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JP1 Version 13 JP1/Base 運用ガイド


5.9.3 非クラスタ環境での論理ホスト運用

JP1の操作,バックアップやリカバリーなど,フェールオーバーしない論理ホストの運用方法は,クラスタシステムで運用する論理ホストと同じです。ただし,クラスタソフトと連動してフェールオーバーすることを除きます。

〈この項の構成〉

(1) 起動と停止

論理ホストのJP1は,次の順に起動してください。

  1. JP1/Base

  2. JP1/Baseを前提とするJP1製品

また,論理ホストのJP1は,次の順に停止してください。

  1. JP1/Baseを前提とするJP1製品

  2. JP1/Base

(2) 自動起動および自動停止の設定例

システム開始時および停止時に,論理ホスト用のJP1サービスを自動起動および自動停止する場合は,以下の手順で設定する必要があります。設定方法は,JP1/BaseがサポートするOSによって異なります。OSごとの設定方法を次に示します。

(a) Windows環境の場合

  1. 起動順序定義ファイル(JP1SVPRM.DAT)に,次の記述をテキストエディターで追記する。

    格納先:インストール先フォルダ\conf\boot\JP1SVPRM.DAT

    [Jp1BaseEvent_論理ホスト名]
    Name=JP1/BaseEvent_論理ホスト名
    ServiceName=JP1_Base_Event 論理ホスト名
     
    [Jp1Base_論理ホスト名]
    Name=JP1/Base_論理ホスト名
    ServiceName=JP1_Base_論理ホスト名
    StopCommand=jbs_spmd_stop.exe -h 論理ホスト名
     
    [Jp1AJS2_論理ホスト名]
    Name=JP1/AJS2_論理ホスト名
    ServiceName=JP1_AJS2_論理ホスト名
    StopCommand=jajs_spmd_stop.exe -h 論理ホスト名

    StopCommandパラメーターで指定しているコマンドは,JP1/Power Monitorからのシャットダウン時に実行されます。

(b) AIX環境の場合

  1. mkitabコマンドで/etc/inittabファイルに以下の記述を追加する。

    # mkitab -i hntr2mon 
    "ユニークな識別子:2:wait:/etc/opt/jp1base/jbs_start.cluster 論理ホスト名"
    # mkitab -i ユニークな識別子 
    "ユニークな識別子:2:wait:/etc/opt/jp1ajs2/jajs_start.cluster 論理ホスト名"

    注 「ユニークな識別子」の部分は14バイト以内で,該当するファイル内でユニークになるように設定してください。

    (例)

    # mkitab -i hntr2mon 
    "jp1base_ronri1:2:wait:/etc/opt/jp1base/jbs_start.cluster 論理ホスト名"
    # mkitab -i jp1base_ronri1 
    "jp1ajs2_ronri1:2:wait:/etc/opt/jp1ajs2/jajs_start.cluster 論理ホスト名"

    この記述を追加すると,システムの起動時にJP1サービスの起動処理が実行されます。

  2. /etc/rc.shutdownのJP1/Baseを前提とする製品の記述のあとに,次の記述をテキストエディターで追記します。

    test -x /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop.cluster && /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop.cluster 論理ホスト名
    test -x /etc/opt/jp1base/jbs_stop.cluster && /etc/opt/jp1base/jbs_stop.cluster 論理ホスト名
    test -x /opt/hitachi/HNTRLib2/etc/D002stop && 
    /opt/hitachi/HNTRLib2/etc/D002stop

    この記述を追加すると,システムの停止時にJP1サービスの停止処理が実行されます。

(c) Linux環境の場合

  1. 論理ホストの自動起動および自動停止用にUnitファイルを作成する。

    格納先:/etc/systemd/system/jp1_base_論理ホスト名.service

    Unitファイル例

    [Unit]
    # Service name
    Description=JP1/Base 論理ホスト名 Service
    After=rsyslog.service network.target network.service HNTRLib2D002.service
    ConditionFileIsExecutable=/etc/opt/jp1base/jbs_start.cluster
    ConditionFileIsExecutable=/etc/opt/jp1base/jbs_stop.cluster
     
