2.10.4 JP1/Baseの通信方式の注意事項
JP1/Baseは通信をする際,ホスト名を意識して動作します。物理ホスト上で動作する場合はhostnameコマンドで返されるホスト名を自ホスト名と認識し,論理ホスト上で動作する場合はクラスタシステム用の設定をした際に指定した論理ホスト名を自ホスト名と認識して動作します。そのため,次の事項にご注意ください。
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基本的には代表となるホスト名を一つだけ使用し,複数のエイリアス名による運用は避けてください。
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ホスト名に対して割り当てられているIPアドレスを解決できない場合,正しく動作しません。
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ホスト名からIPアドレスへの変換,およびIPアドレスからホスト名への変換(逆引き)の両方ができるように設定してください。特に,DNSサーバ(Active Directory含む)で名前解決をする場合は,両方の変換ができるように設定する必要があります。
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複数LAN接続の環境の場合,名前解決によって複数のIPアドレスが取得される環境では,送信時に,ホスト名に対応する最優先のIPアドレスが使用されます。
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送信をIPバインド方式にしている場合,送信側のIPアドレスは,自ホスト名に対応する最優先のIPアドレスが使用されます。
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非ループバックアドレスからループバックアドレス,およびその逆方向の接続を行うと通信障害が発生します。これは非ループバックアドレスが同一ホスト内のものであっても同様です。そのため,JP1/Baseの運用でループバックアドレスを使用することはできません。また,アドレス解決の結果,ループバックアドレスとなるホスト名での運用もできません。
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JP1/Baseで使用するIPアドレスとホスト名をhostsファイルに定義する場合は,IPアドレスとホスト名の組み合わせが重複しないように定義してください。
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Linuxの場合,JP1/Baseを使用する環境では,net.ipv4.ip_nonlocal_bindに1を設定しないでください。net.ipv4.ip_nonlocal_bindに1が設定されていると,JP1/IM構成管理のプロファイル収集が失敗します。net.ipv4.ip_nonlocal_bindの設定内容はsysctlコマンドで確認できます。
# sysctl net.ipv4.ip_nonlocal_bind
net.ipv4.ip_nonlocal_bindに1が設定されている場合,次のどちらかの手順を実施してください。
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/etc/sysctl.confファイルの本パラメータの記述を削除し,システムを再起動または「sysctl -w net.ipv4.ip_nonlocal_bind=0」コマンドを実行してから,JP1/Baseを前提とするプログラムとJP1/Baseを再起動する。
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/etc/sysctl.confファイルの設定を「net.ipv4.ip_nonlocal_bind = 0」に変更し,「sysctl -p」コマンドを実行してから,JP1/Baseを前提とするプログラムとJP1/Baseを再起動する。
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JP1/Baseは通信時のホスト名から,一意のホスト名・IPアドレスが求まらない環境では使用できません。そのため,ダイナミック・モード(そのときに空いている番号を割り当てて,自動的にルールを設定および変更する方法)のNATやポート変換機能を含むNAPT(IP Masquerade,NAT+)には対応していません。
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DHCPの使用
DHCPによって,JP1/Baseが使用するIPアドレスを管理する場合,IPアドレスの割り当て期限を無制限にしてIPアドレスが変わらないようにしてください。
JP1/Baseの動作中に,使用するIPアドレスが変更されると正常に動作できません。