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JP1 Version 12 JP1/File Transmission Server/FTP(UNIX(R)用)


3.4.1 伝送情報を伝送カードに登録する

伝送情報を伝送カードに登録します。

伝送カードの登録は,既存の伝送カードをひな形として,登録内容を書き換え,別の伝送カードとして新規に登録することもできます。

伝送情報の各設定項目を,次の表に示します。

表3‒5 伝送情報の設定項目

項目

設定内容

伝送カード名称

((1〜20バイトの文字列))

伝送情報に付ける任意の名称を指定します。JP1/AJS3と連携する場合は,スペースを含まない伝送カード名称を指定してください。この項目は省略できません。

相手ホスト名

((1〜256バイトの文字列))

伝送する相手のホスト名称,またはIPアドレスを指定します。IPアドレスの場合,IPv4またはIPv6アドレスを指定できます。この項目は省略できません。

ポート番号

((1〜65535))

《21》

伝送する相手のポート番号を指定します。省略した場合は,「21」が仮定されます。

  • JP1/FTPのホストに伝送する場合

    ポート番号の設定で「ftss」に指定したポート番号を指定します。

  • OS標準のFTPのホストに伝送する場合

    デフォルト値(21)のままでかまいません。

相手ユーザ名

((1〜80バイトの文字列))

伝送相手のログインユーザ名を指定します。ログインユーザの登録で登録したログインユーザ名を指定してください。この項目は省略できません。

パスワード

((0〜80バイトの文字列))

ログインユーザの登録で登録したパスワードを指定します。登録時にパスワードを省略している場合は,何も入力しません。

送受信種別

伝送の種類を指定します。

  • 送信

  • 受信

伝送モード

伝送するファイルによって伝送モードを指定します。

  • ASCII:受信側で改行コードを自システムに合わせて変換する伝送モードです。テキストファイルなどを伝送するときに指定します。

  • BINARY:データの内容を意識しないで透過で伝送するモードです。データファイルや実行形式ファイルなどを伝送するときに指定します。

サイズ確認

ファイル伝送後に,実際に伝送されたファイルのサイズが正しいことを確認するかどうかを指定します。伝送ファイルの伝送データサイズをチェックし,送信側と受信側で伝送データサイズが変わっていた場合は,伝送エラーになります。なおサイズ確認には,相手先FTPホストがJP1/FTP(06-00以降)またはuCosminexus Service Platform(08-53以降)であることが必要です。

出力種別

伝送後のファイルの出力方法を指定します。

  • 追加:すでに同名のファイルがある場合は,そのファイルに追加書きされます。同名のファイルがない場合は,新規に作成します。送受信種別が受信の場合は,追加を指定できません。

  • 上書:すでに同名のファイルがある場合は,そのファイルを上書きし,既存のファイル内容はすべて破棄されます。同名のファイルがない場合は,新規に作成します。

圧縮モード

伝送するファイルを圧縮するかしないかを指定します。

圧縮指定について

  • 相手先FTPホストが圧縮モードをサポートしていない場合,圧縮を指定しても,非圧縮で伝送されます。

  • 圧縮方法は,RFC959(FILE TRANSFER PROTOCOL)で定義されたランレングス圧縮方式です。

単/複伝送

単一ファイル伝送をするか,複数ファイル伝送をするかを指定します。

  • 自動切替:伝送種別が送信の場合はローカルファイル名に,受信の場合はリモートファイル名に「*」または「?」が使用されているか判定します。ファイル名に「*」または「?」が使用されている場合,複数ファイル伝送をします。使用されていない場合,単一ファイル伝送をします。

  • 複数:複数ファイル伝送をします。ワイルドカードの指定のとおりに複数ファイルを伝送します。

  • 単一:単一ファイルを伝送します。ワイルドカードの指定があっても,普通の文字として扱い,単一ファイルを伝送します。

ローカルファイル名

伝送種別が送信か受信かで,指定方法が次のように異なります。この項目は省略できません。

  • 送信((1〜256バイトの文字列))

    自システムから送信するファイル名を指定します。ワイルドカードを使って,複数ファイルを指定することもできます。ワイルドカードを使用する場合,展開後のパス名の長さが256バイト以下である必要があります。

