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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Agent Option for Platform(Windows(R)用)


3.1.3 ディスクの監視例

ディスクのパフォーマンスを監視する方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 概要

ディスクを監視すれば,ディスク資源の不足などを検出したり,ディスクによるボトルネックを把握したりできます。また,継続的にディスクを監視すれば,ディスク容量の使用量の増加傾向を把握し,システム構成決定や拡張するなどのタイミングを把握できます。

ディスクはプログラムやプログラムが参照するデータなどを保存しています。このため,ディスク容量が不足してくると,データが消失するなどの問題が発生するだけでなく,システムの応答速度が低下します。

プログラムからディスクのデータを入出力する場合,実行中に休止(応答を待っている)状態になることがあります。これは,ディスクがボトルネックになり始めていることを示します。

ディスクのボトルネックが原因で,プロセスの応答速度の低下などさまざまな性能劣化を引き起こす場合があります。そのため,ディスクに関連する性能劣化が発生していないことを確認するのは重要な作業です。

ディスクにボトルネックが存在すると思われる場合,はじめに,ディスクの断片化が発生していないことを確認してください。次に,不正なファイルなどによってディスクが消費されていないかを確認し,十分な空き容量が確保されていることを確認する必要があります。不正なファイルが存在する場合,不正にファイルなどを作成したプログラムを特定し,対処する必要があります。

監視テンプレートでは,Disk Spaceアラームを提供しています。さらに詳細な情報については,次のレコードとフィールドを参照してください。

表3‒5 ディスクに関連する主なフィールド

使用レコード

使用フィールド

値の見方(例)

PI_LOGD,

PI_PHYD

% Disk Time

ディスクのビジー率。継続してしきい値(50%以上または100%に近い)の場合,ディスクへの負荷が高いことを示す。

Current Disk Queue Length

キューの要求数。継続してしきい値(3)以上の場合,ディスクが混雑していることを示す。

Avg Disk Bytes/Xfer

ディスク間で転送された1回当たりのバイト数。転送サイズが大きいほどシステムは効果的に稼働していることを示す。

Disk Bytes/sec

ディスク間で転送された1秒当たりのバイト数。転送サイズが大きいほどシステムは効果的に稼働していることを示す。

PI_LOGD

% Free Space

ディスクの空き領域率。少ない場合,ディスク容量が不足していることを示す。

Free Mbytes

ディスクの未使用領域。少ない場合,ディスク容量が不足していることを示す。

(2) 監視方法

(a) 論理ディスクの空き容量率を監視したい

論理ディスクの空き容量率は,監視テンプレートで提供しているDisk Spaceアラームを使用することで,監視できます。

論理ディスクの空き容量率(PI_LOGDレコード% Free Spaceフィールド)がしきい値以下の場合,断片化されたファイルをディスクデフラグツールで最適化する際,支障をきたすことがあります。

また,論理ディスクの空き容量率がしきい値以下の場合でも,全容量が大きいディスクの場合,許容できる容量の可能性もあります。このため,論理ディスクの空き容量と合わせて監視すると効果的です。

詳細については,「3.2.3(1) 監視テンプレート」を参照してください。

(b) 論理ディスクの空き容量を監視したい

論理ディスクの空き容量は,監視テンプレートで提供しているLogical Disk Freeアラームを使用することで,監視できます。

論理ディスクの空き領域をアラームで監視すると,ディスク容量不足を効果的に監視できます。

論理ディスクの空き領域(PI_LOGDレコードFree Mbytesフィールド)がしきい値以下になった場合,不要ファイルの削除,ファイル圧縮,ディスク増設などの対策の目安となります。

詳細については,「3.2.3(1) 監視テンプレート」を参照してください。

(c) ディスクのビジー率を監視したい

ディスクのビジー率は,監視テンプレートで提供しているDisk Busy %アラームを使用することで,監視できます。

ディスクのビジー率は,過度なページング(プロセスによるページの読み取り,または書き込み)が発生していないかをアラームで監視できます。

ディスクのビジー率(PI_PHYDまたはPI_LOGDレコード% Disk Timeフィールド)が継続的にしきい値以上の場合,ディスク要求を発生させているプロセスを調べ,プロセスの分散処理をするなどの対策の目安となります。

ディスクの混雑と合わせて監視すると効果的です。

詳細については,「3.2.3(1) 監視テンプレート」を参照してください。

(d) ディスクの混雑を監視したい

ディスクの混雑は,監視テンプレートで提供しているLogical Disk QueueアラームまたはPhysical Disk Queueアラームを使用することで,監視できます。

ディスクの混雑は,過度なI/O要求が発生していないかをアラームで監視できます。

ディスクの混雑(PI_PHYDまたはPI_LOGDレコードCurrent Disk Queue Lengthフィールド)が継続的にしきい値以上の場合,ディスク要求を発生させているプロセスを調べ,プロセスの分散処理をするなどの対策の目安となります。

ディスクのビジー率と合わせて監視すると効果的です。

詳細については,「3.2.3(1) 監視テンプレート」を参照してください。