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JP1 Version 12 JP1/File Transmission Server/FTP(UNIX(R)用)


3.15.2 機能ごとの定義内容

〈この項の構成〉

(1) FTPクライアントの自IPアドレスの指定を有効にする

クライアント側からファイル伝送するときに,FTPクライアントの自IPアドレスを指定できるようになります。

FTPクライアントの自IPアドレスの指定を有効にするには,定義ファイル(ftshostenv.conf)にspecify client localhostを定義します。指定値の意味は次のとおりです。

自IPアドレスの指定を有効にした場合,FTPクライアントの自IPアドレスを指定できます。

自IPアドレスの指定を無効にした場合,FTPクライアントの自IPアドレスはOSが自動割り当てしたアドレスになります。

自IPアドレスの指定を有効にして,ホスト名を指定しなかった場合は,物理アドレス(OSのhostnameコマンドで返されるホスト名)を使用します。

機能の有効/無効と,FTPクライアントの自IPアドレス指定内容によるファイル伝送時の自IPアドレスの関係を次の表に示します。

表3‒21 機能の有効/無効と自IPアドレス指定の組み合わせで決定するファイル伝送時の自IPアドレス

コマンドまたはAPI

ホスト名指定の有無

機能が有効の場合

機能が無効の場合

ftstranコマンド

ホスト名指定

指定されたホスト名のアドレス

OS自動割り当てのアドレス

ホスト名指定省略

物理アドレス

OS自動割り当てのアドレス

fts_ftp_open_ex()関数

ホスト名指定

指定されたホスト名のアドレス

OS自動割り当てのアドレス

NULL指定

物理アドレス

OS自動割り当てのアドレス

なお,自IPアドレス指定で指定するホスト名は,ftstranコマンドまたはfts_ftp_open_ex()関数を呼び出すユーザプログラムが動作するホストのホスト名を指定してください。

(例)

FTPクライアントの自IPアドレス指定を有効にする例を次に示します。

[図データ]

この場合,FTPクライアントの自IPアドレスは次のように指定します。

ftstranコマンドの場合

FTPクライアントの自IPアドレスとして使用するアドレスのホスト名を,-Hオプションに指定します。ftstranコマンドについては,「6. コマンド」の「ftstran−伝送の実行−」を参照してください。

(例)伝送カードcard01に定義した伝送を,FTPクライアントlocalhostnameからファイル伝送する。

[図データ]

APIの場合

fts_ftp_open_ex( char* hostname )関数で指定するJP1/FTPデーモンのホスト名(hostname)がFTPクライアントの自IPアドレスになります。fts_ftp_open_exについては,「7. APIライブラリ」の「fts_ftp_open_ex()−JP1/FTPデーモンとのコネクション確立−」を参照してください。

(2) FTPサーバで送信する応答メッセージ内のFTPサーバホスト名を,接続を受けたホストまたはアドレスにする

FTPサーバが送信する応答メッセージ内の自ホスト名を,接続を受けたアドレスにできます。FTPサーバが送信する応答メッセージを次に示します。

  1. 制御コネクション確立直後

    220 hostname FTP server (JP1/File Transmission Server/FTP VV-RR-SS month date year) ready.
  2. STATコマンド受信後

    211 hostname FTP server status:

これらのメッセージ中のhostnameが,接続を受けたアドレスになります。

応答メッセージ内のFTPサーバホスト名を,接続を受けたホストまたはアドレスにするには,定義ファイル(ftshostenv.conf)にresponse hostname reverse lookupを定義します。指定値の意味は次のとおりです。

(例)

接続を受けたアドレスのホスト名で応答メッセージを返す例を次に示します。

[図データ]

(3) JP1イベント送信先を指定する

JP1イベントの送信先を指定できます。各デーモン(JP1/FTPデーモン,ログデーモン,運用管理エージェント)の起動・停止のJP1イベント送信先を指定します。対象のイベントIDは00010D20〜00010D28です。

JP1イベントの送信先の指定を有効にするには,定義ファイル(ftshostenv.conf)にjp1event hostを定義します。指定値の意味は次のとおりです。

また,JP1イベントの送信先を指定した場合,ファイル伝送終了時のJP1イベントは,デフォルトでは伝送を実行した自ホストをイベント送信先とします。対象のイベントIDは00010D0B〜00010D0Dです。

ファイル伝送終了時のJP1イベント送信先を,JP1イベント送信先で指定したホストにするには,定義ファイル(ftshostenv.conf)にjp1event trans is sameを定義します。指定値の意味は次のとおりです。

定義の指定内容によるファイル伝送終了時のJP1イベント送信先の関係を次の表に示します。

表3‒22 定義指定値の組み合わせで決定するファイル伝送終了時のJP1イベント送信先

jp1event host

jp1event trans is same

ファイル伝送終了時のJP1イベント送信先

指定あり

YES

jp1event hostで指定したホスト

NO

伝送を実行したホスト

指定なし

YES

物理ホスト

NO

物理ホスト

(例)

各デーモンの起動・停止およびファイル伝送終了時のJP1イベントの送信先ホストにjp1eventhostを指定する例を次に示します。

[図データ]