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JP1 Version 12 JP1/Integrated Management 2 - Event Gateway for Network Node Manager i


4.1.2 フィルター条件ブロックの定義

フィルター条件ブロックでは,JP1イベントに変換するNNMiインシデントのフィルター条件文を設定します。フィルター条件文は,条件文と除外条件文を組み合わせて定義します。フィルター条件ブロックは必ず記述してください。

〈この項の構成〉

(1) フィルター条件文の書式

フィルター条件文は,次の書式で記述します。

属性名△比較キーワード△オペランド1△オペランド2△…

△は一つ以上の連続した半角のスペースまたはタブを示します。

属性名に対応する属性値とオペランドの値を大文字と小文字を区別して比較し,比較キーワードの条件を満たした場合に,フィルター条件が成立します。

例えば,名前(NAME)が「SNMPLinkDown」のNNMiインシデントをJP1イベントに変換したいときは,次のフィルター条件文を記述します。

NAME IN SNMPLinkDown

属性名,比較キーワード,およびオペランドの詳細については,これ以降で説明します。

(2) 比較キーワード

フィルター条件文で使用できる比較キーワードを次の表に示します。

表4‒2 フィルター条件文で使用できる比較キーワード

比較キーワード

指定できるオペランド数

条件

IN

一つ以上

属性値が,オペランドに指定した文字列,整数,または日付のどれかと一致する。

NOTIN

一つ以上

属性値が,オペランドに指定した文字列,整数,または日付のどれとも一致しない。

SUBSTR

一つ以上

属性値が,オペランドに指定した文字列のどれかを含んでいる。

NOTSUBSTR

一つ以上

属性値が,オペランドに指定した文字列のどれも含んでいない。

BEGIN

一つ以上

属性値が,オペランドに指定した文字列のどれかで始まる。

REGEX

一つ以上

属性値が,オペランドに指定した正規表現のどれかと一致する。

使用できる正規表現については,「付録E 正規表現」を参照してください。

RANGE

二つ

属性値が,オペランド1≦属性値≦オペランド2を満たす。

注※

フィルター条件文で使用できる比較キーワードのREGEXは,完全一致比較となります。そのため,前方一致比較を実施する場合は,比較する正規表現の後に「.*」を付与するなど正規表現で前方一致比較となるように正規表現を記載してください。

(3) オペランド

オペランドには,NNMiインシデントを絞り込むための値を,任意の文字列,整数,または日付で指定します。

ここでは,通常とは異なる形式で指定する場合について説明します。

(a) 2けたの16進数で表現する場合

オペランドには,半角スペース,タブ,CR,LFおよび%は使用できません。ただし,比較キーワードが「REGEX」以外のオペランドについては,次に示すような「% + ASCIIコード(2けたの16進数)」で表現できます。

  • 半角スペース:%20

  • タブ:%09

  • CR:%0d

  • LF:%0a

  • %:%25

また,上記以外の文字についても「% + ASCIIコード(2けたの16進数)」で表現できます。

(b) 属性値のデータ型が日付の場合

属性値のデータ型が日付の場合は,次の表に示す形式でオペランドを指定してください。

表4‒3 オペランドの形式(日付型の場合)

比較キーワード

形式

説明

IN

NOTIN

  • yyyyMMddHHmmssSSS

OSのロケールに従って20000101000000000〜20991231235959999の範囲内で指定してください。

RANGE

  • yyyyMMddHHmmssSSS

  • yyyyMMddHHmmss

  • yyyyMMddHHmm

  • yyyyMMddHH

  • yyyyMMdd

OSのロケールに従って20000101000000000〜20991231235959999の範囲内で指定してください。

(凡例)

yyyy:年(2000〜2099で指定する)

MM:月(01〜12で指定する)

dd:日(01〜31で指定する)

HH:時(00〜23で指定する)

mm:分(00〜59で指定する)

ss:秒(00〜59で指定する)

SSS:ミリ秒(000〜999で指定する)

比較キーワードが「RANGE」の場合は,年月日(yyyyMMdd)以降の値は省略できます。値を省略した場合は,次の表に示す値が設定されます。

オペランド

時(HH)

分(mm)

秒(ss)

ミリ秒(SSS)

オペランド1

00

00

00

000

オペランド2

23

59

59

999

(4) NNMiインシデントの属性

NNMiインシデントの属性と,その属性に対して使用できる比較キーワードを次の表に示します。なお,属性の詳細な内容についてはNNMiの各製品のマニュアルを参照してください。

