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JP1 Version 12 JP1/Performance Management 運用ガイド


6.2.2 アラームの評価

アラームの評価について説明します。この説明で使用している凡例をまとめて次に示します。

(凡例)

−:該当しない

[常に]:[常にアラーム通知する]のチェックの状態

[すべての]:[すべてのデータを評価する]のチェックの状態

○:使用(チェックあり)

×:未使用(チェックなし)

〈この項の構成〉

(1) アラーム条件の組み合わせによるアラーム評価の違いについて

アラーム評価の方法は,アラーム条件とアラーム評価の対象となるレコードタイプによって異なります。アラーム条件の組み合わせによるアラーム評価の違いを次の表に示します。

表6‒1 アラーム条件によるアラーム評価の違い([値の存在を監視するアラームとする]をチェックしていない場合)

レコードタイプ

[アラーム通知]

[通知対象]

条件

アラーム評価(通知)

単数インスタンスレコード

[状態が変化したときに通知する]を選択している場合

[アラームの状態変化]を選択している場合

[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合

  • 異常条件を満たしていて,かつ以前に通知されたアラームが異常(赤)以外の場合,異常(赤)アラームが通知される。

  • 異常条件を満たしているデータはないが,警告条件を満たしていて,かつ以前に通知されたアラームが警告(黄)以外の場合,警告(黄)アラームが通知される。

上記のどちらにも該当していない場合で,かつ以前に通知されたアラームが異常(赤)または警告(黄)のときは,正常(緑)アラームが通知される。

[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合

[レコードのインスタンスごとの状態変化]を選択している場合

[常にアラーム通知する]を選択している場合

[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合

異常または警告のどちらかの条件を満たしている場合,以前のアラーム通知の有無に関係なく,異常または警告である旨のアラームが通知される。

[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合

複数インスタンスレコード

[状態が変化したときに通知する]を選択している場合

[アラームの状態変化]を選択している場合

[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合

  • 異常条件を満たしているデータが1つ見つかり,かつ以前に通知されたアラームが異常(赤)以外の場合,そのデータについて異常(赤)アラームが通知される。

  • 異常条件を満たしているデータはないが,警告条件を満たしているデータが1つ見つかり,かつ以前に通知されたアラームが警告(黄)以外の場合,そのデータについて警告(黄)アラームが通知される。

  • 収集されたすべてのデータが上記のどちらにも該当していない場合で,かつ以前に通知されたアラームが異常(赤)または警告(黄)のときは,正常(緑)アラームが通知される。

注意

条件を満たしているデータが見つかった時点でアラーム評価が終了するため,収集されたすべてのデータが評価されるとは限らない。

[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合

  • 収集されたすべてのデータを評価した結果,異常条件を満たしているデータが1つ以上あり,かつ以前に通知されたアラームが異常(赤)以外の場合,それらの個々のデータについて異常(赤)アラームが通知される。

  • 収集されたすべてのデータを評価した結果,異常条件を満たしているデータはないが,警告条件を満たしているデータが1つ以上あり,かつ以前に通知されたアラームが警告(黄)以外の場合,それらの個々のデータについて警告(黄)アラームが通知される。

  • 収集されたすべてのデータが上記のどちらにも該当していない場合で,かつ以前に通知されたアラームが異常(赤)または警告(黄)のときは,正常(緑)アラームが通知される。

注意

すべてのデータが評価されるので,1インターバルで複数のアラームが通知されることがある。

[レコードのインスタンスごとの状態変化]を選択している場合

  • 収集されたすべてのデータを評価した結果,異常条件を満たしているデータが1つ以上あり,かつ該当するデータのアラームが異常(赤)以外の場合,それらの個々のデータについて異常(赤)アラームが通知される。

  • 収集されたすべてのデータを評価した結果,異常条件を満たしているデータはないが,警告条件を満たしているデータが1つ以上あり,かつ該当するデータのアラームが警告(黄)以外の場合,それらの個々のデータについて警告(黄)アラームが通知される。

  • 収集されたすべてのデータが上記のどちらにも該当していない場合,かつ該当するデータの以前に通知されたアラームが異常(赤)または警告(黄)のとき,正常(緑)アラームが通知される。

注意

すべてのデータが評価されるので,1インターバルで複数のアラームが通知されることがある。

[常にアラーム通知する]を選択している場合

[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合

  • 異常条件を満たすデータが1つ見つかった時点で,以前のアラーム通知の有無に関係なく,そのデータを基に異常アラームが通知される。

  • 異常条件を満たしているデータはないが,警告条件を満たしているデータが1つ見つかった時点で,以前のアラーム通知の有無に関係なく,そのデータを基に警告アラームが通知される。

