Hitachi

JP1 Version 13 JP1/Integrated Management 3 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス


jr3algetコマンドの環境パラメーター設定ファイル(jr3alget.ini)

jr3algetコマンド実行時に,引数として環境パラメーター設定ファイルを指定すると,ファイルの設定内容を基に,SAPシステムのCCMSアラート情報が抽出されます。

この環境パラメーター設定ファイルは,テキストファイルとしてユーザーが作成します。

〈このページの構成〉

設定手順

環境パラメーター設定ファイルの設定手順を次に示します。

  1. 環境パラメーター設定ファイルを編集する前に,jr3algetコマンドが実行されていないことを確認する。

  2. 環境パラメーター設定ファイルを新規に作成する場合は,環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイルを「jr3alget.ini」の名前でコピーする。

    この「jr3alget.ini」が,デフォルトの環境パラメーター設定ファイルとなります。環境パラメーター設定ファイルのサンプルファイルを次に示します。

    ■統合エージェントホスト

    Windowsの場合

    ・物理ホストのとき

    Windows版のSAPシステム監視のアーカイブファイルの展開先\sap_windows\command\agtm\evtrap\jr3alget.ini.sample

    注※ Agentパス\options\sap_windows_VVRRSS.zip

    Linuxの場合

    ・物理ホストのとき

    Linux版のSAPシステム監視のアーカイブファイルの展開先/sap_linux/command/agtm/evtrap/jr3alget.ini.sample

    注※ /opt/jp1ima/options/sap_linux_VVRRSS.tar.gz

  3. jr3alget.iniを開く。

  4. 設定内容を編集する。

    デフォルトの環境パラメーター設定ファイルの設定内容を次に示します。設定内容については,「設定内容」を参照してください。

    [図データ]

    コメント行を表す「;」が行頭にある項目は,デフォルトでは設定が有効になっていません。設定を有効にするには,コメント行を表す「;」を外してください。

  5. 環境パラメーター設定ファイルを保存する。

    jr3algetコマンド実行時に-cnfオプションを指定することで,環境パラメーター設定ファイルの内容を基にSAPシステムのCCMSアラート情報が抽出されます。

設定内容

環境パラメーター設定ファイルは,次の形式で記述します。

[セクション]
ラベル=
ラベル=
:
:
[セクション]
ラベル=
ラベル=
注意
  • 行頭および「=」の前後に,空白文字などの余計な文字を設定しないでください。

  • セクションおよびラベルでは,指定した値の大文字・小文字は区別されません。

  • 行の先頭に「;」を指定すると,その行はコメントとして扱われます。

次に,環境パラメーター設定ファイルの各セクションで設定する内容を表形式で説明します。表の「引数」列は,jr3algetコマンドでも指定できる設定値の場合,コマンドで指定する際の引数を示します。「−」は,コマンドでは指定できない項目を示します。