複数ファイルの指定方法

単/複伝送の指定によってファイルの指定方法が異なります。

単/複伝送が自動切替のとき

次のワイルドカードのどちらかを使用して,複数ファイルの指定ができます。

*:0個以上のすべての文字とマッチ

?:任意の1文字とマッチ

*」または「?」を使用しない場合は,単一ファイル伝送になります。

単/複伝送が複数のとき

*」,「?」以外にワイルドカードの「[]」,「!」も指定できます。

なお,複数のファイルを送信する場合,リモートファイル名にはディレクトリを指定してください。そのディレクトリの下に,ローカルファイル名と同じ名称のファイルがあれば,上書きされます。なければ,新規に作成します。

また,単/複伝送が自動切替または複数のとき,ディレクトリ名の指定にワイルドカードは使用できません。ディレクトリ名にワイルドカード文字が含まれている場合は,単/複伝送を単一にして伝送してください。

  • 受信((1〜256バイトの文字列))

    ファイルを受信後,自システムに出力するファイル名を指定します。リモートファイル名にワイルドカードを指定した場合は,ディレクトリ名(ルートディレクトリは除く)を指定します。なお,ワイルドカード展開後のパス名の長さが256バイト以下である必要があります。

相対パスで指定する場合

送受信ともに,次のディレクトリからの相対になります。

/var/opt/jp1_fts/work

リモートファイル名

伝送種別が送信か受信かで,指定方法が次のように異なります。この項目は省略できません。

  • 送信((1〜256バイトの文字列))

    相手システムの出力ファイル名を指定します。ローカルファイル名にワイルドカードを指定した場合は,ディレクトリ名を指定します。なお,ワイルドカード展開後のパス名の長さが256バイト以下である必要があります。

  • 受信((1〜256バイトの文字列))

    相手システムの入力元ファイル名を指定します。

    ワイルドカードを使って複数のファイルを指定できます。ワイルドカードを使用する場合,展開後のパス名の長さが256バイト以下である必要があります。

複数ファイルの指定方法

単/複伝送の指定によってファイルの指定方法が異なります。

単/複伝送が自動切替のとき

次のワイルドカードのどちらかを使用して,複数ファイルの指定ができます。

*:0個以上のすべての文字とマッチ

?:任意の1文字とマッチ

*」または「?」を使用しない場合は,単一ファイル伝送になります。

単/複伝送が複数のとき

*」または「?」以外のワイルドカードも指定できます。

なお,複数のファイルを受信する場合,ローカルファイル名にはディレクトリを指定してください。リモートファイル名と同じ名称で,指定したディレクトリにファイルが作成されます。

ワイルドカードの解釈について

NLSTコマンドにワイルドカードを指定して相手先FTPホストに送信し,その応答から伝送するファイルを決めます。このため,ワイルドカードの解釈は相手先FTPホストに依存します。

JP1/FTPの場合,ワイルドカードとして使用できる文字は,「*」,「?」,および「[]」です。ただし,ディレクトリ名の指定にワイルドカードは使用できません。ディレクトリ名にワイルドカード文字が含まれている場合は,単/複伝送を単一にして伝送してください。

リモートファイル指定について
  • [参照]によるファイル指定で参照できるのは,ローカルシステムから見たファイルです。リモートファイル名にはリモートシステムから見たファイル名を指定してください。

  • リモートファイル名に日本語文字(2バイトコード)を指定すると,相手先FTPホストによっては,アクセス拒否,文字化けなどを起こすことがあります。

ディレクトリ区切り文字について

ディレクトリ区切り文字に「\」を使用すると,ファイル名として認識されます。

相対パスで指定する場合

送受信ともに,カレントディレクトリからの相対になります。

正常時起動プログラム名

((0〜256バイトの文字列))

伝送が正常終了したときに,クライアント(発信側)で自動起動させるプログラム名称をフルパスで指定します。引数を指定して,プログラム起動時に,プログラムへ伝送情報を引数として渡すこともできます。引数については,「3.3.1 自動起動プログラムを登録する」の「引数キーワード」を参照してください。

異常時起動プログラム名

((0〜256バイトの文字列))

伝送が異常終了したときに,クライアント(発信側)で自動起動させるプログラム名称をフルパスで指定します。引数を指定して,プログラム起動時に,プログラムへ伝送情報を引数として渡すこともできます。引数については,「3.3.1 自動起動プログラムを登録する」の「引数キーワード」を参照してください。

FTPコマンド

((0〜300バイトの文字列))