表4‒4 NNMiインシデントの属性と使用できる比較キーワード

属性

属性名

データ型

比較キーワード

IN

NOTIN

SUBSTR

NOTSUBSTR

BEGIN

REGEX

RANGE

ソースオブジェクト

SRC_NAME

文字列

×

ソース種別

SRC_TYPE

文字列

×

ソースノード

SRC_NODE_NAME※1

文字列

×

ソースノード(相互変換)

SRC※1

文字列

×

×

名前

NAME

文字列

×

重大度

SEVERITY_UK※2

文字列

×

※3

優先度

PRIORITY_UK※2

文字列

×

※3

ライフサイクル状態

LIFECYCLE_STATE_UK※2

文字列

×

割り当て先

ASSIGNED_TO

文字列

×

カテゴリ

CATEGORY_UK※2

文字列

×

ファミリー

FAMILY_UK※2

文字列

×

発生元

ORIGIN_UK※2

文字列

×

相関処理特性

NATURE_UK※2

文字列

×

重複数

DUPLICATE_COUNT

整数

×

メッセージ

FORMATTED_MESSAGE

文字列

×

NOTES

文字列

×

RCAアクティブ

RCA_ACTIVE

文字列

×

×

元の発生日時

ORIGIN_OCCUR_TIME

日付

×

最初の発生日時

FIRST_OCCUR_TIME

日付

×

最後の発生日時

LAST_OCCUR_TIME

日付

×

作成日時

CREATED

日付

×

最終更新日時

MODIFIED

日付

×

カスタム属性数

CIANUM

整数

×

カスタム属性名

CIANAME_$n※4

文字列

×

カスタム属性タイプ

CIATYPE_$n※4

文字列

×

カスタム属性値

CIAVALUE_$n※4

文字列

×

(凡例)

○:使用できる

×:使用できない

注※1

「SRC」を使った条件文では,オペランドに指定したホスト名またはIPアドレスを,必要に応じて相互変換してから,属性値と比較します。

「SRC_NODE_NAME」を使った条件文では,オペランドに指定したホスト名またはIPアドレスを相互変換しないで,そのまま属性値と比較します。

注※2

属性値があらかじめ決められています。属性値の詳細については,「(5) NNMiインシデントの属性値」を参照してください。

注※3

重大度と優先度の範囲については,「(5) NNMiインシデントの属性値」の「表4-5 NNMiインシデントの属性名,属性値,およびラベル」の,「SEVERITY_UK」および「PRIORITY_UK」を参照してください。なお,「SEVERITY_UK」および「PRIORITY_UK」の属性値は昇順で記載されています。

注※4

$nはカスタム属性のインデックスを示します。1〜カスタム属性数(CIANUM)の数字が入ります。

例:4番目のカスタム属性値の場合「CIAVALUE_4」と定義してください。

(5) NNMiインシデントの属性値

NNMiインシデントの属性のうち,属性値(一意のキー)があらかじめ決められている属性があります。属性値が決められている属性の,属性名,属性値,およびNNMiの画面での表示名(ラベル)を次の表に示します。

表4‒5 NNMiインシデントの属性名,属性値,およびラベル

属性名

属性値

(一意のキー)

ラベル

(日本語)

ラベル

(英語)

