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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Virtual Machine


1.8.6 ネットワークリソースの監視

ここでは,Podman環境のネットワークリソースを監視する方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 概要

Podman環境では,複数のコンテナで物理サーバ上のNICを共有します。各コンテナに割り当てられるNICを仮想NICと呼びます。コンテナは,仮想NICを通常のNICとして認識します。

Podman環境では,各コンテナが物理NICを同時に利用するため,各コンテナが利用できるネットワーク帯域が狭まります。これによって,各コンテナのネットワークデータ送受信速度が低下するおそれがあります。

ネットワークのパフォーマンスデータを監視することで,こうしたコンテナの性能低下を把握できるため,対策を講じることができます。

ネットワークリソースを監視するレコードには,次の2つがあります。レコードの詳細については,「5. レコード」を参照してください。

  1. PI_HNIレコード

    物理NICのパフォーマンスデータを監視できます。

  2. PI_VNIレコード

    仮想NICのパフォーマンスデータを監視できます。

次の図に,それぞれのレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。

図1‒88 レコードとデータ収集範囲の対応

[図データ]

(2) 監視例

ここでは,仮想NIC1〜2および物理NIC1〜2のリソース監視を例に,ネットワークリソースに関連して発生する可能性のある問題と,その対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。

図1‒89 監視項目と対処の流れ

[図データ]

(a) 物理NICのデータ送受信速度を監視する例

物理NICに掛かる負荷は,物理NICのデータ送受信速度から評価できます。物理NICのデータ送受信速度は,PI_HNIレコードのRateフィールドで確認できます。

物理NICのデータ送受信速度の監視例を次の図に示します。

図1‒90 物理NICのデータ送受信速度の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

Host Network Data

この例では,物理NIC2のデータ送受信速度を示す値が大きく,高い負荷が掛かっています。高い負荷が掛かっている物理NICがある場合,物理NICの追加を検討してください。

(b) 仮想NICのデータ送受信速度を監視する例

仮想NICに掛かる負荷は,仮想NICのデータ送受信速度から評価できます。仮想NICのデータ送受信速度は,PI_VNIレコードのRateフィールドで確認できます。

仮想NICのデータ送受信速度の監視例を次の図に示します。

図1‒91 仮想NICのデータ送受信速度の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

VM Network Data

この例では,仮想NIC2のデータ送受信速度を示す値が大きく,高い負荷が掛かっています。コンテナに問題がある場合は,コンテナを停止してください。コンテナに問題はなく,高い負荷が掛かっている仮想NICがある場合,コンテナの通信状況に応じて,次に示す対処を検討してください。

  • コンテナが外部ネットワークと通信する場合

    物理NICを追加して,仮想NICに掛かる負荷を分散させる。または,コンテナを別の物理サーバに移動する。

  • コンテナが同一仮想環境の別のコンテナだけと通信する場合

    通信するコンテナを同一のポッドで動作するようにし,ポッド内のローカルネットワークを使用するように構成を変更する。