6.2.2 アラームの評価
アラームの評価について説明します。この説明で使用している凡例をまとめて次に示します。
- (凡例)
-
−:該当しない
[常に]:[常にアラーム通知する]のチェックの状態
[すべての]:[すべてのデータを評価する]のチェックの状態
○:使用(チェックあり)
×:未使用(チェックなし)
- 〈この項の構成〉
(1) アラーム条件の組み合わせによるアラーム評価の違いについて
アラーム評価の方法は,アラーム条件とアラーム評価の対象となるレコードタイプによって異なります。アラーム条件の組み合わせによるアラーム評価の違いを次の表に示します。
レコードタイプ |
[アラーム通知] |
[通知対象] |
条件 |
アラーム評価(通知) |
---|---|---|---|---|
単数インスタンスレコード |
[状態が変化したときに通知する]を選択している場合 |
[アラームの状態変化]を選択している場合 |
[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合 |
上記のどちらにも該当していない場合で,かつ以前に通知されたアラームが異常(赤)または警告(黄)のときは,正常(緑)アラームが通知される。 |
[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合 |
||||
[レコードのインスタンスごとの状態変化]を選択している場合 |
− |
|||
[常にアラーム通知する]を選択している場合 |
− |
[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合 |
異常または警告のどちらかの条件を満たしている場合,以前のアラーム通知の有無に関係なく,異常または警告である旨のアラームが通知される。 |
|
− |
[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合 |
|||
複数インスタンスレコード |
[状態が変化したときに通知する]を選択している場合 |
[アラームの状態変化]を選択している場合 |
[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合 |
注意 条件を満たしているデータが見つかった時点でアラーム評価が終了するため,収集されたすべてのデータが評価されるとは限らない。 |
[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合 |
注意 すべてのデータが評価されるので,1インターバルで複数のアラームが通知されることがある。 |
|||
[レコードのインスタンスごとの状態変化]を選択している場合 |
− |
注意 すべてのデータが評価されるので,1インターバルで複数のアラームが通知されることがある。 |
||
[常にアラーム通知する]を選択している場合 |
− |
[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合 |
注意 条件を満たしているデータが見つかった時点でアラーム評価が終了するため,収集されたすべてのデータが評価されるとは限らない。 |
|
− |
[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合 |
異常,または警告のどちらかの条件を満たしているすべてのデータ1つ1つについて異常(または警告)である旨のアラームが通知される。 注意 すべてのデータが評価されるので,1インターバルで複数のアラーム通知がされることがある。 |
レコードタイプ |
[アラーム通知] |
[通知対象] |
条件 |
アラーム評価(通知) |
---|---|---|---|---|
複数インスタンスレコード |
[状態が変化したときに通知する]を選択している場合 |
[アラームの状態変化]を選択している場合 |
[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合 |
収集されたすべてのデータを基に,[新規アラーム > アラーム条件式]または[編集 > アラーム条件式]画面で,条件式として指定した値があるかどうかを判断し,ない(条件式を満たしていない)場合に異常(赤)のアラームが通知される。 注意 アラーム通知は稼働していない旨を1回だけ通知する。収集されるデータが1つもない場合は,アラーム評価されない。 |
[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合 |
||||
[レコードのインスタンスごとの状態変化]を選択している場合 |
− |
−※ |
||
[常にアラーム通知する]を選択している場合 |
− |
[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合 |
収集されたすべてのデータを基に,[新規アラーム > アラーム条件式]または[編集 > アラーム条件式]画面で,条件式として指定した値があるかどうかを判断し,ない(条件式を満たしていない)場合に異常(赤)のアラームが通知される。 注意 アラームは,毎回通知する。 収集されるデータが1つもない場合は,アラーム評価されない。 |
|
− |
[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合 |
アラーム評価方法を,アラーム通知の条件ごとに説明します。
- [値の存在を監視するアラームとする]をチェックしている場合
-
アラーム条件式で指定したPD レコードタイプおよびPIレコードタイプのレコードの,すべてのフィールドについて,指定した値があるかどうかが評価されます。値がない場合,1インターバルでは1回だけアラーム通知されます。
- アラーム条件式を設定した場合
-