CONNECTセクション

CONNECTセクションでは,コマンド実行時に,SAPシステムとのRFC接続を確立するための情報を指定します。

表2‒108 CONNECTセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

引数

ASHOST

接続先のアプリケーションサーバのホスト名(トランザクションコードSM51で確認できるホスト名)。

1〜100バイトの半角英数字。次の形式で指定できる。

  • hostsファイルに指定されたホスト名

  • IPアドレス

  • SAPルーターアドレス

localhost

-h

SYSNR

接続先のアプリケーションサーバホストで識別するためのシステム番号。

0〜99

00

-s

CLIENT

接続に利用するユーザーのクライアント名。

0〜999

000

-c

USER

接続に利用するユーザー名。※1

1〜12バイトの半角英数字。

CPIC

-u

PASSWD

接続に利用するユーザーのパスワード。※2

1〜8バイトの半角文字列。※3

ADMIN

-p

PASSWD2

接続に利用するユーザーの拡張パスワード。※2

1〜40バイトの半角文字列。※3

ADMIN

-p2

LANG

接続に利用するユーザーの言語。

日本語と英語が使用できる。 次に示すSAPシステムで使用されている2バイトのISO IDまたは1バイトの言語キーを指定する。

  • 日本語の場合:JAまたはJ

  • 英語の場合:ENまたはE

なし

-l

CODEPAGE

接続先のUnicode版SAPシステムで文字コードを変換するときに使用するコードページ。

LANGラベルの言語と組み合わせて指定する。※4

なし

-codepage

注※1

このラベルで指定するユーザーには,次の権限を付与しておく必要があります。

表2‒109 ユーザーが汎用モジュールにRFC接続するための権限(S_RFC)

権限項目

説明

RFC_TYPE

保護されるRFCオブジェクトのタイプ

FUGR(汎用グループ)

RFC_NAME

保護されるRFC名

*

ACTVT

アクティビティ

16(実行)

表2‒110 外部管理インターフェースを使用するための権限(S_XMI_PROD)

権限項目

説明

EXTCOMPANY

外部管理ツールの会社名

HITACHI

EXTPRODUCT

外部管理ツールのプログラム名

JP1

INTERFACE

インターフェースID

XAL

また,このラベルで指定するユーザーには,次のタイプのユーザーが使用できます。

  • ダイアログ(Dialog)

  • システム(System)

  • 通信(Communication)

  • サービス(Service)

注※2

PASSWDラベルは,SAPシステム側で従来型のパスワードルールが適用されている場合に指定します。PASSWD2ラベルは,SAPシステム側で拡張パスワードルールが適用されている場合に指定します。PASSWDラベルとPASSWD2ラベルは同時に指定できません。

注※3

接続に利用するユーザーのパスワード,および拡張パスワードは,半角数字(0〜9),半角英字(a〜z,A〜Z),および次の半角記号で定義してください。

! @ $ % & / ( ) = ? ' ` * + ~ # - _ . : { [ ] } < > |

注※4

LANGラベルとCODEPAGEラベルは,次の組み合わせで設定してください。次の組み合わせ以外の言語とコードページを指定した場合,SAPシステムから取得した情報が文字化けする可能性があります。

表2‒111 言語とコードページの指定内容の組み合わせ

接続先

SAPシステム

接続言語

言語

(LANG)

コードページ(CODEPAGE)

Unicode版

日本語

JA

8000

英語

EN

指定する必要はありません。指定する場合は,1100を指定してください。

非Unicode版

日本語

JA

指定する必要はありません。指定する場合は,8000を指定してください。

英語

EN

指定する必要はありません。指定する場合は,1100を指定してください。

LANGラベルの指定を省略した場合,接続先システムで定義されているユーザーの言語が仮定されます。

CODEPAGEラベルの指定を省略した場合,接続先システムのデフォルトコードページが仮定されます。

COMMANDセクション

COMMANDセクションでは,jr3algetコマンドの作業ディレクトリの情報を指定します。

表2‒112 COMMANDセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

引数

WORKDIR

コマンドの作業ディレクトリ。

1〜255バイトの半角英数字。相対パスを指定した場合,カレントディレクトリからの相対パスとなる。

カレントディレクトリ

TRACEセクション

TRACEセクションでは,jr3algetコマンドの実行履歴が保存されるメッセージログおよびデータログの情報を指定します。

表2‒113 TRACEセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

引数

MSGLOG_LEVEL

アプリケーションのトレース情報を保存するメッセージログの取得レベル。

  • 0:採取しない

  • 1:エラーだけ採取

  • 2:標準

  • 3:詳細

  • 4:デバッグ

0〜4

2

MSGLOG_SIZE

メッセージログを取得するファイル容量。

  • 0:2GB(32ビットの符号付き整数で示せる最大値(0x7FFFFFFF))

