Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Agent Option for Platform(UNIX(R)用)


2.3.23 AIX環境でsarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスを監視する運用

AIX環境でSimultaneous multithreading(SMT)またはMicro-Partitioningを使用している場合,sarコマンドで表示されるCPU使用率の計算には物理CPUの割り当て量が含まれますが,PFM - Agent for Platformで表示されるCPU使用率の計算には物理CPUの割り当て量が含まれません。そのため,PFM - Agent for Platformで表示されるCPU使用率が,sarコマンドの出力結果より低く表示されることがあります。

PFM - Agent for Platformでは,AIXのsarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集するように設定を変更できます。

ここでは,PFM - Agent for Platformで,AIXのsarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集し,監視する運用について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 設定方法

AIXのsarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集するための設定方法を次に示します。

  1. 監視コンソールのWebブラウザからPFM - Web Consoleにログインする。

    [メイン]画面が表示されます。

  2. [メイン]画面のナビゲーションフレームで[サービス階層]タブを選択する。

    [サービス階層]画面が表示されます。

  3. ナビゲーションフレームから[Machines]フォルダの下位の階層を展開する。

    Performance Managementのサービスがインストールされているホストの名前が付いたフォルダが表示されます。また,ホスト名が付いたフォルダを展開すると,そのホストにインストールされているサービスが表示されます。

    各サービスの名前は,サービスIDで表示されます。サービスIDの詳細については「付録C 識別子一覧」,およびマニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録の,サービスの命名規則について説明している個所を参照してください。

    サービスIDの形式は,プロダクト名表示機能が有効か無効かによって異なります。プロダクト名表示機能の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Performance Managementの機能について説明している章を参照してください。

  4. 監視エージェントホストのフォルダの下位にある階層を展開し,ホスト名<UNIX>(Agent Collectorサービス)を選択する。

    選択したAgent Collectorサービスにチェックマークが表示されます。

  5. メソッドフレームの[プロパティ]メソッドを選択する。

    [サービスのプロパティ]画面が表示されます。

  6. [Agent Configuration]を選択する。

  7. インフォメーションフレームの下部の[sar Command Monitoring]で,sarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集するかどうかを指定する。

    次のどちらかを指定します。

    • Yes:sarコマンドの出力結果から収集する

    • No:sarコマンドの出力結果から収集しない(デフォルト)

  8. インフォメーションフレームの下部の[sar Command Interval]で,sarコマンドの引数に指定するインターバル(秒単位)を指定する。

    次のAIXのsarコマンドの引数INTERVALに当たる数値を指定します。

    /usr/sbin/sar -P ALL INTERVAL 1

    1〜50の範囲で指定してください(デフォルトは5)。

(2) sarコマンドの出力結果とPFM - Agent for Platformのレコードとの対応

PFM - Agent for Platformでは,AIX環境でSimultaneous multithreading(SMT)またはMicro-Partitioningを使用している場合に,下記のとおり実行したAIXのsarコマンドの出力結果を収集できます。

/usr/sbin/sar -P ALL INTERVAL 1

AIXのsarコマンドの出力結果の例を次に示します。

図2‒18 AIXのsarコマンドの出力結果の例

[図データ]

PFM - Agent for Platformでは,sarコマンドの出力結果を,System Summary Overview(PI)レコードおよびCPU - Per Processor Detail(PI_CPUP)レコードのプロセッサのパフォーマンスデータを監視するフィールドに格納します。

System Summary Overview(PI)レコードのフィールドとsarコマンドの出力結果の対応を,次の表に示します。

表2‒45 System Summary Overview(PI)レコードのフィールドとsarコマンドの出力結果の対応

レコード

フィールド

フィールドの説明

対応するsarコマンドの出力結果

System Summary Overview(PI)

Active CPUs(NUMBER_OF_ACTIVE_CPUS)

プロセッサ数。

cpu列が番号で表示される行数

CPU %(KERNELMODE_USERMODE_PERCENT)

CPU使用率(%)。

プロセッサごとの割合の平均値でもある。

%sys列+%usr列

Idle %(IDLE_TIME_PERCENT)

アイドル状態だった時間の割合(%)。

プロセッサごとの割合の平均値でもある。

%idle列

Kernel CPU %(KERNELMODE_PERCENT)

