Hitachi Command Suite メッセージ
ここでは,メッセージKAVX5137-EまたはKAVX0006-E/DRM-10041の発生要因,回復手順,および回避方法について説明します。
KAVX5137-EまたはKAVX0006-E/DRM-10041に対処するには,バックアップサーバで副ボリュームのディスクSignature(ディスク署名)を適切な値に変更したあと,ファイルサーバまたはデータベースサーバで副ボリュームをリストアします。回復手順の詳細は,「(2) 回復手順(バックアップサーバでの操作)」および「(3) 回復手順(ファイルサーバまたはデータベースサーバでの操作)」を参照してください。
- この項の構成
- (1) 発生要因
- (2) 回復手順(バックアップサーバでの操作)
- (3) 回復手順(ファイルサーバまたはデータベースサーバでの操作)
- (4) 回避方法
KAVX5137-EまたはKAVX0006-E/DRM-10041は,次の条件をすべて満たしたときに発生します。
- クラスタソフトウェアとしてMicrosoft Cluster ServiceまたはMicrosoft Failover Clusterを使用している。
- 副ボリュームをバックアップサーバで使用する構成となっている。
- 複数世代のバックアップを複数の副ボリュームに格納している。
- バックアップサーバで複数の副ボリュームが認識される。
- 副ボリュームのディスクSignatureが重複している。
同じ正ボリュームからバックアップした副ボリュームのディスクSignatureが重複している場合,バックアップサーバ上のWindowsによって,副ボリュームのディスクSignatureが変更されます。Microsoft Cluster ServiceまたはMicrosoft Failover Cluster を使用したクラスタ環境の場合,副ボリュームのディスクSignature が変更されると,リストアコマンドが失敗するため,KAVX5137-EまたはKAVX0006-E/DRM-10041が発生します。
ただし,KAVX0006-E/DRM-10041の場合,データベースサーバおよびバックアップサーバ上に,次のイベントログが出力されている場合だけ,上記の要因が該当します。
- データベースサーバ上のイベントログ
イベントID:1034- バックアップサーバ上のイベントログ
イベントID:58
バックアップサーバで副ボリュームのディスクSignatureを適切な値に変更します。
Windows Server 2003環境を使用している場合は,「ディスクSignatureの変更」の手順だけを実施してください。
Windows Server 2008以降の環境を使用している場合,次の手順で副ボリュームのディスク状態を事前に「オンライン」にしておく必要があります。
- コマンドプロンプトから,RAID Managerのinqraid $Phys -CLIコマンドを実行して,ディスクSignatureが変更された副ボリュームのディスク番号を確認します。
inqraid $Phys -CLIコマンドの実行例を次に示します。D:\HORCM\etc>inqraid $Phys -CLI DEVICE_FILE PORT SERIAL LDEV CTG H/M/12 SSID R:Group PRODUCT_ID Harddisk1 CL1-D 77010114 0 - - 0000 5:00-00 DF600F-CM Harddisk2 CL1-D 77010114 803 - s/S/ss 0000 5:00-00 DF600F Harddisk3 CL1-D 77010114 804 - s/S/ss 0000 5:00-00 DF600F Harddisk4 CL1-D 77010114 805 - s/S/ss 0000 5:00-00 DF600F「DEVICE_FILE」列の数字がディスク番号です。- diskpartコマンドを起動します。
- 現在のディスク状態を表示するために,「list disk」と入力します。
サーバに接続されたディスクの一覧が表示されます。「ディスク ###」列の数字がディスク番号です。ディスク番号が手順1で確認した副ボリュームのディスク番号と一致するディスクの「状態」列に「オフライン」と表示されていることを確認します。- ディスク状態が「オフライン」である対象の副ボリュームに次の操作を繰り返します。
- 「select disk <ディスク番号>」と入力します。
「ディスク < ディスク番号> が選択されました。」と表示されます。- 「online disk」と入力します。
「DiskPart は選択されたディスクをオンラインにしました。」と表示されます。- 「attributes disk clear readonly」と入力します。
「ディスクの属性が正しく消去されました。」と表示されます。- 「attributes disk」と入力します。
「読み取り専用 : いいえ」が表示されていることを確認します。- 現在のディスク状態を表示するために,「list disk」と入力します。
ディスクSignatureが変更された副ボリュームのディスクの「状態」列に「オンライン」と表示されていることを確認します。- 「exit」と入力して,diskpart コマンドを終了します。
バックアップサーバで,副ボリュームのディスクSignature を変更する手順を次に示します。
- バックアップカタログに記録されているディスクSignature を確認します。
drmdevctl コマンドに-sigview オプションを指定してディスクSignatureを確認します。