  • 1〜65535:指定サイズ(単位:キロバイト)内でラップアラウンド

0〜65535

512

MSGLOG_DIR

メッセージログファイル(jr3alget.log)の取得先ディレクトリ。

1〜255バイトの半角英数字。ファイル名部分のjr3alget.logまでを含めて255バイト以内で指定する必要がある。相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリからの相対パスとなる。

コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルで変更していないときは,カレントディレクトリ)

DATALOG_LEVEL

アプリケーションの各種データ情報を保存するデータログの取得レベル。

  • 0:採取しない

  • 1:エラーだけ採取

  • 2:標準

  • 3:詳細

  • 4:デバッグ

0〜4

2

DATALOG_SIZE

データログを取得するファイル容量。

  • 0:2GB(32ビットの符号付き整数で示せる最大値(0x7FFFFFFF))

  • 1〜65535:指定サイズ(単位:キロバイト)内でラップアラウンド

0〜65535

512

DATALOG_DIR

データログファイル(jr3alget.dat)の取得先ディレクトリ。

1〜255バイトの半角英数字。ファイル名部分のjr3alget.datまでを含めて255バイト以内で指定する必要がある。相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリからの相対パスとなる。

コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルで変更していないときは,カレントディレクトリ)

TARGETセクション

TARGETセクションでは,抽出対象のCCMSアラート情報を特定するための情報を指定します。

表2‒114 TARGETセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

引数

MONITOR_SET

モニターセット名(詳細は-msオプションを参照)。

1〜60バイトの半角英数字。

SAP CCMS Technical Expert Monitors

-ms

MONITOR

モニター名(詳細は-mnオプションを参照)。

1〜60バイトの半角英数字。

All Monitoring Contexts

-mn

FORMATセクション

FORMATセクションでは,出力されるCCMSアラート情報の出力形式を指定します。

表2‒115 FORMATセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

引数

COLUMN

出力されるCCMSアラート情報の出力形式。

フィールドID。フィールドIDについては,「jr3alget」(1. コマンド)の「出力形式および内容」を参照してください。

列1:<ALERTDATE>

列2:<ALERTTIME>

列3:<MTSYSID>

列4:<MTMCNAME>

列5:<OBJECTNAME>

列6:<FIELDNAME>

列7:<VALUE>

列8:<SEVERITY>

列9:<MSG>

TIMEZONE

フィールドID<ALERTDATE>,<ALERTTIME>,<STATCHGDAT>,<STATCHGTIM>で指定された時刻情報に関するタイムゾーン指定。

  • UTC

    UTC(世界標準時)で出力する。

  • LOCAL

    コマンドを実行したユーザーのローカルタイムで出力する。

UTC

TIMEZONE

EXTRACTFILEセクション

EXTRACTFILEセクションでは,CCMSアラート情報の出力ファイルの情報を指定します。

表2‒116 EXTRACTFILEセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

TYPE

CCMSアラート情報を格納するファイルの形式。

  • WRAP1

    CCMSアラート情報が一定の容量に達すると,ラップアラウンドして再び先頭からデータを上書きする形式のファイルです。

  • WRAP2

    NUMラベルで設定した複数のファイルを持つ形式です。1つ目のファイルが一定の容量に達すると,ラップアラウンドして2つ目のファイルに書き込みます。このとき,2つ目のファイルのデータを削除し,先頭からデータを書き込みます。

    複数のファイルすべてで一定の容量に達すると,1つ目のファイルに戻ってデータを削除し,先頭からデータを書き込みます。

JP1/IM - Agentの環境を新規で構築する場合は,WRAP2を指定することを推奨します。

運用の開始後,格納ファイルの形式を変更する場合は,事前に格納ファイルを監視している製品を停止し,格納ファイルとその管理ファイル※1を削除してください。

WRAP1またはWRAP2

WRAP1

SIZE

1ファイル当たりの格納ファイル容量。

  • 0:

    2GB(32ビットの符号付き整数で示せる最大値(0x7FFFFFFF))

