Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Integrated Management 2 - Manager 導入・設計ガイド


6.3.4 イベント引き継ぎ情報

アクションの実行内容に関する次の項目は,イベント引き継ぎ情報としてアクションの契機となったJP1イベントの情報を指定できます。

JP1イベントの属性値の自動アクションへの引き継ぎは,イベント基盤サービスからアクション実行サービスに渡す際に実行しています。

次に示すイベント引き継ぎ情報を指定できます。

表6‒7 アクションの実行内容に指定できる変数

種別

変数名

イベント引き継ぎ情報

基本属性

EVBASE

  • イベント基本情報

EVID

  • イベントID(基本コード:拡張コード)

    イベントIDを「基本コード:拡張コード」形式にした文字列

EVIDBASE

  • イベントID(基本コード)

    イベントIDを「基本コード」形式に変換した文字列

EVDATE

  • イベント登録日(YYYY/MM/DD)

    登録時刻を「YYYY/MM/DD」形式にした文字列

EVTIME

  • イベント登録時刻(hh:mm:ss)

    登録時刻を「hh:mm:ss」形式にした文字列

EVPID

  • イベント発行元プロセスID

    発行元プロセスIDの値

EVUSRID

  • イベント発行元プロセスのユーザーID

    発行元ユーザーIDの値

EVGRPID

  • イベント発行元プロセスのグループID

    発行元グループIDの値

EVUSR

  • イベント発行元ユーザー名

    発行元ユーザー名の値

EVGRP

  • イベント発行元グループ名

    発行元グループ名の値

EVHOST

  • イベント発行元ホスト名

    自動アクション環境定義ファイルの"HOSTINEVENT"パラメーターの値に応じた値

    remoteの場合:発行元イベントサーバ名

    localの場合:発行元IPアドレスから求めたホスト名

EVIPADDR

  • イベント発行元IPアドレス

    発行元IPアドレスをIPv4アドレス形式,またはIPv6アドレス形式にした文字列

    <IPv4アドレス形式>

    32ビットのアドレス値を8ビット単位でピリオド(.)区切り,10進数(0〜255)で出力した形式。

    例:0.64.128.255

    <IPv6アドレス形式>

    128ビットのアドレス値を16ビット単位でコロン(:)区切り,16進数(0000〜ffff)で出力した形式。

    例:0011:2233:4455:6677:8899:aabb:ccdd:eeff

EVSEQNO

  • イベントDB内通し番号

    イベントDB内通し番号の値

EVARVDATE

  • イベント到着日(YYYY/MM/DD)

    到着時刻を「YYYY/MM/DD」形式にした文字列

EVARVTIME

  • イベント到着時刻(hh:mm:ss)

    到着時刻を「hh:mm:ss」形式にした文字列

EVSRCNO

  • 発行元イベントDB内通し番号

    発行元イベントDB内通し番号の値

EVMSG

  • メッセージ

    メッセージの値

EVDETAIL

  • 詳細情報

    詳細情報を「情報1△情報2△…情報n△」形式にした文字列(△:半角スペース)

拡張属性

EVSEV

  • イベント拡張情報重大度(Emergency, Alert, Critical, Error, Warning, Notice, Information, Debug)

    重大度の値

EVUSNAM

  • ユーザー名

    ユーザー名の値

EVOBTYP

  • オブジェクトタイプ

    オブジェクトタイプの値

EVOBNAM

  • オブジェクト名

    オブジェクト名の値

EVROBTYP

  • 登録名タイプ

    登録名タイプの値

EVROBNAM

  • 登録名

    登録名の値

EV"PRODUCT_NAME"

  • プロダクト名

    プロダクト名値

EV"OBJECT_ID"

  • オブジェクトID

    オブジェクトIDの値

EV"OCCURRENCE"

  • 事象種別

    事象種別の値

EV"START_TIME"

  • 開始時刻

    開始時刻の値

EV"END_TIME"

  • 終了時刻

    終了時刻の値

EV"RESULT_CODE"

  • 終了コード

    終了コードの値

EV"JP1_SOURCEHOST"

  • 発生元ホスト名

    発生元ホスト名の値

EV"拡張属性名"

  • 任意の拡張属性

    拡張属性名で指定された属性の属性値

その他

EV"@JP1IM_CORRELATE"

