ajsembdbrstr
形式
ajsembdbrstr [-mh 論理ホスト名] [-M] [-i 組み込みDB運用ディレクトリ] -d データ領域名称 -bf バックアップファイル [-l アンロードログファイル1,アンロードログファイル2,...| -ld アンロードログ格納ディレクトリ] -e 出力結果ファイル格納ディレクトリ [-id 組み込みDBセットアップ識別子]
機能
組み込みDBをバックアップ,またはバックアップとアンロードログファイルを使ってリストアします。
実行権限
Windowsの場合:Administrators権限
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
格納先ディレクトリ
- Windowsの場合
-
JP1/AJS3 - Managerインストール先フォルダ\tools\
- UNIXの場合
-
/opt/jp1ajs2/tools/
引数
-mh 論理ホスト名
このオプションは指定不要になりました。このオプションで指定していた論理ホスト名は無視されます。
-M
システム領域を回復する時に指定してください。
システム領域とは,組み込みDBのシステムの内部情報を格納している領域のことです。
組み込みDBのシステム領域を回復する場合には,システム領域を回復するための特別なモードで起動する必要があります。
このモードでは,データ領域の回復ができないので,システム領域の回復が完了したあと,一度ajsembdbstopコマンドを実行して組み込みDBを停止させ,再度ajsembdbstartコマンドにオプションを指定しないで再開始する必要があります。
システム領域とデータ領域を回復する場合,-M以外のオプション,バックアップファイル,アンロードログファイルは同じものを指定してください。
別々のものを指定した場合,データを破壊してしまう場合があるため十分注意してください。
次の場合,このオプションを指定してシステム領域を回復したあと,データ領域を回復してください。
-
組み込みDBサーバが障害によって停止し,再起動しても起動しない場合。
-
組み込みDBの障害を取り除いてください。
-
ajsembdbstartコマンドに-rオプションを指定して実施し,システム領域回復ができる状態で組み込みDBを起動してください。
-
ajsembdbrstrコマンドに-Mオプションを指定して実行し,組み込みDBのシステム領域を回復してください。
-
3.が正常に終了した場合,ajsembdbstopコマンドを実施し,システム領域を回復できる状態で起動している組み込みDBを停止させてください。
-
組み込みDBのajsembdbstartコマンドを実施し,通常の状態で組み込みDBを起動してください。
-
ajsembdbrstrコマンドを実行し,組み込みDBのデータ部分の回復を行ってください。
-
ajsembdbstartコマンドおよびajsembdbstopコマンドの詳細については,「3. 通常の運用で使用するコマンド ajsembdbstart」および「3. 通常の運用で使用するコマンド ajsembdbstop」を参照してください。
-i 組み込みDB運用ディレクトリ
組み込みDBの運用ディレクトリを指定します。ディレクトリは絶対パスで指定してください。Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。ajsembdbbuildコマンド-iオプションで指定したディレクトリと同じディレクトリを指定してください。UNIXのセットアップでajsembdbbuildコマンドの-iオプションを省略した場合は,このオプションを省略できます。
省略時は/opt/jp1ajs2/embdb/_JF0が仮定されます。
このオプションは,08-00よりも前のバージョン互換のためのオプションです。通常は,-idオプションを指定してください。
-idオプションと同時に指定した場合,-iオプションに指定した値が有効になります。
-d データ領域名称
組み込みDBのデータ領域名称を指定します。ディレクトリは絶対パスで指定してください。Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。ajsembdbbuildコマンドの-dオプションで指定した場合は次のように指定してください。
- Windowsの場合
-
[-dオプションで指定したディレクトリ名称]\ajssys02
- UNIXの場合
-
[-dオプションで指定したディレクトリ名称]/ajssys02
