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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Platform


2.2.3 ディスクの監視例

ディスクを監視することで,ディスク資源の不足などを検出したり,ディスクが原因となっているボトルネックを把握したりできます。また,ディスクを継続的に監視すると,ディスク容量の使用量の増加傾向が把握でき,システム構成の決定または拡張のタイミングを決定するのに役立てられます。

〈この項の構成〉

(1) ディスク監視の概要

ディスクはプログラムやプログラムが参照するデータなどを保存しています。このため,ディスク容量が不足してくると,システムの応答速度が低下するだけでなく,データが消失するなどの問題が発生します。また,ディスク容量の不足は,プロセスの応答速度の低下など,ほかのパフォーマンスの性能劣化にもつながるおそれがあります。

ディスク容量が不足していると,プログラムからディスクのデータを入出力する場合に,応答待機中になることがあります。ディスク容量が不足しているなど,ディスクがボトルネックになっていると考えられる場合は,まず,ディスクの断片化が発生していないことを確認し,次に,不正なファイルによってディスク容量が消費されていないかどうか,十分な空き容量が確保されているかどうかを確認してください。

ディスクを監視するためのレコードとフィールドについて,次の表に示します。

表2‒7 ディスクを監視するためのレコードとフィールド

項番

使用する

レコード

使用する

フィールド

値の説明

値の見方

1

PI_PDSK

Busy %

ディスクのビジー率です。

継続してしきい値を超えている場合,ディスクを使用した処理が非常に集中していると考えられます。

2

Avg Disk Time

ディスクI/Oの平均動作時間です。

継続してしきい値を超えている場合,ディスクを使用した処理が非常に集中していると考えられます。

3

Total MBytes/sec

ディスク間で転送されたバイト数(1秒当たり)です。

この値が高い場合,システムは効果的に稼働していると考えられます。

4

PI_LDSK

Free Mbytes %

ディスクの空き領域率です。

この値が低い場合,ディスク容量が不足していると考えられます。

5

Free Mbytes

ディスクの空き領域です。

この値が低い場合,ディスク容量が不足していると考えられます。

(2) ディスク監視に関する監視テンプレートの使用例

ディスクの監視に関する監視テンプレートとして,提供しているアラームとレポートの使用例について説明します。

PFM - RM for Platformでは,Disk Busy %アラームやAvg Disk Time Statusレポートなどを提供しています。ディスクのパフォーマンスをさらに詳細に監視するには,さまざまな観点からディスクを監視する必要があります。

(a) アラーム

ディスクに関するアラームについて次の表に示します。

表2‒8 ディスクの監視に関するアラームの使用例

項番

アラーム

使用する

レコード

使用する

フィールド

異常

条件

警告

条件

値の見方

1

Disk Busy %

PI_PDSK

ID

<> _Total

<> _Total

ディスクのビジー率が80%以上の場合,警告または異常状態にあると判断します。警告または異常条件で設定されているしきい値よりも大きい場合,ディスクへのアクセスがビジー状態にあると考えられます。

2

Busy %

>= 90

>= 80

3

Disk Service Time

PI_PDSK

Avg Disk Time

> 0.1

> 0.06

ディスクI/Oの平均動作時間が0.06秒を超えている場合,警告または異常状態にあると判断します。警告または異常条件で設定されているしきい値を超えている場合,非常に大きなサイズのI/Oが発生していると考えられます。

4

Disk Space

PI_LDSK

Free Mbytes %

< 5

< 15

ディスクの空き領域率が15%未満の場合,警告または異常状態にあると判断します。警告または異常条件で設定されているしきい値未満の場合,ディスク容量が不足していると考えられます。

不要なファイルの削除,ファイルの圧縮,ディスクの最適化,またはディスクの増設などの対策が必要です。

5

I/O Wait Time

PI

Wait %

> 80

> 60

ディスクのI/Oの待ち時間が60%を超えた場合,警告または異常状態にあると判断します。警告または異常条件で設定されているしきい値を超えた場合,データベースの更新が遅れているなど,I/Oの動作に遅延が発生していると考えられます。

6

Disk Free Size

PI_LDSK

ID

<> _Total

<> _Total

ディスクの未使用領域が10,240メガバイトより小さい場合,警告または異常状態にあると判断します。警告または異常条件で設定されているしきい値よりも小さい場合,ディスク容量不足になっていることが考えられます。

不要なファイルの削除,ファイルの圧縮,ディスクの最適化,またはディスクの増設などの対策が必要です。

7

Free Mbytes

< 5120

< 10240

(b) レポート

ディスクに関するレポートについて次の表に示します。

表2‒9 ディスクの監視に関するレポートの使用例

項番

レポート名

レポートの表示内容

1

Avg Disk Time Status

物理ディスクのI/Oの平均動作時間を表示します。

2

Free Megabytes - Logical Disk

論理ディスクの使用領域に関連する情報を表示します。

3

Physical Disk Busy Status

ディスクがビジーだった場合の経過時間の割合を表示します。