  • 1〜65535:

    指定サイズ内でラップアラウンド(キロバイト)。

0〜65535

10240

X2PATH

  • TYPEラベルでWRAP1を設定している場合

    -x2オプションで,格納ファイル出力を指定したときに適用される格納ファイルのパスを指定する。※1※2

  • TYPEラベルでWRAP2を設定している場合

    -x2オプションで,格納ファイル出力を指定したときに適用される格納ファイルを指定する。※3※4

  • TYPEラベルでWRAP1を設定している場合

    1〜251バイトの半角英数字。※4

  • TYPEラベルでWRAP2を設定している場合

    1〜254バイトの半角英数字。※4

NUM

WRAP2形式で格納するときのファイル数。

TYPEラベルでWRAP2を設定している場合だけ有効です。

2〜9

5

(凡例)

−:該当なし

注※1

WRAP1形式の場合,格納ファイルと同じディレクトリに,格納ファイル名.ofsという名称で管理ファイルが作成されます。

例:

格納ファイル名としてALERTを指定したとき,ALERTファイルとは別にALERT.ofsファイルが管理ファイルとして作成されます。

格納ファイルを削除する場合は,この管理ファイルも合わせて削除してください。

注※2

デフォルトの格納先から変更した場合,jpcrasコマンドで格納ファイルと管理ファイルを採取することができません。このため,トラブルが発生した場合,手動で格納ファイルと管理ファイルを採取していただく必要があります。

注※3

この値にNUMラベルに指定した範囲(デフォルトは1〜5)の値が付与されたファイル名が格納されます。

注※4

相対パスを指定した場合,コマンドの作業ディレクトリ(COMMANDセクションのWORKDIRラベルに指定したディレクトリ)が相対パスのカレントディレクトリとなります。なお,作業ディレクトリが指定されていない場合,次のディレクトリからの相対パスのカレントディレクトリとなります。

Optionセクション

Optionセクションでは,CCMSアラート情報の抽出の基点を決めるための情報を指定します。ラベルが未設定の場合,デフォルト値を使用します。

なお,リモート監視における収集基点時間の推奨値については,「収集基点時間の注意事項」を参照してください。

表2‒117 Optionセクションに指定できる値

ラベル

意味

指定できる値

デフォルト値

SHIFTEXTRACTTIME

CCMSアラート情報の抽出の基点を決める収集基点時間(単位:秒)。

収集時刻に対して,CCMSアラート情報の時刻の範囲をずらす時間を指定してください。

0〜600

5

注※

SAPシステムの処理遅延によって,発生時刻通りにCCMSアラート情報が保存されない場合,このラベルの設定値をデフォルトよりも大きな値に変更してください。

収集基点時間の設定例を次に示します。

  • 収集基点時間を10秒とする場合

    [Option]
    SHIFTEXTRACTTIME=10

収集基点時間の注意事項

収集基点時間を設定する場合は,次の点に注意してください。

  • 環境パラメーター設定ファイルを作成するまたは更新するときにOptionセクションとSHIFTEXTRACTTIMEラベルを追加してください。

  • リモート監視における収集基点時間の推奨値は,次の考え方に沿って変更してください。

    収集基点時間の考え方

    SAPシステムの処理遅延によって,発生時刻通りにシステムログ情報/CCMSアラート情報が保存されていない場合があります。この場合,監視対象がローカルホストであったとしても,SAPシステムの時刻遅延(ホスト間の時刻差)が収集基点時間を超えた場合と同様に,システムログ/CCMSアラート情報の抽出漏れが発生します。この問題を回避するために,収集基点時間のデフォルト値は5秒としています。リモートホストを監視対象とする場合には,さらにSAPシステムの時刻遅延の影響が加わるため,前提条件のホスト間の時刻ずれが1秒未満の環境に対して余裕を持たせた値(5秒)を加えた10秒を推奨設定値としています。