jajs_setupコマンドまたはjajs_migrateコマンドで作成された組み込みDBに対して操作を行う場合,ajsembdbidlistコマンドで操作対象となる組み込みDBの格納ディレクトリを確認してください。ajsembdbidlistコマンドについては,「2. セットアップコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。
- Windowsの場合
-
[ajsembdbidlistコマンドで確認したディレクトリ名称]\dbarea\ajssys02
- UNIXの場合
-
/var/opt/jp1ajs2/embdb/_JFn※/dbarea/ajssys02
jajs_setup_clusterコマンドで構築された論理ホスト環境の組み込みDBに対して操作を行う場合,-dオプションに指定された値を指定してください。
- Windowsの場合
-
[-dオプションで指定したディレクトリ名称]\jp1ajs2\embdb\_JFn※\dbarea\ajssys02
- UNIXの場合
-
[-dオプションで指定したディレクトリ名称]/jp1ajs2/embdb/_JFn※/dbarea/ajssys02
jajs_setupコマンドで構築された論理ホスト環境の組み込みDBに対して操作を行う場合,-Dオプションに指定された値を指定してください。
- Windowsの場合
-
[-Dオプションで指定したディレクトリ名称]\jp1ajs2\embdb\_JFn※\dbarea\ajssys02
- UNIXの場合
-
[-Dオプションで指定したディレクトリ名称]/jp1ajs2/embdb/_JFn※/dbarea/ajssys02
- 注※
-
このコマンドの-idオプションに指定する値を指定してください。-idオプションを省略する場合,_JF0を指定してください。
-bf バックアップファイル
ajsembdbbackupコマンドで取得したバックアップファイルを指定します。
ディレクトリは絶対パスで指定してください。Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。
-l アンロードログファイル1,アンロードログファイル2...
組み込みDBで取得したアンロードログファイルを回復で使用する場合に指定します。このオプションは組み込みDB環境構築時のajsembdbbuildコマンドに-blオプションを指定した場合に指定してください。
アンロードログファイルは絶対パスで指定してください。Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。アンロードログファイルを指定する場合,指定する順番はアンロードログファイルを取得した順番に指定してください。また,2個以上の複数のアンロードログファイルを指定する場合も,-lから後ろのパスは「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。
バックアップ取得時に,-sオプションを指定していない場合は,アンロードログファイルの入力を省略できます。その場合は,バックアップ取得時点までデータベースを回復します。
-ld アンロードログ格納ディレクトリ
-lオプションと同様に,回復にアンロードログファイルを使用する場合に指定します。アンロードログファイルを格納しているディレクトリの名称を絶対パスで指定してください。
Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパス全体を「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。
-e
リストアの出力結果ファイルを格納するディレクトリを指定してください。Windows版の場合,ディレクトリは絶対パスで指定してください。指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。指定したディレクトリは,事前に作成しておいてください。ディレクトリがない場合はエラーになります。
指定したディレクトリには,次のファイルが格納されます。
-
処理出力結果ファイル
ファイル名称は自動的に決定します。名称は,次の規則によって決定されます。
-
出力結果ファイル:RSTR_XXXXYYZZVVWW.log
XXXX:西暦
YY:月
ZZ:日
VV:時間
WW:分
-id 組み込みDBセットアップ識別子
組み込みDBを識別するセットアップ識別子を「_JFn」(nは0〜9またはA〜Z)の4文字で指定します。ajsembdbbuildコマンドの-idオプションで指定した値を指定してください。
jajs_setupコマンド,jajs_setup_clusterコマンド,およびjajs_migrateコマンドで作成された組み込みDBに対して操作を行う場合,ajsembdbidlistコマンドで操作対象となる組み込みDBのセットアップ識別子を確認してください。ajsembdbidlistコマンドについては,「2. セットアップコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。
