4.3.4 セットアップ手順
ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
セットアップ手順には,実行系ノードの手順と,待機系ノードの手順があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。
は実行系ノードで行う項目を,
は待機系ノードで行う項目を示します。また,
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
- 〈この項の構成〉
-
(1) PFM - Agentの登録
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12001.GIF)
PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for Oracleを登録する必要があります。
登録する条件および手順は非クラスタシステムの場合と同じです。
登録する条件および手順については,「2.1.4(1) PFM - Agent for Oracleの登録」を参照してください。
(2) 共有ディスクのオンライン![[図データ]](GRAPHICS/ZU12002.GIF)
共有ディスクがオンラインになっていることを確認します。共有ディスクがオンラインになっていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオンラインにしてください。
(3) PFM - Agentの論理ホストのセットアップ![[図データ]](GRAPHICS/ZU12002.GIF)
jpcconf ha setupコマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
- 注意
-
コマンドを実行する前に,Performance Managementシステム全体で,Performance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance ManagementのPerformance Management起動と停止について説明している章を参照してください。
手順を次に示します。
-
jpcconf ha setupコマンドを実行して,PFM - Agent for Oracleの論理ホスト環境を作成する。
次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha setup -key Oracle -lhost jp1-halora -d S:\jp1
論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,論理ホスト名をjp1-haloraとしています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。
共有ディスクのディレクトリ名は,-dオプションの環境ディレクトリ名に指定します。例えば-d S:\jp1と指定するとS:\jp1\jp1pcが作成されて,論理ホスト環境のファイルが作成されます。
- 注意
-
・PFM - Agent for Oracleはファイルシステムで運用されています。RAWデバイスやASMでデータベースを構築した場合は,ファイルシステムを共有ディスクに指定してください。
・環境ディレクトリ名には,次の文字を含むパスは指定しないでください。
「(」,「)」
これらの文字が含まれていた場合,論理ホストの環境作成には成功しますが,PFM - Agent for Oracleの起動に失敗することがあります。
-
jpcconf ha listコマンドを実行して,論理ホストの設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha list -key all
作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。
(4) 接続先PFM - Managerの設定![[図データ]](GRAPHICS/ZU12002.GIF)
jpcconf mgrhost defineコマンドを実行して,PFM - Agent for Oracleを管理するPFM - Managerを設定します。
-
jpcconf mgrhost defineコマンドを実行して,接続先PFM - Managerを設定する。
次のようにコマンドを実行します。
jpcconf mgrhost define -host jp1-hal -lhost jp1-halora
接続先PFM - Managerのホスト名は,-hostオプションで指定します。接続先PFM - Managerが論理ホスト運用されている場合は,-hostオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1-halとしています。
また,PFM - Agent for Oracleの論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,PFM - Agent for Oracleの論理ホスト名をjp1-haloraとしています。
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf mgrhost defineコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf mgrhost defineコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
(5) 使用するOracleのアカウントの作成
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12001.GIF)
PFM - Agent for Oracleで監視するOracle Databaseのパフォーマンス情報を収集するために,特定のシステム権限を持つOracleのアカウントを作成します。
Oracleのアカウントの作成方法については,「2.1.4(2) PFM - Agent for Oracleで使用するOracleのアカウントの作成」を参照してください。
なお,sysアカウントを使用する場合には,このセットアップは不要です。
(6) インスタンス環境の設定![[図データ]](GRAPHICS/ZU12002.GIF)
jpcconf inst setupコマンドを実行して,PFM - Agent for Oracleのインスタンス環境を設定します。
設定手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。ただし,クラスタシステムの場合,jpcconf inst setupコマンドの実行時に,「-lhost」で論理ホスト名を指定する必要があります。
クラスタシステムの場合のjpcconf inst setupコマンドの指定方法を次に示します。
jpcconf inst setup -key Oracle -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名
なお,エージェントログの出力先フォルダ(log_pathの値)には,共有ディスク上のパスを指定してください。
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf inst setupコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf inst setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
このほかの設定内容,および手順については,「2.1.4(3) インスタンス環境の設定」を参照してください。
(7) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12001.GIF)
PFM - Agent for Oracleのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
(8) ネットワークの設定
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12001.GIF)
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。
ネットワークの設定では次の2つの項目を設定できます。
-
IPアドレスを設定する
複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合には,jpchostsファイルの内容を直接編集します。
このとき,編集したjpchostsファイルは,実行系ノードから待機系ノードにコピーしてください。
IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
-
ポート番号を設定する
ファイアウォール経由でPerformance Managementのプログラム間の通信をする場合には,jpcconf portコマンドを使用してポート番号を設定します。
ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章,およびクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
(9) ログのファイルサイズ変更
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12001.GIF)
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。このファイルサイズを変更したい場合にだけ,必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
(10) パフォーマンスデータの格納先の変更
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12001.GIF)