  • 相関イベント

    相関イベントかどうかを示す値

    ・0:相関イベントではない

    ・1:相関成立イベントである

    ・2:相関不成立イベントである

EV"@JP1IM_ORIGINAL_SEVERITY"

  • イベント拡張属性重大度(変更前)

    (Emergency,Alert,Critical,Error,Warning,Notice,Information,Debug,または重大度に設定された値)

    重大度変更機能が有効な場合だけ設定する属性

EV"@JP1IM_CHANGE_SEVERITY"

  • 重大度変更

    重大度を変更したかどうかを示す値

    ・0:重大度を変更していない

    ・1:重大度を変更した

EV"@JP1IM_DISPLAY_MESSAGE"

  • メッセージ(変更後)の値

    表示メッセージ変更機能が有効な場合だけ設定する属性

EV"@JP1IM_CHANGE_MESSAGE"

  • 表示メッセージ変更

    表示メッセージを変更したかどうかを示す値

    表示メッセージ変更機能が有効な場合だけ設定する属性

    ・0:メッセージを変更していない

    ・1:メッセージを変更した

ACTHOST

  • アクション実行要求元マネージャーホスト名

    マネージャーホスト名

EVENV1〜EVENV9

  • アクションの実行条件の指定で,正規表現中に"( )"を指定して切り出したデータ

    マネージャーで拡張正規表現を使用している場合だけ指定できる

〈この項の構成〉

(1) 指定方法

イベント引き継ぎ情報は,変数で指定します。変数は「$変数名」と指定します。$を文字として指定したい場合は,「\$」と指定してください。

なお,変換元の文字情報に,次に示す制御文字が含まれていた場合,その制御文字は半角スペース(0x20)に変換されて処理されます。

半角スペースに変換される制御文字:0x01〜0x1F(タブ(0x09)を除く),0x7F

(2) イベント引き継ぎ情報のエンコーディング

アクションの実行内容に関する項目のうち「アクション」については,イベント引き継ぎ情報の値をURLエンコーディングしたり,Base64エンコーディングしたりできます。

指定形式は,「$変数名$エンコーディングの種類」です。エンコーディングの種類の直後に半角英数字,または_(アンダーバー)を指定する場合は,「${変数名$エンコーディング種類}」の形式で指定してください。「$」を文字列として扱いたい場合は,エスケープ文字「\」を「$」の前に指定してください。

次の場合,「$変数名$エンコーディングの種類」または「${変数名$エンコーディング種類}」は,文字列と見なされて変換されません。

イベント引き継ぎ情報のエンコーディングの種類と指定形式を次に示します。

表6‒8 イベント引き継ぎ情報のエンコーディングの種類と指定形式

項番

エンコーディングの種類

指定形式

説明

1

URLエンコーディング

$変数名$URLENC

イベント引き継ぎ情報の値をUTF-8の文字列としてURLエンコーディングします。

${変数名$URLENC}

2

Base64エンコーディング

$変数名$ENC

イベント引き継ぎ情報の値をBase64エンコーディングします。

${変数名$ENC}

3

Base64コーディングとURLコーディングの両方

$変数名$ENC$URLENC

イベント引き継ぎ情報の値をBase64エンコーディングし,さらにURLエンコーディングします。

${変数名$ENC$URLENC}

4

エンコーディングしない

$変数名

URLエンコーディングもBase64エンコーディングもしない。

${変数名}

なお,引き継ぎ情報のエンコーディングは,自動アクション定義ファイル(互換用)では使用できません。

(3) イベント引き継ぎ情報の変換機能

イベント引き継ぎ情報の変換機能は,イベント引き継ぎ情報に含まれる特定のASCII文字を別の文字列に変換する機能です。

イベントに含まれるOSが特別な意味として取り扱う文字を別の文字に変換できます。例えば,変数で指定されたJP1イベントの情報に「"」や「'」など,コマンドで特別な意味を持つ文字がある場合,コマンドが正しく解釈されないときがあります。イベント引き継ぎ情報変換設定ファイルで文字変換することをお勧めします。

変換前の文字と変換後の文字列は,イベント引き継ぎ情報変換設定ファイルで指定できます。詳細は,マニュアル「JP1/Integrated Management 2 - Manager コマンド・定義ファイル・APIリファレンス」の「イベント引き継ぎ情報変換設定ファイル(event_info_replace.conf)」(2. 定義ファイル)を参照してください。