drmdevctlコマンドの実行例を次に示します。BKServer > drmdevctl 0000000001 -sigview COPY_GROUP DEVICE TYPE CUR_DISKID BKU_DISKID VG01,dev01 Harddisk10 MBR ABCDEF04 ABCDEF01 VG01,dev02 Harddisk11 MBR ABCDEF05 ABCDEF02 VG01,dev03 Harddisk12 MBR ABCDEF06 ABCDEF03上記の例では,バックアップ取得後にディスクSignature が変更されたため,現時点のディスクSignature(CUR_DISKID)とバックアップ時のディスクSignature(BKU_DISKID)が異なります。- バックアップ時のディスクSignature(BKU_DISKID)について,クラスタが期待する値を持つバックアップカタログを,システム上にあるすべてのバックアップカタログの中から特定します。
クラスタが期待する値は,データベースサーバ上で出力されたイベントログ(イベントID 1034)のDescriptionを参照してください。- 副ボリュームのディスクSignature を変更します。
drmdevctl コマンドに-sigset オプションを指定して,現在のディスクSignatureを手順3で確認したバックアップ時のディスクSignatureに変更します。
drmdevctlコマンドの実行例を次に示します。BKServer > drmdevctl 0000000001 -sigset- 副ボリュームのディスクSignature が正しく変更されたことを確認します。
drmdevctl コマンドに-sigview オプションを指定して実行します。
別のドライブに同じディスクSignature が存在する場合など,いったん変更したディスクSignature がWindows によって再変更されることがあるため,必ず確認してください。
drmdevctl コマンドの実行例を次に示します。BKServer > drmdevctl 0000000001 -sigview COPY_GROUP DEVICE TYPE CUR_DISKID BKU_DISKID VG01,dev01 Harddisk10 MBR ABCDEF01 ABCDEF01 VG01,dev02 Harddisk11 MBR ABCDEF02 ABCDEF02 VG01,dev03 Harddisk12 MBR ABCDEF03 ABCDEF03Windows Server 2008以降の環境を使用している場合,次の手順で副ボリュームのディスク状態を「オフライン」に戻します。
- RAID Manager のinqraid $Phys -CLIコマンドを使用して,ディスクSignatureを変更した副ボリュームのディスク番号を確認します。
inqraid $Phys -CLIコマンドの実行例を次に示します。D:\HORCM\etc>inqraid $Phys -CLI DEVICE_FILE PORT SERIAL LDEV CTG H/M/12 SSID R:Group PRODUCT_ID Harddisk1 CL1-D 77010114 0 - - 0000 5:00-00 DF600F-CM Harddisk2 CL1-D 77010114 803 - s/S/ss 0000 5:00-00 DF600F Harddisk3 CL1-D 77010114 804 - s/S/ss 0000 5:00-00 DF600F Harddisk4 CL1-D 77010114 805 - s/S/ss 0000 5:00-00 DF600F「DEVICE_FILE」列の数字がディスク番号です。- diskpartコマンドを起動します。
- サーバに接続されたディスクの一覧が表示されます。「ディスク ###」列の数字がディスク番号です。ディスク番号が手順1で確認した副ボリュームのディスク番号と一致するディスクの「状態」列に「オンライン」と表示されていることを確認します。
- ディスク状態が「オンライン」で対象の副ボリュームに次の操作を繰り返します。
- 「select disk <ディスク番号>」と入力します。
「ディスク <ディスク番号> が選択されました。」と表示されます。- 「offline disk」と入力します。
「DiskPart は選択されたディスクをオフラインにしました。」と表示されます。- 現在のディスク状態を表示するために,「list disk」と入力します。
ディスクSignatureを変更した副ボリュームのディスクの「状態」列に「オフライン」と表示されていることを確認します。- diskpartコマンドを終了するために,「exit」と入力します。
(3) 回復手順(ファイルサーバまたはデータベースサーバでの操作)
ファイルサーバまたはデータベースサーバでは,RAID Managerのコマンドを使用して,次の手順で副ボリュームをリストアします。
副ボリュームをリストアする手順を示します。
- 副ボリュームをリストアできるように,クラスタリソースの状態を変更します。
- クラスタリソースがオフライン状態でのリストアを実行した場合
- クラスタリソースの物理ディスクリソースが「オフライン」状態または「失敗」状態であることを確認します。
- クラスタリソースがオンライン状態でのリストアを実行した場合
- クラスタリソースの物理ディスクリソースの状態を変更します。
- Windows Server 2003の場合
- 次の手順で,物理ディスクリソースの状態を「オンライン(Ext Maintenance, Internal State 'オフライン')」に変更します。
- ・ 次のコマンドを実行して,物理ディスクリソースの状態を「オンライン」から「オンライン(保守)」に変更します。
FSServer > CLUSTER RESOURCE "リソース名" /MAINTENANCEMODE:ON- ・次のコマンドを実行して,物理ディスクリソースを「オンライン(保守)」から「オンライン(Ext Maintenance, Internal State 'オフライン')」に変更します。
