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JP1 Version 12 JP1/Integrated Management 2 - Manager 導入・設計ガイド


13.3.11 FQDN形式のホスト名の監視対象ホストを管理する場合のシステム構成

JP1/IM - Managerでは,監視対象ホストを監視対象ホスト名で管理しています。

JP1/IM - Managerは,FQDN形式のホスト名またはhostnameコマンドを実行したときに表示されるホスト名(ショートネーム)の監視対象ホストを管理できます。

監視対象ホストをFQDN形式で管理したい場合,JP1/Baseのイベントサーバ名をFQDN形式にしてください。また,監視対象ホストをショートネーム形式(hostnameコマンドを実行したときに表示されるホスト名)で管理したい場合,JP1/Baseのイベントサーバ名をショートネーム形式にしてください。

ここでは,FQDN形式のホスト名の監視対象ホストを管理する場合について説明します。

ドメインで構成されたシステムでは,次に示すように,監視対象ホスト名と発生元ホスト名が異なってしまうことがあります。

図13‒12 ドメインで構成されたシステム

[図データ]

agent1.d1で発生したJP1イベントが,host2に転送され,JP1/IM - Viewに表示されます。このとき,発生元ホストマッピング機能によってコンピュータ名を発生元ホスト名として処理します。JP1/IM - Viewの表示には,発生元ホスト名が「agent1」と表示されます。この図では,agent1は2台あるため,どちらのJP1イベントなのか区別できません。

そのため,発生元ホストのマッピング機能を使用してホスト名をマッピングしていても,業務グループでホストを監視したり,JP1イベントをホスト名でフィルタリングしたりするときに,正常に動作しないことがあります。

このような問題を避けるために,FQDN形式のホスト名のホストを管理する場合は,「13.3.11(2) エージェント構成またはリモート監視構成にホストを登録する」を参照して,JP1/BaseとJP1/IM - Managerを設定してください。

〈この項の構成〉

(1) FQDN形式のホスト名の監視対象ホストを管理する場合の基本構成

FQDN形式の監視対象ホストを監視するときのJP1/IM - Managerの基本構成を次に示します。

図13‒13 JP1/IM - Managerの基本構成例(FQDN形式で監視対象ホストを監視する)

[図データ]

ビューアー
  • JP1/IM - View(バージョンの制限はありません。)

統合マネージャー

FQDN形式に対応している次の製品が必要となります。

  • バージョン10以降のJP1/IM - Manager

  • バージョン10以降のJP1/Base

エージェント(監視対象ホスト)
  • JP1/Base(バージョンの制限はありません。)

    ただし,エージェント構成にFQDN形式のホスト名の監視対象ホストを登録する場合,エージェントホストのJP1/Baseのバージョンが09-00以降である必要があります。

リモートの監視対象ホスト
  • JP1/Base,JP1/IM - Managerは必要ありません。

また,システムの階層構成(IM構成)中に,リモートの監視対象ホストを管理している拠点マネージャーや,各エージェント(監視対象ホスト)のイベントを集約している中継マネージャーを置くこともできます。

図13‒14 拠点マネージャーおよび中継マネージャーを置いた場合のJP1/IM - Managerの構成例(FQDN形式で監視対象ホストを監視する)

[図データ]

統合マネージャーおよび拠点マネージャー

FQDN形式に対応している次の製品が必要となります。

  • バージョン10以降のJP1/IM - Manager

  • バージョン10以降のJP1/Base

中継マネージャー
  • JP1/IM - Manager(バージョンの制限はありません。)

  • JP1/Base(バージョンの制限はありません。)

エージェント(監視対象ホスト)
  • JP1/Base(バージョンの制限はありません。)

リモートの監視対象ホスト
  • JP1/Base,JP1/IM - Managerは必要ありません。

(2) エージェント構成またはリモート監視構成にホストを登録する

(a) IM構成管理に登録するホスト名と登録するホストのイベントサーバ名を同じ名称にする(JP1/Baseの設定)

IM構成管理に登録するホスト名と登録するホストのイベントサーバ名が異なる場合は,IM構成管理に登録するホスト名をイベントサーバ名と同じ名称にしてください。同じ名称にする手順については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のDNSを使ったシステムでのイベントサーバの設定に関する個所を参照してください。

すでに,JP1/Baseでシステムを監視している場合にイベントサーバ名を変更すると,発生元ホスト名が変更されます。そのため,自動アクションの実行条件やJP1イベントのフィルタリングの条件を見直してください。見直しする項目については,「13.3.11(2)(c) イベントサーバ名の変更に伴う見直し項目」を参照してください。

(b) JP1イベントの属性を変更する(JP1/IM - Managerの設定)

FQDN形式のホスト名のホストを管理する場合,イベントログトラップの発生元ホスト名の属性(3A71のJP1イベント)が次のように異なります。

表13‒7 発生元ホスト名の属性

変更

マッピングするイベントの条件

発生元ホスト名にマッピングする属性

説明

イベントID(B.ID

PP名(E.PPNAME

変更前(JP1/IM - Managerのバージョンが09-50以前)

