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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Virtual Machine


1.9.6 ネットワークリソースの監視

ここでは,Virtageシステムのネットワークリソースを監視する方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 概要

Virtageシステムの仮想環境では,複数のLPARでホストマシン(シャーシ内蔵含む)上のNICを共有します。各LPARに割り当てられるNICを仮想NICと呼びます。LPARは,仮想NICを通常のNICとして認識します。

サーバモジュールには,内蔵NICが搭載されており,シャーシ内蔵のスイッチモジュール・マネジメントモジュールを介して外部LANに接続します。サーバモジュールに搭載した内蔵NICについては,LPARで共有・占有によるNIC配分ができます。

PFM - RM for Virtual Machineを利用したネットワークリソースの監視は,サーバモジュールに搭載されている物理NIC(内蔵・外付けNIC)とそれに割り当てられている仮想NICが対象になります。

ネットワークのパフォーマンスデータを監視することで,こうしたNICの負荷を把握できるため,対策を講じることができます。

ネットワークリソースを監視するレコードには,次の2つがあります。レコードの詳細については,「5. レコード」を参照してください。

  1. PI_HNIレコード

    ホストマシンの物理NICのパフォーマンスデータを監視できます。物理NICのデータ送受信量を監視することで,NICに対する負荷を監視できます。NICの負荷が過大であるとCPUの使用率にも影響を及ぼすことがあります。

  2. PI_VNIレコード

    LPARの仮想NICのパフォーマンスデータを監視できます。割り当てられた仮想NICのデータ送受信量を監視することで,I/Oが特定の仮想NICに集中していないかを監視できます。

次の図に,それぞれのレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。

図1‒105 レコードとデータ収集範囲の対応

[図データ]

ヒント

NICを共有モードでLPARに割り当てた場合,SYS2のCPUによって処理されるため,NICのデータ送受信量がSYS2のCPU負荷に影響します。したがって,NICのデータ送受信量が増加した場合,SYS2のCPUリソース使用量が過大となりLPARの性能低下を引き起こすことがあります。なお,NICを占有モードでLPARに割り当てた場合は,SYS2のCPU負荷に影響しません。

(2) 監視例

ここでは,ホストマシンの物理NICのデータ送受信量およびLPARの仮想NICのデータ送受信量の監視を例に,ネットワークリソースに関連して発生する可能性のある問題と,その対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。

図1‒106 監視項目と対処の流れ

[図データ]

(a) 物理NICのデータ送受信量を監視する例

物理NICに掛かる負荷は,物理NICのデータ送受信速度から評価できます。物理NICのデータ送受信速度は,PI_HNIレコードのRateフィールドで確認できます。

物理NICのデータ送受信速度の監視例を次の図に示します。

図1‒107 物理NICのデータ送受信速度の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

Host Network Data

この例では,物理NIC1および物理NIC3は通信量が少なくなっています。一方で,物理NIC2は高負荷状態が続いています。Virtage構成を見直したり,物理NICの増設を検討したりするなどの対処をしてください。

(b) 仮想NICのデータ送受信量を監視する例

仮想NICに掛かる負荷は,仮想NICのデータ送受信速度から評価できます。仮想NICのデータ送受信速度は,PI_VNIレコードのRateフィールドで確認できます。

仮想NICのデータ送受信速度の監視例を次の図に示します。

図1‒108 仮想NICのデータ送受信速度の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

VM Network Data

この例では,仮想NIC1および仮想NIC3は通信量が少なくなっています。一方で,仮想NIC2は高負荷状態が続いています。この場合,NICの共有,占有を見直すことで対処できます。また,問題が解決しない場合,物理NICの増設や,ほかのVirtage環境へのマイグレーションを検討してください。