Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Microsoft(R) SQL Server


3.3.1 インストールとセットアップの前に

インストールおよびセットアップを開始する前に前提条件,必要な情報,および注意事項について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 前提条件

PFM - RM for Microsoft SQL Serverをクラスタシステムで使用する場合,次に示す前提条件があります。

(a) クラスタシステム

次の条件が整っていることを確認してください。

  • クラスタシステムがクラスタソフトによって制御されていること。

  • クラスタソフトが論理ホスト運用するPFM - RM for Microsoft SQL Serverの起動や停止などを制御するように設定されていること。

  • 実行系および待機系でMicrosoftへのエラー報告を抑止するよう設定されていること。

    アプリケーションエラーが発生すると,Microsoftへエラーを報告するダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスが表示されるとフェールオーバーできないおそれがあるため,エラー報告を抑止する必要があります。設定されていない場合は次のように設定してください。

Windows Server 2012の場合
  1. [コントロールパネル]−[システムとセキュリティ]−[アクションセンター]−[メンテナンス]を選択する。

  2. 「問題のレポートの解決策を確認」の[設定]をクリックする。

  3. [Windowsエラー報告の構成]ダイアログボックスで,[レポートを送信せず,この確認画面も今後表示しません]を選択する。

  4. [OK]ボタンをクリックする。

Windows Server 2016以降の場合
  1. Windowsの[スタート]メニューを右クリックし,[ファイル名を指定して実行]を選択する。

  2. 「gpedit.msc」を入力し,[OK]ボタンをクリックする。

    ローカルグループポリシーエディターが表示されます。

  3. [コンピュータの構成]−[管理用テンプレート]−[Windows コンポーネント]−[Windows エラー報告]をクリックする。

  4. 右ペインにある[Windows エラー報告を無効にする]を右クリックし,[編集]を選択する。

    設定画面が表示されます。

  5. 設定画面で[有効]をチェックする。

  6. [OK]ボタンをクリックする。

(b) 共有ディスク

次の条件が整っていることを確認してください。

  • 論理ホストごとに共有ディスクがあり,実行系ノードから待機系ノードへ引き継げること。

  • 共有ディスクが,各ノードに物理的にFibre ChannelやSCSIで接続されていること。

    Performance Managementでは,ネットワークドライブや,ネットワーク経由でレプリケーションしたディスクを共有ディスクとして使う構成はサポートされていません。

  • フェールオーバーの際に,何らかの問題によって共有ディスクを使用中のプロセスが残った場合でも,クラスタソフトなどの制御によって強制的に共有ディスクをオフラインにしてフェールオーバーできること。

  • 1つの論理ホストで複数のPerformance Managementの製品を運用する場合,共有ディスクのディレクトリ名が同じであること。

    なお,Storeデータベースについては格納先を変更して,共有ディスク上のほかのディレクトリに格納できます。

(c) 論理ホスト名,論理IPアドレス

次の条件が整っていることを確認してください。

  • 論理ホストごとに論理ホスト名,および論理ホスト名と対応する論理IPアドレスがあり,実行系ノードから待機系ノードに引き継げること。

  • 論理ホスト名と論理IPアドレスが,hostsファイルやネームサーバに設定されていること。

  • DNS運用している場合は,FQDN名ではなく,ドメイン名を除いたホスト名を論理ホスト名として使用していること。

  • 物理ホスト名と論理ホスト名は,システムの中でユニークであること。

注意
  • 論理ホスト名に,物理ホスト名(hostnameコマンドで表示されるホスト名)を指定しないでください。正常に通信処理がされなくなる可能性があります。

  • 論理ホスト名に使用できる文字は,1〜32バイトの半角英数字です。次の記号および空白文字は指定できません。

    「/」,「\」,「:」,「;」,「*」,「?」,「'」,「"」,「<」,「>」,「|」,「&」,「=」,「,」,「.」

  • 論理ホスト名には,"localhost",IPアドレス,"-"から始まるホスト名を指定できません。

(d) IPv6を使用する場合の設定

Performance Managementでは,ネットワーク構成がIPv4環境だけでなくIPv6環境にも対応しています。そのため,IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成でも,Performance Managementを運用できます。

PFM - RM for Microsoft SQL Serverでは,PFM - ManagerとIPv6で通信できます。

ただし,PFM - RM for Microsoft SQL Serverが導入されているホストのOSがWindowsで,かつPFM - Managerが導入されているホストのOSがWindowsまたはLinuxの場合に限ります。

IPv4環境とIPv6環境での通信の適用範囲については,「付録L IPv4環境とIPv6環境での通信について」を参照してください。

IPv6で通信する場合,PFM - ManagerホストとPFM - RMホストのそれぞれでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。また,PFM - RM for Microsoft SQL Serverをインストールする前に,PFM - RMホストでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。この設定はjpcconf ipv6 enableコマンドで実行しますが,すでに有効になっている場合,この設定は必要ありません。IPv6の利用設定を確認するためには,jpcconf ipv6 displayコマンドを実行します。

jpcconf ipv6 enable,jpcconf ipv6 displayコマンドは,実行系および待機系のそれぞれで実行してください。

jpcconf ipv6 enable,jpcconf ipv6 displayコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。また,jpcconf ipv6 enableコマンドを実行する条件やタイミングについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のIPv6環境が含まれる場合のネットワーク構成例について説明している章を参照してください。