このオプションを省略した場合は,_JF0が仮定されます。
-iオプションと同時に指定した場合,-iオプションが優先されます。
注意事項
-
組み込みDBの高度なセットアップ方法でデータベース環境を構築し,アンロードログ運用を行っている場合は,ajsembdbrstrコマンドを実行する前にajsembdboplogコマンドを-wオプションを指定して実行してください。現在使用中のシステムログファイルがアンロードされます。ajsembdbrstrコマンドがエラーになって再実行する場合は,ajsembdboplogコマンドの実行は不要です。
-
スケジューラーサービスを停止した状態で実行してください。
-
リストア実行時にエラーが発生した場合,データベースの回復が不完全である場合があります。エラーが発生した場合,そのままスケジューラーサービスを起動しないでください。
-
ajsembdbbackupコマンドのオプションに-sを指定してバックアップを取得した場合,ajsembdbrstrコマンドでのリストアでは,入力情報としてアンロードログファイルが必要になります。
-
ajsembdbbackupコマンドのオプションに-sを指定しないでバックアップを取得した場合,ajsembdbrstrコマンドでのリストアではアンロードログファイルを使用しないでバックアップファイルだけで回復できます。その場合,バックアップ取得時点までデータベースを回復できます。
-
リストアが正常終了したあと,バックアップを取得してください。
-
コマンドの実行結果は,ログファイルに出力されます。格納先は,次の場所になります。
- Windowsで,インストール先フォルダがデフォルトまたはシステムで保護されたフォルダ配下の場合
-
%ALLUSERSPROFILE%\Hitachi\JP1\JP1_DEFAULT\JP1AJS2\log
「%ALLUSERSPROFILE%」のデフォルトは「システムドライブ\ProgramData」です。
「システムで保護されたフォルダ」とは,次のフォルダを指します。
・「システムドライブ\Windows」配下
・「システムドライブ\Program Files」配下
・「システムドライブ\Program Files (x86)」配下
- Windowsで,インストール先フォルダが上記以外の場合
-
JP1/AJS3 - Managerインストール先フォルダ\log
- UNIXの場合
-
/var/opt/jp1ajs2/log
ファイル名はajsembdbrstr.logです。このファイルは,上書きしないためファイルサイズが無限に大きくなります。必要に応じて退避,削除を行ってください。
このファイルがない場合は,ajsembdbrstrコマンドを実行すると,新たに作成されます。
-
ajsembdbrstrコマンド実行時にエラーが発生した場合は,組み込みDBのデータベース領域は閉塞状態になっています。この状態で再度ajsembdbrstrコマンドを実行するとエラーが発生します。その場合,次の組み込みDBのコマンドを実行して,データベース領域の閉塞状態を解除してください。
pdrels -r ALL -o
pdrelsコマンドを実行する場合は,実行するコマンドプロンプトで事前に環境変数を設定する必要があります。設定する環境変数については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 9.2.3(2) スクリプトを使用してデータベースを再編成する」の,設定が必要な環境変数を示した表を参照してください。
-
組み込みDBの環境を削除して,再構築したあとにデータを回復する場合は,ajsembdbsetupコマンドが完了した状態でajsembdbrstrコマンドを実行してください。
また,ajsembdbaddareaコマンドで組み込みDBのデータベース領域を拡張していた場合は,このコマンドの実行前に同様の拡張を行っておく必要があります。ただし,組み込みDBの高度なセットアップ方法でデータベース環境を構築し,アンロードログ運用を行っている場合は,ajsembdboplogコマンドを-wオプションを指定して実行したあとに実施してください。
拡張手順を次に示します。
Windowsの場合
-
次のフォルダを退避する。
組み込みDB運用フォルダ※\CONF\embrm
-
ajsembdbunsetコマンドを実行する。
-
ajsembdbbuildコマンドを実行する。
-
ajsembdbsetupコマンドを実行する。
-
手順1で退避したフォルダにあるaddareaファイルをaddarea.batにリネームして実行する。