3A71

コンピュータ名(E.A1

リモート監視イベントログトラップおよびJP1/Baseのイベントログトラップが発行する3A71イベントに対する発生元ホストマッピングの定義。

変更後

(JP1/IM - Managerのバージョンが10-00以降)

3A71

/HITACHI/JP1/NTEVENT_LOGTRAP

発行元イベントサーバ名(B.SOURCESERVER

JP1/Baseのイベントログトラップが発行する3A71イベントに対する発生元ホストマッピングの定義。

コンピュータ名(E.A1

サブマネージャーホストから転送されたJP1/IM - Managerのバージョンが09-50のリモート監視イベントログトラップが発行した3A71イベントに対する発生元ホストマッピング定義。

(凡例)

−:なし

変更前の状態では,発生元ホスト名にコンピュータ名をマッピングします。変更後の状態では,発生元ホスト名に発行元イベントサーバ名をマッピングします。

JP1イベントの属性を変更後のように変更したい場合は,次の手順に従って,共通定義設定用ファイル(JP1イベントの属性変更)を編集してください。

  1. JP1/IM - Managerを新規または上書きインストールする。

  2. 共通定義設定用ファイル(JP1イベントの属性変更)のモデルファイル(jp1im_jp1_event_attributes.conf.model)を任意の場所にコピーする。

    共通定義設定用ファイル(JP1イベントの属性変更)の詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management 2 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」の「共通定義設定用ファイル(JP1イベントの属性変更)」(2. 定義ファイル)を参照してください。

  3. コピーしたファイルを次のように編集する。

    [JP1_DEFAULT\JP1CONFIG]

    "ATTR_EVENT_LOGTRAP_SOURCEHOST"=dword:00000001

  4. jbssetcnfコマンドを実行する。

    jbssetcnfコマンドについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。

  5. JP1/IM - Managerを再起動する。

    必ず,JP1/IM - Managerを再起動してください。

(c) イベントサーバ名の変更に伴う見直し項目

イベントサーバ名を変更した場合,発生元ホスト名が変更されます。発生元ホスト名に関する次の項目を見直してください。

表13‒8 見直しが必要な項目

製品

機能

項目

見直す内容

JP1/IM - Manager

イベント一覧の表示,イベント詳細表示

表示内容の確認

発生元ホストの項目を表示している場合,表示されるホスト名の形式が異なります。表示されるホスト名の形式で問題ないか確認してください。

JP1イベントのフィルタリング

ユーザーフィルター,表示フィルター,重要イベント定義,共通除外条件(拡張モード)の条件の見直し

フィルター条件に発生元ホスト名の条件を指定している場合,正しくフィルタリングできているか確認してください。

イベントガイド表示

表示条件の見直し

発生元ホストの項目を表示している場合,表示されるホスト名の形式が異なります。表示されるホスト名の形式で問題ないか確認してください。

イベントガイドメッセージに使用するイベント属性の見直し

イベント属性に発生元ホストを使用している場合,属性が正しいか確認してください。

イベント検索

検索条件の見直し

フィルター条件に発生元ホスト名を使った条件を指定している場合,正しくフィルタリングできているか確認してください。

イベントレポート出力

フィルター条件の確認

出力される属性の見直し

発生元ホスト名の属性を出力している場合,出力される値で問題ないか確認してください。

相関イベントの発行

相関イベント発行条件の見直し

発生元ホスト名の属性を相関イベントに引き継いでいる場合,引き継いだ値で問題ないか確認してください。

また,相関イベントで自動アクションを実行している場合は,自動アクションの実行条件も見直してください。

JP1イベントの重大度変更

重大度変更条件の見直し

フィルター条件に発生元ホスト名の条件を指定している場合,正しくフィルタリングできているか確認してください。

発生元ホストのマッピング

発生元ホストのマッピング定義の見直し

コマンド実行,自動アクション

実行条件の見直し

実行条件に発生元ホスト名の条件を指定している場合,アクションを正しく実行できるか確認してください。

引き継ぎ情報の見直し

コマンドの実行内容およびアクションの実行内に発生元ホスト名の属性情報を指定している場合,正しくコマンド実行およびアクションを実行できるか確認してください。

業務グループの参照・操作制限

イベントの参照制限の確認

3A71イベントが意図した業務グループのユーザーだけに表示されているか確認してください。

JP1イベントの対処状況の変更,メモ情報の設定

見直す必要はありません。

JP1/Base

イベント転送の設定

JP1/IM - Managerのバージョンが09-50の場合に,サブマネージャーホストでリモート監視イベントログトラップを使用して3A71イベントを上位マネージャーに転送しているときは,サブマネージャーホストのJP1/IM - Managerをバージョン10-00以降にバージョンアップしてください。そのあと,JP1イベントの属性を変更してください。

他製品

インシデント登録

登録されるインシデントの内容の確認

引き継がれるホスト名の形式が異なります。表示されるホスト名の形式で問題ないか確認してください。

連携製品のモニター起動,統合機能メニューJP1/IM - Rule Operationとの連携,応答待ちイベントの管理

見直す必要はありません。