注意

条件を満たしているデータが見つかった時点でアラーム評価が終了するため,収集されたすべてのデータが評価されるとは限らない。

[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合

異常,または警告のどちらかの条件を満たしているすべてのデータ1つ1つについて異常(または警告)である旨のアラームが通知される。

注意

すべてのデータが評価されるので,1インターバルで複数のアラーム通知がされることがある。

表6‒2 アラーム条件によるアラーム評価の違い([値の存在を監視するアラームとする]をチェックしている場合)

レコードタイプ

[アラーム通知]

[通知対象]

条件

アラーム評価(通知)

複数インスタンスレコード

[状態が変化したときに通知する]を選択している場合

[アラームの状態変化]を選択している場合

[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合

収集されたすべてのデータを基に,[新規アラーム > アラーム条件式]または[編集 > アラーム条件式]画面で,条件式として指定した値があるかどうかを判断し,ない(条件式を満たしていない)場合に異常(赤)のアラームが通知される。

注意

アラーム通知は稼働していない旨を1回だけ通知する。収集されるデータが1つもない場合は,アラーム評価されない。

[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合

[レコードのインスタンスごとの状態変化]を選択している場合

[常にアラーム通知する]を選択している場合

[すべてのデータを評価する]をチェックしていない場合

収集されたすべてのデータを基に,[新規アラーム > アラーム条件式]または[編集 > アラーム条件式]画面で,条件式として指定した値があるかどうかを判断し,ない(条件式を満たしていない)場合に異常(赤)のアラームが通知される。

注意

アラームは,毎回通知する。

収集されるデータが1つもない場合は,アラーム評価されない。

[すべてのデータを評価する]をチェックしている場合

注※

[値の存在を監視するアラームとする]をチェックしている場合,[レコードのインスタンスごとの状態変化]を選択できません。

アラーム評価方法を,アラーム通知の条件ごとに説明します。

[値の存在を監視するアラームとする]をチェックしている場合

アラーム条件式で指定したPD レコードタイプおよびPIレコードタイプのレコードの,すべてのフィールドについて,指定した値があるかどうかが評価されます。値がない場合,1インターバルでは1回だけアラーム通知されます。

アラーム条件式を設定した場合

アラーム条件式を設定した場合,アラーム評価の対象となるレコードのタイプがPDレコードタイプおよびPIレコードタイプであれば,1インターバルで複数レコードが収集されます。[すべてのデータを評価する]にチェックしていない場合,アラームの評価は,条件式を満たしているデータが最初に見つかった時点でアラームを通知して終了します。そのため,すべてのパフォーマンスデータが評価したい場合は,[すべてのデータを評価する]または[レコードのインスタンスごとの状態変化]にチェックをつけてください。

(2) 発生頻度の設定によるアラーム評価の違いについて

「アラーム条件の組み合わせによるアラーム評価の違い」の説明に加えて,「発生頻度」を設定した場合には,さらにアラームの評価が異なります。発生頻度を設定した場合の,アラームの条件によるアラームの評価の違いを次の表に示します。

表6‒3 発生頻度を設定した場合のアラーム評価の違い

[発生頻度]

[常に]

[すべての]

アラーム評価(通知)

×

×

  • アラームの状態が以前通知した状態から変化があった場合だけ,アラームが通知される。

  • アラーム通知時点で収集された最も重大度の高い条件を満たすデータを基に,アラームの状態が通知される。

注意:アラームの状態は発生頻度を評価した結果の状態のため,アラームの状態と通知されるデータのしきい値が異なることがある。

×

  • アラームの状態が以前通知した状態から変化があった場合だけ,アラームが通知される。

  • アラーム状態が警告または異常の場合,アラーム通知時点でアラーム状態の条件を満たすすべてのデータを基にアラームの状態が通知される。

注意:アラームの状態は発生頻度を評価した結果の状態のため,アラームの状態と通知されるデータのしきい値が異なることがある。

×

アラーム通知時点で収集された最も重大度の高い条件を満たすデータが通知される。

アラーム通知時点で警告または異常条件を満たすすべてのデータが通知される。

また,発生頻度に設定した値によって,アラーム通知のタイミングが次の表のように変わります。

発生頻度

アラーム通知のタイミング

nm

[常にアラーム通知する]がチェックされていない場合

mインターバル中n回しきい値を超えた場合にアラームが通知されます。以降は発生頻度を満たし,かつ,アラームの状態が以前通知した状態から変化があった場合だけ,アラームが通知されます。

[常にアラーム通知する]がチェックされている場合

mインターバル中n回しきい値を超えた場合にアラームが通知されます。以降m回アラームを評価する間にn回しきい値を超えるごとにアラームが通知されます。

nn

[常にアラーム通知する]がチェックされていない場合

nインターバル中n回しきい値を超えた場合にアラームが通知されます。以降は発生頻度を満たし,かつ,アラームの状態が以前通知した状態から変化があった場合だけ,アラームが通知されます。