カーネルモードで動作した時間の割合(%)。

プロセッサごとの割合の平均値でもある。

%sys列

User CPU %(USERMODE_PERCENT)

ユーザーモードで動作した時間の割合(%)。

プロセッサごとの割合の平均値でもある。

%usr列

Wait %(WAIT_TIME_PERCENT)

I/O待ちの状態だった時間の割合(%)。

プロセッサごとの割合の平均値でもある。

%wio列

CPU - Per Processor Detail(PI_CPUP)レコードのフィールドとsarコマンドの出力結果の対応を,次の表に示します。

表2‒46 CPU - Per Processor Detail(PI_CPUP)レコードのフィールドとsarコマンドの出力結果の対応

レコード

フィールド

フィールドの説明

対応するsarコマンドの出力結果

CPU - Per Processor Detail(PI_CPUP)

CPU %(KERNELMODE_USERMODE_PERCENT)

プロセッサごとのCPU使用率(%)。

%sys列+%usr列

Idle %(PROCESSOR_IDLE_PERCENT)

アイドル状態だった時間の割合(%)。

%idle

Processor ID(LOGICAL_PROCESSOR_ID)

プロセッサの識別子。

cpu列

System %(PROCESSOR_SYSTEM_PERCENT)

カーネルモードで動作した時間の割合(%)。

%sys列

User %(PROCESSOR_USER_PERCENT)

ユーザーモードで動作した時間の割合(%)。

%usr列

Wait %(PROCESSOR_WAIT_PERCENT)

I/O待ちの状態だった時間の割合(%)。

%wio列

AIXのsarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集するように設定した場合,System Summary Overview(PI)レコードの次のフィールドは,値が0となります。

表2‒47 AIXのsarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集するように設定した場合に値が0 となるSystem Summary Overview(PI)レコードのフィールド

レコード

フィールド

フィールドの説明

使用するアラーム

使用するレポート

System Summary Overview(PI)

Total Idle Time(TOTAL_IDLE_TIME)

すべてのプロセッサでのアイドル状態だった時間の合計値(秒単位)。

なし

なし

Total Kernel-Mode Time(TOTAL_KERNELMODE_TIME)

すべてのプロセッサでのカーネルモードで動作した時間の合計値(秒単位)。

なし

なし

Total User-Mode Time(TOTAL_USERMODE_TIME)

すべてのプロセッサでのユーザーモードで動作した時間の合計値(秒単位)。

なし

なし

Total Wait Time(TOTAL_WAIT_TIME)

すべてのプロセッサでのI/O待ちの状態だった時間の合計値(秒単位)。

なし

なし

AIXのsarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集するように設定した場合,CPU - Per Processor Detail(PI_CPUP)レコードの次のフィールドは,値が空白となります。

表2‒48 AIXのsarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集するように設定した場合に値が空白となるCPU - Per Processor Detail(PI_CPUP)レコードのフィールド

レコード

フィールド

フィールドの説明

使用するアラーム

使用するレポート

CPU - Per Processor Detail(PI_CPUP)

Context Switches(PROCESSOR_CONTEXT_SWITCHES)

コンテキストスイッチが実行された回数。

なし

なし

Context Switches/sec(PROCESSOR_CONTEXT_SWITCHES_PER_SECOND)

コンテキストスイッチが実行された頻度(1秒当たりの回数)。

なし

なし

Idle Time(PROCESSOR_IDLE_TIME)

アイドル状態だった時間(秒単位)。

なし

なし

Sys Calls/sec(PROCESSOR_SYSTEM_CALLS_PER_SECOND)

システムコールが発行された頻度(1秒当たりの回数)。

なし

なし

System Calls(PROCESSOR_SYSTEM_CALLS)

システムコールが発行された回数。

なし

なし

System Time(PROCESSOR_SYSTEM_TIME)

カーネルモードで動作した時間(秒単位)。

なし

なし

Type(PROCESSOR_TYPE)

プロセッサの説明。

なし

なし

User Time(PROCESSOR_USER_TIME)

ユーザーモードで動作した時間(秒単位)。

なし

なし

Wait Time(PROCESSOR_WAIT_TIME)

