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JP1 Version 12 JP1/Performance Management リファレンス


jpcras

〈このページの構成〉

形式

jpcras     ディレクトリ名
           サービスキー
           [all|data|dump]
           [lhost=論理ホスト名]
           [inst=インスタンス名]

機能

jpcrasコマンドは,PFM - Manager,PFM - Agent,PFM - RM,またはPFM - Baseの資料,およびOS情報を採取するコマンドです。PFM - Manager,PFM - Agent,PFM - RM,またはPFM - Baseにトラブルが発生した場合に使用します。

採取できるのは,このコマンドを実行したホストの資料またはlhostオプションで指定した論理ホストの保守資料です。採取した資料は,指定したディレクトリに格納されます。UNIXの場合,採取した資料はtarコマンドと,compressコマンドまたはgzipコマンドで圧縮された形式になりますが,Windowsの場合,圧縮されないので,必要に応じて手動で圧縮してください。

トラブルが発生した場合,このコマンドで採取できる資料以外にも必要な資料があります。トラブル発生時に採取が必要な資料については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,トラブルへの対処方法について説明している章を参照してください。

コマンドを実行できるホスト

実行権限

Windowsの場合

Administrators権限を持つユーザー(WindowsのUAC機能が有効な場合は管理者コンソールから実行)

UNIXの場合

rootユーザー権限を持つユーザー

格納先ディレクトリ

Windowsの場合

インストール先フォルダ\tools\

UNIXの場合

/opt/jp1pc/tools/

引数

ディレクトリ名

採取した資料を格納するディレクトリ名を指定します。1〜127バイトで指定します。半角英数字または半角記号で指定します。相対パスでは指定できません。必ず絶対パスで指定してください。ただし,次の記号は指定できません。

 ; , * ? ' " < > | & ^ `

空白文字を含む場合," "で囲んでください。また,次の記号を指定する場合,シェルまたはコマンドプロンプトで解析されるのを防ぐため," "で囲んで指定してください。

 ( )

ディレクトリ名としてPerformance Managementのインストール先ディレクトリを指定しないでください。

このオプションに,フロッピーディスクなどリムーバブルメディアのディレクトリ名は指定できません。

UNIXの場合,このオプションで指定したディレクトリに,採取した資料のファイルが「jpcrasYYMMDD.tar.Z」(compressコマンドの場合)または「jpcrasYYMMDD.tar.gz」(gzipコマンドの場合)の名前で作成されます。

Windowsの場合,このオプションで指定したフォルダに,採取した資料のファイルが圧縮されないでコピーされます。

注※

YYMMDD」は,ファイルを作成した日時です。各値の意味を次に示します。

  • YY

    西暦年の下2桁を示します。

  • MM

    月を示します。01〜12(単位:月)で示します。

  • DD

    日を示します。01〜31(単位:日)で示します。

サービスキー

資料を採取するサービスのサービスキー名を指定します。プロダクト名表示機能が有効な場合もプロダクト名では指定できません。指定できるサービスキーを次に示します。

  • all:すべてのPerformance Managementプログラムのサービスの資料を採取します。

  • mgr:PFM - Managerサービス(Action HandlerサービスおよびStatus Serverサービスを除く)の資料を採取します。

  • act:Action Handlerサービスの資料を採取します。

  • PFM - AgentまたはPFM - RMのサービスのサービスキー :PFM - AgentまたはPFM - RMの各サービス(Action Handlerサービスを含む)の資料を採取します。

  • stat:Status Serverサービスの資料を採取します。

PFM - AgentまたはPFM - RMのサービスのサービスキーについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録の,命名規則について説明している個所を参照してください。

[all|data|dump]

採取する資料を選択します。指定するオプションによって採取する資料が異なります。通常は,「all」を指定してください。

指定するオプションと採取する資料をOSごとに次の表に示します。

表3‒28 jpcrasコマンドで採取する資料(Windowsの場合)

採取する資料

オプション

all

data

dump

省略

システムログ

共通メッセージログ

サービス構成情報

プロセス情報

バージョン情報

システムファイル

データベース情報

OS情報

システム情報

ネットワークステータス

ホスト名

ファイアウォールの情報

ダンプ情報

Docker環境情報

(凡例)

○:採取する

−:採取しない

注※

View Serverサービス,Agent Storeサービス,およびRemote Monitor Storeサービスのデータベース情報については,オプションの指定を省略した場合には採取しません。Master Storeサービス,Master Managerサービス,Name Serverサービスのデータベース情報については,採取されます。

表3‒29 jpcrasコマンドで採取する資料(UNIXの場合)

採取する資料

オプション

all

data

dump

省略

システムログ

共通メッセージログ

サービス構成情報

プロセス情報

バージョン情報

システムファイル

データベース情報

※1

OS情報

システム情報

パッチ情報

カーネル情報

バージョン情報

ネットワークステータス

環境変数

ホスト名

ファイアウォールの情報(Linux)

ダンプ情報

※2

※2

Docker環境情報

(凡例)

○:採取する

−:採取しない

注※1

View Serverサービス,Agent Storeサービス,およびRemote Monitor Storeサービスのデータベース情報については,オプションの指定を省略した場合には採取しません。Master Storeサービス,Master Managerサービス,Name Serverサービスのデータベース情報については,採取されます。

注※2

Linuxでsystemd-coredumpが有効な環境では,ダンプ情報を収集できません。

手動でダンプ情報を収集する方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,トラブルへの対処方法について説明している章を参照してください。

採取する資料の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,トラブルへの対処方法について説明している章を参照してください。

lhost=論理ホスト名

コマンドを実行するホスト環境を指定します。コマンドを実行するマシンに論理ホストが構成されている場合,この引数を使用します。1〜32バイトの半角英数字で指定します。空白文字は,指定できません。

指定を省略した場合,すべてのホスト環境の保守情報が採取されます。ワイルドカード文字は使用できません。

inst=インスタンス名

特定のインスタンスの資料を採取する場合は,インスタンス名を指定します。このオプションは,サービスキーにインスタンス環境を持つPFM - AgentまたはPFM - RMを指定した場合だけ有効です。1〜32バイトの半角英数字で指定します。

指定を省略した場合,すべてのインスタンスの資料を採取します。

注意事項

戻り値

0

正常終了した。

1

引数の指定に誤りがある。

2

コマンドの実行権限がない。

100

Performance Managementの環境が不正である。

102

指定された論理ホスト名またはインスタンスは,セットアップされていない。

210

ディスク容量が不足している。

211

採取先ディレクトリにアクセスできない。

255

予期しないエラーが発生した。

使用例1

UNIXホストで,すべての資料を採取し,/tmp/jp1pcディレクトリに格納する場合のコマンド実行例を次に示します。

jpcras /tmp/jp1pc all all

使用例2

UNIXホストで,PFM - Agent for Platform(UNIX)のダンプ情報を採取し,/tmp/jp1pcディレクトリに格納する場合のコマンド実行例を次に示します。

jpcras /tmp/jp1pc agtu dump