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JP1 Version 12 JP1/Integrated Management 2 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス


リモート監視イベントログトラップ動作定義ファイル

〈このページの構成〉

形式

retry-times リトライ回数
retry-interval リトライ間隔
open-retry-times=リトライ回数(イベントログの収集のリトライ回数)
open-retry-interval=リトライ間隔(イベントログの収集のリトライ間隔)
trap-interval 監視間隔
matching-level 比較レベル
filter-check-level フィルターチェックレベル
# フィルター
filter ログの種別 [id=イベントID] [trap-name=監視名]
  条件文1
  条件文2
   :
  条件文n
end-filter

ファイル

任意のファイルを使用します。

格納先ディレクトリ

Windowsの場合

任意のフォルダ

UNIXの場合

任意のディレクトリ

説明

リモート監視のイベントログトラップ機能の動作を定義するファイルです。リモート監視のイベントログトラップ機能の起動時にその内容を参照します。

UTF-8で保存する場合は,BOM(byte order mark)が付与されないように保存してください。

定義の反映時期

次の場合に,リモート監視イベントログトラップ動作定義ファイルの設定が有効になります。

記述内容

retry-times

一時的な通信障害で,イベントサービスへの接続に失敗した場合に行うリトライの回数を0〜86,400の範囲で指定します。省略した場合,リトライ処理はしません。指定された回数のリトライが成功しない場合はエラーとします。retry-timesおよびretry-intervalの組み合わせで24時間以上の設定もできますが,リトライを開始した時刻から24時間以上経過した場合,リトライ処理は打ち切られます。

retry-interval

一時的な通信障害で,イベントサービスへの接続に失敗した場合に行うリトライ間隔を1〜600(秒)の範囲で指定します。省略した場合,リトライ間隔を10秒と見なします。

open-retry-times

イベントログの収集に失敗,または監視対象ホストに接続できなかった場合に行うリトライの回数を1〜3,600の範囲で指定します。省略した場合,リトライ回数を3回と見なします。指定したリトライ回数を超えた場合,ログファイルの監視を停止します。

open-retry-interval

イベントログの収集に失敗,または監視対象ホストに接続できなかった場合に行うリトライ処理の間隔を3〜600(秒)の範囲で指定します。省略した場合,trap-intervalが指定されているときは,trap-intervalに指定した値になります。trap-intervalが指定されていないときは,300秒になります。リトライ間隔は,エラー発生後,リトライを試みるまでの間隔です。

trap-interval

イベントログを監視する間隔を60〜86,400(秒)の範囲で指定します。省略した場合,300秒と見なします。イベントログトラップは,一定の間隔でイベントログを監視します。

matching-level

フィルターにmessage属性またはcategory属性を指定した場合で,メッセージDLLまたはカテゴリーDLLが正しく設定されてないなどの理由で,イベントログの説明文の読み込みに失敗したときの,イベントログと定義内容の比較レベルを指定します。0を指定すると,比較しないで次のフィルターと比較をします。1を指定すると,比較します。省略した場合,0を指定したものと見なします。

filter-check-level

フィルターに不正な(システムに存在しない)ログの種別や不正な正規表現指定がある場合のチェックレベルを指定します。0を指定すると,フィルターに不正なログの種別や不正な正規表現がある場合,該当するフィルターを無効にします。ただし,有効なフィルターが一つでもある場合,リモート監視イベントログトラップの起動またはリロードは成功します。有効なフィルターが一つもない場合,リモート監視イベントログトラップの起動またはリロードは失敗します。1を指定すると,フィルターに不正なログの種別や不正な正規表現が一つでもある場合,リモート監視イベントログトラップの起動またはリロードは失敗します。

省略した場合,0を指定したものと見なします。

filterend-filter
ログの種別

監視の対象となるイベントログの種別を指定します。

(例)

”アプリケーション”または”Application”

”セキュリティ”または”Security”

”システム”または”System”

”DNS Server”

”Directory Service”

”ファイルレプリケーションサービス”または”File Replication Service”

”DFS レプリケーション”または”DFS Replication”

複数のフィルターに同一のログの種別を指定した場合,それらのフィルターのどれかの条件を満たすときに成立します。

[id=イベントID]

イベントサーバにJP1イベントを登録する際のイベントIDを指定します。イベントIDは上位4バイト(基本コード)と下位4バイト(拡張コード)をコロン「:」で区切り,16進数で記述します。A〜Fは大文字で記述してください。なお,下位4バイトまたはコロン以下の下位4バイトは省略できます。この場合,省略値には0を仮定します。また,上位下位とも8桁に満たない場合は前から補われます。ユーザーが指定できる範囲の値,0:0〜1FFF:0および7FFF8000:0〜7FFFFFFF:0を指定してください。「id=」と値の間には,スペースやタブを入れないでください。ログの種別と監視名の間には,スペースを入れてください。この値を省略すると,イベントID(00003A71)が指定されます。イベントIDの表記例を次に示します。

(例)

次に示す3とおりの表記は同じ意味になります。

0000011A:00000000

11A:0

11A

[trap-name=監視名]

