Hitachi

JP1 Version 12 JP1/SNMP System Observer


11.2.2 SSOクラスタシステム環境の構築(Windowsの場合)

Windowsを使用している場合に,SSOクラスタシステムの実行系および待機系のクラスタ環境を構築する方法について説明します。

なお,ここでは次に示す設定内容を例にして説明します。

〈この項の構成〉

(1) 実行系のクラスタ環境の構築

実行系のクラスタ環境の構築は,次の順序で実施します。

  1. 共有ディスクのマウント

  2. SSOクラスタ環境の設定

  3. JP1認証論理ホストの設定

  4. IPv6の論理IPアドレスの設定(IPv6ネットワークを監視する場合)

  5. クラスタ制御スクリプトの作成

  6. リソースグループへのSSOリソースの追加

  7. NNMiへの接続情報の追加

次に,それぞれの内容について説明します。

(a) 共有ディスクのマウント

実行系が共有ディスクをマウントしている状態であることを確認します。

(b) SSOクラスタ環境の設定

クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)を実行して,実行系のSSOクラスタ環境の設定を実施します。クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)については,「6. コマンド ssoclustersetup.vbs(Windows限定)」を参照してください。

クラスタ環境設定コマンドの引数には,次の内容を指定してください。

引数

指定する値

第一引数

-construction(構築指定)

第二引数

-primary(実行系指定)

第三引数

共有ディスク上の共有データフォルダ

第四引数

論理IPアドレス(IPv4アドレス)

注※

SSOのデータを格納するフォルダはコマンドで作成してください。また,SSOのデータを格納するフォルダの親フォルダがあることを確認してください。

共有ディスク上にあるフォルダにSSOフォルダ(K:\shared\SSO)を作成し,論理IPアドレス(133.108.120.4)を指定して共有フォルダとして設定するコマンドの指定例を次に示します。

cscript.exe $SSO_BIN\ssoclustersetup.vbs -construction -primary K:\shared\SSO 133.108.120.4

エラーが発生した場合は,画面に出力されたメッセージを参照して問題を解決してください。問題が解決したら,コマンドを再実行してください。

(c) JP1認証論理ホストの設定

認証方式にJP1認証方式を採用し,論理ホストでJP1認証を実施する場合,クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)を実行してSSOのJP1認証論理ホストの設定を実施します。クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)については,「6. コマンド ssoclustersetup.vbs(Windows限定)」を参照してください。

クラスタ環境設定コマンドの引数には,次の内容を指定してください。

引数

指定する値

第一引数

-logicalset(JP1論理ホスト指定)

第二引数

JP1論理ホスト名

JP1論理ホスト名(rhost)を設定するコマンドの指定例を次に示します。

cscript.exe $SSO_BIN\ssoclustersetup.vbs -logicalset rhost

エラーが発生した場合は,画面に出力されたメッセージを参照して問題を解決してください。問題が解決したら,コマンドを再実行してください。

(d) IPv6の論理IPアドレスの設定(IPv6ネットワークを監視する場合)

IPv6ネットワークを監視する場合,クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)を実行して,IPv6の論理IPアドレスの設定を実施します。クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)については,「6. コマンド ssoclustersetup.vbs(Windows限定)」を参照してください。

クラスタ環境設定コマンドの引数には,次の内容を指定してください。

引数

指定する値

第一引数

-defset(動作定義ファイル設定指定)

第二引数

論理IPアドレス(IPv6アドレス)