    [Service]
    # Service type
    Type=forking
     
    # Service operations
    ExecStart=/etc/opt/jp1base/jbs_start.cluster 論理ホスト名
    ExecStop=/etc/opt/jp1base/jbs_stop.cluster 論理ホスト名
     
    KillMode=none
     
    StandardOutput=null
    StandardError=null
     
    [Install]
    WantedBy=multi-user.target graphical.target
  2. Unitファイルを有効にします。

    次のコマンドを実行してUnitファイルを有効にします。

    systemctl --system enable jp1_base_論理ホスト名.service

なお,JP1サービスの自動停止をする場合は,必ず自動起動もするようにしてください。自動停止だけを設定している場合,停止スクリプトが起動されません。

(d) 物理ホストおよび論理ホストの両方で自動起動および自動停止をする場合の設定

物理ホストおよび論理ホストの両方で自動起動および自動停止をしたい場合は,論理ホストの自動起動および自動停止の設定に加えて,次に示す設定をする必要があります。なお,設定方法はOSごとに異なります。OSごとの設定方法を次に示します。

Windows環境の場合

起動管理機能では,起動順序定義ファイル(JP1SVPRM.DAT)に記載された順番どおりに上から起動・停止処理が実行されます。物理ホストおよび論理ホストの起動順序を変更したい場合は,起動順序定義ファイル(JP1SVPRM.DAT)で,起動または停止したい順に,物理ホストおよび論理ホストの起動・停止順序を定義してください。

Linux環境の場合

物理ホストおよび論理ホスト間で自動起動および自動停止の順序を調整したい場合の設定については,「(e) 物理ホストおよび論理ホスト間で起動順序を調整する場合の設定(Linux環境の場合)」を参照してください。

AIX環境の場合

物理ホストの自動起動および自動停止をする場合は,追加設定が必要です。追加設定については,「7.2.1 自動起動および自動終了の設定」を参照してください。

(e) 物理ホストおよび論理ホスト間で起動順序を調整する場合の設定(Linux環境の場合)

Linux環境の場合で,物理ホストおよび論理ホスト間で自動起動および自動停止の順序を調整したい場合は,論理ホストの自動起動および自動停止の設定に加えて,次に示す設定をする必要があります。

物理ホストを先に起動する場合

論理ホスト用のUnitファイルを編集します。

格納先:/etc/systemd/system/jp1_base_論理ホスト名.service

編集個所:「After=」行の末尾に「jp1_base.service」を追記します。

Unitファイル例

[Unit]
# Service name
Description=JP1/Base 論理ホスト名 Service
After=rsyslog.service network.target network.service HNTRLib2D002.service jp1_base.service
ConditionFileIsExecutable=/etc/opt/jp1base/jbs_start.cluster
ConditionFileIsExecutable=/etc/opt/jp1base/jbs_stop.cluster
論理ホストを先に起動する場合

論理ホスト用のUnitファイルを編集します。

格納先:/etc/systemd/system/jp1_base_論理ホスト名.service

編集箇所:「Before=」行を追記して,「jp1_base.service」を定義します。

Unitファイル例

[Unit]
# Service name
Description=JP1/Base 論理ホスト名 Service
Before=jp1_base.service
After=rsyslog.service network.target network.service HNTRLib2D002.service
ConditionFileIsExecutable=/etc/opt/jp1base/jbs_start.cluster
ConditionFileIsExecutable=/etc/opt/jp1base/jbs_stop.cluster

(3) 論理ホストのJP1に対する操作

論理ホストに作成したJP1に対してコマンドを実行する場合は,クラスタシステムで動作する論理ホストと同様に論理ホスト名を明示して実行してください。

(4) 論理ホストの引き継ぎ

非クラスタ環境の論理ホストでは共有ディスク上の管理情報が引き継がれないため,フェールオーバーに対応していません。複数のホストで論理ホストIPを引き継ぐ運用はしないでください。