I/O待ちの状態だった時間(秒単位)。

なし

なし

(3) グローバル環境およびWPAR環境でサポートするレコード

sarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集する場合,PFM - Agent for Platformがグローバル環境またはSystem WPAR環境のどちらで動作しているかによって,サポートするレコード,および各レコードで収集するデータの範囲が異なります。

グローバル環境またはSystem WPAR環境でサポートするSystem Summary Overview(PI)レコードのフィールドを次の表に示します。

表2‒49 グローバル環境またはSystem WPAR環境でサポートするSystem Summary Overview(PI)レコードのフィールド

レコード

フィールド

グローバル環境

System WPAR環境

収集

収集範囲

収集

収集範囲

System Summary Overview(PI)

15-Minute Run Queue Avg(FIFTEEN_MINUTE_RUN_QUEUE_AVG)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

1-Minute Run Queue Avg(ONE_MINUTE_RUN_QUEUE_AVG)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

5-Minute Run Queue Avg(FIVE_MINUTE_RUN_QUEUE_AVG)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Active CPUs(NUMBER_OF_ACTIVE_CPUS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Block Ops(BLOCKIO_IO_OPS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Block Reads(BLOCKIO_READ_OPS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Block Reads/sec(BLOCKIO_READ_OPS_PER_SECOND)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Block Writes(BLOCKIO_WRITE_OPS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Block Writes/sec(BLOCKIO_WRITE_OPS_PER_SECOND)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Cache Read %(CACHE_READ_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Cache Write %(CACHE_WRITE_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Context Switches(CONTEXT_SWITCHES)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Context Switches/sec(CONTEXT_SWITCHES_PER_SECOND)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

CPU %(KERNELMODE_USERMODE_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Idle %(IDLE_TIME_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Kernel CPU %(KERNELMODE_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Logical I/O Ops(LOGICAL_IO_OPS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Logical Read Mbytes(LOGICAL_READ_MBYTES)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Logical Reads(LOGICAL_READ_OPS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Logical Reads/sec(LOGICAL_READ_MBYTES_PER_SECOND)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Logical Write Mbytes(LOGICAL_WRITE_MBYTES)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Logical Writes(LOGICAL_WRITE_OPS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Logical Writes/sec(LOGICAL_WRITE_MBYTES_PER_SECOND)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Physical I/O Ops(PHYSICAL_IO_OPS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Physical Reads(PHYSICAL_READ_OPS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

Physical Writes(PHYSICAL_WRITE_OPS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

System Calls(SYSTEM_CALLS)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

User CPU %(USERMODE_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Wait %(WAIT_TIME_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

(凡例)

○:サポートする。

×:サポートしない。

記載していないレコードおよびフィールドについては,sarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集しない場合は,WPAR環境と同じです。

グローバル環境またはSystem WPAR環境でサポートするCPU - Per Processor Detail(PI_CPUP)レコードのフィールドを次の表に示します。

表2‒50 グローバル環境またはSystem WPAR環境でサポートするCPU - Per Processor Detail(PI_CPUP)レコードのフィールド

レコード

フィールド

グローバル環境

System WPAR環境

収集

収集範囲

収集

収集範囲

CPU - Per Processor Detail(PI_CPUP)

Boot Time(SYSTEM_BOOT_TIME)

グローバル環境

×

×

CPU %(KERNELMODE_USERMODE_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Idle %(PROCESSOR_IDLE_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Interval(INTERVAL)

グローバル環境

×

×

Processor ID(LOGICAL_PROCESSOR_ID)

グローバル環境

×

×

Record Time(RECORD_TIME)

グローバル環境

×

×

Record Type(INPUT_RECORD_TYPE)

固定値

×

×

Status(PROCESSOR_STATUS)

グローバル環境

×

×

System %(PROCESSOR_SYSTEM_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Up Time(SYSTEM_UP_TIME)

グローバル環境

×

×

User %(PROCESSOR_USER_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

Wait %(PROCESSOR_WAIT_PERCENT)

グローバル環境およびすべてのWPAR環境

×

×

(凡例)

○:サポートする。

×:サポートしない。

記載していないレコードおよびフィールドについては,sarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集しない場合は,WPAR環境と同じです。

(4) 注意事項

ここでは,PFM - Agent for Platformで,AIXのsarコマンドの出力結果からプロセッサのパフォーマンスデータを収集し,監視する運用での注意事項について説明します。