Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Solaris用)
自動的にパスを切り替える機能である,自動フェイルオーバと自動フェイルバックについて説明します。
使用中のパスで障害を検知した場合,そのパスを閉塞状態にして,ほかの稼働状態のパスを使用してシステムの運用を続けることができます。これを,自動フェイルオーバと呼びます。自動フェイルオーバの対象となる障害は,パスに発生した次のレベルの障害です。
障害レベルについては,「2.12.2 障害情報のフィルタリング」を参照してください。
切り替え先のパスは,同じLUにアクセスするオーナパス,ノンオーナパスの順で選択されます。
HDLMがサポートするストレージシステムは,通常すべてのパスがオーナパスになるため,同じLUにアクセスするすべてのパスが同時に切り替え先の候補になります。例えば,「図2-8 パスの切り替え」で(A)の物理パスだけでLUにアクセスしている場合,使用中のパスが閉塞状態になったあとは,(B),(C),(D)の物理パスのどれかが切り替え先になります。
ノンオーナパスがある場合,切り替え先のパスは同じLUにアクセスするオーナパス,ノンオーナパスの順で選択されます。例えば,「図2-8 パスの切り替え」でLUのオーナコントローラがCHA0であるとします。(A)の物理パスだけでLUにアクセスしている場合,使用中のパスが閉塞状態になったあとは,(B)の物理パスが第1候補,(C)または(D)の物理パスが第2候補の切り替え先になります。
パスの切り替えは,物理パス単位で行われます。したがって,1つのパスに障害が発生した場合は,同じ物理パスを経由するすべてのパスを切り替えます。
使用中のパスが障害で閉塞状態になった場合,障害回復後に自動的に稼働状態にできます。これを,自動フェイルバックと呼びます。この機能を使用した場合,HDLMは定期的に障害回復を監視します。
ノンオーナパスがある場合,使用するパスは,稼働状態のオーナパス,ノンオーナパスの順で選択されます。すべてのオーナパスが閉塞状態でノンオーナパスを使用しているときに,オーナパスの障害が回復して,自動的に稼働状態になると,使用するパスがオーナパスに切り替わります。
なお,パスに間欠障害※が発生している場合,自動フェイルバックの設定をしていると,閉塞状態と稼働状態を繰り返すため,I/Oの性能が低下することがあります。その場合は,間欠障害監視を設定して,間欠障害と見なされたパスを自動フェイルバックの対象外にすることをお勧めします。
自動フェイルバック機能,および間欠障害監視は,HDLMコマンドのsetオペレーションで指定します。setオペレーションについては,「6.6 set 動作環境を設定する」を参照してください。
なお,自動フェイルバックについては,「2.8.3 パスの状態遷移」の「(3) パスの状態遷移」の「注意事項」も参照してください。
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