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JP1 Version 12 JP1/File Transmission Server/FTP(UNIX(R)用)


3.1.1 JP1/FTPの環境を定義する

インストール時にデフォルトの値が設定されます。必要な場合だけ変更してください。

環境定義の各設定項目を,次の表に示します。

表3‒1 環境定義の設定項目

項目

設定内容

履歴情報保存件数

((0〜1000000件))

《2000件》

履歴情報を保存する件数を指定します。1ファイルの伝送が1件と数えられ,ファイル伝送の数が保存件数を超えた場合は,古い情報から上書きされます。

1件のサイズは,1,500バイトで,「保存件数×1,500バイト」のファイルサイズを必要とします。

履歴情報保存件数を増やす場合

履歴情報保存件数を増やすと,履歴を表示するのに時間が掛かる場合があります。これはCPU,ハードディスクの性能や搭載メモリの量に依存します。履歴情報を長期間保存したい場合は,次に示す履歴情報ファイルをコピーして保存することをお勧めします。

履歴情報ファイル
  • /var/opt/jp1_fts/sys/history

プロトコルトレースのファイルサイズ

((4〜10000KB))

《50KB》

ftpプロトコルのトレースを採取するファイルのサイズを指定します。プロトコルトレースファイルは,ftpレベルでのコマンドのやり取りを確認できます。トレース情報が指定サイズを超えた場合は,古い情報から上書きされます。

使用するディスク容量は,「指定したサイズ×最大同時伝送数×2」必要とします。

トレースファイルは,テキストエディターで参照できます。

モジュールトレースのファイルサイズ

((4〜10000KB))

《50KB》

モジュールトレースを採取するファイルのサイズを指定します。モジュールトレースは,保守情報として採取します。トレース情報が指定サイズを超えた場合は,古い情報から上書きされます。

使用するディスク容量は,「指定したサイズ×最大同時伝送数×2+指定したサイズ×10」必要とします。

モジュールトレースは参照できません。

アクセスログのファイルサイズ

((0〜100MB))

《0MB》

アクセスログを保存するファイルのサイズを指定します。アクセスログ情報が指定サイズを超えた場合,古い情報をバックアップしてから新しくファイルを作成します。バックアップファイルがすでにあるときは,バックアップファイルを上書きします。アクセスログについては,「3.16 アクセスログの採取」を参照してください。

アクセスログファイルは,テキストエディターで参照できます。

ホスト接続時のリトライ回数/間隔

ファイル伝送時のコネクション確立時,相手先ビジーなどによってコネクションを確立できなかったときのリトライ回数/間隔を指定します。サーバ(着信側)では,connect システムコールがエラーになった場合,クライアント(発信側)では,connect システムコールが次のエラーの場合だけ,リトライします。

ETIMEDOUTECONNREFUSEDENETUNREACHEADDRINUSEEINPROGRESSEALREADYENOBUFSENETDOWN

  1. ホスト接続時のリトライ回数((0〜100000回))《5回》

    0を指定するとリトライしません。

  2. ホスト接続時のリトライ間隔((0〜86400秒))《2秒》

    0を指定すると間隔を置かないでリトライします。

データ送信待ちタイムアウト

((1〜3600秒))

《60秒》

データ送信時に,パケットを送信し,送信バッファが空くまでの監視時間を指定します。指定した時間を経過してもバッファが空かないときは,伝送は異常終了します。

データ受信待ちタイムアウト

((1〜3600秒))

《60秒》

データ受信時に,パケットを受信する(伝送相手がパケットを送信してくる)までの監視時間を指定します。指定した時間を経過してもデータの受信がないときは,伝送は異常終了します。

サーバ(着信)/クライアント(発信)

  • 送信/受信バッファのサイズ((512〜262144Bytes))《40960Bytes》

    ソケットの送受信バッファサイズ(SO_SNDBUFおよびSO_RCVBUF)を指定します。

    なお,伝送効率は,回線の速度や利用状況,CPUの性能などによって変動します。使用するシステムに合わせて,設定してください。

  • アイドルタイムアウト((30〜7200秒))《900秒》

    一定時間,クライアント(発信側)から要求がない場合に,サーバ(着信側)がクライアント(発信側)へのコネクションを解放します。コネクションを解放するまでの時間を指定します。

  • ファイル作成マスク((000〜777の8進数))《027》

    受信ファイルのファイルモード作成マスクを指定します。新規にファイルが作成される場合は,この設定値が使用されます。すでに同じ名前のファイルがある場合は,ファイルモードは変わりません。

    (例)

    user=rw, group=rw, other=rのファイルを作成する場合:113

    user=r, group=r, other=rのファイルを作成する場合:333

    モードの詳細はumask,chmodコマンドのマニュアルを参照してください。実行パーミッション(x)を持ったファイルは作成できないので,注意してください。

JP1/IMイベントの発行

JP1イベントを発行する場合に指定します。指定するとサービスの状態の変化時や,伝送の終了時にJP1イベントを発行します。スーパーユーザでの伝送ではスーパーユーザ権限でイベントを発行し,一般ユーザでの伝送では一般ユーザ権限でイベントを発行します。JP1/IMと連携すると,JP1/IM上での状態監視ができるようになります。JP1/IMとの連携については,「5.2 JP1/IMとの連携」を参照してください。デフォルトでは,指定されていません。

伝送結果のシスログ出力

ファイル伝送の結果(正常,異常,警告)をシスログに出力する場合に指定します。指定した場合,次に示すメッセージIDが出力されます。

  • KDJF2001-I

  • KDJF2002-E

  • KDJF2003-W

  • KDJF3001-I

  • KDJF3002-E

  • KDJF3003-W

システムログに出力されるメッセージIDのうち,上記以外のメッセージIDは,指定の有無にかかわらず,出力されます。

デフォルトでは,指定されていません。

最大同時伝送数

((64〜128))

《64》

同時に伝送できる最大数を指定します。同時に接続可能なFTPコネクション(制御)数と同じ意味です。これを超えた伝送は拒否します。最大同時伝送数については,「3.12 最大同時伝送数の変更手順」を参照してください。

FTP接続応答メッセージの情報抑止

FTP接続応答メッセージを,デフォルトの形式から変更する場合に指定します。FTP接続応答メッセージについては,「3.17 FTP 接続応答メッセージの情報抑止機能」を参照してください。

デフォルトでは,指定されていません。

[履歴情報保存件数],[プロトコルトレースのファイルサイズ],[モジュールトレースのファイルサイズ]の各値についての注意事項

現在の値よりも小さな値を設定した場合,サービス再起動時に,該当する情報ファイルが削除されます。再起動前の情報が消えてしまいますので注意してください。なお,履歴情報ファイルは,次に示すファイルにバックアップされます。

  • /var/opt/jp1_fts/sys/history.old

定義を変更するコマンドの例を,次に示します。

[図データ]

次の情報を変更します。

定義の変更後に,JP1/FTPデーモンを再起動することで,変更内容が有効になります。

ftsutilコマンドについては,「6. コマンド」の「ftsutil−環境情報の変更・表示−」を参照してください。