なお,PFM - RM for Microsoft SQL Serverと監視対象ホストをIPv6で通信する場合,名前解決できる監視対象ホスト名を指定してください。

PFM - RM for Microsoft SQL Serverと監視対象との通信は,解決できるIPアドレスで通信します。また,PFM - RM for Microsoft SQL Serverと監視対象との通信では,IPv4とIPv6が共存した環境の場合,解決できるIPアドレスで通信に失敗したとき,別のIPアドレスで通信することはありません。

例えば,IPv4で接続に失敗した場合,IPv6でリトライすることはありません。また,IPv6で接続に失敗した場合に,IPv4でリトライすることもありません。事前に接続できることを確認してください。

(2) 論理ホスト運用するPFM - RM for Microsoft SQL Serverのセットアップに必要な情報

論理ホスト運用するPFM - RM for Microsoft SQL Serverをセットアップするには,通常のPFM - RM for Microsoft SQL Serverのセットアップで必要になる環境情報に加えて,次の表の情報が必要です。

表3‒2 論理ホスト運用のPFM - RM for Microsoft SQL Serverのセットアップに必要な情報

項目

論理ホスト名

jp1-halSQL

論理IPアドレス

172.16.92.100

共有ディスク

S:¥jp1

なお,1つの論理ホストで論理ホスト運用するPerformance Managementのプログラムが複数ある場合も,同じ共有ディスクのディレクトリを使用します。

共有ディスクに必要な容量については,「付録A システム見積もり」を参照してください。

(3) PFM - RM for Microsoft SQL Serverで論理ホストをフェールオーバーさせる場合の注意事項

PFM - RM for Microsoft SQL Serverを論理ホスト運用するシステム構成の場合,PFM - RM for Microsoft SQL Serverの障害によって論理ホスト全体をフェールオーバーさせるかどうかを検討してください。

PFM - RM for Microsoft SQL Serverの障害で論理ホスト全体をフェールオーバーさせると,同じ論理ホストで運用する業務アプリケーションもフェールオーバーすることになり,業務に影響を与えるおそれがあります。

(4) 論理ホスト運用時のバージョンアップに関する注意事項

論理ホスト運用のPFM - RM for Microsoft SQL Serverをバージョンアップする場合は,実行系ノードまたは待機系ノードのどちらか一方で,共有ディスクをオンラインにする必要があります。

PFM - RM for Microsoft SQL Serverをバージョンアップする場合の注意事項については,「付録G 移行手順と移行時の注意事項」を参照してください。

(5) Microsoft SQL Serverの標準以外のポート番号や名前付きパイプで接続する場合の注意事項

PFM - RM for Microsoft SQL Serverは,クラスタ環境の場合,TCP/IPプロトコルまたは名前付きパイプを使用してMicrosoft SQL Serverと通信します。

次の場合,SQLクライアント設定ユーティリティなどで[別名]を設定してください。なお,実行系ノードおよび待機系ノードのそれぞれで,設定してください。

PFM - RM for Microsoft SQL Serverは,64ビットアプリケーションのため,64ビットの[別名]を設定します。SQL クライアント設定ユーティリティを使用する場合,次に示すファイルを実行して設定します。

%windir%\system32\cliconfg.exe

[別名]は別名タブの追加ボタンから次のように設定してください。

Microsoft SQL Serverのポート番号が標準以外の場合
  • 既定インスタンスの場合

    サーバー] :TARGET_HOST※1

    ポートを動的に決定する]:チェックを外す

    ネットワークライブラリ]:TCP/IP

    ポート番号]:Microsoft SQL Serverのポート番号

    サーバー別名]:TARGET_HOST※1

  • 名前付きインスタンスの場合

    サーバー] :TARGET_HOST※1\SQL_INSTANCE※2

    ポートを動的に決定する]:チェックを外す

    ネットワークライブラリ]:TCP/IP

    ポート番号]:Microsoft SQL Serverのポート番号

    サーバー別名]:TARGET_HOST※1\SQL_INSTANCE※2

名前付きパイプの場合
  • 既定インスタンスの場合

    サーバー] :TARGET_HOST※1

    ネットワークライブラリ]:名前付きパイプ

    パイプ名]:\\TARGET_HOST※1\pipe\Microsoft SQL Serverのパイプ名

    サーバー別名]:TARGET_HOST※1

  • 名前付きインスタンスの場合

    サーバー] :TARGET_HOST※1\SQL_INSTANCE※2

    ネットワークライブラリ]:名前付きパイプ

    パイプ名]:\\TARGET_HOST※1\pipe\MSSQL$SQL_INSTANCE※2\Microsoft SQL Serverのパイプ名

    サーバー別名]:TARGET_HOST※1\SQL_INSTANCE※2

注※1

PFM - RM for Microsoft SQL ServerのTARGET_HOSTの値です。

注※2

PFM - RM for Microsoft SQL ServerのSQL_INSTANCEの値です。

名前付きパイプを使用してMicrosoft SQL Serverと通信する場合は,PFM - RM for Microsoft SQL Serverサービスのアカウントに,PFM - RMホストと監視対象ホストで共通のユーザー(ユーザー名とパスワードが同じ)を設定してください。

なお,使用されるバージョンによって設定項目の表記が異なる場合がありますので,使用される環境に合わせて読み替えてください。

設定した[別名]でMicrosoft SQL Serverと接続できるかどうかはsqlcmdコマンドを使用して確認してください。詳細については,Microsoft SQL Serverのマニュアルを参照してください。