アラーム条件式を設定した場合,アラーム評価の対象となるレコードのタイプがPDレコードタイプおよびPIレコードタイプであれば,1インターバルで複数レコードが収集されます。[すべてのデータを評価する]にチェックしていない場合,アラームの評価は,条件式を満たしているデータが最初に見つかった時点でアラームを通知して終了します。そのため,すべてのパフォーマンスデータが評価したい場合は,[すべてのデータを評価する]または[レコードのインスタンスごとの状態変化]にチェックをつけてください。
(2) 発生頻度の設定によるアラーム評価の違いについて
「アラーム条件の組み合わせによるアラーム評価の違い」の説明に加えて,「発生頻度」を設定した場合には,さらにアラームの評価が異なります。発生頻度を設定した場合の,アラームの条件によるアラームの評価の違いを次の表に示します。
[発生頻度] |
[常に] |
[すべての] |
アラーム評価(通知) |
---|---|---|---|
○ |
× |
× |
注意:アラームの状態は発生頻度を評価した結果の状態のため,アラームの状態と通知されるデータのしきい値が異なることがある。 |
○ |
× |
○ |
注意:アラームの状態は発生頻度を評価した結果の状態のため,アラームの状態と通知されるデータのしきい値が異なることがある。 |
○ |
○ |
× |
アラーム通知時点で収集された最も重大度の高い条件を満たすデータが通知される。 |
○ |
○ |
○ |
アラーム通知時点で警告または異常条件を満たすすべてのデータが通知される。 |
また,発生頻度に設定した値によって,アラーム通知のタイミングが次の表のように変わります。
発生頻度 |
|
---|---|
n/m |
|
n/n※ |
|
(3) 監視時刻範囲と発生頻度を指定した場合のアラーム評価について([レコードのインスタンスごとの状態変化]を設定しない場合)
監視時刻範囲を指定している場合,監視終了時刻になると,正常アラームが発行されます。しかし,アラーム発生頻度の集計対象には,前回の監視時刻範囲の情報が含まれます。監視時刻範囲を指定している場合のアラーム評価の事例を次に示します。
- 前提条件
-
-
監視時刻範囲:9:00〜21:00
-
発生頻度:3インターバル中2回超過
-
[常にアラーム通知する]:チェックしない
-
[すべてのデータを評価する]:チェックしない
-
当日の監視時刻範囲に,しきい値の超過が2回発生している場合,アラームは異常または警告状態になります。この状態で監視時刻が終了すると,アラームはいったん正常状態に変化します。翌日,監視の開始時刻には,前日の終了時刻時点の監視エージェントの状態(この場合は異常または警告)が引き継がれます。このため,翌日の監視時刻範囲内に初回のしきい値の超過が発生すると,3インターバル中に2回しきい値を超過する条件を満たすことになるため,異常または警告アラームが発行されます。
この場合,次の表に示すようにアラームが発行されます。
日付 |
時刻 |
監視エージェントの状態 |
発行アラーム |
|
---|---|---|---|---|
1日目 |
20:58 |
監視時刻範囲内 |
正常 |
− |
20:59 |
異常 |
− |
||
21:00 |
異常 |
異常アラーム※1 |
||
21:01 |
監視時刻範囲外 |
評価されない |
正常アラーム※2 |
|
21:02 |
評価されない |
− |
||
: |
||||
2日目 |
8:59 |
監視時刻範囲外 |
評価されない |
− |
9:00 |
監視時刻範囲内 |
異常 |
異常アラーム※3 |
(4) 監視時刻範囲と発生頻度を指定した場合のアラーム評価について([レコードのインスタンスごとの状態変化]を設定する場合)
監視時刻範囲を指定している場合,監視終了時刻になると,正常アラームが発行されます。
[レコードのインスタンスごとの状態変化]を設定している場合,時刻が監視時刻範囲を外れたときのアラームの状態によって動作が異なります。正常状態で時刻が監視時刻範囲を外れたとき,発生頻度はクリアされません。また,アラームイベント(Alarm Expired)は通知されません。異常または警告状態で時刻が監視時刻範囲を外れたとき,発生頻度がクリアされアラームイベント(Alarm Expired)が1回通知されます。時刻が監視時刻範囲に入ったとき,アラームバインド時と同様に評価が新規に開始されます。
監視時刻範囲を指定している場合のアラーム評価の事例を次に示します。
- 前提条件
-
-
監視時刻範囲:9:00〜21:00
-
発生頻度:3インターバル中2回超過
-
[レコードのインスタンスごとの状態変化]を設定する
-
[すべてのデータを評価する]:チェックしない
-
当日の監視時刻範囲に,しきい値の超過が2回発生している場合,アラームは異常または警告状態になります。この状態で監視時刻が終了すると,アラームは正常状態に変化します。翌日,監視の開始時刻には,前日の終了時刻時点の監視エージェントの状態(この場合は異常または警告)が引き継がれません。3インターバル中に2回しきい値を超過する条件を満たすには,翌日の監視時刻範囲内にしきい値の超過が2回発生する必要があります。
この場合,次の表に示すようにアラームが発行されます。
日付 |
時刻 |
監視エージェントの状態 |
発行アラーム |
|
---|---|---|---|---|
1日目 |
20:58 |
監視時刻範囲内 |
正常 |
− |
20:59 |
異常 |
− |
||
21:00 |
異常 |
異常アラーム※1 |
||
21:01 |
監視時刻範囲外 |
評価されない |
正常アラーム※2 |
|
21:02 |
評価されない |
− |
||
: |
||||
2日目 |
8:59 |
監視時刻範囲外 |
評価されない |
− |
9:00 |
監視時刻範囲内 |
異常 |
−※3 |
|
9:01 |
異常 |
異常アラーム※1 |