[常にアラーム通知する]がチェックされている場合

nインターバル中n回しきい値を超えた場合にアラームが通知されます。以降n回アラームを評価する間にn回しきい値を超えるごとにアラームが通知されます。

注※

[常にアラーム通知する]がチェックされている場合は,起動後の収集で,最初にしきい値を満たした時点で発生頻度に関係なくアラームが発行されます。以降は発生頻度の設定に従ってアラームが発行されます。

(3) 監視時刻範囲と発生頻度を指定した場合のアラーム評価について([レコードのインスタンスごとの状態変化]を設定しない場合)

監視時刻範囲を指定している場合,監視終了時刻になると,正常アラームが発行されます。しかし,アラーム発生頻度の集計対象には,前回の監視時刻範囲の情報が含まれます。監視時刻範囲を指定している場合のアラーム評価の事例を次に示します。

前提条件
  • 監視時刻範囲:9:00〜21:00

  • 発生頻度:3インターバル中2回超過

  • [常にアラーム通知する]:チェックしない

  • [すべてのデータを評価する]:チェックしない

当日の監視時刻範囲に,しきい値の超過が2回発生している場合,アラームは異常または警告状態になります。この状態で監視時刻が終了すると,アラームはいったん正常状態に変化します。翌日,監視の開始時刻には,前日の終了時刻時点の監視エージェントの状態(この場合は異常または警告)が引き継がれます。このため,翌日の監視時刻範囲内に初回のしきい値の超過が発生すると,3インターバル中に2回しきい値を超過する条件を満たすことになるため,異常または警告アラームが発行されます。

この場合,次の表に示すようにアラームが発行されます。

日付

時刻

監視エージェントの状態

発行アラーム

1日目

20:58

監視時刻範囲内

正常

20:59

異常

21:00

異常

異常アラーム※1

21:01

監視時刻範囲外

評価されない

正常アラーム※2

21:02

評価されない

2日目

8:59

監視時刻範囲外

評価されない

9:00

監視時刻範囲内

異常

異常アラーム※3

注※1

「3インターバル中に2回しきい値を超過」の条件を満たしたため,異常アラームが発行されます。

注※2

監視終了時刻になったため,正常アラーム(Alarm expired)が発行されます。

注※3

前日の監視エージェントの状態を引き継ぐため,「3インターバル中に2回しきい値を超過」の条件を満たすことになり,異常アラームが発行されます。

(4) 監視時刻範囲と発生頻度を指定した場合のアラーム評価について([レコードのインスタンスごとの状態変化]を設定する場合)

監視時刻範囲を指定している場合,監視終了時刻になると,正常アラームが発行されます。

[レコードのインスタンスごとの状態変化]を設定している場合,時刻が監視時刻範囲を外れたときのアラームの状態によって動作が異なります。正常状態で時刻が監視時刻範囲を外れたとき,発生頻度はクリアされません。また,アラームイベント(Alarm Expired)は通知されません。異常または警告状態で時刻が監視時刻範囲を外れたとき,発生頻度がクリアされアラームイベント(Alarm Expired)が1回通知されます。時刻が監視時刻範囲に入ったとき,アラームバインド時と同様に評価が新規に開始されます。

監視時刻範囲を指定している場合のアラーム評価の事例を次に示します。

前提条件
  • 監視時刻範囲:9:00〜21:00

  • 発生頻度:3インターバル中2回超過

  • [レコードのインスタンスごとの状態変化]を設定する

  • [すべてのデータを評価する]:チェックしない

当日の監視時刻範囲に,しきい値の超過が2回発生している場合,アラームは異常または警告状態になります。この状態で監視時刻が終了すると,アラームは正常状態に変化します。翌日,監視の開始時刻には,前日の終了時刻時点の監視エージェントの状態(この場合は異常または警告)が引き継がれません。3インターバル中に2回しきい値を超過する条件を満たすには,翌日の監視時刻範囲内にしきい値の超過が2回発生する必要があります。

この場合,次の表に示すようにアラームが発行されます。

日付

時刻

監視エージェントの状態

発行アラーム

1日目

20:58

監視時刻範囲内

正常

20:59

異常

21:00

異常

異常アラーム※1

21:01

監視時刻範囲外

評価されない

正常アラーム※2

21:02

評価されない

2日目

8:59

監視時刻範囲外

評価されない

9:00

監視時刻範囲内

異常

※3

9:01

異常

異常アラーム※1

注※1

「3インターバル中に2回しきい値を超過」の条件を満たしたため,異常アラームが発行されます。

注※2

監視終了時刻になったため,発生頻度がクリアされ,正常アラーム(Alarm expired)が発行されます。

注※3

前日の監視エージェントの状態を引き継がないため,「3インターバル中に2回しきい値を超過」の条件を満たすことになりません。