Hitachi Global Link Manager ユーザーズガイド

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1.4 Global Link Managerの用語と概念

ここでは,Global Link Managerを運用するために知っておく必要のある次の用語について説明します。

リソース

Global Link Managerが管理するホストおよびホストから接続しているストレージシステムを指します。Global Link Manager GUIでホストを追加すると,そのホストに属するパスや接続しているストレージシステムの情報もGlobal Link Managerから参照できるようになります。

リソースグループ

リソースグループとは,ユーザーがアクセスするリソースの範囲を制限するために,業務などの単位でリソースをグループ化し,ユーザーと関連づけたものです。広い範囲でリソースを管理するユーザーについては,複数のリソースグループに関連づけることによって,操作範囲を拡張できます。

ユーザーの管理種別および権限

Global Link Managerでは,操作範囲を制限するリソースグループと,ユーザーの操作を制限する管理種別およびユーザー権限によってアクセス制御を行います。

Global Link Managerを運用するためのユーザーには,次の2種類があります。

表1-2 ユーザーの管理種別

管理種別 説明
ユーザー管理 Hitachi Command Suite製品共通のすべてのユーザーを管理します。Hitachi Command Suite製品を使用するユーザーのIDや権限などを設定します。
Global Link Manager管理 Global Link Managerのリソースと,リソースに属するパスなどを管理します。

管理種別ごとの権限は,次のとおりです。なお,ユーザープロファイル管理およびGlobal Link Managerのライセンス管理は,権限に関係なくすべてのユーザーが実行できます。

表1-3 ユーザーの権限

管理種別 権限 説明
ユーザー管理 Admin すべてのHitachi Command Suite製品へのログイン,およびHitachi Command Suite製品共通のユーザーの設定ができます。
Global Link Manager管理 Admin Global Link Managerのすべてのリソースに対するアクセス権限を持ち,ユーザー管理以外のすべての業務を実行できます。
Modify Global Link Manager管理のAdmin権限ユーザーが設定したリソース内で,リソースやパスなどを管理したり,それらの情報をCSVファイルで出力したりできます。
View Global Link Manager管理のAdmin権限ユーザーが設定したリソース内で,リソースやパスなどを参照したり,それらの情報をCSVファイルで出力したりできます。

Global Link Managerのインストール時には,すべてのユーザーおよび製品を管理できる「System」というIDのビルトインアカウントが設定されています。このユーザーのIDおよび権限は,変更したり削除したりできません。

ビルトインアカウント(ユーザーID:System)を除くユーザー管理のAdmin権限ユーザーは,デフォルトではユーザー管理以外のGlobal Link Managerの運用操作はできません。Global Link Managerを操作するためには,Global Link Manager管理の各権限を設定する必要があります。

ユーザー管理のAdmin権限ユーザーがGlobal Link Managerを使用するユーザーを設定したあとに,すべてのリソースに対するアクセス権限を持つGlobal Link Manager管理のAdmin権限ユーザーがリソースグループを設定します。

Global Link Manager管理のユーザーのうち,Admin権限以外のユーザーは,関連づけられたリソースグループ内のホスト,およびそのホストに付属するパスや接続するストレージシステムだけがGUIで表示され,それらに対してユーザー権限内での操作を実行できます。

リソースグループとユーザー権限の関係を次の図に例で示します。

図1-3 リソースグループとユーザー権限の関係

[図]

ホストグループ

ホストグループとは,Global Link Managerで管理するホストを業務や目的に応じて複数のグループに分類したものです。多数のホストやパスを効率良く管理するために,Global Link Manager管理の各ユーザーが管理対象のホスト(割り当てられたリソースグループ内のホスト)に対して独自のグループを作成します。ホストグループを階層化したり,1つのホストを複数のホストグループに所属させたりできます。

ホストグループの概要を次の図に例で示します。

図1-4 ホストグループの概要

[図]

パス

パスは,ホストとストレージシステムを結ぶデータ入出力用の経路です。

ホストのOSがLinuxまたはSolarisの場合は,パーティション(スライス)分のパスが在りますが,Global Link Manager GUIで表示されるパスは物理的なパスと同じ本数(SCSIドライバによって認識されるLUと同じ数)だけです。LinuxまたはSolarisの場合は,パスIDが物理的なパスに対してだけ割り振られるためです。

Global Link Managerで管理するパスの状態には,次の種類があります。

表1-4 HDLMのパス状態の種類

パス状態 説明
Online 正常にI/Oを発行できます。
ユーザーは,Online状態のパスに対してオフライン操作を実行できます。
ホストのOSがWindowsでクラスタ構成の場合は,Online(P)状態(リザーブ処理中のオフライン処理の実行待ち状態)も含みます。
なお,Online状態のパスは,ロストパスチェックオプションのチェック対象となります。
Offline(C) パスのオフライン操作によって,パスが閉塞状態になっています。
ユーザーは,Offline(C)状態のパスに対してオンライン操作を実行できます。
なお,Offline(C)状態のパスは,ロストパスチェックオプションのチェック対象となります。
Offline(E) ホストのHDLMが障害を検知したため,パスが閉塞状態になっています。
ユーザーは,Offline(E)状態のパスに対して,オフライン操作または障害復旧後にオンライン操作を実行できます。HDLMの自動フェールバック機能※1を使用している場合は,障害の復旧が確認されると自動でOnline状態に戻ります。
ホストのOSがWindowsでクラスタ構成の場合は,Offline(P)状態(リザーブ処理中のオフライン処理の実行待ち状態)も含みます。
Online(E)※2 ホストのHDLMがあるLUに接続するすべてのパスで障害を検知したため,パスが閉塞状態になっています。この場合,パスのうちの1つはOnline(E)状態になり,そのほかのパスはOffline(E)状態になります。障害が続いている間,そのLUにアクセスするパスのうちのOnline(E)状態のパスは固定ではなく,常にどれか1つのパスがOnline(E)状態になるようにOnline(E)状態とOffline(E)状態の遷移を繰り返します。
障害から復旧すればOnline(E)状態のパスに対してオンライン操作を実行できます。HDLMの自動フェールバック機能を使用している場合,障害から復旧したことをHDLMが検出すると自動でOnline状態に戻ります。
ホストのOSがWindowsでかつそのホストがクラスタ構成の場合は,Online(EP)状態(リザーブ処理中のオフライン処理の実行待ち状態)も含みます。

注※1
ホストのOSがVMwareの場合,自動フェールバック機能の詳細については使用するHDLMのマニュアルを参照してください。

注※2
ホストのOSがVMwareの場合は,パスがOnline(E)状態に遷移しないため,Online(E)状態のパスは表示されません。
マルチパスLU

1つのLUに対して複数のパスが在る場合に,HDLMは物理的なパスの数だけ存在するSCSIデバイスを統合して,HDLMデバイスを生成します。ホストの各アプリケーションは,このHDLMデバイスを使用してストレージシステム内のLUにアクセスします。マルチパスLUは,HDLMデバイスの論理デバイスファイルまたは割り当てられたディスクドライブの名称で表現されます。HDLMでは,HDev名として表示されます。

CHAポート

ストレージシステムのチャネルを制御するアダプタです。

HBAポート

ホストと外部装置を接続するインタフェースとなるデバイスです。

ロードバランス

LU内の領域にアクセスするパスが複数ある場合,それらの複数のパスを使用してI/Oを行うことで,パスに掛かる負荷を分散する機能です。