Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Power Monitor


1.3.3 クラスタシステムでJP1/Power Monitorのマネージャーを運用できます

クラスタシステムの論理ホスト上でJP1/Power Monitorのマネージャー機能を運用できます。

クラスタシステムとは,業務実行中の障害によって業務が中断しないように,複数のサーバシステムを準備しておき,一方のシステムで障害が発生したときに他方のシステムに業務を切り替えられるようにするシステムです。それぞれのシステムを「系」とも呼び,業務を実行中のシステムを実行「系」,実行系の障害時に業務を引き継げるよう待機しているシステムを待機「系」と呼びます。障害が発生したときに,業務を実行系から待機系に切り替えるため,クラスタシステムのことを「系切り替えシステム」とも呼びます。

〈この項の構成〉

(1) クラスタシステムでの運用

JP1/Power Monitorでは,クラスタシステム上にマネージャーを配置し,エージェントを起動・終了させることができます。これによって,クラスタシステムで業務システムを運用する場合に,JP1/Power Monitorが動作している物理ホストを意識しないで,マネージャーを運用できます。

なお,JP1/Power Monitorのエージェント,および自ホストの電源を制御する機能はクラスタシステムに対応していません。

クラスタシステム上でJP1/Power Monitorのマネージャーを運用する場合の処理の流れを次の図に示します。なお,ホストP1の電源は電源制御装置から供給されています。

図1‒19 クラスタシステムでの処理の流れ

[図データ]

この構成では,論理ホスト上のJP1/AJS3が,アクションジョブでJP1/Power Monitorのマネージャーへ電源オフの処理を指示します。

JP1/AJS3とJP1/Power Monitorは共に論理ホストL1上にあるため,お互いが実行系・待機系のどちらのマシンで動作しているかを意識する必要がありません。また,JP1/Power Monitorのエージェントからは,マネージャーがL1という1台のホスト上で動作しているように見えるため,マネージャーの動作するホストを意識する必要がありません。

なお,電源制御装置を直接制御してエージェントの電源をオンにする場合は,物理ホスト上での運用と同じ方式で電源制御装置を操作します。そのため,リモート電源制御の方式が,各社が提供するリモート電源制御コマンドを使う方式の場合は,リモート電源制御コマンドを,各物理ホストの同じディレクトリに配置してください。

(2) 障害発生時の処理の流れ

論理ホスト上で障害が発生した場合の処理の流れを次の図に示します。

図1‒20 障害発生時の処理の流れ

[図データ]

実行系で稼働中のJP1/Power MonitorまたはほかのJP1プログラムに障害が発生した場合,クラスタソフトが,実行系サーバで動作しているJP1/AJS3,JP1/Power Monitor,およびJP1/Baseのサービス(デーモン)を停止します。その後,待機系サーバでJP1/Base,JP1/Power Monitor,およびJP1/AJS3のサービス(デーモン)を起動します。

実行系で動作しているJP1/Power Monitorは,エージェントホストの状態情報を共有ディスク上で管理しています。系切り替えが起こると,待機系で起動したJP1/Power Monitorが共有ディスクにアクセスし,共有ディスク上で管理されている情報を引き継ぎます。これによって,障害が発生しても運用を継続できます。