IPv6の論理IPアドレス(2001:db8::7c)を設定するコマンドの指定例を次に示します。

cscript.exe $SSO_BIN\ssoclustersetup.vbs -defset 2001:db8::7c

エラーが発生した場合は,画面に出力されたメッセージを参照して問題を解決してください。問題が解決したら,コマンドを再実行してください。

(e) クラスタ制御スクリプトの作成

SSOが提供するクラスタ制御スクリプトのサンプルデータを基に,クラスタ制御スクリプトを作成します。

クラスタ制御スクリプトの作成手順を次に示します。

  1. クラスタ制御スクリプトのサンプルデータをコピーする。

    任意のフォルダにクラスタ制御スクリプトのサンプルデータをコピーします。作成したクラスタ制御スクリプトは,ローカルディスク($SSO_TMP)に保存してください。

    サンプルデータは,次の場所に格納されています。

    $SSO_SAMPLE\ha\sso_cluster.vbs
  2. クラスタ制御スクリプトをカスタマイズする。

    クラスタ制御スクリプトのキーをカスタマイズします。カスタマイズするキー名および設定例を,次の表に示します。

    表11‒6 カスタマイズするキー名および設定例

    項番

    キー名

    デフォルト値

    説明

    1

    c_installdir

    C:\Program Files\Hitachi\JP1SSO

    SSOのインストールフォルダを設定します。

    インストール先をデフォルトから変更した場合は,このキーの値を変更してください。

    2

    c_mustrun

    SSOの監視プロセス名を設定します。

    <基本構成の場合>

    デフォルトは空指定で,SSOのプロセスを監視対象としないで,NNMiのフェールオーバーを契機に切り替えが実施されます。

    SSOのプロセスを契機としてフェールオーバーする場合,監視プロセス名を半角コンマで区切り,次のように指定します。

    (例)

    c_mustrun="ssospmd.exe,ssoapmon.exe"

    <分散構成の場合>

    フェールオーバーの契機とするSSOのプロセスを,次のように半角コンマ区切りで指定します。

    (例)

    c_mustrun="ssospmd.exe,ssoapmon.exe,ssocollectd.exe,ssocolmng.exe,ssorptd.exe,ssoconsoled.exe"

    3

    c_term_retry_count

    5(回)

    オフラインに切り替わる際,SSOの停止処理(ssostop)をリトライする回数を設定します。

    4

    c_term_retry_interval

    30(秒)

    オフラインに切り替わる際,SSOの停止処理(ssostop)のリトライ間隔を設定します。

    (凡例)

    −:なし

    SSOの状態によっては,停止処理(ssostop)が失敗する場合があります。このため,SSOを正常終了させるために,SSOの停止処理をリトライさせてください。

SSOの全プロセスを監視する場合の設定例(太字部分)を次に示します。なお,分散構成でssotrapd.exeを起動する場合は,ssotrapd.exeも追加する必要があります。

Function IsAlive( )
 
    IsAlive = True
 
    Dim g_fs, g_logstream, g_sh, g_wmi, g_logfilename, g_instdir, rc
    rc = MainInit( g_fs, g_logstream, g_sh, g_wmi, g_logfilename, g_instdir )
 
    ' Watch Process Name
    Const c_mustrun = "ssospmd.exe,ssoapmon.exe,ssocollectd.exe,ssocolmng.exe,ssorptd.exe,ssoconsoled.exe"
 
    ' Maintenance file

(f) リソースグループへのSSOリソースの追加

クラスタアドミニストレータウィンドウ上で,リソースグループにSSOリソースを追加します。リソース追加時の設定項目および設定例を,次の表に示します。

表11‒7 リソース追加時の設定項目

設定項目

設定例

リソースの名前

jp1cm2sso

リソースの種類

汎用スクリプト

リソースの依存関係

NNMiリソース※1

jp1cm2nnmi※1

論理IPアドレス

133.108.120.4

共有ディスク

K:

ネットワーク名※2

論理ホスト名※2

スクリプトファイルパス

$SSO_TMP\sso_cluster.vbs

保留タイムアウト

25(分)

指定期間内での再起動の試行回数

0(回)

DeadlockTimeout

1800000(ミリ秒)