FSServer > CLUSTER RESOURCE "リソース名" /EXTMAINTENANCEMODE:ON- Windows Server 2008以降の場合※
- 次のコマンドを実行して,物理ディスクリソースの状態を「オンライン」から「オンライン(保守)」に変更します。
FSServer > CLUSTER RESOURCE "リソース名" /MAINTENANCEMODE:ON- CLUSTERコマンドがシステムエラー 997 を返した場合,数秒間待つと,処理は正常に終了します。
- 注※ Windows Server 2012の場合,"FailoverCluster-CmdInterface"コンポーネントのインストールが必要です。
- RAID Manager のコマンドを使用して,副ボリュームをリストアします。
pairdisplayコマンドを実行してペア状態を確認したあと,pairresyncコマンドおよびpairsplitコマンドを実行します。 pairresyncコマンドは,ペア状態が「PSUS-SSUS」,pairsplitコマンドは,ペア状態が「PAIR-PAIR」になっていることを確認してから実行します。
pairresyncコマンド,およびpairsplitコマンドの実行例を次に示します。FSServer > pairdisplay –g VG01 FSServer > pairresync -g VG01 -restore FSServer > pairdisplay –g VG01 FSServer > pairsplit -g VG01- クラスタリソースをオンラインにします。
- クラスタリソースがオフライン状態でのリストアを実行した場合
- クラスタアドミニストレータを起動して,クラスタグループに含まれるすべてのクラスタリソースをオンラインにしてください。
- クラスタリソースがオンライン状態でのリストアを実行した場合
- クラスタリソースの物理ディスクリソースの状態を変更します。
- Windows Server 2003の場合
- 次の手順で,物理ディスクリソースの状態を「オンライン」に変更します。
- ・ 次のコマンドを実行して,物理ディスクリソースの状態を「オンライン(Ext Maintenance, Internal State 'オフライン')」から「オンライン(保守)」に変更します。
FSServer > CLUSTER RESOURCE "リソース名" /EXTMAINTENANCEMODE:OFF- ・ 次のコマンドを実行して,物理ディスクリソースを「オンライン(保守)」から「オンライン」に変更します。
FSServer > CLUSTER RESOURCE "リソース名" /MAINTENANCEMODE:OFF- Windows Server 2008以降の場合※
- 次のコマンドを実行して,物理ディスクリソースを「オンライン(保守)」から「オンライン」に変更します。
FSServer > CLUSTER RESOURCE "リソース名" /MAINTENANCEMODE:OFF- CLUSTERコマンドがシステムエラー 997 を返した場合,数秒間待つと,処理は正常に終了します。
- 注※ Windows Server 2012の場合,"FailoverCluster-CmdInterface"コンポーネントのインストールが必要です。
- DBMS をリストアコマンドが実行できる状態にします。
- バックアップ対象がExchange データベースの場合
- システムマネージャを起動して,インフォメーションストアを再マウントします。
- バックアップ対象がSQL Server データベースの場合
- コマンドを実行するためのSQL Server データベースの条件については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Software Application Agent CLI ユーザーズガイド」を参照してください。
- リストアコマンドを再実行します。
Replication Manager Application Agentのリストアコマンドを再度実行してください。
KAVX5137-EまたはKAVX0006-E/DRM-10041を回避するために,次のどちらかの方法で運用してください。
- バックアップサーバからすべての副ボリュームを隠ぺいする
ディスクSignatureの変更を抑止するには,Replication Manager Application Agentでバックアップおよびリストアを運用する前にシステム全体に対してdrmdevctlコマンドを実行して,すべての副ボリュームを隠ぺいしてください。ただし,バックアップサーバから副ボリュームを隠ぺいする前に,ディスクSignature が変更されていることがあるため,副ボリュームを隠ぺいしたあと,すべての副ボリュームをバックアップ先としてバックアップを取得してください。副ボリュームを隠ぺいすると,すべての副ボリュームが上書きされます。副ボリュームのバックアップデータが必要な場合は,テープなどにバックアップしてから操作してください。
バックアップサーバからすべての副ボリュームを隠ぺいする方法については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Software Application Agent CLI ユーザーズガイド」を参照してください。- リストア前にディスクSignature を確認・変更する
リストア前にディスクSignature が変更されているか確認し,変更されている場合はディスクSignature を変更したあと,リストアを実行するようにしてください。 ディスクSignatureの確認・変更方法については,「(2) 回復手順(バックアップサーバでの操作)」の「ディスクSignature の変更」を参照してください。
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