4.5.4 登録済みのジョブネットを即時実行する
即時実行は,現在時刻の実行予定を生成して,登録済みのジョブネットをすぐに実行します。計画実行登録されたルートジョブネット,および確定実行登録されて次回実行予定があるジョブネットに対して有効です。
次回実行予定があるルートジョブネットを即時実行する場合,次回実行予定をそのまま残しておく(次回予定追加)か,取り消すか(次回予定移動)を選択できます。
次回実行予定を残して即時に実行する場合は,実行登録方法によって動作が異なります。
- 計画実行登録の場合
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元の実行予定を前倒しで即座に実行します。
元の実行予定がすでに計画一時変更されていた場合,一時変更情報は前倒しにした実行予定に引き継がれます。
元の開始予定日時に生成する実行予定には,一時変更情報は引き継がれません。
- 確定実行登録の場合
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元の実行予定はそのまま残し,即時実行される実行予定を新しくスケジューリングして追加します。
元の実行予定がすでに計画一時変更されていた場合,追加する実行予定ではジョブネットの一時変更情報を複製します。しかし,ジョブの一時変更情報は複製しません。
ネストジョブネットを即時実行する場合,上位ジョブネットに実行予定がなければ実行されません。また,上位ジョブネットの実行が開始するまでは実行されません。
ルートジョブネットを即時実行する場合,その配下のネストジョブネットは,ルートジョブネットの実行登録方法によって実行されるかされないかが決まります。
- 計画実行登録したルートジョブネットを即時実行した場合
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ネストジョブネットの実行予定が生成されます。ただし,即時実行,一時変更,または追加操作され実行予定が確定しているネストジョブネットについては,「確定実行登録したルートジョブネットを即時実行した場合」と同じ動作になります。
- 確定実行登録したルートジョブネットを即時実行した場合
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確定実行登録では実行予定が確定しているため実行予定は生成されません。
ルートジョブネットの実行日が変わる場合,ネストジョブネットの実行開始予定時刻は,変更後のルートジョブネット実行開始予定日の基準時刻から48時間以内で実行するように実行予定が調整されます。
ネストジョブネットの実行時刻が変更され,意図しない実行時刻になった場合は,ネストジョブネットの実行予定を一時変更してください。
また,配下のスケジュールを連動して即時実行した場合※,選択したジョブネット配下の,すべてのジョブネットの開始時刻が相対的に変更されます。
即時実行した実行日時は,変更を解除して元の実行日時に戻せます。ただし,開始予定時刻前に,確定実行登録や即時実行登録したルートジョブネットの実行予定を前倒しして実行予定を追加した場合は,変更を解除することによって,前倒しして追加した実行予定の実行日時を元の実行日時に戻せます。ただし,変更を解除した実行予定はなくならないで,元の実行予定と同じ実行開始日時に戻ります。そのため,二つの実行予定が,同じ実行開始日時に実行されてしまいます。前倒しして追加した実行予定を取り消すには,変更解除ではなく,前倒しして追加した実行予定を実行中止してください。
- 注※
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JP1/AJS3 - Viewでは,[計画一時変更]から[即時実行]を選択し,配下の開始日時もずらす指定をして即時実行する場合です。コマンドでは,ajsplanコマンドに-iオプションを指定して即時実行する場合です。
- 注意事項
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ルートジョブネットのスケジュール定義に48時間制スケジュールを採用していても,即時実行した時点の日時で実行されます。例えば,8/1の34:00の実行予定を8/2の8:00に即時実行した場合,8/1の32:00として実行されるのではなく,8/2の8:00として実行されます。
計画実行登録,または確定実行登録したジョブネットに対して,現在日時が8/1の12:00のときに即時実行した場合の動作を,次の図に示します。
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ルートジョブネットを即時実行した場合
ルートジョブネットを即時実行した場合,ネストジョブネットの実行予定の時刻変更は,ルートジョブネットの実行登録方法によって異なります。
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ルートジョブネットが計画実行登録している場合
計画実行登録したルートジョブネットを即時実行した場合の時刻変更について,次の図に示します。
図4‒34 計画実行登録したルートジョブネットを即時実行した場合 ルートジョブネットAは,8/1の12:00の実行予定が生成され,すぐに実行されます。
ネストジョブネットBは,8/1の実行予定がないため,実行されません。
ネストジョブネットCは,スケジュール定義の開始日が登録日であり,即時実行後のルートジョブネットAの実行日と重なるため,8/1の15:00の実行予定が生成され,実行されます。
ネストジョブネットDは,8/1の実行予定がないため,実行されません。
ネストジョブネットB,およびネストジョブネットDを実行する場合は,ルートジョブネットを即時実行する前にネストジョブネットB,およびネストジョブネットDを選択して即時実行してください。
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ルートジョブネットが確定実行登録している場合
確定実行登録したルートジョブネットを即時実行した場合の時刻変更について,次の図に示します。
図4‒35 確定実行登録したルートジョブネットを即時実行した場合 ルートジョブネットAは,8/1の12:00の実行予定が生成され,すぐに実行されます。
ネストジョブネットBとCは,実行予定は生成されませんが,ルートジョブネットAの基準時刻から48時間以内へ調整されるため,最終日時(8/2 23:59:59)に実行予定が変更されます。
ネストジョブネットDは,8/1の実行予定がないため,実行されません。
ネストジョブネットDを実行する場合は,ルートジョブネットを即時実行する前にネストジョブネットDを選択して即時実行してください。
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配下のスケジュールを連動してルートジョブネットを即時実行した場合
計画実行登録,または確定実行登録したルートジョブネット配下のスケジュールを連動して即時実行した場合の時刻変更について,次の図に示します。
図4‒36 配下のスケジュールを連動してルートジョブネットを即時実行した場合 ルートジョブネットAは,8/1の12:00の実行予定が生成され,すぐに実行されます。
ネストジョブネットBとCは,ルートジョブネットAの開始時刻から現在時刻までの差分の時間分を,相対的にずらした日時に実行予定が変更されます。上記の図の場合は差分時間が46時間となるため,ジョブネットBとCは,8/1の17:00の実行予定が生成され,実行されます。
ネストジョブネットDは,8/1の実行予定がないため,実行されません。
ネストジョブネットDを実行する場合は,ルートジョブネットを即時実行する前にネストジョブネットDを選択して即時実行してください。
この操作は,JP1/AJS3 - View,Web GUI(ジョブポータル),計画一時変更(即時実行)APIまたはajsplanコマンドで実行できます。JP1/AJS3 - Viewでの操作については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 9.4 実行予定があるジョブネットをすぐに実行する」を,Web GUI(ジョブポータル)での操作については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 15.2.25 [即時実行]ダイアログボックス」を,計画一時変更(即時実行)APIで操作する場合は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 7.1.13 計画一時変更(即時実行)API」を,また,コマンドで操作する場合は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド ajsplan」を参照してください。