注※1

基本構成の場合に設定します。

注※2

分散構成の場合に設定します。

設定項目について説明します。

  • リソースの種類

    SSOリソースの種類を設定します。作成するリソース種別に「汎用スクリプト」を選択してリソースを作成してください。

  • スクリプトファイルパス

    SSOリソースで実行されるスクリプトを設定します。「(e) クラスタ制御スクリプトの作成」で作成したクラスタ制御スクリプトをフルパスで指定してください。

以上の設定で,SSOリソースが作成され,リソースグループに追加されます。

以降に示す項目は,作成したSSOリソースのプロパティダイアログで設定してください。

  • リソースの名前

    SSOリソースの名前を設定します。

  • リソースの依存関係

    SSOリソースが依存するリソースを設定します。依存するリソースにNNMiリソース※1,論理IPアドレス,ネットワーク名(論理ホスト名)※2,および共有ディスクを指定してください。

    注※1 基本構成の場合に設定します。

    注※2 分散構成の場合に設定します。

  • 保留タイムアウト

    フェールオーバーやSSOリソースがオンラインまたはオフラインのとき,オンライン処理またはオフライン処理の最大終了待ち時間を設定します。[ポリシー]タブで,[保留タイムアウト]を分単位で設定してください。

    保留タイムアウトの設定値は次の計算式で算出してください。

    保留タイムアウト×60≧a+b+c+d+e+c_term_retry_count×c_term_retry_interval+120

    a:ssocollectdの起動停止監視タイムアウト時間

    b:ssoapmonの起動停止監視タイムアウト時間

    c:ssorptdの起動停止監視タイムアウト時間

    d:ssoconsoledの起動停止監視タイムアウト時間

    e:ssotrapdの起動停止監視タイムアウト時間

    注※ ssotrapdを起動しない場合,加算は不要です。

    起動停止監視タイムアウト時間の詳細は,「7.3.24 SSO起動定義ファイル(ssostartup.conf)」を参照してください。

  • 指定期間内での再起動の試行回数

    指定期間内での再起動の試行回数を設定します。[ポリシー]タブで,[リソースが失敗状態になった場合は,現在のノードで再起動を試みる]が選択されていることを確認したあと,[指定期間内での再起動の試行回数]を0に設定してください。

    [再起動の試みが全て失敗した場合は,指定した時間(hh:mm)後にもう一度再起動を開始する(S)]にチェックがある場合は,チェックを外してください。

  • DeadlockTimeout

    SSOリソース監視処理のタイムアウト時間を設定します。Clusterコマンドを使用して,保留タイムアウトと同じか,それよりも長い時間をミリ秒単位で設定します。

    (例)DeadlockTimeoutを30分に設定する場合

    cluster.exe res jp1cm2sso /prop DeadlockTimeout="1800000"

(g) NNMiへの接続情報の追加

ssonnmsetup コマンドを実行して,NNMiへの接続情報を追加します。ssonnmsetup コマンドについては,「6. コマンド ssonnmsetup」を参照してください。

(2) 待機系のクラスタ環境の構築

待機系のクラスタ環境の構築は,次の順序で実施します。

  1. SSOクラスタ環境の設定

  2. クラスタ制御スクリプトの作成

次に,それぞれの内容について説明します。

(a) SSOクラスタ環境の設定

クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)を実行して,待機系のSSOクラスタ環境の設定を実施します。クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)については,「6. コマンド ssoclustersetup.vbs(Windows限定)」を参照してください。

クラスタ環境設定コマンドの引数には,次の内容を指定してください。

引数

指定する値

第一引数

-construction(構築指定)

第二引数

-secondary(待機系指定)

第三引数

共有ディスク上の共有データフォルダ

コマンドの指定例を次に示します。

cscript.exe $SSO_BIN\ssoclustersetup.vbs -construction -secondary K:\shared\SSO

エラーが発生した場合は,画面に出力されたメッセージを参照して問題を解決してください。問題が解決したら,コマンドを再実行してください。

(b) クラスタ制御スクリプトの作成

(1)(e) クラスタ制御スクリプトの作成」を参照して,クラスタ制御スクリプトをコピーし,カスタマイズを実施します。スクリプトの内容および保存先のパスは,実行系と同じ内容になるようにしてください。

以上の設定が完了すると,リソースグループが起動できるようになります。クラスタアドミニストレータウィンドウでSSOリソースを選択し,起動してください。