ホストと接続したあと,伝送する前に実行させるFTPコマンドを指定します。複数のコマンドを指定する場合は,「;(セミコロン)」でコマンド間を区切ってください。

(例)CWD /home/user1;SITE xxxx

指定できるコマンドは,データコネクションを確立しないコマンドに限られます。また,FTPサーバ側でコマンドが実行可能か否かは,FTPサーバに依存します。

FTPサーバがJP1/FTPの場合

  • 指定できる主なコマンド

    CDUP,CWD,DELE,HELP,MDTM,MKD,NOOP,PWD,RMD,SITE,SIZE,STAT,SYST,XCUP,XCWD,XMKD,XPWD,XRMD

  • プロトコルトレースによって結果を参照できるコマンド

    HELP,MDTM,SIZE,STAT,SYST

FTPコマンドの指定について

  • コマンドによっては連続したコマンドの送信が必要なものがあります。FTPの仕様を確認の上,使用してください。

  • 引数を伴うコマンドを使用する場合,引数に日本語文字(2バイトコード)を指定すると,相手先FTPホストによっては,アクセス拒否,文字化けなどを起こすことがあるので注意してください。

コメント

((0〜80バイトの文字列))

任意のコメントを記述できます。ここに記述されたコメントは,履歴情報にも表示されるので,どんな伝送かを記述しておくと便利です。コメントは,伝送相手には渡りません。

FTPS使用

FTPSを使用するかしないかを指定します。FTPSを使用しない場合,通常のFTPが使用されます。

サーバ証明書有効期限確認

FTPSで使用するサーバ証明書の有効期限を確認するかどうかを指定します。確認するを指定した場合,サーバ証明書の有効期限が切れているファイル伝送は異常終了します。

CA証明書パス名

((0〜256バイトの文字列))

FTPSで使用するCA証明書ファイルのパス名をフルパスで指定します。

CRLパス名

((0〜256バイトの文字列))

FTPSで使用するCRLファイルのパス名をフルパスで指定します。

[正常時/異常時起動プログラム]の指定について

引数に「\」が含まれている場合は,プログラムによっては,「\」をエスケープ記号と解釈する場合があります。

標準入出力

標準入出力はクローズされます。なお,標準入出力をファイルに割り当てることができます。詳細については,「3.1.3 JP1/FTPの環境を環境変数で定義する」の「表3-2 環境変数一覧」に記載されている環境変数名JP1FTS_AUTO_STDIOを参照してください。

プロセスの環境

伝送を実行するユーザの.profileで設定される環境ではなく,JP1/FTPデーモンの環境となります。

複数ファイル伝送時のプログラム起動方法

ワイルドカードを使用した複数ファイル伝送を行った場合,ファイル伝送の数だけ自動起動プログラムが起動します。自動起動プログラムに引き継ぐ情報は,1伝送毎の情報だけです。すべての伝送情報を一度に自動起動プログラムへ引き継ぐ事はできません。

シグナルの抑止

次のシグナルをsighold()でマスクした状態で起動します。そのため,自動起動プログラムが次のシグナルを受信した場合,次のシグナルは保留されます。

  • SIGTERM

  • SIGCHLD

  • SIGHUP

環境変数JP1FTS_AUTO_SIGNALMASK_DELETEを使用することで,自動起動プログラムで,上記のシグナルを受信できるようになります。

新規に伝送情報を登録するコマンドの例を,次に示します。

[図データ]

次の内容を登録する。
  • -TC:伝送カード名を「card1」

  • -TH:接続先ホスト名を「host1」

  • -TU:ログインユーザ名を「keiri」

  • -TT:送受信種別を「SEND(送信)」

  • -TY:伝送モードを「BINARY」

  • -TL:ローカルファイル名を「/temp/file1」

  • -TR:リモートファイル名を「/temp/file2」

既存の伝送カードを利用して伝送情報を登録するコマンドの例を,次に示します。

[図データ]

次の内容を登録する。
  • 利用する既存の伝送カード名:「card1」

  • -TC:別の伝送カードとして登録する名前を「card2」

  • -TH:接続先ホスト名を「host1」

  • -TU:ログインユーザ名を「keiri」

  • -TT:送受信種別を「SEND(送信)」

  • -TY:伝送モードを「BINARY」

  • -TL:ローカルファイル名を「/temp/file1」

  • -TR:リモートファイル名を「/temp/file2」

ftsregcコマンドについては,「6. コマンド」の「ftsregc−伝送情報の登録・変更・削除・表示−」を参照してください。