Tuning Manager ユーザーズガイド

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1.3 データ収集の概要

ここでは,Tuning Manager serverの各コンポーネントがどのように動作してデータを収集するかを説明します。

Hybrid Storeで運用しているエージェントと接続している場合は「図1-4 データ収集の概要(Hybrid Storeで運用しているエージェントと接続している場合)」を,Storeデータベースで運用しているエージェントと接続している場合は「図1-5 データ収集の概要(Storeデータベースで運用しているエージェントと接続している場合)」 を参照してください。

図1-4 データ収集の概要(Hybrid Storeで運用しているエージェントと接続している場合)

[図]

図1-5 データ収集の概要(Storeデータベースで運用しているエージェントと接続している場合)

[図]

Tuning Manager serverは,PFM - Managerや内部のコンポーネントであるMain Consoleを使用して,Device Managerや各エージェントからデータを収集します。収集したデータは,Tuning Manager APIで取得したり,Main Console,Performance Reporterで表示したりできます。各コンポーネントの役割の概要を次に示します。

PFM - Manager:PFM - Managerは,Tuning Manager serverの基盤機能に相当し,次の機能を提供しています。このため,各プログラムは包括的システムとして正確に機能します。
  • エージェントの管理
  • エージェントが発行するイベントの管理
  • Tuning Manager server,エージェント間のデータの送受信制御

Main Console:Main Consoleは,エージェント,Device Managerが収集した監視対象リソースの構成情報,容量情報をTuning Manager serverのデータベースに格納します。Main Consoleは,指定された時間枠と周期に従って,Tuning Manager serverのデータベースに蓄積されたデータと,エージェントが管理するパフォーマンスデータを収集し,マッピングしてレポートとして表示します。Tuning Manager serverのデータベースはリレーショナルデータベースシステムHiRDBが管理します。

Main ConsoleはPerformance Reporterへのリンクを表示します。

Performance Reporter:Performance Reporterは各エージェントのPerformanceデータベースから直接収集したパフォーマンスデータを表示するとともに,簡易なメニューを提供して,固有のカスタムレポートを作成します。これによってPerformance Reporterは,マウスをクリックするだけで,エージェントインスタンスレベルのレポートとカスタマイズしたレポートを表示できます。また,Performance Reporterは,監視対象の現在の状況をリアルタイムにレポートとして表示できます。Performance Reporterは,HiRDBには接続しません。

Device Manager:Device Managerは,ストレージシステムのための一貫性があり,使いやすく構成しやすいインターフェースです。このDevice Managerは,スクリプト記述用のCLIのほかに,ストレージシステムを管理するための,扱いやすく設定しやすい操作性の統一されたWebベースのGUIを提供します。さらに構成情報を格納するデータベースを退避・回復するための保守用コマンドを提供します。Device Managerでは,Device Managerシステムに追加されているストレージシステムおよび仮想環境の構成を参照できるほか,論理ディスクを配分し,LUNにセキュリティを設定するなどの構成操作を実行することもできます。Device Managerを使用すると,キー属性に基づいてストレージシステムを直ちに発見し,複雑な異機種混合のストレージシステム環境を効率的に管理できます。さらに,Device ManagerではSSLベースの通信によって,リモート側で安全にストレージシステムを管理できます。また,Device ManagerのHost Data CollectorやDevice Managerエージェントを使用することで,後述するHTM - Storage Mapping Agentと同様の機能をサポートします。

エージェント:エージェントはバックグラウンドで動作し,パフォーマンスデータの収集と記録を行います。監視対象リソースごとに別々のエージェントが必要です。例えば,ストレージシステムを監視する場合HTM - Agent for RAIDが,Oracleを監視する場合PFM - Agent for Oracleが必要になります。エージェントは,数百のメトリックのデータを継続して収集し,必要なときにすぐ呼び出せるようエージェントのPerformanceデータベースに格納します。エージェントを利用すれば,Tuning Manager serverは監視対象のパフォーマンスデータを収集できます。また収集したデータを使用して,Main Console内のSAN環境全体の情報,さらにはPerformance Reporterの特定リソースの情報を表示します。エージェントは監視OS,Oracleなどのデータベースまたはストレージシステムからパフォーマンスデータを収集し,このパフォーマンスデータをPerformanceデータベース内に格納し各エージェントがPerformanceデータベースを管理します。代表的なエージェントとその機能を次の表に示します。

表1-1 代表的なエージェントとその機能

エージェント名 機能概要
HTM - Agent for RAID HTM - Agent for RAIDは,ストレージシステムのパフォーマンスデータと設定情報を収集します。
HTM - Agent for NAS HTM - Agent for NASは,NASシステムのパフォーマンスデータと設定情報を収集します。
HTM - Storage Mapping Agent HTM - Storage Mapping Agentは,サーバとストレージシステムの関係をマッピングし,ホストのファイルシステムおよび対応するストレージシステムのリソースに関する構成情報を収集します。
PFM - Agent for DB2 PFM - Agent for DB2は,DB2データベースのパフォーマンスデータを収集します。
PFM - Agent for Microsoft SQL Server PFM - Agent for Microsoft SQL Serverは,Microsoft SQL Serverデータベースのパフォーマンスデータを収集します。
PFM - Agent for Oracle PFM - Agent for Oracleは,Oracle データベースのパフォーマンスデータを収集します。
PFM - Agent for Platform PFM - Agent for Platformは,OSの運用状態など,サーバのパフォーマンスデータを収集します。
PFM - Agent for HiRDB PFM - Agent for HiRDBは,HiRDBのパフォーマンスデータを収集します。

Tuning Manager server REST APIコンポーネントおよびTuning Manager Agent REST API コンポーネント:Tuning Manager server REST APIコンポーネントおよびTuning Manager Agent REST API コンポーネント は,Tuning Manager APIを利用してhttp(s)経由で次のことをする場合に必要なコンポーネントです。

Tuning Manager APIを利用して稼働監視する方法については,「8. アラート機能での稼働監視」を参照してください。

Tuning Manager APIを利用してデータを分析する概要については,「1.3.4 Tuning Manager APIを利用しての分析」を参照してください。

参考
Tuning Managerシリーズでは,Tuning Manager APIを実行するコマンドを提供しています。Tuning Manager APIを実行するコマンドについては,マニュアル「Hitachi Command Suite Tuning Manager APIリファレンスガイド」を参照してください。

SVP:SVPはストレージシステムを管理・運用するためのプログラムです。HTM - Agent for RAIDをHybrid Storeで運用している場合,HTM - Agent for RAID ホストとストレージシステムをTCP/IP接続すると,SVP を経由してパフォーマンスデータを収集できます。なお,TCP/IP接続を使用してパフォーマンスデータを収集する場合に前提となる環境や使用できる機能には制限があります。 詳細な前提条件および制限事項についてはマニュアル「Hitachi Command Suite Tuning Manager - Agents」を参照してください。

この節の構成
1.3.1 分散メトリック-リポジトリアーキテクチャ
1.3.2 Main Consoleによるシステムの稼働状況の監視・分析
1.3.3 Performance Reporterによるシステムの稼働状況の監視・分析
1.3.4 Tuning Manager APIを利用しての分析
1.3.5 Hitachi Command Suiteの[分析]タブによるストレージシステムの性能分析
1.3.6 性能上の問題の回避
1.3.7 エージェントの管理・運用

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