7.10 カスタムイベントジョブ使用時の注意事項
カスタムイベントジョブ使用時の注意事項を次に示します。
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カスタムイベントジョブは,実行エージェントグループでの運用に対応していません。ルートジョブネットやネストジョブネットに実行エージェントグループを指定した場合,ジョブネット配下の実行エージェントの指定がないカスタムイベントジョブは,ジョブネットに指定した実行エージェントグループを実行エージェントとしてジョブを実行しようとします。このとき,実行エージェントグループと同名の実行エージェントがあれば,該当する実行エージェントに対してカスタムイベントジョブを実行します。実行エージェントグループと同名の実行エージェントがなければ,ジョブの実行時に統合トレースログにメッセージ「KAVT0403-E 指定されたエージェントはジョブ実行環境に定義されていません(host=実行エージェント名,保守情報)」を出力してエラーになります。したがって,ルートジョブネットやネストジョブネットに実行エージェントグループを指定する場合には,ジョブネット配下のカスタムイベントジョブに明示的に実行エージェントを指定しておいてください。
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カスタムイベントジョブの詳細定義の[実行エージェント]には,実行エージェントグループ名を指定できません。
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起動条件中のカスタムイベントジョブについては,起動条件監視中にJP1/AJS3 - Managerが停止した場合,再起動後に再びイベント監視を始められます。また,起動条件で複数のイベントを監視していた場合,条件が成立していたイベントの受信情報を,再起動後も保持しておけます。
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起動条件を定義してジョブネットを起動するのと同じように,カスタムイベントジョブをジョブネットの先頭に定義すると,条件が成立するのを待ってジョブネットを実行できます。起動条件を定義した場合,イベント受信の監視中は,ジョブネットが起動条件待ち状態になります。カスタムイベントジョブを定義した場合,イベント受信の監視中は,ジョブネットが実行中状態になります。カスタムイベントジョブを先頭に定義する場合は,計画的に発生することがわかっている事象を待つ場合に使うことを推奨します。
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カスタムイベントジョブに打ち切り時間を指定した場合,打ち切り時間は実行先のエージェントホストでカウントします。このため,実行先のエージェントホストが電源ダウンなどで再起動するなどして,カスタムイベントジョブによる事象の監視が継続された場合,打ち切り時間は実行先のエージェントホストが再起動した時刻からカウントされます。
なお,打ち切り時間のカウントの再開始,および再開始された時刻は,カスタムイベントジョブの実行結果詳細に出力されるメッセージ「KAVT0603-W 監視が一時中断された為,打ち切り時間は再開始時間からの経過となります」で確認できます。
また,エージェントホストの状態に関係なく,絶対時刻で監視を打ち切る場合は,ジョブネットの起動条件にカスタムイベントジョブを定義し,起動条件の有効範囲を絶対時刻で指定してください。起動条件の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 3.4 起動条件の定義」を参照してください。
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カスタムイベントジョブを使用する場合,システム負荷や一時的なネットワーク障害などによって,カスタムイベントジョブを実行した時間と実際に実行エージェントでイベントの監視が実行中になるまでのタイムラグが発生することがあります。この場合,実際にイベントの監視が実行中になってから発生したイベントが検知の対象となります。このため,カスタムイベントジョブを実行する時間は監視対象とするイベントが発生する時間を考慮し,余裕を持った時間に実行する必要があります。
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カスタムイベントジョブ(起動条件に設定しているものを含む)を実行した場合,実行したカスタムイベントジョブの定義データや,監視条件が成立した際のイベントの情報などがイベント・アクション制御マネージャーやイベント・アクション制御エージェントなどのプロセス間で通信されます。その際,一時的なネットワーク障害や通信相手のプロセスがビジー状態などで通信できないと,いったん通信する情報をファイルに保存し,時間をおいて再試行します。JP1/AJS3ではこのファイルを「未通知情報」と表現しています。再試行に成功すると,未通知情報を削除します。
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マネージャー・エージェント構成でイベント・アクション制御マネージャーとイベント・アクション制御エージェントがネットワーク障害などで通信できない場合,次のような操作をすると,カスタムイベントジョブ(起動条件として定義されているカスタムイベントジョブも含む)はマネージャー上で終了状態になってもエージェント上では監視し続けるという矛盾が発生します。
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カスタムイベントジョブを強制終了する。
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起動条件付きジョブネットを強制終了する。
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カスタムイベントジョブの状態を状態変更して終了状態に遷移させる。
矛盾が発生しているカスタムイベントジョブは再実行できなくなったり,その他の正常なカスタムイベントジョブの処理を遅延させたりします。
そのため,ネットワーク障害などが発生している間にこのような操作をした場合は,マネージャーホストでjpomanjobshowコマンドを,エージェントホストでjpoagtjobshowコマンドを実行してください。その結果を比較して,マネージャー上で終了しているカスタムイベントジョブがエージェント上では監視中となっていないか確認してください。
確認の結果,エージェント上のカスタムイベントジョブだけが監視中となっていた場合は,エージェントホストのJP1/AJS3サービスを再起動し,エージェント上で監視し続けているカスタムイベントジョブを終了させてください。
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