Exchangeデータベースでバックアップ対象となるデータの種類を次の表に示します。
表2-3 Exchangeデータベースでバックアップ対象となるデータの種類
| 対象データベース |
対象となるファイル |
拡張子 |
| Exchange Serverインフォメーションストア |
データファイル |
*.edb |
| トランザクションログファイル |
*.log |
| チェックポイントファイル |
*.chk |
Exchangeデータベースの構成には,次に示す前提条件および注意事項があります。
Exchange Serverのバックアップおよびリストアに関する前提条件
- データベースサーバーおよびバックアップサーバーにRM Shadow Copy Providerがインストールされている必要があります。なお,Application Agentのインストール時にRM Shadow Copy Providerがインストールされていない場合,RM
Shadow Copy Providerが一緒にインストールされます。
- テープにバックアップしない場合でも,バックアップサーバーが必要です。バックアップサーバーでVSSスナップショットのインポートとExchangeデータベースの検証を行うためです。
- VSSを使用するための,Application Agentの環境設定をしてください。VSSを使用するための環境設定については,「3.9 VSSを使用するための設定」を参照してください。
- バックアップおよびリストア対象となるインフォメーションストアに対して,循環ログを有効に設定しないでください。
- バックアップ対象となるインフォメーションストアは,すべてマウントされている必要があります。
- バックアップ先の副ボリュームとして,LUN#0を使用しないでください。LUN#0のディスクを使用した場合,ほかのディスクが認識されなくなることがあります。
- バックアップ対象のボリューム上のディレクトリーに別のボリュームをマウントしないでください。マウントした場合,副ボリュームのマウントおよびリストアに失敗することがあります。
- Exchange Serverが動作中に,バックアップの取得,リストアの実行,またはトランザクションログを削除したい場合,次のサービスを起動している必要があります。
Microsoft Exchange Information Store ServiceおよびMicrosoft Exchange Replication Service
Exchange Serverのボリューム配置に関する前提条件
- バックアップするファイルは,すべてペア定義されたRAIDボリューム上に置く必要があります。
- 物理ボリューム単位でバックアップされることを考慮してインフォメーションストアを配置してください。
- 複数のインフォメーションストアが同じ物理ボリュームに配置された場合,それらのインフォメーションストアを一括してバックアップまたはリストアする必要があります。インフォメーションストアを個別にバックアップまたはリストアする場合,異なる物理ボリューム上にインフォメーションストアを配置してください。
- バックアップ対象となるExchangeデータベースをボリュームに配置する場合,次の点に注意してください。
- バックアップを実行するとき,データファイル(*.edb)とトランザクションログファイル(*.log)を同一物理ボリュームに配置できません。物理ボリューム単位でデータをリストアするため,同一物理ボリュームにログファイルとデータベースファイルを配置すると,ロールフォワードリストアできなくなります。そのため,ログファイルとデータベースファイルを分けて配置する必要があります。
- 回復用データベースはバックアップ対象とはなりません。回復用データベースを構成するファイルおよびフォルダーは,バックアップ対象のデータベースとは別の物理ボリュームに置いてください。
バックアップ対象の名称に関する前提条件
- インフォメーションストア名を付けるときは,次の点に注意してください。
- 最大文字数:64文字
- 使用できない文字 = ; \ / ,
Exchange Serverのテープバックアップに関する注意事項
- Thin Imageを使用する場合,Application Agentではテープバックアップできません。そのため,ほかのバックアップ製品を使用して,正ボリュームのExchangeデータベースをテープにバックアップしてください。
Exchange Serverのバックアップおよびリストア実行時のコマンドに関する注意事項
- Exchangeデータベース名を変更したときは,次の操作が必要です。
- インフォメーションストアを一度アンマウントしてから,再度マウントしてください。
- バックアップ結果のデータベースを検証するためバックアップコマンドの実行に時間が掛かることがあります。検証に必要な時間はデータベース容量,バックアップサーバーのマシン性能,ディスク性能などに依存します。なお,drmexgbackupコマンド,EX_DRM_EXG_BACKUPコマンドには,オプションを指定することでデータベースの検証を省略してバックアップを終了させることもできます。検証を省略する場合には,リストアの前またはテープへのバックアップを実行する前にdrmexgverifyコマンドまたはEX_DRM_EXG_VERIFYコマンドでデータベースを検証することを推奨します。
データベースが破損している状態で,データベースの検証を省略するオプションを使用すると,ロールフォワードによるリカバリーができないおそれがあるので注意してください。
- バックアップを実行したときに,データベースの検証で検証対象となるファイルは次のとおりです。
- インフォメーションストアのデータファイル(*.edb)
- コミットされていないトランザクションログファイル(*.log)
- バックアップ中は一定時間(~10秒)Exchange Serverのデータベース書き込み処理が停止されます。その間はメール送信など,Exchangeデータベースへの書き込み操作が一時停止の状態となります。バックアップ終了後に,データベースへの書き込みが再開されます。
- バックアッププロセス中にログファイルが増加することがあるため,カタログに記録されていないログファイルがバックアップ結果に含まれることがあります。
- バックアップ時に,副ボリュームのルートディレクトリーにDRMVSSMETADATA_<バックアップID>という名前のフォルダーが作成されます。このフォルダーには,リストアするときに必要なバックアップメタデータファイルが格納されているので,削除しないでください。このフォルダーはリストア後に自動的に削除されます。
- 次のファイルの設定を変更した場合は,Protection Managerサービスを再起動してください。
- Application Agentの構成定義ファイル(init.conf)
- RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)
- 次の操作を実行すると,Active DirectoryのExchange Serverに関する情報が変更されるため,これらの操作を実行する前に取得したバックアップデータをリストアコマンド(drmexgrestoreまたはEX_DRM_EXG_RESTOREコマンド)でリストアできなくなります。
- インフォメーションストア,トランザクションログファイル,チェックポイントファイルのパスの変更
- インフォメーションストアの追加または削除
- インフォメーションストア名の変更
これらの操作を実行した場合は,Active DirectoryおよびExchangeデータベースをバックアップし直す必要があります。Active Directoryのバックアップについては,Microsoft社が提供するドキュメントを参照してください。
- 次の操作を実行すると,データベースの署名が変更されるため,これらの操作を実行する前に取得したバックアップデータをリストアおよびリカバリー(drmexgrestoreまたはEX_DRM_EXG_RESTOREコマンドに-recoveryオプションを指定して実行)できなくなります。
- ESEUTILユーティリティーでのインフォメーションストアの修復(ESEUTIL /p)
- ESEUTILユーティリティーでのデフラグ(ESEUTIL /d)
これらの操作を実行した場合,drmexgbackupまたはEX_DRM_EXG_BACKUPコマンドを実行して,Exchangeデータベースをバックアップし直す必要があります。
- この節の構成
- 2.8.1 DAG構成の場合
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