PFM - Agentで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のフォルダを変更したい場合に必要な設定です。
設定方法については,「2.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
(11) 動作ログ出力の設定
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12001.GIF)
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録K 動作ログの出力」を参照してください。
(12) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート![[図データ]](GRAPHICS/ZU12002.GIF)
PFM - Agent for Oracleの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
-
jpcconf ha exportコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をエクスポートする。
これまでの手順で作成した論理ホスト環境の定義情報を,エクスポートファイルに出力します。エクスポートファイル名は任意です。
例えば,lhostexp.txtファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha export -f lhostexp.txt
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf ha exportコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf ha exportコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
(13) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12003.GIF)
「(12) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
(14) 共有ディスクのオフライン
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12001.GIF)
クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオフラインにして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,オフラインにする必要はありません。
(15) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート![[図データ]](GRAPHICS/ZU12003.GIF)
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha importコマンドを使用します。1つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをオンラインにしておく必要はありません。
-
jpcconf ha importコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をインポートする。
次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha import -f lhostexp.txt
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf ha importコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf ha importコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
コマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,エクスポートファイルの内容と同じ環境になるように設定変更します。これによって,論理ホストのPFM - Agent for Oracleを起動するための設定が実施されます。
また,セットアップ時にjpcconf portコマンドで固定のポート番号を設定している場合も,同様に設定されます。
-
jpcconf ha listコマンドを実行して,論理ホスト設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha list -key all
実行系ノードでjpcconf ha listを実行したときと同じ内容が表示されることを確認してください。
(16) クラスタソフトへのPFM - Agentの登録
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12003.GIF)
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
- 注意
-
PFM - Agent for Oracleの登録を実施する前に,Oracle Databaseのリソースの登録が必要です。
クラスタソフトへPFM - Agent for Oracleを登録する方法は,クラスタソフトのマニュアルを参照してください。
PFM - Managerの論理ホストと同居する場合の依存関係の設定については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
PFM - Agent for Oracleをクラスタソフトに登録するときの設定内容を,Windows WSFCに登録する項目を例として説明します。
PFM - Agent for Oracleの場合,次の表のサービスをクラスタに登録します。
項番 |
名前 |
サービス名 |
依存関係 |
---|---|---|---|
1 |
PFM - Agent Store for Oracle インスタンス名 [LHOST] |
JP1PCAGT_OS_インスタンス名 [LHOST] |
IPアドレスリソース※1 物理ディスクリソース※2 Oracle Databaseリソース |
2 |
PFM - Agent for Oracle インスタンス名 [LHOST] |
JP1PCAGT_OA_インスタンス名 [LHOST] |
項番1のクラスタリソース |
3 |
PFM - Action Handler [LHOST] |
JP1PCMGR_PH [LHOST] |
IPアドレスリソース※1 物理ディスクリソース※2 |
- 注※1
-
Oracleのクラスタ環境で定義されているIPアドレスのリソース
- 注※2
-
共有ディスクのリソース
[LHOST]の部分は,論理ホスト名に置き換えてください。インスタンス名がSDC1,論理ホスト名がjp1-haloraの場合,サービスの名前は「PFM - Agent Store for Oracle SDC1 [jp1-halora]」,サービス名は「JP1PCAGT_OS_SDC1 [jp1-halora]」のようになります。
WSFCの場合は,これらのサービスをWSFCのリソースとして登録します。各リソースの設定は次のようにします。
-
[リソースの種類]は「汎用サービス」として登録する。
-
[依存関係]を表4-3のとおりに設定する。
次のどれかの場合は,PFM - Agent Store for Oracleインスタンス名[LHOST]に対して,「Oracle TNS Listener」との依存関係を設定してください。
-
リスナーのアラーム監視やリスナーのリソース監視をしたい場合。
-
Oracleのサービスのどれかが「ローカルシステムアカウント」以外のアカウントで動作している場合。
-
インスタンス環境の設定でsqlnetの値を「Y」にした場合。
この場合に「Oracle TNS Listener」との依存関係を設定しないと,Oracleでエラーが発生することがあります。
-
-
プロパティの[ポリシー]タブは,Performance Managementのプログラムの障害時にフェールオーバーするかどうか運用方法に合わせて設定する。
例えば,PFM - Agent for Oracleの障害時に,フェールオーバーするように設定する場合は,次のように設定します。
-
[リソースが失敗状態になった場合は,現在のノードで再起動を試みる]をチェックする。
-
[再起動に失敗した場合は,この役割のすべてのリソースをすべてフェールオーバーする]をチェックする。
-
[指定期間内での再起動の試行回数]を,3回を目安に設定する。
-
- 注意
-
クラスタに登録するサービスは,クラスタから起動および停止を制御しますので,OS起動時に自動起動しないよう[スタートアップの種類]を[手動]に設定してください。なお,jpcconf ha setupコマンドでセットアップした直後のサービスは[手動]に設定されています。また,次のコマンドで強制停止しないでください。
jpcspm stop -key all -lhost 論理ホスト名 -kill immediate
(17) クラスタソフトからの起動・停止の確認
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12003.GIF)
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
(18) クラスタシステムでの環境設定
![[図データ]](GRAPHICS/ZU12003.GIF)
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラムの環境設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。