イベントログを変換して登録されたJP1イベントが,どのフィルターに該当したものなのか判別する際の監視名を指定します。監視名の先頭の文字は,必ず英数字を指定してください。英大文字・英小文字を区別します。スペースやタブを入れないでください。このパラメーターを省略すると,JP1イベント変換時に拡張属性(E.JP1_TRAP_NAME)が作成されません。

条件文

条件文の指定は次のとおりです。

・属性指定にtype以外を指定した場合

属性指定 正規表現1 正規表現2 正規表現3 …

・属性指定にtypeを指定した場合

type ログの種類1 ログの種類2 ログの種類3 …

属性指定のあとに列挙された正規表現(またはログの種類)のどれかが成立した場合に成立します。なお,フィルター内の条件文はAND条件,フィルター間はOR条件です。

属性設定

属性設定は次のとおりです。

属性名

記述する内容

type

ログの種類

source

ソース

category

分類

id

イベントID

user

ユーザー

message

説明

computer

コンピュータ名

注意事項

属性設定で”message"を指定した場合,イベントログの説明文で「〜に関する説明が見つかりませんでした」という説明文(メッセージDLLが存在しない説明文)を含んだイベントログは,メッセージを作成できません。このため,トラップ対象外となります。挿入句にトラップ対象の語句が含まれていたとしてもトラップされません。

上記の場合,Windowsのイベントログの仕組みに従って,イベントログの説明文を記載したメッセージDLLが正しく設定された状態でご利用ください。メッセージDLLが正しく設定されていないと,イベントログから説明文を読み込めないため,トラップの対象にできないことがあります。なお,メッセージDLLがないメッセージをトラップしたい場合は,matching-levelパラメーターを1に設定してください。

なお,監視できるログ情報の詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management 2 - Manager 導入・設計ガイド」の「7.6.3 監視できるログ情報」を参照してください。

正規表現

正規表現は,’...’ のように引用符で囲まれた文字列で指定します。!’...’のように引用符の前に感嘆符を付加した場合,指定した正規表現以外の文字列という意味となります。正規表現中に ’ を指定する場合は \’ のようにエスケープ指定する必要があります。正規表現は,ログの種類がtype以外の場合に指定できます。

ログの種類

ログの種類は次のとおりです。

ログの種類

内容

重大度

Information

情報

Information(情報)

Warning

警告

Warning(警告)

Error

エラー

Error(エラー)

Audit_success

成功の監査

Notice(通知)

Audit_failure

失敗の監査

Notice(通知)

定義例

定義例1:OR条件とAND条件
OR条件の定義例

ログの種別が「システムログ」で,説明に「TEXT」,「MSG」,または「-W」のどれかを含む。

filter "System"
    message 'TEXT' 'MSG' '-W'
end-filter

条件をスペースまたはタブで区切って指定すると,OR条件になります。

AND条件の定義例

ログの種類が「システムログ」で,説明に「TEXT」,「MSG」,および「-W」をすべて含む。

filter "System"
    message 'TEXT'
    message 'MSG'
    message '-W'
end-filter

条件を改行で区切って指定すると,AND条件になります。改行した場合は,属性名から記述してください。

定義例2:複数のフィルターを設定する

ログの種別が「アプリケーションログ」のイベントログのうち,次に示す条件のイベントログをトラップする。

フィルター1

・種別:アプリケーションログ

・種類:エラー

・説明:「-E」および「JP1/Base」を含む。

フィルター2

・種別:アプリケーションログ

・種類:警告

・説明:「-W」または「warning」を含む。

#フィルター1
filter "Application"
    type Error
    message '-E'
    message 'JP1/Base'
end-filter
#フィルター2
filter "Application"
    type Warning
    message '-W' 'warning'
end-filter
定義例3:正規表現を使用する

次に示す条件のイベントログをトラップする。

  • 種別:アプリケーションログ

  • 種類:エラー

  • イベントID:111

  • 説明:「-E」または「MSG」を含み,かつ「TEXT」を含まない。

filter "Application"
    type Error
    id '^111$'
    message '-E' 'MSG'
    message !'TEXT'
end-filter

「111」のイベントIDを条件にしたい場合は,正規表現を使用して,「id '^111$'」と指定してください。「id '111'」と指定すると,「イベントIDに111を含む」という条件になるため,イベントIDが「1112」や「0111」でも条件が成立します。「!」を「' '」の手前に付けた場合は,指定した正規表現に一致しないデータを選択します。正規表現は,JP1/Baseの拡張正規表現固定となります。拡張正規表現の詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」の正規表現の文法を説明している個所を参照してください。

定義例4:特定のイベントログだけ変換しない

ログの種別が「システムログ」で,ログの種類が「警告」のイベントログのうち,次に示す条件のイベントログだけトラップしない。

  • ソース:AAA

  • イベントID:111

  • 説明:「TEXT」を含む。

#ソースがAAAのイベントログはトラップしない。

filter "System"
    type Warning
    source !'AAA'
end-filter
#ソースがAAA,かつイベントIDが111以外のイベントログをトラップする。
filter "System"
    type Warning
    source 'AAA'
    id !'^111$'
end-filter
#ソースがAAA,イベントIDが111,かつ説明に「TEXT」を含まないイベントログをトラップする。
filter "System"
    type Warning
    source 'AAA'
    id '^111$'
    message !'TEXT'

end-filter