1.8.6 ネットワークリソースの監視
ここでは,Podman環境のネットワークリソースを監視する方法について説明します。
(1) 概要
Podman環境では,複数のコンテナで物理サーバ上のNICを共有します。各コンテナに割り当てられるNICを仮想NICと呼びます。コンテナは,仮想NICを通常のNICとして認識します。
Podman環境では,各コンテナが物理NICを同時に利用するため,各コンテナが利用できるネットワーク帯域が狭まります。これによって,各コンテナのネットワークデータ送受信速度が低下するおそれがあります。
ネットワークのパフォーマンスデータを監視することで,こうしたコンテナの性能低下を把握できるため,対策を講じることができます。
ネットワークリソースを監視するレコードには,次の2つがあります。レコードの詳細については,「5. レコード」を参照してください。
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PI_HNIレコード
物理NICのパフォーマンスデータを監視できます。
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PI_VNIレコード
仮想NICのパフォーマンスデータを監視できます。
次の図に,それぞれのレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。
(2) 監視例
ここでは,仮想NIC1〜2および物理NIC1〜2のリソース監視を例に,ネットワークリソースに関連して発生する可能性のある問題と,その対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。
(a) 物理NICのデータ送受信速度を監視する例
物理NICに掛かる負荷は,物理NICのデータ送受信速度から評価できます。物理NICのデータ送受信速度は,PI_HNIレコードのRateフィールドで確認できます。
物理NICのデータ送受信速度の監視例を次の図に示します。
- 確認する監視テンプレートレポート
この例では,物理NIC2のデータ送受信速度を示す値が大きく,高い負荷が掛かっています。高い負荷が掛かっている物理NICがある場合,物理NICの追加を検討してください。
(b) 仮想NICのデータ送受信速度を監視する例
仮想NICに掛かる負荷は,仮想NICのデータ送受信速度から評価できます。仮想NICのデータ送受信速度は,PI_VNIレコードのRateフィールドで確認できます。
仮想NICのデータ送受信速度の監視例を次の図に示します。
- 確認する監視テンプレートレポート
この例では,仮想NIC2のデータ送受信速度を示す値が大きく,高い負荷が掛かっています。コンテナに問題がある場合は,コンテナを停止してください。コンテナに問題はなく,高い負荷が掛かっている仮想NICがある場合,コンテナの通信状況に応じて,次に示す対処を検討してください。
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コンテナが外部ネットワークと通信する場合
物理NICを追加して,仮想NICに掛かる負荷を分散させる。または,コンテナを別の物理サーバに移動する。
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コンテナが同一仮想環境の別のコンテナだけと通信する場合
通信するコンテナを同一のポッドで動作するようにし,ポッド内のローカルネットワークを使用するように構成を変更する。