-
ajsembdbrstrコマンドを実行する。
-
手順5でリネームしたファイル名をaddareaに戻す。
-
手順1で退避したフォルダを次のフォルダにリストアする。
組み込みDB運用フォルダ※\CONF
-
手順1で退避したフォルダを削除する。
UNIXの場合
-
次のディレクトリを退避する。
組み込みDB運用ディレクトリ※/conf/embrm
-
ajsembdbunsetコマンドを実行する。
-
ajsembdbbuildコマンドを実行する。
-
ajsembdbsetupコマンドを実行する。
-
手順1で退避したディレクトリにあるaddareaファイルのパーミッションに実行権限を追加して実行する。
-
ajsembdbrstrコマンドを実行する。
-
手順1で退避したディレクトリを次のディレクトリにリストアする。
組み込みDB運用ディレクトリ※/conf
-
手順1で退避したディレクトリを削除する。
- 注※
-
組み込みDB運用フォルダおよび組み込みDB運用ディレクトリはajsembdbidlistコマンドで確認できます。ajsembdbidlistコマンドについては,「2. セットアップコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。
-
-
-lオプションを指定するとき,実際に指定したアンロードログファイルに更新情報が格納されていない場合,ajsembdbrstrコマンドがエラーとなります。
-
このコマンドを同時に複数実行しないでください。同時に複数実行した場合,コマンドが不当にエラーになるおそれがあります。
-
このコマンドは,バックアップ強化機能が有効な組み込みDBに対しては実行できません。実行した場合はコマンドがエラーとなります。
戻り値
0 |
正常終了。 |
0以外の値 |
異常終了。 |
エラー発生時の対処
ajsembdbrstrコマンド実行時にエラーが発生した場合は次の表に従って対処してください。
メッセージ |
原因 |
対処 |
---|---|---|
KFPR26227-E |
アンロードログファイルが指定されていません。 |
次の組み込みDBのコマンドを実行したあとに,-lオプションにアンロードログファイルを指定して,再実行してください。 pdrels -r ALL -o |
KAVS0996-E |
|
指定している引数を見直して,再実行してください。 |
KFPR00765-I Pdrstr terminated, return code=8またはKFPR00765-I Pdrstr terminated, return code=12 |
|
指定しているパスを見直し,次の組み込みDBのコマンドを実行したあとに,再実行してください。 pdrels -r ALL -o |
KFPR26203-E |
-eまたは-ldオプションに指定したパスに権限がありません。 |
指定したパスの権限を見直して,再実行してください。AJS管理者で運用している場合は,AJS管理者に対して権限があるか見直してください。 |
KFPS01984-E |
-iオプションに指定したパスが絶対パスで指定されていません。 |
指定しているパスを見直して,再実行してください。 |
KFPH27006-E |
-dオプションに指定したパスに権限がありません。 |
指定したパスの権限を見直して,再実行してください。AJS管理者で運用している場合は,AJS管理者に対して権限があるか見直してください。 |
KFPH27008-E |
データベース領域が閉塞状態であるため,参照できません。 |
次の組み込みDBのコマンドを実行したあとに,再実行してください。 pdrels -r ALL -o |
Bad directory specified in -i option |
-iオプションに指定したパスが組み込みDBの運用ディレクトリでないか,権限がありません。または,セットアップが正常に行われていません。 |
-iオプションに正しい組み込みDBの運用ディレクトリを指定してください。または,権限を見直して再実行してください。組み込みDBの運用ディレクトリの指定に問題がない場合は,組み込みDBの再セットアップを行ってください。AJS管理者で運用している場合は,AJS管理者に対して権限があるか見直してください。 |
KAVS2104-E |
-idオプションで指定したセットアップ識別子が不正か,組み込みDBがセットアップされていません。 |
-idオプションで指定したセットアップ識別子の値が正しいことを確認してください。 |
KAVS8409-E |
バックアップ強化機能が有効なため実行できません。 |
バックアップ強化機能が有効な組み込みDBをリストアする場合は,jajs_dbrestoreコマンドを使用してください。 |