SEVERITY_UK

NORMAL

正常域

Normal

WARNING

注意域

Warning

MINOR

警戒域

Minor

MAJOR

重要警戒域

Major

CRITICAL

危険域

Critical

PRIORITY_UK

com.hp.nms.incident.priority.None

なし

None

com.hp.nms.incident.priority.Low

Low

com.hp.nms.incident.priority.Medium

Medium

com.hp.nms.incident.priority.High

High

com.hp.nms.incident.priority.Top

最上位

Top

LIFECYCLE_STATE_UK

com.hp.nms.incident.lifecycle.Registered

登録済み

Registered

com.hp.nms.incident.lifecycle.InProgress

進行中

InProgress

com.hp.nms.incident.lifecycle.Completed

完了

Completed

com.hp.nms.incident.lifecycle.Closed

解決済み

Closed

CATEGORY_UK

com.hp.nms.incident.category.Accounting

アカウンティング

Accounting

com.hp.nms.incident.category.Alert

アプリケーションステータス

Alert

com.hp.nms.incident.category.Status

ステータス

Status

com.hp.nms.incident.category.Security

セキュリティ

Security

com.hp.nms.incident.category.Performance

パフォーマンス

Performance

com.hp.nms.incident.category.Fault

障害

Fault

com.hp.nms.incident.category.Config

設定

Config

jp.co.Hitachi.soft.jp1.sso.incident.category.Resource

リソース

Resource

jp.co.Hitachi.soft.jp1.sso.incident.category.Proccess

プロセス

Proccess

jp.co.Hitachi.soft.jp1.sso.incident.category.Service

サービス

Service

jp.co.Hitachi.soft.jp1.sso.incident.category.Application

アプリケーション

Application

FAMILY_UK

com.hp.nms.incident.family.BGP

BGP

BGP

com.hp.nms.incident.family.HSRP

HSRP

HSRP

com.hp.nms.incident.family.OSPF

OSPF

OSPF

com.hp.nms.incident.family.RAMS

RAMS

RAMS

com.hp.nms.incident.family.RMON

RMON

RMON

com.hp.nms.incident.family.RRP

RRP

RRP

com.hp.nms.incident.family.STP

STP

STP

com.hp.nms.incident.family.Syslog

Syslog

Syslog

com.hp.nms.incident.family.VLAN

VLAN

VLAN

com.hp.nms.incident.family.VRRP

VRRP

VRRP

com.hp.nms.incident.family.Address

アドレス

Address

com.hp.nms.incident.family.Interface

インターフェイス

Interface

com.hp.nms.incident.family.ComponentHealth

コンポーネントの健康状態

Component Health

com.hp.nms.incident.family.Chassis

シャーシ

Chassis

com.hp.nms.incident.family.trap.Analysis

トラップ分析

Trap Analysis

com.hp.nms.incident.family.Node

ノード

Node

com.hp.nms.incident.family.Board

ボード

Board

com.hp.nms.incident.family.License

ライセンス

License

com.hp.nms.incident.family.AggregatePort

集約ポート

Aggregate port

com.hp.nms.incident.family.Connection

接続

Connection

com.hp.nms.incident.family.Correlation

相関処理

Correlation

jp.co.Hitachi.soft.jp1.sso.incident.family.SSO

SSO

SSO

jp.co.Hitachi.soft.jp1.sso.incident.family.APM

APM

APM

ORIGIN_UK

MANAGEMENTSOFTWARE

管理ソフトウェア

Management software

MANUALLYCREATED

マニュアル操作で作成

Manually created

REMOTELYGENERATED

リモートで生成

Remotely generated

SNMPTRAP

SNMPトラップ

SNMP trap

SYSLOG

システムログ

System log

OTHER

その他

Other

NATURE_UK

ROOTCAUSE

根本原因

Root Cause

SECONDARYROOTCAUSE

二次的な根本原因

Secondary root cause

SYMPTOM

症状

Symptom

STREAMCORRELATION

ストリームの相関処理

Stream Correlation

NONE

なし

None

注※

カテゴリおよびファミリーの属性値のうち,NNMiが提供している属性値以外に,ユーザーが独自に作成した属性値がある場合は,マッピング定義ファイルの作成が必要です。詳細については,「4.2 マッピング定義ファイルの作成」を参照してください。

(6) フィルター条件文の記述例

フィルター条件文の記述例を次に示します。

ソースノードが「host1」(IPアドレスは「10.0.0.1」)のNNMiインシデントを選択します。

SRC_NODE_NAME IN host1 10.0.0.1

または

SRC IN host1

または

SRC IN 10.0.0.1

メッセージがHello, worldで始まるNNMiインシデントを選択します。なお,「,」と「w」の間の%20は半角スペースを示します。

FORMATTED_MESSAGE BEGIN Hello,%20world

ソースノードが「host2」(IPアドレスは「10.0.0.2」)以外で,かつ名前が「SNMP」で始まるNNMiインシデントを選択します。

SRC NOTIN host2

NAME BEGIN SNMP

2番目のカスタム属性の属性名が「TASK_NAME」で,その値が「在庫管理」のNNMiインシデントを選択します。

CIANAME_2 IN TASK_NAME

CIAVALUE_2 IN 在庫管理

2010年1月1日以降に発生したNNMiインシデントを選択します。

ORIGIN_OCCUR_TIME RANGE 20100101 20991231

次に示すNNMiインシデントを選択します。
  • 重大度が「警戒域」から「危険域」で,かつ優先度が「低」以外であるNNMiインシデント

  • 優先度が「低」で,かつNAMEに「Interface」を含むNNMiインシデント

SEVERITY_UK RANGE MINOR CRITICAL

PRIORITY_UK NOTIN com.hp.nms.incident.priority.Low

OR

PRIORITY_UK IN com.hp.nms.incident.priority.Low

NAME SUBSTR Interface

カテゴリが「障害」および「セキュリティ」,または重大度が「危険域」のNNMiインシデントを選択します。ただし,ソースノード名が「host3(IPアドレスは10.0.0.3)」のNNMiインシデントは除外します。

CATEGORY_UK IN com.hp.nms.incident.category.Fault com.hp.nms.incident.category.Security

OR

SEVERITY_UK IN CRITICAL

EXCLUDE

SRC IN host3