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JP1 Version 12 JP1/IT Desktop Management 2 配布機能 運用ガイド


3.2.1 ユニキャスト配布とマルチキャスト配布

JP1/IT Desktop Management 2のジョブの配布方式には、ユニキャスト配布とマルチキャスト配布の2種類があります。配布方式はジョブごとに設定できます。

上位システムから管理対象のコンピュータへ1対1でジョブのパケットを送信する通常の方式を、ユニキャスト配布と呼びます。ユニキャスト配布では、上位システムは、送信先のコンピュータごとにパケットを送信する必要があります。そのため、パケットの送信数は、コンピュータ数の増加に対応して増大します。

一方、マルチキャスト配布は、IPマルチキャストプロトコルを利用して、特定の多数のコンピュータへパケットを送信する方式です。マルチキャスト配布では、上位システムはマルチキャストグループと呼ばれる概念上のグループにパケットを送信します。パケットは、そのグループに所属している各コンピュータに配信されます。コンピュータ数に関係なく、上位システムはマルチキャストグループだけにパケットを送信すればよいため、送信量を削減できます。

マルチキャストグループは、マルチキャストアドレスというグループ固有のIPアドレスを持っています。実際には、パケットはこのマルチキャストアドレスに対して送信されます。コンピュータ側では、エージェント設定でマルチキャストアドレスを設定し、マルチキャストグループにそのコンピュータを登録しておきます。マルチキャストアドレスに対して送信されたパケットは、マルチキャストグループに登録されている全コンピュータに配信されます。このとき、重複する経路は1パケットだけが流れるため、回線を圧迫することなく効率良く配布できます。

ユニキャスト配布とマルチキャスト配布の概念を、次の図に示します。

図3‒12 ユニキャスト配布とマルチキャスト配布の概念

[図データ]

〈この項の構成〉

(1) マルチキャスト配布の対象となるジョブ

JP1/IT Desktop Management 2では、「パッケージのインストール」ジョブだけがマルチキャスト配布の対象になります。次のようなジョブにマルチキャスト配布を適用すると、効果的に通信量を削減できます。

ジョブのあて先が少ない場合や、パッケージの容量が小さい場合は、マルチキャスト配布するとかえって効率が悪くなります。その場合は、ジョブ作成時にユニキャスト配布を設定してください。

なお、ジョブ作成時に「マルチキャスト配布」を選択するか「ユニキャスト配布」を選択するかは、ジョブの配布方式の設定であって、ジョブのあて先の設定とは関係ありません。ジョブのあて先が個別のホスト、あて先グループ、IDの場合を問わず、指定したあて先にマルチキャスト方式で配布されます。指定したあて先の中にマルチキャストグループに登録されていないコンピュータがあった場合は、そのコンピュータにだけユニキャスト方式で配布されます。

(2) マルチキャスト配布が適用される経路

JP1/IT Desktop Management 2では、ジョブにマルチキャスト配布を指定すると、管理対象のコンピュータと直接接続する上位システムの間だけマルチキャスト配布方式でパケットが送信されます。ジョブを実行したシステムから管理対象のコンピュータが直接接続する上位システムまでの経路は、ユニキャスト配布になります。