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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Virtual Machine


1.8.3 CPUリソースの監視

ここでは,Podman環境のCPUリソースを監視する方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 概要

Podman環境では,複数のコンテナで物理サーバ上のCPUを共有します。

物理サーバ上のCPUリソースは,各コンテナのCPUリソース要求量に応じて配分されます。ただし,各コンテナのCPUリソース要求量の合計が物理サーバ上のCPUリソースを超過する場合,要求量を満たすCPUリソースが配分できないため,CPUリソースが不足します。この場合,コンテナの性能が低下します。

CPUのパフォーマンスデータを監視することで,こうしたコンテナの性能低下を把握できるため,対策を講じることができます。

CPUリソースを監視するレコードには,次の4つがあります。レコードの詳細については,「5. レコード」を参照してください。

  1. PIレコード

    物理サーバのCPUのパフォーマンスデータを監視できます。

  2. PI_HCIレコード

    物理CPUの各コアのパフォーマンスデータを監視できます。

  3. PI_VIレコード

    各コンテナが利用している物理サーバのCPUのパフォーマンスデータを監視できます。

  4. PI_VCIレコード

    各コンテナが利用している物理CPUの各コアのパフォーマンスデータを監視できます。

次の図に,それぞれのレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。

図1‒77 各レコードのパフォーマンスデータ収集範囲

[図データ]

(2) 監視例

ここでは,物理サーバのCPUリソースの監視を例に,CPUリソースが不足する要因と問題への対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。

図1‒78 監視項目と対処の流れ

[図データ]

(a) 物理サーバで動作するコンテナのCPU使用量を監視する例

物理サーバで動作するコンテナのCPU使用量は,PIレコードのVM Usedフィールドで確認できます。

監視例を次に示します。なお,ここでは監視テンプレートのHost CPU Used Statusレポートの表示例を示しています。このレポートのグラフには,コンテナのCPU使用量を示すVM Usedフィールドが表示されます。VM Usedフィールドを監視する場合は,グラフの下に表示される表の内容を確認してください。

図1‒79 物理サーバのCPU使用量の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

Host CPU Used Status

この例では,物理サーバで動作するコンテナのCPU使用量が大きくなっています。CPU使用量が大きく,コンテナの性能が低下している場合は,不要なコンテナを停止してください。また,問題が解決しない場合は,物理CPUの追加や物理サーバの追加を検討してください。

(b) コンテナのCPU使用率を監視する例

各コンテナのCPU使用率は,PI_VIレコードのUsed %フィールドで確認できます。

監視例を次に示します。なお,ここでは監視テンプレートのVM CPU Trendレポートの表示例を示しています。このレポートのグラフには,コンテナのCPU使用率を示すUsed %フィールドが表示されます。Used %フィールドを監視する場合は,グラフの下に表示される表の内容を確認してください。

図1‒80 コンテナのCPU使用率の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

VM CPU Trend

この例では,Container1のCPU使用率が大きくなっています。Container1に問題がある場合は,コンテナを停止してください。また,問題が解決しない場合は,コンテナを別の物理サーバに移動することを検討してください。