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EUR システム設計ガイド(UNIX(R)用)


1.4.1 ユーザ定義を使用する

ユーザ定義には,スプールデータを操作するユーザごとに,アクセスできるスプールデータの条件を定義します。

ユーザ定義には,次の情報を定義します。

ユーザ認証情報,およびスプールデータに対するアクセス制限情報は,スプールデータの属性情報を基に定義します。利用できる属性情報がない場合は,属性情報を新たに追加します。また,新規にスプールデータを作成する場合は,帳票の蓄積時に,スプールデータの管理方法に合わせて必要な属性情報(ジョブ検索キーの分類と値)を指定します。

スプールデータの属性情報を追加する方法,および蓄積方法の詳細については,マニュアル「EUR 帳票出力 機能解説 EUR Server編」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) 定義する情報とアクセス制限との関係

スプールデータに指定したユーザ名と確認キーが,ユーザ定義の定義内容と一致すると,条件に一致するスプールデータにアクセスできます。

存在しないユーザ名を指定した場合,またはユーザ名と確認キーがユーザ定義の内容と一致しなかった場合は,デフォルトユーザとしてスプールデータにアクセスします。デフォルトユーザとは,アクセス制限の対象としないスプールデータにアクセスするための最低限の権限を持つユーザのことです。

例えば,ユーザ定義を次の表に示すように定義します。

表1‒6 ユーザ定義の定義例

ユーザ名※1

アクセス制限方式

アクセスを許可する属性情報※2

ユーザ名が一致するスプールデータの場合

アクセスを許可する分類名がジョブ検索キーに設定されていない場合

分類名

キー値

ユーザA

分類

公開先

部内

社内

×

ユーザB

分類

公開先

社内

(凡例)

○:アクセスできるようにします。

△:ユーザ名が一致するかどうかに関係なく,指定したアクセス制限方式で,対象になるスプールデータにアクセスできるようにします。

×:アクセスできないようにします。

注※1

ユーザ名に使用する分類名は,「ユーザ名」と定義するものとします。

注※2

分類名はスプールデータのジョブ検索キーの分類に,キー値はジョブ検索キーの値に,それぞれ対応します。

このとき,スプールデータの属性情報とユーザがアクセスできるスプールデータとの関係は,次の表に示すようになります。

表1‒7 スプールデータの属性情報とアクセス可否

スプールデータの属性

ユーザ別

アクセス可否

ファイル名

ジョブ検索キー

分類1

値1

分類2

値2

ユーザA

ユーザB

ファイルA

ユーザ名

ユーザA

ファイルB

ユーザ名

ユーザA

公開先

部内

×

ファイルC

ユーザ名

ユーザA

公開先

社内

ファイルD

ユーザ名

ユーザB

×

ファイルE

ユーザ名

ユーザB

公開先

部内

×

ファイルF

ユーザ名

ユーザB

公開先

社内

ファイルG

×

(凡例)

−:属性情報がありません。

○:アクセスできます。

×:アクセスできません。

「ユーザA」は,ユーザ名が一致するスプールデータ,および「公開先」の値が「部内」と「社内」のスプールデータにアクセスできます。そのため,「ファイルA」,「ファイルB」,「ファイルC」,「ファイルE」,「ファイルF」にアクセスできます。

「ユーザB」は,ユーザ名が一致するかどうかに関係なく,「公開先」の値が「社内」のスプールデータ,および「公開先」がジョブ検索キーに設定されていないスプールデータにアクセスできます。そのため,「ファイルA」,「ファイルC」,「ファイルD」,「ファイルF」,「ファイルG」にアクセスできます。

(2) ユーザの定義方法

ユーザ定義は最大100,000件登録できます。ユーザ定義の定義方法と定義する際に決めておく内容を説明します。

(a) Windows環境の場合

Windows環境では,[EUR Spool Service 構成定義]ダイアログの[ユーザ定義]タブでユーザを定義します。

[ユーザ定義]タブでの設定手順の詳細は,マニュアル「EUR システム構築ガイド」を参照してください。

(b) UNIX/Linux環境の場合

UNIX/Linux環境では,サンプルファイルを基にユーザ管理ファイルを作成し,ユーザを定義します。

(c) ユーザを定義する際に決めておく情報

ユーザを登録するためには,次の情報を決定しておいてください。なお,4.〜7.はスプールデータへのアクセスを制限する場合に必要です。

  1. ユーザ名に使用するジョブ検索キーの分類名

  2. ユーザ名

  3. ユーザの確認キー

  4. スプールデータのアクセス制限方式(表示するスプールデータ)

  5. ユーザ名が一致するスプールデータにアクセスするかどうか

  6. アクセスを許可するジョブ検索キーの分類名

  7. アクセスを許可するジョブ検索キーのキー値

(3) 注意事項

ユーザ定義を定義する場合の注意事項について次に示します。

デフォルトユーザのユーザ名について

デフォルトユーザは,ユーザ名を持ちません。したがって,ユーザ名が一致するスプールデータにアクセスできるように定義した場合,デフォルトユーザは,ユーザ名のジョブ検索キーを持たないスプールデータにアクセスできます。

ジョブ検索キーの分類名と値の指定について

ユーザ名およびアクセス許可キーに使用するジョブ検索キーは,指定した分類名に対応する値を必ず指定してください。

分類名だけ指定して値に指定がないスプールデータを作成することもできますが,どのユーザ名ともユーザ名が一致しなくなるため,アクセス制御ができなくなります。アクセス許可キーの場合も同様に,どのアクセス許可キーともキー値が一致しなくなるため,アクセス制御ができなくなります。

起動部品を使用する場合のユーザについて

起動部品を使用する場合は,ユーザを指定できないため,デフォルトユーザとして動作します。