態にします。
手順2で確認したdlmodmsetユーティリティーのNPIVオプションの内容に応じて,次のコマンドを実行します。
NPIVオプションが「off」の場合
HBAアダプター番号とバス番号を指定して,次のコマンドを実行します。この実行例は,HBAアダプター番号「08」,バス番号「11」のHBAを経由するパスをOffline(C)状態にする場合の例です。
# /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr offline -hba 08.11
NPIVオプションが「on」の場合
手順1で検索したfscsi番号を使用して,次のコマンドを実行します。この実行例は,fscsi番号「1」(fscsi1)を経由するパスをOffline(C)状態にする場合の例です。
# /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr offline -hba 00.01
次のコマンドを実行して,交換するHBAに接続するパスを削除します。
交換するHBAのデバイス名(fscsiデバイス)を指定します。nはfscsiデバイスのインスタンス番号です。
# rmpath -p fscsin -d
手順1で検索したfscsi番号が「1」(fscsi1)の場合,次のようになります。
# rmpath -p fscsi1 -d
ストレージシステム側にLUNセキュリティーを設定している場合は,交換後のHBAのWWNをLUNセキュリティーに追加します。
次に示すコマンドを実行します。
# diag
- 注意事項
diagコマンド実行後の操作は使用しているAIXのマニュアルを参照してください。次の手順7から手順14はAIX V7.2 TL02 SP03の実行例です。
表示されたメニューから[Task Selection]を選択します。
Task Selection List画面が表示されます。
[Hot Plug Task]を選択します。
Hot Plug Task画面が表示されます。
[PCI Hot Plug Manager]を選択します。
PCIホット・プラグ・マネージャー画面が表示されます。
[PCIホット・プラグ・スロットをリスト]を選択し,HBAを交換するPCIスロットを確認します。
網掛けの部分がHBAを交換するPCIスロットです。
交換するPCIスロットのデバイスに複数のデバイスが表示されている場合は,表示されているすべてのデバイスに対して手順11を実行してください。
PCIホット・プラグ・マネージャー画面に戻り,[デバイスの構成解除]を選択し,デバイス名に交換するデバイスを入力します。
[子デバイスの構成解除],および[データベースに定義を保持する]の項目は[はい]を選択してください。
PCIホット・プラグ・マネージャー画面に戻り,[PCIホット・プラグ・アダプターの交換/取り外し]を選択します。
交換するHBAを選択します。
入力フィールドで[交換]を選択します。
次のメッセージが表示されたらHBAを交換します。
HBAの交換が完了したら,ケーブルを接続して,Enterキーを入力します。
次のコマンドを実行して,デバイスを再構成します。
# cfgmgr -l fcsn
HBAを交換したPCIスロットのデバイス名(fcsデバイス)を指定して再構成します。nはfcsデバイスのインスタンス番号です。
ストレージシステム側にLUNセキュリティーを設定している場合は,交換前のHBAのWWNをLUNセキュリティーから削除します。
次のコマンドを実行して,パス情報を確認します。
# /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -path
パス情報の詳細については,「6.7 view 情報を表示する 」を参照してください。
注意事項
上記の手順に従わないで,次の条件をすべて満たす状態でHBAをすべて交換した場合※,ホスト再起動後にボリュームグループが活動化できなくなります。
交換するHBAを経由するパスを持つhdiskで構成するボリュームグループを活動化したまま,ホストをシャットダウンした。
ボリュームグループを構成するhdiskのリザーブポリシーがPR_exclusiveに設定されている。
- 注※
一部のHBAを交換した場合は,ホスト再起動後にボリュームグループが活動化されて,交換後のHBAを経由するパスが追加されます。ただし,交換前のHBAを経由するパスが定義済み状態で残るため,必要に応じて削除してください。
ボリュームグループを活動化するためには,次の操作を実行してください。
rootvgを構成するボリュームグループの場合
ストレージシステムまたはほかのサーバーから,該当するLUのリザーブを解除してください。
rootvg以外のボリュームグループの場合
ストレージシステム側にLUNセキュリティーを設定している場合は,交換後のHBAのWWNをLUNセキュリティーに追加します。
ホストを起動します。
次のコマンドを実行して,交換前のHBAを経由するHDLMデバイスを削除します。
# rmdev -dl hdisk名
nはHDLMデバイスのインスタンス番号です。
ストレージシステム側にLUNセキュリティーを設定している場合は,交換前のHBAのWWNをLUNセキュリティーから削除します。
次のコマンドを実行して,デバイスを再構成します。
# cfgmgr -l fcsn
HBAを交換したPCIスロットのデバイス名(fcsデバイス)を指定して再構成します。nはfcsデバイスのインスタンス番号です。
次のコマンドを実行して,パス情報を確認します。
# /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -path
パス情報の詳細については,「6.7 view 情報を表示する」を参照してください。
HDLMパーシステントリザーブ解除ユーティリティー(dlmpr)を実行して,該当するボリュームグループを構成するLUのリザーブを解除します。
# /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmpr -c hdisk名 hdisk名 ...
次のコマンドを実行して,該当するボリュームグループを活動化します。
# varyonvg ボリュームグループ名
HBAを交換したあと,ブートディスクに指定していたhdisk(論理デバイスファイル)へのパスのうち,交換したHBAを経由するパスが,AIXの仕様によってブートディスクから除外され,ブートディスクとして認識されない場合があります。このため,いったんホストを再起動してから,交換したHBAを経由するパスをブートディスクに指定し直す必要があります。
パスをブートディスクに指定し直す手順を次に示します。ここではストレージシステム上にあるデバイス「hdisk10」を,再度ブートディスクとして指定し直す手順の例を示します。
次に示すコマンドを実行して,ホストを再起動します。
# shutdown -Fr
ブートディスクがマルチパス構成になっていることを確認します。
コマンドの実行例を,次に示します。
# lspath -l hdisk10 -s available 使用可能 hdisk10 fscsi0 使用可能 hdisk10 fscsi1
次のコマンドを実行して,現在のブートディスクのリストを確認します。
コマンドの実行例を,次に示します。
# bootlist -m normal -o hdisk10 blv=hd5 hdisk0 blv=hd5 hdisk1 blv=hd5 ...
使用するホストの環境に合わせて,ブートディスクを指定します。
コマンドの実行例を,次に示します。
# bootlist -m normal hdisk10 hdisk0 hdisk1
手順2で確認したパスの数で,ブートディスクが構成されていることを確認します。
コマンドの実行例を,次に示します。
# bootlist -m normal -o hdisk10 blv=hd5 hdisk10 blv=hd5 hdisk0 blv=hd5 hdisk1 blv=hd5 ...